島村家の元フェザー級日本チャンピオン~challenge again~   作:伊吹恋

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お久しぶりでございます。
約4年ぶりですね。

仕事が変わったり、Vtuberとして活動したり、色んな動画を投稿していたらこんなに時間がかかりました。

文章の作り方や、キャラクターの設定などが全部消え去りとんでもないことになり、全話見て、他キャラクターの関係性などを洗い流したりと色々大変なことになっていました。

因みに自分のYouTubeチャンネルこちらです。最近は仕事の影響で時間がなくASMRなどを投稿しています。
https://www.youtube.com/channel/UCrE83AgtgvlXKdmfbJsIRcg


⇩2年前くらいの動画もこんな感じです。⇩
https://youtu.be/ZSbNRvmcMcM



Round.32

京介が風邪を引いて一週間後、京介は完治し練習に身を投じていた。試合まであと三ヶ月だ。気が抜けない時期に差し掛かった。

そして一樹は家の鏡を使い顔の状態を確認している。数日前まで腫れ上がっていた顔はだいぶ落ち着き元の顔に戻り、傷は徐々に完治しつつあった。

 

「だいぶ腫れは引いたな」

 

ここまで完治したらすぐにでも練習…と行きたいのだが、ジムの会長に言い渡されたのは1ヶ月の休暇。凱旋して間もない連続の試合内容と練習による疲労蓄積の上に2回目の試合で血まみれの激戦を強いた一樹に対しての処置だ。世界を狙っていた頃の一樹だったら三か月と言い渡されていただろう。

だがそんな中でもアイドルたちの仕事も順調に進んでいる。現にりあむはこの日家にいない。仕事である。

最近はファンも増えてきたと喜んでいたりあむだ。さぞ仕事に打ち込むことが楽しくなってきたのだろう。最近は笑顔になる事が増えたとか、それに比率するようにSNSでの炎上も増えたとか言っていた。

だが、彼女のSNS炎上はもはや日常茶飯事。その炎上はまるで焼き討ちスキーの大物武将『織田信長』の様に芸術的にも思えその炎上具合はまるで三国志に登場する赤壁の様に真っ赤に燃え上っていく。もしかしたら狙っているのではないだろうか?さながら鳳雛とうたわれしもの三国志に出てくる劉備軍軍師『龐統』の様に連環の計を発動させ辺りを炎の海に変えるがごとくだSNSを覗いて見ても『またりあむちゃん炎上してるよ』とか、『いつもの事だから平気平気』とか『ポンコツ具合が可愛い』などコアなファンもいる様子。

 

 

「流石歩く本能寺…いつの間にかこんなに大きくなって…」

 

一樹は携帯に写っているりあむのSNSを見ながらそう呟き、目頭が熱くなり指で抑え始める。その姿はさながら娘の成長を喜ぶ父親そのもの。まあ、まだ出会って一年もたっていないのにこれほどまでに一樹が感情移入してしまうのはりあむと一緒に過ごし、共に寝食をしているからであろう。

 

 

まあ、その感動は一分もしないうちに冷めたのだが。

 

 

炎上芸でここまで感動を覚えるというのも珍しい気もする。だが、少なくとも一樹は感動を覚えている。

 

 

一瞬で終わったが。

 

 

流行りものに疎い一樹が感動を覚えているのだ。

 

 

本当に一瞬で感情は元の冷静なものに変わったのだが。

 

 

そう、あの一樹がだ。件の一樹はこのようなSNSを使うことはあまりない。なのにも関わらず、SNS解禁したと同時に6万程のフォロワーが来るのは何故なのか?一樹がSNSを始めましたと投稿した瞬間、何も知らないはずの卯月がいの一番にいいねとフォローしたのは何故か?ほとんど店の新メニューを投稿するだけなのに10万のいいねが来るのは何故なのか?もう一樹には何が何だか分からずにいた。

それでもCPメンバーやりあむ、武内らのSNSにフォローするところ、彼らしいというか、律儀な所がある。

 

「餃子作るか…」

 

数時間後泣きつくりあむの想像をしながら一樹は冷蔵庫からニラを出し、それを刻もうと包丁を手に取る

一樹の中でりあむという少女はとりあえず餃子を出せば機嫌が治ると言う解釈である。

 

「兄様、探しました」

 

「ん?どうしたんだシア」

 

手に取った包丁で使う分のニラを切り分けていた際に2階から降りてくるアレクシアを見る一樹。手元を見ずにニラを切り分けている一樹の姿を見て苦笑いしているアレクシア。

 

「兄様、危ないですから包丁を置いてください」

 

「大丈夫だ。慣れてるから」

 

アレクシアの静止を聞かずに手元を動かし続ける一樹は手を切ることなくニラを切り終えた。

 

「実はご相談がありまして」

 

厨房が見える位置の席に座るアレクシアに一樹はすぐに水が入ったコップをアレクシアの前に出す。既に職業病の様に1ミリの無駄のない動きだ。

 

「お前から相談とはこれまた珍しいことがある。神とやらに相談すればいいだろう」

 

「神は全てに答えてくれるものではありません。時に自分で考え、自分で答えを導き出すことも必要なのです。ですが私一人ではどうすることもできませんので、兄様にご相談したかったのです」

 

「そりゃあご苦労なこった。まあ、妹分が壁にブチ当たってるのにそれを見過ごすなんて兄貴分としては見捨てれねえのも事実だ」

 

手に持っている包丁を水道水で洗い、水気をタオルで拭き終わると、一樹はアレクシアに視線を向ける。

 

「聴こうか」

 

 

 

いつかこうなるとは思っていた。だがあまりにも唐突すぎて頭が追いつかないとはまさにこの事であろう。

 

「シアがアイドル…ねえ」

 

シアことアレクシアはアイドルとしてスカウトを受けていた。事務所は一樹がよく知っている346プロダクション。因みにスカウトしたプロデューサーは佐久間まゆのプロデューサーらしい。一樹とは何度か顔を合わせる機会があるがどういう人物であるかまでは分からない。

 

アレクシアをスカウトした時、後ろに居る佐久間まゆは笑顔だったが『目が笑っていなかった』らしい。

 

話が脱線したがアレクシアとはあまり人前に出ることが得意では無い。むしろ一樹や施設の子達以外では引っ込み思案な所が目立つこともある。

 

彼女の両親は不運な事故により亡くなった。

彼女の両親はまだ幼いアレクシアと共に出かけていた所に車が飛び出てきた。両親はアレクシアを守るためにその身を犠牲に彼女を守った。残されたのは天涯孤独になってしまった少女だけ。両親と知人であった天草委員長は彼女を引き取り、我が子の様に思い、そして一樹(初めて好きになった人)と出会った

 

一目惚れ…とは違った。初めは冷たく孤独な人と思った。でも彼はどうしようもなく不器用なだけの世話焼きなだけの人とわかった途端、一樹を目で追うようになっていた。困ってる人がいると本気で見放すことができない。協力する限りのことを尽くす。それが彼の本性。

 

だから彼女は、想い人であり、1番の理解者に相談して、決断を仰いで欲しかった。

彼の言葉ならどう転んでも怖くない。

 

「自分で決めな」

 

「えっ…?」

 

一樹は頭を触り、髪をかきあげる。

 

「俺はアドバイスはしてやれる。だが大事な場面で人の事で決断はしないんだよ。シア、お前は今一つの分岐点に立ってるんだ。確かにアイドルとしてスカウトなんて夢みたいな事さ。少女達が憧れる状況だ。だが、それをしたいかどうか」

 

一樹は笑顔で頬杖を付きながらシアの額に人差し指を優しく置いた。

そして優しい声で言葉を紡ぐ。

 

「それはお前の胸の中にある素直な気持ちをぶつけなくちゃいけねえ。それは兄貴分でも、ましてや神様が決めることじゃない。お前が決めなくちゃいけないことだ。失敗を恐れるのは当たり前だ。不安なのも十分わかる。だがそれを承知でアイドルになるとお前が決めたのなら…俺はお前を応援するよ」

 

ドキッという大きな音がアレクシアの中で響いた気がした。

まるで母親に打ち明け、応援の言葉を貰ったかのように彼女の胸の中で暖かいものが溢れてくる。

 

「やっぱり、兄様はずるい…」

 

「ずるいのは兄貴分の専売特許だろ?」

 

「それもありますが…」とアレクシアは小さく一樹に聞こえない声を口にした。それ以外の理由はアレクシアの紅く染まった頬を見たらわかる。

 

「(兄様はずるい。どんなに好きになっても、それを塗り替えるくらいに好きにしてくれる。神よ…なぜ私の兄様はこれ程までに慈悲深いのか…このような男性に惚れない女性が何故身近に現れないのか…)…餃子、私も作ります」

 

「多めに作る予定だから助かる。…シアって料理出来たっけ?」

 

「餃子の皮に具を入れるくらい誰だってできますよ」

 

「…昔袋ラーメン作ろうとして爆発させて無かったっけか?」

 

「………出来ますよ」

 

「今の間はなんだ?」

 

一樹が一通りの手順を教えてもらいながらシアは料理を進めることとなった。

 

ある意味シアが勝ち乗りした形になり、それは卯月たちが帰ってくると一樹は理不尽にも責め立てられたのは言うまでもない。

 

 

 

 

〜次の日〜

 

「んで、断ってきた、と」

 

目の前にいるシアにカプチーノを差し出すと、電子タバコを吹かす。

タールもニコチンもあるわけじゃないとはいえ、紫煙を横に向いてシアに向けないようにする。

 

「…聞かないんですか?何故私が断ったか…」

 

「聞いてどうするよ…言っただろ。俺はお前の意思を尊重する。だから聞く必要もない。聞いてほしいなら別だがな。」

 

口につけている電子タバコを離し、テーブルの上に置き「まあ、あれだ」と言葉を紡ぐ。

 

「悩みなら何時でも聞いてやるよ。俺はお前の兄貴分だからな」

 

ニカッと笑う男としては中性的でもあり、凛々しくもあり少しあどけない笑顔にシアの鼓動はドキッと跳ね上がり、顔が紅葉の様に赤くなるのを感じる。

そして、わかってしまった。アイドルや一般客、そしてこの店の常連が来続ける意味を。

 

アイドルたちが密かに集まる喫茶店。そこにいる店主は人を惹きつける確かな魅力があり、ある者は彼に相談を行いたく、ある者はその店の空気が心地よく、そんな心に支えが欲しいと思う人間たちが来るのがここだ。

行ってしまえばここは心の支えが欲しい人たちが来る憩いの場。そんな憩いの場の中心にいる人物は『島村一樹』である。

 

皆が皆、一樹を頼る。だが、シアにとっては不安の元でもある。

 

「(兄様は人の支えになってあげている大きな柱。でも兄様、それをし続けてしまえばいつか兄様が潰されてしまうのでは…)」

 

なら私が支えになろう。それがシアの出した答えだった。

一人でも余りあるこの店。勿論手伝いであるりあむがいるにしろ、四六時中いるわけじゃない。

 

「(なら私がこのお店を、兄様の支えになる)」

 

それが彼女の出したアイドルを断った答えだった。

 

「兄様、お頼みしたいことがあるのです」

 

「ん? なんだ?」

 

「私を正式にここで雇っては頂けないでしょうか?」

 

 

 

 

 

 

 

その日から、一樹の練習量は多くなった。

彼の生きがいは家族との絆。家族と呼べる存在と今の時間を大事にして生きていくこと。例えそれが自分の身に不利益が起ころうとも、今の地位が脅かされそうとも、彼はそれでも家族を選ぶ。

だがその健気な思いに共鳴するように彼の家族は彼の支えになりたいと思うようになる。

 

そして彼の戦いは王の道へと移り変わる。

 

そして彼の後輩も、まだ始まったにしろその修羅道を歩み出している。

 

 

『木崎京介!粘りに粘りリングの上に立っているーッ!!』

 

ボロボロになった状態でリングに立っている京介は呼吸を整えながら拳を天高く上げる。

それを見て一樹は笑みを浮かべ見守っている。

 

木崎京介の成長は凄まじい。それも一樹の練習量が増えたことにも起因しているだろう。

 

「さあ、俺もうかうかでき無くなってきたぜ…」

 

さあ、王の道に足を入れる準備がやってきた。

 

そしてその日の夜

 

「改めて、締盟組組長の締盟隆二だ」

 

 

 

 

 

 

「………えっ?」

 

喫茶店にゴツイオッサンが来店してきた。




ホントここ最近投稿が出来なかったり他に色々出来なかったりすることが多くシンドイですが、私は細々と頑張ってます。
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