とある科学の魔眼使い   作:虎鉄

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第1話

 学園都市。

 そこは東京の西部を切り拓いて作られた都市であり、数多くの学園が存在する。この都市では「超能力開発」というものが学校のカリキュラムに組み込まれており、二三○万の人口の実に八割を占める学生達が日々『脳の開発』に取り組んでいる。

 そして開発された学生たちには能力の強さによってランク分けがされている。

 まずレベル0の無能力者。学生達の約6割がこれに含まれる。全く能力が無いという訳ではないが、あまりにも微かなため落ちこぼれ扱いとなっている。

 次にレベル1の低能力者。これもまた多くの学生達が当てはまり、能力としてはスプーン曲げ程度の力しかない。

 レベル2は異能力者と呼ばれており、これもまた日常ではあまり役に立たない。

 レベル3の強能力者は日常では便利だと感じる程度には能力が使えるようになる。能力的にはエリートと呼ばれ始めるレベルである。

 レベル4は大能力者である。軍隊において戦術的価値を得られる程の力とされており、かなり強力である。

 そしてレベル5の超能力者。学園都市においても七人しかおらず、一人で軍隊と対等に戦える程の力を有している。またレベル4とレベル5との間には絶対的な差があるとされている。

 そんな多くの学生達を有する学園都市はかなり広大である。そのため東京23区と同じように23の学区で分け、学生達がより良く生活が出来る様に配慮がされている。その中でも多くの中学や高校が集まっている第七学区。そのとあるビルの屋上に下を見下ろす一人の少年がいた。

 身長は180に届かない程度であろう。肩まである金髪を風で靡かせながら楽しそうに笑っている。鋭い眼光は橙色のスポーツサングラスによって隠されており、学生服はだらしなく着崩されている。端から見るとかなりのイケメンなのだろうが、全体的に軽薄な雰囲気が滲み出ている。

「スキルアウトに絡まれてるのは常盤台の学生みたいだな」

屋上の手すりに寄り掛かりながら、状況を冷静に考察する。

スキルアウトというのは、原則的にはレベル0の武装集団の事を指すが、実際に武装しているのはほんの一部であり、普通の不良やチンピラの様な者たちも今ではスキルアウトと呼ばれている。今回、常盤台という超能力開発のエリート中学校の少女に絡んでいる輩も後者であろう。

「もしここであの女の子を助けたらフラグ立つかも」

そんな下らない事を真剣に検討している間にも、下の状況は進んでいく。スキルアウトの男たちは六人程おり、少女を囲むようにジワジワと近付いていく。

「って、ここからじゃ下に行くのも時間掛かるから助けるのって無理じゃん!」

今さら気付いたその事実に頭を抱える少年。助けるのが無理だと分かった少年は潔く観戦モードへと切り替える。懐からタバコを取り出し、口に加え火をつける。もちろん学生である少年は本来、タバコを吸う事は出来ない。しかし、いつの時代にも抜け穴というのはいくらでもある。故に学生ながらの飲酒やタバコは、この学園都市でも割と日常的に行われているのである。

 少年のいる場所では下の会話までは聞こえないが、スキルアウトに囲まれているはずの少女が慌ててもいないというのは、よく分かった。恐らく、かなりの能力者なのだろうと少年は煙を吐き出しながら推測する。煙は風に流され上へと流れていく。

 スキルアウトが完全に少女を囲ったと思ったその瞬間、少女の身体から電撃が放たれた。バチバチというスパーク音は少年の耳にまで届いた。

「電撃?常盤台の電撃って……まさか第三位か!?」

思わずタバコを口から落とす少年。そのまま足でタバコを踏み潰し火を消す。

 常盤台には二人のレベル5がいる。そのうちの一人である第三位の超電磁砲。名前は御坂美琴。少年は脳内から情報を引き出していく。

 丁度、スキルアウトの六人をいい感じで感電させたタイミングで新たな人物がその場に現れた。茶髪のツインテールで電撃少女と同じ常盤台中学の制服を着ている。また腕には風紀委員(ジャッジメント)の腕章をしている。

 風紀委員というのは学生達で結成された治安維持組織である。これと同様に教師たちで構成されている警備員という組織も存在している。権限は当然、警備(アンチスキル)の方が高い。わざわざ学生と教師で組織を別々にしているのは組織の腐敗を防ぐためである。

 どうやら電撃少女と風紀委員の少女は知り合いだったらしく、その場から離れていく。恐らく警備員がそのうちやって来るのだろう。

「俺もそろそろ退散しますかね。今日は思ったよりもいいものが見れたし」

ははは、と一人で笑いながら少年は屋上を後にした。

 

 

 

 屋上を後にした少年は欠伸をしながら街をあてもなく歩き、とりあえず近くにあったファミレスに腹ごしらえのため入る。Joseph'sというファミレスで、安くて美味い。また多少騒いでも、このファミレスは追い出されるということが滅多に無いため、少年は割と重宝している。

 席に着いてメニューを開く。ゲテモノ系のメニューのページを飛ばしデザートのページへと目を向ける。

「ご注文はお決まりでしょうか?」

「あ〜、抹茶プリンとコーヒー、ブラックで」

店員に注文をして、メニューを閉じる。ポケットから携帯を取り出す。着信が何件かあったようだが、どれも大した用では無さそうだったので折り返す事なく携帯を閉じる。

 すると先ほど注文を取った店員が戻ってきた。

「あの、お客様。当店ただいま非常に混み合っておりまして、宜しければ合席を……」

「ああ、別にいいぜ」

少年は気前良く返事をする。すると店員はホッとしたように笑う。

「ありがとうございます」

そうお礼を行って再び戻って行く店員を見ながら、少年はバイトってのは大変だなぁ等と考えている。

 しばらくすると、少年の席に二人組の女子中学生がやって来る。一人は頭に花飾りを付けている小柄な少女。もう一人はセミロングの黒髪に白梅の花を模した髪飾りを付けている少女。二人とも美少女といえるレベルである。

「あのー、合席わざわざすいませんー」

やや伸びのある感じで話し掛けて来たのは花飾りの少女の方であった。

「いやいや気にすんな。それにこーゆー出会いってのも面白いしな」

「おぉ〜、何かイケメンって感じの発言ですね」

次にセミロングの方の少女が口を開いた。

「あ、あたし佐天涙子って言いまーす」

「私は初春飾利って言います。よろしくお願いします」

セミロングの少女、佐天涙子が自己紹介をしたのをきっかけに花飾りの少女、初春飾利も自己紹介を行う。もちろん、少年もそれに合わせる。

「俺は士騎、黄泉川士騎だ。よろしく」

 

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