ほぼ一緒だけど、iPhoneでポチポチやってるからこれが限度っす。
「……話すのはいいんですが、パフェ食べるの止めてくれません? 見てるこっちが胸焼けしそうなんですが」
日本・星見町喫茶店にて。
注文したジャンボパフェを頬張る俺に対し、正面の席に座る緑髪を二つに束ねた少女、ナビ子ちゃんが苦情混じりの制止を訴えてくる。
嫌そうなその表情を見る限り、本当に止めて欲しいようだが約二年ぶりの糖分補給なのだ。悪いが胸焼けしようが目の前で吐かれようが止める積もりはない。が、話が進まないので一先ずスプーンを置くことにする。
「……まったく。それで、何から聞きたいんですか? 一応答えられるものには答えますよ」
「そりゃ全部に決まってるしょ。どうして俺が
そう、正面の席に座っている自称「デビルガンダムの内部コンピューター」ことナビ子ちゃんは、何をどうしてそうなったのかは分からないが、俺が元居た世界で有名なキャラクターの一つ、「初音ミク」の姿となっているのだ。
もっとも、よく見ればオリジナルとの違いはそれなりに多い。
緑色のツインテールと髪留めは同じだが、ボーカロイドに必須のヘッドセットは着用してない。服装に至っても白のワンピースという女の子らしい恰好だが、全身からにじみ出る苦労人オーラが全てを台無しにしている。
……何よりも、オリジナルと彼女では目の色が違う。向こうが綺麗な緑色であるのに対し、目の前の彼女の眼は濁った緑色。これは酷すぎる。
「間違い探しでもこんなに多くは無いぞ!? 真似るにしてももっと忠実に真似てくれ! 頼むからさぁ!!」
「私がどんな姿してようが勝手じゃないですか。貴方の記憶から適当に選んだらこの格好になっただけですよ。この貧乳信者」
「貧乳って言うな! スレンダー体型って言え!! 巨乳とかこの世から消えるべき筆頭なんだよ! ……って、俺の記憶?」
「そうです。いいですか? そもそも貴方は―――」
彼女の話を纏めるとこうだ。
・俺がアルティメットガンダムになっていたのは誰が何かしたのでもなく、何処かの並行世界で死んだ魂が、たまたま起動前のそれに入り込んで定着したから。
・彼女の上司の一つである「負の無限力」がそれに目を付け、生命を殺しまくって自分の勢力増強を計る為に電子生命体である自分を創造。内部コンピュータに送り込んだ。
・俺の精神が摩耗したところで覚醒し、俺をいい様に操って戦火の種を撒きまくって負の無限力を増大させるのが使命だったのだが……ゲッターQを取り込んでゲッター炉心を使い始めた事で敵対している「正の無限力ゲッター線」の干渉を受けた。
・干渉されて改編された結果、覚醒は遅れた上に今では敵対する勢力に挟まれたWスパイ状態。ぶっちゃけ存在するだけで辛い。
・助けてくれる相手もいなければ打つ手もない。どうしようもないので他の世界の知識を持ち、尚且つ無限に進化する俺を利用して現状を打破したい、という事らしい。
「とまあ、これが私の知っている全部ですね。人間贔屓のゲッター線も恨み事ばっかりの怨霊共も纏めて滅べばいいのに」
「そ、それは大変だったな……」
毒づきながらコーヒーをを飲み始めるナビ子ちゃんの姿に、疲れきったサラリーマンの姿を幻視した俺を誰が責められようか。
言いたいことはまぁ、分からないでもない。というかこの宇宙にもあるのか無限力。
言われてみれば負の無限力の干渉を受けた覚えはある。ただの一般人だった自分が、なんの躊躇いもなく人間を殺すことが出来たのがその証拠と言えるだろう。
「私も貴方も正と負、両方の無限力に目を付けられている身です。このままだと連中に都合よく使われてポイされるのがオチです。私はそんなの御免ですし、貴方だってそうじゃありませんか?」
「お、おう。それで、俺が人間の姿になったのはどうしてだ?」
そう、無限力への恨み事を口にしながらコーヒーの二杯目を頼んでいるこの少女は、その部分の説明をまだしていない。
そもそもな話、彼女の言う通りならば人間――まあ、正確にはシュバルツと同じDG細胞で作り出したアンドロイドなのだが――の姿となる必要はない。今までと同様、必要な物を入手して取り込んでいくだけで十分なのだから。
「なぜこの姿となったのか? その理由は幾つかありますが……その内の一つは「貴方の行動を抑制する」為です」
「へ、行動の抑制?」
咎めるようなその言葉を受けて、俺は今までの行動を振り返る。
ネオ・ジャパンコロニーから地球までの逃避行。クライウルブズとの遭遇。東方不敗の襲撃。ゲッターQの強奪。増殖を利用した影武者作成。マシーンランド入手のついでの恐竜帝国の殲滅。そして、うっかり失敗したギアナ高地でのシャイニングガンダムの回収。
うーん、シャイニングガンダムの回収以外は特に問題は無いような気が……
「貴方が! 思いつきで行動した挙句に!!
「い、いや……俺にも色々と考えが……つか、あんまり大声出すと他のお客さんに迷惑が……」
「後先考えずに行動する貴方が考え? 寝言は死んでからほざいてくれませんか? それに殴り合いしてる訳じゃないんですから大声くらい問題ありません。それに今の身体ならこれまでのような無茶は出来ないでしょう?」
それはまあ……、超人染みた身体能力やらマスターガンダムから取り込んだ武術とかあっても怖いもんは怖いし、今まで見たいな無茶は控えるくらいはするが。
「そうでしょう? 第一、あの巨体で行動してたらドモン・カッシュが飛んできます。そして何より、これからの為にも目立たない事は重要なんです……あ、コーヒーのおかわりお願いします」
「これからの為?」
「そうです。無限力にいい様に使われない為にも、私達は更に力をつける必要があるんです」
「更なる力ねぇ……無理じゃね?」
パフェの残りを口に運びつつ、自分なりの結論を言葉にしてみる。
現状、俺達の強化は頭打ちと言っていい。マシーンランドの力でデスアーミーの数こそ膨れ上がったがその性能は低くはないが高くもなく、数のゴリ押しが効かない相手には経験値と撃墜数を提供する為の鴨でしかない。
俺の進化も伸び悩み、マシーンランドに置いてきた
「ええ、確かにその通りです。私達はマシーンランドやゲッター炉心、流派東方不敗を手に入れました。しかし、これだけでは全然足りません。かと言って他の特機に手を出す訳にもいきません。彼等には勝ってもらわないと困るのですから」
「じゃあどうすんのさ? 俺等の強化に使えそうな物の当てなんてないぞ? それとも日本以外のネルフ支部でも襲ってみる?」
そう零しながらパフェを完食する。思い付きではあったが、存外に良案ではないかとも思う。
ネルフ支部ならばN2兵器もあるだろうし、もしかしたらEVA量産機に搭載されてS2機関やロンギヌスの槍のレプリカもあるかもしれない。
「悪くはありませんがN2兵器以外はまだ無いと思いますよ? 使徒も出現したばかりですし、支部を襲うのは次回に回すとして、今回は少し遠出でもしましょうか」
そう言って、彼女は懐から一枚のチケットを取り出してテーブルに置いた。それに印刷された文字を見て、俺は彼女の思惑をなんとなく察する。
だって、彼女が向かわんとしている場所、それは―――
「ギガノス帝国にベガ星連合軍、もしかしたらガルファにギャンドラーもいるかもしれませんね。数が多い連中ばかりですし、少し減っても誰も気にはしないでしょう」
余裕見てポチポチ書いてます。