島村家の元フェザー級日本チャンピオン~challenge again~   作:伊吹恋

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急いで書いてグダグダになりましたが許してください☆

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Round.15

~合宿7日目~

 

既に合宿が始まり一週間たった。その中で一樹は着々と力を取り戻していた。

合宿初日で打ち込んだパンチとは比べものにならない破壊力のパンチがサンドバックを襲っていたのだ。異様な音を放ちながらグラグラと揺れてサンドバックをつないだ鎖はジャラジャラと大きな音を立て続ける。

 

しかも今一樹が放っているパンチは『ジャブ』である。

 

「シッ!シシッ!」

 

ジャブ一発で大きく揺れるサンドバック、それは一樹のパンチの破壊力を物語っている。

 

「…あんなの受けたら…」

 

「一発で気持ちよ~くさせてもらえるな。変な意味じゃなくて」

 

京介の言葉に全員が青ざめていると、一樹は時計に目をやり拳を打つのを止める。

ジャラジャラと音を立てるサンドバッグを素手で止めて一樹はグローブを取りタオルを手にして汗を拭う。

 

「よし、飯を作るとしよう。それとみんな下の浜辺に集合しておいてくれ。京介は俺と一緒に荷物を運ぶぞ」

 

「は、はぁ…?荷物…?」

 

「なんだお前忘れたか?今日は丁度一週間目だ。疲れも溜まって来てる頃合いだ。ここはひとつリフレッシュと行こうじゃねえの」

 

「リフレッシュ…?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

外は夏の始まりを伝えるようにセミが鳴きだし、ムシムシとした暑さが身体を包みこみ、汗がすぐに額から浮き上がる。

そんな中でアイドルたちとボクサーは外で大きな鉄板を囲む。その鉄板の上には大量の肉と野菜を乗せ細い体で引き締まった筋肉をむき出しにしたアイドルの兄が調理をしている。

 

焼き具合を確認すると一樹はみんなに声をかける。

 

「さあできたぞ!今日一日ぐらい日頃の練習の疲れを癒してくれ!」

 

「「「いただきま~す!!」」」

 

水着姿のアイドルたちは各々に鉄板の上に置かれている料理を箸で取り口に運んでいく。

一樹も肉を焼きながらおにぎりを手に取り口に入れる。

 

本日で合宿は半分を超えた。日頃からキツイ鍛錬、練習を積んでいき着実に全員力、技術を上げていっている。

しかし全員の練習は朝から夕方にかけて行っている。単純に考えればいつもの練習よりオーバーワークになっているのは確実であり、疲れもたまってきている。それは少し考えればわかることでもある。一樹が考えたのは練習期間半分を超えたところからのリフレッシュ企画。

夏という練習でも一番ストレスのたまりやすい季節。そして今現在彼らがいるのは海が見える練習場。この条件がそろって一番効率のいいストレス発散方法は海で遊ぶことだ。

 

グレーのサーフパンツを着て引き締まった筋肉を露出して長髪を後ろにまとめてゴムで結んでいる一樹はジュージューと音を立てる肉をトングでひっくり返していく。

 

「お兄ちゃん!はい、あーんしてください!」

 

そこにやってきたのは一樹の義理の最愛の妹。学校指定のスクール水着に身を包んだ卯月が肉を一切れ箸で取り一樹に差し出す。

それをなんの躊躇もなく一樹はその肉を口に含むともぐもぐとよく噛んでのどに通し「ん、サンキュ」と感謝の言葉を付け足す。

 

「えへへっ♪」

 

卯月は顔をほのかに赤くさせながら笑顔を見せる。

そこにもう一人の少女が一樹の前に現れる。15歳とは思えない魅力的なボディがビキニで強調された猫耳をつけた少女は卯月同様に肉を一切れ一樹に差し出す。

 

「あ、あの…お兄さん…みくのもどうぞにゃ…」

 

「ああ、すまない」

 

それだけ言うとこれも躊躇なく口に運ぶ一樹。顔を赤くさせながら顔を緩ませるみくは「にゃあ…」と一言発し、そそくさと仲間たちの元に戻る。

 

「???」

 

「むぅ~…」

 

みくの行動の一部に理解が及ばなかったのか、一樹はみくの後姿を見ながら首をかしげる。その横では頬を膨れさせ少し不機嫌な卯月がいた。その気配に気づいたのか、一樹はすぐに卯月に声をかける。

 

「な、なんだ?」

 

「何でもないです!」

 

「…訳が分からん」

 

「確かに一樹さんは乙女心には疎そうですよね」

 

後ろで肉を頬張っている京介の言葉で更に混乱させる一樹だった。

 

 

 

 

 

 

 

食事がひと段落済むと一樹たちは使った鉄板などを片付けていく。

アイドル達は食事の後処理は一樹がやると言われたのでそのまま遊ぶことにした。

 

「あははっ!待ってよ!」

 

「それそれ~!」

 

パラソルを広げて日陰で待機しているのは食事の後処理を済ませた一樹と武内。二人とも水着姿で戯れているアイドルたちを温かい目で見ている。

 

「…そういえば一度聞いてみたかったんだけど…卯月をスカウトしたのは武内さんだったよな?」

 

「えっ、そ、そうですね…」

 

「なんで卯月に注目したんだ?」

 

ふぅーと電子(ニコチン、タールなし)タバコを吹かしながら一樹は武内に問いかける。少し困惑して首後ろを手で撫でながら武内は口を開ける。

 

「…笑顔です」

 

「…えっそれだけ?」

 

「彼女の笑顔を見た瞬間、私は可能性を感じたのです。そして彼女の笑顔は人を引き付ける魅力があります。だから私は彼女に魔法をかけたのです。それはいつ消えるかわからない儚い魔法なのでしょう。でも私は島村さんが可能性を信じ続ける限りサポートするつもりです」

 

 

「可能性…か」

 

一樹は卯月を見つめる。楽しそうに笑顔でいる卯月。それに気づいたのか、卯月は一樹たちに向けて手を振る。

 

「お兄ちゃん!一緒に遊びましょう!」

 

手を振り返しながら一樹は立ち上がり電子タバコを箱に入れて荷物入れの中にしまう。

 

「確かに、魔法は確かにかかってるみたいだな…。武内さん…卯月を頼むぜ」

 

後ろにいる武内に言葉をかけ歩き出す一樹。

 

「(プロデューサーはアイドルを輝かせる魔法使い…か。俺も卯月に魅せられた一人だろうな…。だからこそ今回の試合は負けられん…見ててくれ卯月…お前の兄ちゃんは、最高の兄貴であるってことを見せてやるからな)」

 

 

 

 

 

 

 

そして時は流れる。試合当日8月26日

眠り続けた獅子はついに目覚める。

 

減量も難なく突破した一樹は最高のコンディションで控室にいた。この日はシンデレラプロジェクトのメンバーは仕事上応援に来れないことを事前に聞いていた。だから今一樹は控室に京介とともにいた。

精神を研ぎ澄ませるために瞳を閉じて瞑想に入っている。

 

「一樹さん、そろそろ入場時間ですよ」

 

京介の言葉を耳に入れると研ぎ澄まされた鋭い眼光が開かれる。

 

「よし、いくかぁ!!」

 

バシィン!!!

 

グローブをつけた拳で拳を勢いよく合わせるとグローブの音が小さく響く。

 

会場は満員。今日の一番の大目玉一樹の復帰戦を目当てに大勢のボクシングファンがやってきている。その言葉にこたえるように会場に入った瞬間起きたのは。

 

 

「「「わああああああ!!!!」」」

 

歓声の嵐だった。

ゆっくりと軽くジャブを放ちながら一樹はリングに近づき、ロープをくぐり、片腕を天高く上げると再び歓声が上がる。

 

『さあ!今日の大目玉島村一樹選手の入場です!そしてここからある人物からスペシャルサプライズがあります!皆様!モニターをご覧ください!!』

 

「は?」

 

 

一樹も知らないことが起きており、モニターに目を向けた。

 

そこにいたのは

 

『お兄ちゃん!!!』

 

アイドルとして仕事をしているはずの卯月とシンデレラプロジェクトのメンバーだった!

これには某海賊漫画のように一樹は目が飛び出し、口を大きく開けていた。

 

『試合!』

 

『『『頑張って下さい!!!』』』

 

モニターをずっと見ている一樹に京介が耳打ちするように声を出す。

 

「…実は卯月たちが復帰祝いのサプライズがしたいって言ってたんですけど、試合会場から仕事のスタジオまでが遠いことから、ライブモニターで応援したいってことで…」

 

「ば…馬鹿野郎が…!!」

 

涙を流し震えている一樹がずっとモニターを見ていたのは想像するまででもないだろう。

 

「(本当に大丈夫だよな?精神が不安定になっちまったぞ…)」

 

果たして試合の行方は…?




ついに始まった一樹の復帰戦!ライブモニター越しにアイドルたちは一樹の試合を見守る!
そして一樹の必殺技が放たれる!

次回、島村家の元フェザー級チャンピオン

Round.16
仮タイトル「放て!S(mash)ing」

次回も見てください!

ボックス!!

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