「くそっ!」
背後ではダンダンダンダンダンダンと巨人の疾走する足音が響いてくる。
ウォールローゼまではまだ遠い。巨人が高速で近づいてくる。
「あああああああっ!くそっ!転送!転送しろ!くっあああぁぁぁぁ!!!」
意味もわからず叫び、走る。背後10Mに巨人が来ている。
そのとき、エレンの体の周囲が黒く揺らいだ。
走るエレンの体の上から、じょじょに黒くそまっていく。
体の上半身から、徐々に黒いスーツに身をつつみはじめた。
「なんだ、うっああああああああああああああ!」
まわりの変化を観察する余裕もなく走る。背後には巨大な口からよだれを散らしながらダンダンダンダンと高速で接近する巨人。
エレンの足先まで黒いスーツに包まれたとき、異変が起こった。
エレンが右足に力を入れ、地面に振り下ろす。
すると、エレンの右足のスーツがメリメリと血管をうかびあがらせるように隆起し、振り下ろされた右足がしかれた石をくだいた。
エレンの体が急速に持ち上がった。
「ええっ!?」
何が起こったのかわからなかった。
まわりを確認すると、暗い空だった、下を見ると小さくさっきまで走っていた街道が見える。
エレンは飛び上がったのだ。地上から8Mほど上空。風を切る音が耳元ではげしくつんざいた。
と、エレンの目の前にまわりこんでいた別の7Mの巨人が腕を振り上げていた。
その腕が振り下ろされ、高速でエレンの右肩にたたきつけられる。
「うぶっ」
近くで爆弾が炸裂したように、エレンの体は高速で吹き飛ばされ、左側の建物の屋根につっこみ、屋根の石にヒビを入れて跳ね返り、
ふたたび上空に投げ出されると、そのまま高速で水平移動し、さらにそのとなりの建物の屋根につっこみ、やねのうえできりもみに回転して止まった。
死んだ、と思った。内臓は吹き飛ばされ、四肢はめちゃくちゃになっていると思った。
しかし、エレンが右腕に力を入れると、指がしっかり動くのがわかった。
それどころか、目だった外傷も感じられない。傷がひどすぎて痛みを感じないのかと思ったが、そうではなく。本当に外傷がないのだ。
エレンが自分の体を見ると、自分の体が上から下まで黒衣に身を包んでいるのがわかった。
「なんだ?この服は?」
エレンは自分の腰部を確認する。
そこにはみなれない立体機動装置と、黒い平面刀がさがっていた。
そして前方を見ると、建物の向こうから7Mの巨人がこちらを見ているのがわかった。
_______________