進撃のGANTZ   作:3×41

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第9話 管

 

 

 エレンは腰部の装備を確認した。

 これは色は違うが、平面刀だ。そしてこれも見慣れない形状だが、立体機動装置だ。

 さっきまでは生身で逃げるしかなかった。

 だが今、立体機動装置と、平面刀を装備している。そしてあの巨人が俺を食おうとしている。

 エレンは目の前の巨人を睨んだ。

 

 

 

 エレンが瓦礫をパラパラとおとしながら立ち上がると、

 さっきとは別の立体機動装置を装備した兵士が5人やってきて、一人がエレンのそばに着地した。

 

「大丈夫か!?俺はパルテア駐留調査兵団のヴォルテールだ。お前は、、兵士、なのか?」

 ヴォルテールと名乗った兵士はエレンの姿を見てとまどった。装備しているのは立体機動装置に見えるが、形状が違う。

 基本的な構造は自分の立体機動装置と同じだが、ずっと小型で、黒衣の背面には5つの噴出孔のようなものがある。

 

 エレンが答える。

「はい!先日調査兵団に入団した第104期訓練兵団のエレン・イェーガーです!」

「と、いうことはひよっこか。この装備は技術部の新装備か?」

 エレンは答えに困った。だいたいなぜこの黒衣を自分が着ているのかもわからないのだ。

 ヴォルテールが続ける。

「とにかく立体機動ができるならそれでいい。俺たちは今からあの巨人をやる。お前も手伝え」

「了解しました!」

 

 ヴォルテールは立ち上がって叫ぶ。

「あの巨人をやる!!ハンスとライザは巨人の気を引け!マフーとラファイルは裏に回れ!!」

 

 ヴォルテールが言うと、7Mの巨人の前の建物の上に二人の兵士が立体機動で降り立った。

 巨人が二人を見下ろして、両手をそれぞれ伸ばす。

 すると二人はアンカーを後ろの建てものに突き刺し、それを強力に巻き取りながら高圧ガスを噴射し、

立体機動で後退する。巨人の巨大な手がさきほどまで二人がいた場所をつかむ。

 

 その間に立体機動で巨人の後ろに回りこんでいた二人が巨人の背後のくびもとにアンカーを打ち込み、

 強力に巻き取りながら高速で巨人のうなじに迫る。

「うおおおおおおおぉぉぉぉお!!」

 雄叫びを上げながら、両手に平面刀を持って巨人のうなじに切りかかる。

 すると巨人の腰が跳ねるように急回転し、そのまま右手でマフーの体をつかんだ。

「ぐあっ」

 マフーがしめつけられて息をもらす。

 巨人は右手でマフーをつかんだまま、その手を高速で回転させて巨人にせまっていたラファイルにたたきつけた。

 バチンとおとがして、ラファイルは体を二つに折り曲げ大量の血液を撒き散らしながら地面にたたきつけられた。

「ああああああああっ!あああああああああああああああっ!」

 巨人につかまれてマフーが叫び声をあげる。

 

 ヴォルテールが叫ぶ

「三人で囲むぞ!トライアングルで行く!」

 

 ヴォルテールはそういうと、三人が巨人をトライアングルに囲む。

 マフーを巨人が巨大な口をあけ、そのまま口に入れ、飲み込んだ。

 

 エレンはその光景を見て、思いついたように平面刀をつかんだ。

 何をほうけてるんだ!俺はやつらを殺すために調査兵団に入ったんだ!

 

 7Mの巨人を見据える。巨人のまわりにトライアングルに散開した兵士たちは立体機動で巨人の手を避けながら隙をうかがう。

 

 巨人の裏をとる。エレンは右手の平面刀のトリガーを引き右上方の建物にアンカーを打ち込んだ。

 高圧ガスを噴出しアンカーを強力に巻き取る。しかしその動きに驚いた。

(これは、速い!)

 エレンの黒衣から射出されたアンカーは確実に建物をとらえ、標準の立体機動装置よりはるかに強くアンカーを引き寄せ、

 背部の5つの射出口からバチバチと電気を放出しながら高圧ガスを噴出して背面を押し出す。

 標準の立体機動装置の倍のスピードは出ている。

 高速で空中に投げ出されながらエレンはそのまま次の建物にアンカーを打ち込む。

 黒いアンカーが強力にまきとられ、背部の5つの噴出口からジェットのようにガスを噴出させる。

 眼下で建物が高速ですぎさっていく。

 

 7Mの巨人のまわりにトライアングルに展開した兵士たちは巨人の隙をつけずにいるようだった。

 エレンは右足に力を入れてみる。すると黒衣が血管上にメキメキと隆起する。

 いけそうだ。さっき自分は8Mの高さにジャンプした。この黒いスーツがそれを可能にするのだ。

 エレンはさらに立体機動装置を加速し、高速で夜の空間を切り裂きながら

7Mの巨人の側面を回った。

 眼下では建物が高速ですぎさり、彼方で巨人の背面がゆっくりと見えてくる。

そこで、エレンは右足に力を入れ、黒衣をメキメキと隆起させて足元の建物の屋根をけりつけた。

 すさまじい衝撃とともにエレンの体がはるか上空に打ち上げられる。

 エレンの周りに広大な夜の空間が広がった。

 眼下に街の明かりと、巨人が見える。

 

 眼下に巨人を見据えて、滞空したあと、

 立体機動装置を作動、

背部の5つの噴出口から高圧ガスをジェット噴射し、眼下の巨人に向かって加速する。

 7Mの巨人の真上から黒い弾丸が高速で落下し、巨人のうなじに直撃すると、二本の黒い平面刀が巨人のうなじをバターを切るようにふかくえぐり飛ばした。

 そのままの高速でエレンは地面に着地する。エレンの両足の黒いスーツがブシュウゥゥと音をたてて衝撃を吸収した。

 ほとんど同時に、うなじを切りとばされた巨人が力を失って倒れた。ブシュブシュと音を立てながら霧散していく。

 

 

 

「はぁっ、はぁっ、はぁっ」

 

 エレンが激しく息をつく。

 

 やった。殺した。巨人を。

 この黒いスーツが何かはわからないが、とにかく立体機動ができて、巨人と戦うことができる。

 気になることはあるが、それは後でいいと思った。

 今パルテア区に巨人が侵入し、市民を、兵団を、食っている。

 

 エレンのとなりにヴォルテールが降りてくる。

「おいお前、エレンとかいったか?やるじゃないか、技術部の新装備もえらく使えるようだ。

エレン!われわれは市民の避難がすむまでのあいだ。巨人をおさえる。心臓を捧げよ!」

 ヴォルテールは右手を左胸に当てると、立体機動装置でパルテア区中部に向かった。

 エレンも右手を左胸にあて、立体機動装置を起動し後を追った。

 

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