トロスト区調査兵団兵舎治療室
治療室にはミカサとエレンと壁外調査に一緒に出ていた3人の団員がいた。
エレンは疲れたようすでベッドに横たわっている。
調査兵団の一人が口をひらいた。
「まさかこの5人だけで20体以上の巨人をしりぞけられるとはな」
別の一人が言う。
「五人、五人といっていいのか、だってエレンは・・・なんだったんだあれは」
「とにかく、このことは他言するな。俺がエルヴィン団長が壁外調査から帰ってきたら内々に話す。エルヴィン団長の判断を待て」
ミカサはベッドに横になっているエレンの傍に立ちエレンのひたいに手の平を当てている。
そのミカサが口を開く。
「みなさん、エレンは大丈夫みたいです。ここは私が見ているので、みなさんは休んでください」
3人の団員が部屋から出る。部屋にはミカサとベッドに横になったエレンが残った。
しばらくしてエレンがベッドから起き上がった。
「わりぃなミカサ。もう大丈夫みたいだ。ちょっと記憶がよくわからなくなってるけどな」
エレンは立ち上がってミカサに礼を言う。エレンの体にケガはなく、疲れも休んでほとんどないようだった。
ミカサはエレンにいう。
「うん、いい。エレンが無事でよかった。体に異常はない?」
ミカサはそういってエレンが寝ていたベッドに腰掛けた。エレンがこたえる。
「おう、どこも悪くない。健康そのものだな」
「よかった。でも・・・」
ミカサがベッドに仰向けに横になる。
「わたしは、異常があるかもしれない・・・」
「えっ!?ほんとか?どこがわるいんだ!?誰か呼んでくる!!」
エレンをミカサがとめる。
「誰も呼ばなくていい!疲れてるだけかもしれない。その」
ミカサはいいよどんで、仰向けになったまま上着を少しまくしあげた。
「エレンに、しらべてほしい」
そういって腹部を出す。エレンは少しおどろいていった。
「え?俺か?別にいいけど。どこがわるそうなんだ?」
エレンの質問にミカサが答える。
「おなかのあたりに異常があるかもしれない」
「腹か、内臓に異常があるのかもしれないな。どのへんだ?」
エレンが服をまくしあげられたミカサの腹部をまじまじと見て、手を伸ばす。
エレンの手がミカサのみぞおちあたりに伸び、腹部に触れたときにビクッとふるえた。
ミカサがエレンにいう。
「うっ、エレン。よく調べてみて」
「おう、ミカサになにかあったら大変だからな」
エレンの手がたまにトントンと叩きながらミカサの腹部をなでていく。
手がミカサの白い肌をすべるとたまに腹筋をふるわせた。
「はぁっ、はぁっ、エレン、優しくして」
「ミカサ、お前顔が赤いぞ。ほんとにどっかわるいんじゃないのか!?」
ミカサの腹部のミゾオチからじょじょに下になでていく。
たまに腹を軽く押し込みながらなでていくとミカサの白い肌が少し赤く染まりだす。
「それにしてもお前きれいに腹筋割れてるなー。ライナーくらい鍛えてそうだな。ここはだいじょうぶか?」
エレンの指先がミカサの腹をなでていき、6つに隆起した腹筋の上のほうをさわり、軽くトントンと押し込む。
ミカサは顔を横にそらしてこたえる。
「うん、そこはだいじょうぶ。そのまま調べてほしい」
「わかった。なんかおかしかったらすぐいえよ。ちょっと腹も赤くなってるし、息も荒くなってる。ミカサ、もしかしたらこれは、かなりヤバイかもしれないな」
エレンはしんみょうな顔つきで言う。
「はぁっ、うん、だから、詳細に調べて」
エレンの指先がミカサの腹をなでるたびに、ミカサの体に指先の感触が広がる。
指が腹筋の真ん中をトントンたたきながら指がへそまで下りてくる。
エレンの指先がミカサのへそをかすめたときにはじかれたようにミカサの腹筋がはねた。
「はぁっ、エレンっ、そこは優しくして」
「大丈夫か?この辺が悪いのか?」
エレンはいぶかしんで、ミカサのヘソのまわりをトントンおしながらなでる。
そのたびにミカサの腹筋がピクピクとはねる。
ミカサのヘソのまわりをエレンの指の感触が神経をちょくせつなでるように感じられ、そのたびにエレンの指の感触が腹部で波打つ。
しばらくミカサのヘソの周りをしらべる、それからミカサがエレンにいう。
「はぁっ、エレンっ、そこも、だいじょうぶみたい、はぁっ」
「ほんとか?なんかビクビク震えてるみたいだけど」
エレンの指がヘソをとおりすぎて、下の腹筋のあたりをさわりながらトントンと押し込む。
「ここも平気か?」
「うん、だいじょうぶ、みたい」
「よかった。どうやら内臓に異常はないみたいだ。でも一応あとでちゃんと見てもらったほうがいいぞ」
ミカサが弱く腹部を震わせながら答える。
「うん、おなかは、だいじょうぶみたい。次は、別のところを・・・」
そのとき、治療室の扉がドンドンドンドンと叩かれた。
「おい!エレン!いるのか!?開けるぞ!!」
声はどうやらジャンのものらしかった。
エレンが扉のほうに振り返る。
「お、ジャンか、ちょっとまってろ。今あける」
エレンがドアのほうに歩いていき、ミカサは息をつきながら服を下ろし、ベッドから立ち上がった。
エレンが扉のカギを開けて、扉を開くと、はぁはぁと息をつきながら血相を変えたジャンがたっていた。
「やっぱジャンか、俺たちは今帰ったところだ。ちょっと記憶があいまいなんだが壁の外はすごいぞ!とにかく広くって・・・」
「はぁっはぁっ、壁の外なんてどうでもいいんだよ!ミカサは!?」
ジャンがエレンの背後の治療室に目をやるとミカサが扉に歩いてきているのが見えた。
エレンとミカサは部屋から出てくる。ミカサがエレンにいう。
「いこうエレン、邪魔が入った」
ジャンがミカサの顔を見ると少し赤らんでいるのがわかった。
それを見てジャンはエレンの胸倉をつかむ。
「いって、なにすんだよ!はなせよ!」
そういうエレンにジャンが叫ぶ。
「うるせぇ!お前治療室でミカサに何してたんだ!」
ジャンにいわれてエレンはキョトンとする。
「何って、ミカサが体調が悪いっていうんで、ちょっと体を調べてただけだよ」
そう聞いてジャンの血液が沸騰する。
「なんだと!?お前触ったのか!?ミカサに!?触ったんだな!?」
エレンはといつめるジャンの手をふりほどく。
「いってぇな、腹を調べてみたけど、だいじょうぶだったよ。内臓に異常はないみたいだ。一安心だ」
ジャンが叫ぶ。
「ひとあんしんじゃねぇよ!!なにしてんだてめぇ!!」
ジャンがさらに続ける。
「俺はお前をゆるさねぇ!!いいか!!今後どんな理由があってもだ!ミカサには指一本、、」
そのときジャンは異変に気づいた。あたりがまるで明かりを失ったように暗くなったように感じられ、空気が冷え込んだように感じられる。
どういうことだ?そう思ってあたりを見回すと、その中心はエレンの後ろからだとわかった。
エレンのうしろに立ったミカサがジャンを睨んでいた、射殺すように。ジャンは血液が急速に冷えていくように感じる。
エレンがけげんそうにいう。
「どうしたんだよ、何かいいたいことがあるんならはっきりいえよ!」
「い、いや。なんでもありませんでした。すいません」
ジャンは直立で45°に頭を下げる。あのまま続けていたら、自分は死んでいたかもしれない。
ミカサがエレンの腕を引き、兵舎の廊下を歩いていった。
ジャンの後ろから追いついていたアルミンがジャンに声をかける。
「どうやらミカサが巧妙なやり方を思いついたようだね」
アルミンはミカサとエレンが歩いていったほうを見ながら決意を秘めた顔つきで続ける。
「エレンには僕のほうからいっておくよ。僕ならたぶん、命まではとられないと思う」
それをきいて、ジャンはアルミンの両肩に手を置く。
「アルミン、お前・・・ありがとう。本当にありがとう」
ジャンは涙を流しながらアルミンに礼をいった。
それから少しして、兵舎のそとに馬が走りこんでくる音が聞こえた。
ついで大声が聞こえる。
「総員!東のパルテア区に向かえ!東のパルテア区に向かえ!!」