とある科学の魔眼使い   作:虎鉄

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第4話

 身体検査を終えた美琴と黒子は馴染みのファミレス「Joseph's」へとやって来ていた。

「私のファン?」

「はいですの。風紀委員でわたくしのバックアップを担当してくれている子ですの。一度でいいからお姉様に会いたいと事あるごとに……」

それを聞いて美琴は思わず溜め息も漏らす。

「お姉様が常日頃からファンの子たちの無礼な振る舞いに閉口なされているのはご存じですわ。ただ初春は分別を弁えた良い子ですの。まぁここは黒子に免じて一つお願いしますですの。もちろんお姉様のストレスは最小限になるように努力致しますわ」

そう言って黒子は自分の学生カバンから手帳を取り出し、パラパラとページをめくる。

 しかし、その手帳を取り出した瞬間に美琴がそれをヒョイと奪い取る。

「ちょ!?」

慌てる黒子を横目に、その手帳に眼を通していく美琴。

「なになに……初春を口実にしたお姉様とのデートプラン。ファミレスで親睦を深める。その後、ランジェリーショップで勝負下着購入。続いてアロマショップで媚薬購入。初春駆除。そしてお姉様とホテルへGO!」

「……」

「つまり分別のある友人を利用して自分の変態願望を叶えようと?読んでるだけで、すんげーストレス溜まるんだけどっ!!」

美琴はテーブルから身を乗り出しながら黒子の頬を両手でつねる。もちろん、黒子はされるがままだ。

「まぁでも黒子の友達じゃあ、仕方ないか……」

そう呟いた途端、感極まった黒子は美琴へと飛び掛かる。先ほどのシャワー室での件も懲りてないようだ。目をハートにしていて、端から見るとかなり気持ち悪い。常盤台の評判だだ下がりである。

「おっ姉様ぁぁーー!!」

そんな光景を窓から初春と無理矢理連れて来られた佐天は驚いた顔をしながら眺めていた。

それに気付いた美琴はとりあえず黒子をぶん殴り、慌ててファミレスから飛び出した。

 

 

 その後、無難な自己紹介を終えた四人はゲームセンターに向かって歩いていた。先頭を歩く美琴を見ながら初春と佐天は美琴について話をしていた。

「なんかさ、全然お嬢様じゃなくない?」

「上から目線でも無いですねぇ」

すると、佐天は突然立ち止まった美琴にぶつかってしまった。

「あっ!すみません」

しかし美琴は佐天の謝罪に返事する事もなく、一枚のチラシを喰い入るように見つめている。

「どうしたんですの?お姉様」

黒子は美琴の眺めているチラシを見ると、何かに気付いたようでニヤリと笑った。

「あらぁ、クレープ屋さんにご興味が?それとも、もれなく貰えるストラップの方ですの?」

「なっ、何いってんのよ!私は別にゲコ太なんか……」

そう言って美琴はカバンを抱き締めるが、その端にゲコ太ストラップが付けられている事に初春とさは気付いてしまった。

「「あっ……」」

思わず真っ赤になる美琴。黒子はそれを見て必死に笑いを堪えている。

「と、とにかく行くわよっ!!」

そう言って一人で先に歩き出す美琴。他の三人も互いに顔を会わせて苦笑いをしながら着いて行く。

 それからすぐに目的のクレープ屋は見つかった。公園の一角で販売しているらしく、運悪く学園都市に見学に来ていた子供たちがいるせいで混み合っていた。

 その様子を見て初春と黒子は先に席を取りに行く。美琴と佐天はクレープを買う方だ。

「あの順番変わります?」

ゲコ太ストラップが欲しくてイライラしてる美琴にそう思わず声を掛ける佐天。

「べ、別に順番なんて!私はクレープさえ買えればいいのよ!」

しかし素直になれない美琴は強がってせっかくの好意を台無しにしてしまう。

 そしてようやく佐天の順番が回って来た。

「はいこれ。最後の一個ですよ」

「え……!?」

その言葉を聞いて後ろを振り返る佐天。そこには案の定、落ち込んで崩れ落ちる美琴の姿があった。

「あのぉ、良かったらコレ……」

「え!?いいの!?」

佐天の手を握って喜びを表す美琴。二人はクレープを持って黒子と初春の所へと行く。そして初春と佐天はベンチに座り、黒子と美琴の格闘を眺めている。

「良かったですね、御坂さん。お嬢様のイメージとちょっと違ったけど、思ってたよりずっと親しみやすい人で」

初春に釣られて佐天も美琴を眺める。すると二人の視線に気付いた美琴は何を思ったのかベンチへと近付いて来る。その行動に佐天は疑問符を頭に浮かべる。

「さっきのお礼、一口どうぞ」

その台詞を聞いて後ろにいた黒子は絶叫する。

「あんたの友達には付いていけないかも……」

それに初春は思わず苦笑いで返す。

「あはは……。ん……?あれ、あそこの銀行なんで昼間っからシャッターが閉まってるんでしょう?」

その台詞と同時に銀行のシャッターが爆発で吹き飛ぶ。激しい音と共に中から黒煙が噴き出て来る。突然の出来事にあちこちで悲鳴が上がる。黒子はそれに即座に反応し、風紀委員の腕章を取り出しながら銀行へと駆け出す。

「初春っ!!警備員への連絡と、怪我人の有無の確認!!急いで下さいな」

「は、はいっ!!」

初春も慌てて腕章と携帯を取り出す。美琴も黒子の後を追おうとする。

「黒子っ!」

「いけませんわ、お姉様。学園都市の治安維持は風紀委員(ジャッジメント)のお仕事ですの。今度こそ大人しくしていて下さいな」

そう言って黒子は再び現場へと駆け出して行く。空間移動も駆使して最速で現場へと駆け付ける。

風紀委員(ジャッジメント)ですの!大人しくお縄につく事をオススメ致しますの」

突然の風紀委員の登場に一瞬固まる強盗たち。しかし風紀委員が中学生だと分かると互いに顔を合わせて笑い始める。

「くくくく」

「ははは、何だよ!ガキじゃねぇか」

「ビビらせんなっての!!へへへ」

強盗たちは完全に勝った気で上から目線で黒子へと話し掛ける。

「おら、お嬢ちゃん。とっとと何処かに行かねぇと怪我しちゃうぜぇ!!」

強盗はその言葉と共に黒子の方へと駆け出す。しかしその突撃はあっさり黒子に躱される。そのまま黒子に足を踏まれ、走っている勢いを利用され、一回転させられる。

「そう言う、三下の台詞は死亡フラグですわよ?」

思い切り地面に叩きつけられた強盗Aは潰れたカエルのような呻き声を上げた。

「「なっ!?」」

黒子の手際の良さに驚く強盗たち。

 そして初春の方でも問題が起こっていた。

「ダメですって、今広場から出たら!」

広場から出ようとしているバスガイドの女性を初春が抑える。

「でもっ、男の子が1人いないんです!」

「なら私が探しますから」

初春たちの会話を聞いていた美琴と佐天も男の子の捜索に名乗りを上げる。そのまま三人で男の子を探し始める。

 一方、黒子の目の前には二人目の強盗が立ちはだかる。しかも相手は手から炎を出している。

「俺の炎でテメェを消炭にしてやるよ!!」

炎の照準を向けられるその瞬間、黒子は強盗を中心に円を描くように走り始める。その行動に焦りを覚えた強盗Bは走っている黒子に向けて炎を放つ。

「逃がすかよぉっ!!」

炎は見事、黒子のいた場所に直撃する。しかし黒子の能力は空間移動である。飛んで来た炎に紛れるよう転移をして一瞬で強盗Bの懐まで入り込む。

「誰が逃げますの?」

「なにっ!?」

驚いて固まっている強盗Bの背後に再び転移をして、そのまま飛び蹴りを叩き込む。倒れた所をダーツで刺して拘束する。

「テ、テレポート……」

そして強盗Bは戦意を無くした。

 

 

「見つかったー!?」

バスの中を捜索していた美琴は後方にいた初春に声を掛ける。しかし初春も見つからなかったようで首を横に振る。

「ダメですー!」

「どこいったのよ、もう!」

佐天は二人よりも前で自慢の鼻(?)で捜索をしている。すると、佐天の耳にある会話が飛び込んで来た。

「おい、ガキ。ちょうどいい!こっち来い!!」

「え……?誰お兄ちゃん、なにー?」

佐天は振り返り強盗に連れさられそうになっている男の子を発見する。そんな様子を見て覚悟を決める。

「私だって……!」

そう言って強盗Cと男の子の方へと駆け出す佐天。そして男の子の身体を掴み強盗に抵抗する。

「何だよテメェ!離せよっ!!」

「ダメーーっ!!」

佐天の思わぬ抵抗に足を上げ蹴ろうとする強盗C。佐天の叫びに美琴や黒子も現場に気付く。

「佐天さんっ!」

美琴の叫びも虚しく強盗の蹴りは思い切り佐天の顔面に直撃したかのように見えた。

 しかし、実際はその蹴りはギリギリの所で止められていた。

「おいおい、女の子に手を上げるなんて男の風上にも置けねー奴だな」

 

 

 そこに居たのは金髪に橙色のスポーツサングラスを掛けた少年。相変わらずエリート校の証である長点上機の制服をだらしなく着崩している黄泉川士騎だった。

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