進撃のGANTZ   作:3×41

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第6話 パルテアの灯

 真っ暗だ。何も見えない。

 あの白い部屋はなんなのだ?なぜ自分はあんなところにいた?

 そしてここはどこだ?真っ暗だ。

 

 と、視界の上部からだんだんと景色が視界の下に下りてきた。

 

 視界が開けたとき、その視界から自分が街にいるのだとわかった。

 エレンはあたりを見回してみる。夜の7時くらいだろうか、人が行き来し、チラホラと街頭があたりを照らしている。

 街道の真ん中に立つエレンの左手には民家があり、右手には商店がある。そしてその間を人々が行き気していた。

 

「ここは、街?」

 

 後ろを向くと、そこにははるか50M以上の巨大な壁がそびえたっているのが見えた。

 これは、ウォールローゼだ。ということは、自分は壁の内側にいるということになる。

 あたりを見回す。街の景観はエレンが見慣れたものではなかった。

 

「ここは、トロスト区じゃないな。東部のパルテア区か?」

 

 ウォールローゼからはその外縁部に東西南北に4つの外縁都市が存在する。

 南部に位置するのがトロスト区。ここはどうやらパルテア区のようだ。

 ふと、自分が右手に何かを持っているのがわかった。

 

「なんだ、これ」

 右手を見ると、手に持っているのは小さな黒球だった。それはあの白い部屋の1Mくらいある黒球を手の平におさまるくらいに小さくしたようなものだ。

 そしてその小さな玉には何かがチラチラと点滅しているのが見える。

「何か書いてあるな」

 小さな黒球には文字が点滅している。

 

 転送 しますか?   転送 しますか?

 

「転送?なんだそれ」

 エレンの右手の黒球の表面に、転送しますか?という文字が点滅している。

「どうなってるんだこれ?」

 金属のような手ざわりの玉の表面に文字が点滅しているのは、エレンは今まで見たことがなかった。

 

 と、ほとんど落ちた太陽に照らされた地面が、さらに暗くなった。

 そしてエレンの背後でドチャっと音がする。その音は数度聞こえた。

 なんだ?と思ってエレンが後ろを見ると、それは5Mほどの巨人だった。

 尻餅をついた巨人が立ち上がり、エレンの背後からエレンを見下ろしている。

 エレンの目が見開かれ、血液が凍りつく。

 

「ああああああああああああああああああああああ!!!!」

 

 街道を歩いていた男が、巨人を目視し、叫び声をあげる。

 その叫び声はさらに別の叫び声につながり、異常を察知した人々が一斉に逃げ始める。

 

「巨人だ!!巨人だあああああああああああああ!!」

 

 人々が手に持った荷物をバラ撒いてウォールローゼの壁門に走りだす。

 

 みひらいたエレンの目にエレンを見下ろしながら右腕を振り上げる巨人がうつった。

 

「うあああああああああああ!!」

 

 エレンは叫んで、はねるように右手の商店の中にはいる。

 

「はぁっ、はぁっ、はぁっ」

 

 エレンは思い出したように店の奥に走る。

 

 そのとき商店の入り口の壁が爆発したように破壊され、巨人の巨大な腕が店の中に入ってきてさっきまでエレンがいた空間をつかんだ。

 

 心臓が爆発するように強く収縮し、鼓動の音が鼓膜で鐘を打つように聞こえる。

 

 巨人がパルテア区に侵入しているのだ。

 やつらの進行をとめなければならない。

 

 エレンは巨人に対抗するためにこれまで訓練兵団で鍛錬をつんできた。

 しかしそれは立体機動装置と平面刀があってこそだ。

 巨人の腕力は人間の数十倍、移動速度は5倍以上はある。

 しかも巨人は弱点であるうなじをそぎおとさない限り、すぐに再生して人間を襲う。

 何の装備も持たない人間がどうにかできる相手ではない。

 

 エレンは呼吸をあらげながら。店の裏手を目指した。

 店主はもう逃げ出したようで、店の中には誰もいない。

 店の裏手から出ると、そこには7Mの巨人が立っていた。

 その両手にはひとりずつ市民がつかまれている。

 ひとりは声も出ず、もうひとりはこしまわりをつかまれた巨人の巨大な手をつかみながら叫び声をあげている。

 

「ああああああああああああああああああああああ!!!ああああああああああああああああああ!!!」

 

 エレンはそのままウォールローゼ壁門に走った。

 その背後で叫び声がとまった。

 

 7Mの巨人の巨大な口が市民の上半身を飲み込み、噛み砕き、引きちぎり、嚥下したのだ。

 そしてそれをわき目で見たもうひとりの市民が、思い出したように叫び声をあげはじめた。

 

 くそっ!しかし生身で何ができるのだ。装備がいる。その前に自分はウォールローゼ壁門にたどりつけるのか?

 

 

 

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