────さぁさぁ皆さん、待ちに待ったか全然待ったか知りませんが、紅魔館に到着しました! 経路? そんなモノは無い。あるのは紅魔館に着いたと言う事実だけだ。
さてと、紅魔館と言えば、先ず目に入るのは鼻から綺麗な鼻提灯だした居眠り中国こと
紅魔館門前、決まって立ちはだかったり居眠りしてたりする赤髪の中華風女性が立っている。彼女は言わずと知れた"紅 美鈴"、格闘なら屈指の強さを誇る幻想郷紅魔勢の一人。
俺の知り得る限り、彼女は弾幕勝負はあまり得意なようには見えない。容姿的問題でもあるが、実際に彼女は凡ゆる中国武術に長けている為、そう言える。
一応注意事項を付属すると、彼女は腐っても妖怪。会話の感覚や性格からして人間と勘違いする外来人が多く、また身体も人一倍丈夫なので、なかなか手負いにさせるには難しい。
「おーい美鈴、起きろぉ! 起きないと、幻想郷中にお前の名前を『中国』って誤認識させるぞぉ!」
「ひゃあッ! それだけはやめてください! 私の名前は紅 美鈴なんですッ! ────って、あれれ?」
近くに寄って耳元でその言葉を口にした途端、門前の外側の外壁である煉瓦に凭れかかっていた美鈴は慌てふためいた様子で目を覚まし、それと同時に突然ジャンピング土下座をあらぬ方向に発動してふと我に帰った。
「こっちだよ、居眠り中国さん」
「中国じゃありません! 紅 美鈴です! 紅・美・鈴ッ!!! って言うかあなただれですか⁉」
「創めまして、こんちゃ美鈴さん! 僕は外来人の優です、以後よろしくね」
「えっ? あ、はい、よろしくお願いします」
怒りながらコチラを振り向いて声を張る美鈴に軽く挨拶をする。美鈴は釣られるように挨拶を返し、そそくさと立ち上がって服の汚れを払う。
「あの、あなた外来人ですよね? まさか好奇心でこの館にやって来たとか言わないですよね?」
「ズバリ言おうか? 全く持ってその通りなんですよ!」
「あぁ〜……そうなると私としては不本意ながらあなたを撃退しなくちゃいけないんですよね、門番と言うのはそう言うモノですから」
「そう言わずに何とかなりませんかねぇ? 僕能力も何も持ってないので美鈴さんと闘ったら100%負けちゃいますし、ほら美鈴さん美人で綺麗だし、そんな美しくて強い人と闘うなんて嫌なんですよ……」
「えっ? あはっ/////// 美人だなんて、強いだなんて、そんな……/////// 私はただ中国武術が好きで、年柄年中やってて健康を気遣ってるワケじゃないんですが、こう、太極拳とかやってると自然と体の軸が整って、心も体も引き締まるって言うか、元々ダイエットとかに向いたヤツじゃないんですけどね! /////// でもやっぱり日々の努力って大切じゃないですか? だからやっぱりこう言うのは────」
美鈴を褒めて立てたところ、予想を遥かに超える効果を発揮し、俺が既に門を抜けている事にすら気付かないほどかなり嬉し気に喋りまくっている。案外美鈴って
さぁさぁ、紅魔館の門を抜けまして、ここから紅魔館の扉を開くか、それとも直ぐ隣の魔法図書館に行くか迷っておく。一応の事を言うと、紅魔館の扉から血生臭い鉄の臭いが漂ってくるので、選択肢=魔法図書館から入る事にします。
『気付いたか。唯の外来人では無さそうね……。しかし、無断で館に入る輩は必ず追い払うのが従者の務め。巫女や魔法使いとまでは行きませんが、それなりのお出迎えが必要になりますね…』
魔法図書館、正式名称は"紅魔館魔法図書館"、なんて名前なのだが、正直インパクトに欠ける名前である。この図書館の主の本人の持つスペルカードに似て名前にインパクトが欠けてるね。
ネーミングセンスが無いにしても、もう少し捻りを加えたり出来なかったもんかね、魔法使えるあたり頭も良いんだからそこ等へんは楽勝でしょうに。
「そうだとしても、漢字ばかりよりは読みやすいしシンプルだから私としては優しいと思うんだけど」
「やや、噂をすれば何とやら。これはこれは"もやし"さんではありませんか!」
「……何処の誰に聞いたか知らないけど、その呼び方やめなさい」
「あぁこれは失礼、紫もやしさんでしたね、失礼失礼」
「全然失礼に思って無いじゃない! 何でもやしに紫色を足したの……」
「服の恰好から、紫色が目立つ骸骨さんだなぁって」
「今度はもやしじゃなくて骨になったわね……。それならまだもやしの方が嬉しいわ、いやもやしも十分失礼よ!」
案外ノリが宜しいようです、このもやしさん。いやね、これだけノリが良いのに病弱だなんて勿体無いよねぇ、まぁ事実は変わらないから別に良いんだが。
「まぁそう怒らずに。御体に障りますよ?」
「体に障る元凶はあなただと思うのだけど……」
「ありま、僕を疑うので? それは酷いんじゃないんですかもやしさん?」
「いや、だからそれよ。人をもやしと言わないの」
「人? 御冗談を。もやしさん、あなたは確か魔法使いじゃありませんですか?」
俺のこの時の言葉にパチュリーは眉を上げて驚愕の反応、そして大きな本を取り出した。どうやら俺が普通の外来人では無い事を確信してしまったようでございますね……
「そう、私は魔女。人間じゃあ無いわ。そう言うあなたも、ただの"人"では無さそうね。性格にも見えたけど、その余裕は能力のお陰かしら?」
「残念だね、惜しいぃ! 俺の余裕は能力なんかじゃないよ? これは元々の性格だからね」
「何はともあれ、あなたをここから通すワケにはいかないわ。覚悟は良いかしら?」
「もうイヤねぇ、一応言うけどさ。俺の能力は気を付けた方が良いよ? やめるなら今の内……って聞くワケ無いよね、わかってたさ」
「準備は良いわね?」
「わかったよハイハイ。とりあえずスペルカード無いと困るから、まあコレとか────どうかな?」
俺は頭の中で思い描いたスペルカードの形を想像して目の前に創造。創り出したとこから名前を考え、効果も付属し、これで完了、我が最初のスペルカード!
「名前は────雨と槍で、スピアスコールなんてどうよ?」
こうして完成したスペルカードは槍雨『スピアスコール』。実は俺、天気は雨が好きなんだよね、んでもってそれを降らすなら矢とか槍がピッタリだから、スピアスコール。
ちなみに、雨じゃなく槍が実際に降るから、避けないとマジでヤバいかもねぇ。まぁ、そうは言っても相手は魔女だし、構わないよね、ね?
「ではぁ、乗り気じゃないけど、やりますかね。楽しい愉しい弾幕ごっこをさァ」
「火符『アグニシャイン』!」
「槍雨『スピアスコール』!」
パチュリーは早速スペルカード、火符『アグニシャイン』を発動する。それに続くように直後から俺も即興で創ったスペルカード、槍雨『スピアスコール』を発動した。
火符『アグニシャイン』の発動でパチュリーの周囲に
俺は火弾から出来るだけ遠くの距離を取り、頭の中で適当に思い付いた鉄製の槍を手元に創り出した。間髪入れずに図書館の天井目掛けて俺は思い切り槍を投げ付ける。
「さて、後は数秒耐えるだけだな」
俺は足の爪先を確かめてから目の前の火弾に背を向けてアキレス腱をしっかり伸ばす。さて、ここで問題! 俺はこれから何をするでしょうか? だが考える時間は与えん、正解は……
「逃げるんだよォ〜!」
とあるジョジ○の
「あっ────」
パチュリーは自らが放ったスペルカードの焔弾幕で一定範囲の本が本棚ごと炎上した光景に一瞬
本棚に隠れる事に成功した俺は次にしゃがみ込んで両手で頭を抱えるようにして天から迫る攻撃に備える。さぁ、こっからが本番だ。総員退避! 衝撃に備えよ!
瞬間、とても広く大きく高い図書館の天井から無数の槍が雨の如く降り注ぐ。只の雨ならまだしも、いつかの言葉で聞く槍が降る。果たして雨だろうが槍だろうが、パチュリーさんは躱せるかなぁ?
「────くっ!? いつの間に!?」
エクトプラズムから脱したパチュリーさん、どうやら頭上にいきなり無数の槍が現れた事に驚いている様子。だが驚くのはまだまだ早い、何故なら、俺はまだ攻撃を止めてないからだ。
続けて左手に創造した二枚目のスペルカード、こいつは槍を投げると同時に一度風に変換し、暫く飛ばした後に再び槍に戻して大量の槍風とする。その名も────
「槍風『スピアストーム』!」
本棚越しの投擲は斜め上の天井を目掛けてファイトォ! いっぱぁぁぁつッ! 槍は天井に刺さる手前で風に変わり、反射してパチュリーさんの目の前で無数の鉄槍に戻る。
「────ッ!? よ、横からもッ!?」
まだまだぁ、まだまだよぉパチュリーさん! この隙の無い二段構えより恐ろしいのは、その二段構えを全て凌いだ時に真価を発揮する最強の構え、あんたは間違い無く俺には勝てないぜぇ?
そしてあんたなら磐石な守りを其処で築く筈だよなぁ?
「この程度ッ、土金符『エメラルドメガロポリス』!!」
やっぱりなぁ! だとしたら"溜める時間"は稼げたぜ。三枚目、反則かもしれないが、そもそもスペルカード使う遊びなんだから構いやしねぇよなぁ?
こいつは雨でも風でも無い、それより遥かに危ない属性力、走る速さは"光"、その速さについて来れる、もしくは追い抜けるのは時だけだ。相対性理論ギリギリの法則速度。
創造した鉄槍を構えてからもう7秒、あと3秒で溜めが終わる。鉄壁のエメラルドメガロポリスに防がれ続ける槍雨も槍風も限界がある、その間に成せるか? いぃや、成せるだろうな、当然に────
「3……2……1────」
本棚越しでも見える槍の防がれる様、唐突、槍の放つ金属音が止み、周囲が無音と化した。そしてそのジャストタイミングで俺の槍の溜めも完了、このまま本棚の向こう側、パチュリーさんから辛うじて避けるくらいに向けて……
「槍雷『スピアボルテクス』ッ!」
投擲と同時に槍は本棚とエメラルドメガロポリスを貫通、到達地点である図書館内の奥の壁を貫き、地平線の遥か彼方へと飛んで行った。その瞬間はパチュリーさんなら見えていた筈だろう、鉄壁のエメラルドメガロポリスをただの鉄槍が風穴を空けて行ったんだから。
槍を投げてから暫く音沙汰無しなので、本棚を周り込んでパチュリーさんの様子を覗いた。余りに衝撃的だったのか、本棚越しでも見えた
「あのぉ〜? 大丈夫ですかぁ? 僕なんか悪い事しましたぁ? 寧ろ悪い事されたんですけど僕なんか悪い事しましたかぁ?」
茫然と意識だけが槍と共に飛んで行ってしまったのか、顔はそのままに、大口を開けたパチュリーさんの瞳だけが天井を見詰めていた。これはね、エクトプラズムじゃないね、何かって? それは失神だよ。
だって見てみなよ、アホ面に近い口からヨダレと泡が出てるし、目には涙だ。相当なショックを受けたに違いないね、まぁ人間の本気を嘗めたらいかんと言う事だねぇ、為になったねぇ〜パチュリーさん!
ささ、次行こう次、罪悪感は後にして行こう。魔法使いだから、立ち直りは筋金入ってる筈だから(テキトー)。
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