スーパーロボット大戦G   作:7誌

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その頃の地球

洸「ラァァァァァイディィィィィィン!!」
綾人「ラ………イディーン…!? 似てる…!? こいつと…!」


13

 ブラック・グレートのコックピットの中で寛ぎつつ、地球で購入した端末を通じてネット上の情報を検索する。

 月に来てから半月ばかり、スカルムーン基地にちょっかいを掛けるのにも飽きてきた今日この頃。月の大地から地球に想いを馳せつつのんびりネットサーフィンするのもいいだろう。

 

「まあ、実際はやり過ぎて地面の中でほとぼりが冷めるのを待ってるだけなんですが」

「……いやー、流石にギルギルガンには勝てなかったよ」

 

 ジト目で責めて来るナビ子ちゃんを視界から外しつつ、端末を弄りながらどら焼きに手を伸ばす。

 

「やっぱりアレかな? 楽勝だぜとか調子に乗ったのが悪かったのかな……」

「それ以外に何かあるとお思いですか?」

 

 容赦の無いその言葉に、二つ目のどら焼きに手を伸ばしつつ深く同意する。

 

 前回、ブラック・グレート入手という成果に味を占めた事もあり、俺達はブラック・グレートの試運転を兼ねてデスアーミー軍団と共にスカルムーン基地を攻めた。攻めて攻めて攻めまくった。

 倒した円盤獣はDG細胞でデスアーミーに、捕獲したベガ兵は全部ゾンビ兵に、出てきた量産型グレートは片っ端から鹵獲して地球へ向けて撃ち上げた。

 

 連中が損して俺達が得をするという、素晴らしい循環が構築されていたのだが……うん、調子に乗っていた俺はここで大失敗を犯してしまったのだ。

 被害を気にせずに突貫してくるデスアーミー軍団、味方ごと攻撃する俺に対し有効な手を打つ事は出来ず、日ごとに増す被害に堪忍袋の緒が切れた連中は奥の手を出して来たのだ。

 

 トカゲのような頭部と昆虫の如き節足、そして堅牢な外殻で身を包んだ巨大な怪物、その名も「宇宙怪獣ギルギルガン」。

 

 ブラック・グレートの攻撃を防ぎきる外殻と超合金ニューZすらかみ砕く牙。

 それらを併せ持つ化け物によってデスアーミー軍団はあっさりと蹴散らされ、しかも大量のデスアーミーを捕食したことによって奴は背から人型の上半身を生やした第二形態に超進化。

 

 ただでさえ手に負えない化け物が更に手に負えなくなり、デスアーミー軍団が数を減らしたのを好機と見たスカルムーン基地が残りの円盤獣やミニフォーを増援として出して来た事もあり、俺達は泣く泣く敗走する羽目となったのだが……デスアーミーの味が余程気に入ったのか、ギルギルガンが連中の制御を離れて追って来やがったのだ。

 

 逃げる俺達とデスアーミー目当てで追ってくるギルギルガン。

 涎垂らして追ってくるギルギルガンを撒くべく、残ったデスアーミーを囮にして何とか地中に潜る事に成功。

 哀れ月で増やした戦力の殆どを失った俺達は、手に負えないギルギルガンが地球に送られるまでの間、こうして連中の目の届かない地中に潜伏する羽目になった訳である。

 

「スカルムーン基地を襲って増やしたデスアーミーは殆どギルギルガンに食べられ、残ったのは十数機。おまけに折角手に入れたブラック・グレートも片腕食べられて隻腕状態。ジャパニウムの精錬方法なんて持ってませんからDG細胞でそれっぽく直しましたけど……ちょっと、聞いてますか?」

「聞いてる聞いてる。

 まあ、別にいいんじゃね?デスアーミーは勝手に増えるから損害なんてあって無いようなもんだし、ブラック・グレートの方は地球に帰ればニコイチでちゃんと修理できるんだし」

「それはそうですけど……あ、どら焼き私にも下さい。増やしたデスアーミーが減って悔しいとか惜しいとかはないんですか?」

「これっぽっちもないけど?」

 

 苦労して手に入れたマシーンランドや替えの無いナビ子ちゃんがやられたとかなら兎も角、勝手に増えるデスアーミーや大量に手に入れたグレートに思う所は無い。

 というか、前の二つと比べる事すらおこがましいわ。寧ろやった奴は殺す、今までは自重してやらなかった”奥の手”使ってでも殺す。尊厳という尊厳踏みにじった上で狗の糞食わせて地球事ぶっ殺す。

 

「……色々と怒るべきなのか、大切に想われてる事を喜ぶべきなのか、少々悩みどころですね」

「喜んでもいいのよ? 大切に思ってるのは本当の事なんだし……というかさー」

「どうかしましたか?」

「いや、機体置いていけば連中に見つからずに行動出来るんじゃね?」

「…………ぁ」

 

 

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

 

 

 明かりの少ない夜の街、その中でも特に暗い、人気のない路地裏の奥で耳障りな異音が響いている。何かを舐め啜りしゃぶり、ゆっくりと噛み砕くような捕食音。平穏な日常では聞くことの無い、非日常の音。

 

 ばぎ、ぼり、ぎちぎち、ごぎり、ずるずる、ぼり、ぽき、ごり

 

 この身体になってからよく聞くようになった咀嚼音、自分でやっておいて何だが、何時になっても慣れる気がしない。慣れる事が出来ないのは、俺がまだ人間だからなのか。或いは、そう思いたいだけなのか……

「まぁ、答えなんて出る訳でもないし、考えるだけ無駄か」

「あっ……が…………」

 

 趣向を凝らして化け物っぽく捕食してみたのだが、悲鳴が煩い上に強烈な恐怖がノイズのように送られてくる情報に混じるので目障りな事この上ない。今後は捕食せずにゾンビ兵にしてから吸い出すというやり方で固定した方が良さそうだ。

 

「が、あぁ、ぎ、ひ、た、たすけぇ……」

「助けませんよ? そんな義理もありませんし。まさか本当に居るとは思いませんでしたが……あぁ、貴方の持っている情報や技術は私達が有効に使ってあげます。だから、安心して食べられちゃって下さい」

 

 最早上半身しか残っていない男にナビ子ちゃんが笑顔で話しかける。当初身に纏っていた苦労人オーラが薄れ始めてきたせいか、笑顔だけ見るなら正に初音ミクそのものである。眼の濁りは変わらないがな!

 

「お疲れ様です。味の方はどうでした?」

「味覚は切ってるから分からんよ……しかし、本当に月にも居るとは思わなかったな。ゴキブリか何かかな? 火星の後継者って」

「害虫って意味なら合ってると思いますよ。侵略者と戦争中なのに決起しようとする馬鹿の集まりですから」

「連邦相手なら兎も角、ガルファとかMUとかボソンジャンプだけでどうこう出来ると思ってんのかねぇ?」

 

 たくさん居る螺旋城とか謎だらけな音障壁持ちなMUとか、まだ直接接触したことは無いが火星の後継者の戦力で相手するのは無理ではなかろうか? 主にサイズ差とか。

 

「自分達が覇権を握れば勝てるとか思ってるんじゃないですか? 常時酔っぱらってるような連中ですし。そろそろ離れましょうか。人気が無いと言っても0ではありませんし、見られでもしたら面倒です」

「あいよー」

 

 ナビ子ちゃんの言葉を受け急いで肉体を通常の形態に戻す。少々血の匂いが鼻につくが、これくらいなら後でファブれば十分だろう。地面に残った血とかその他諸々の後始末をし、何食わぬ顔で路地裏を出て、歩きながら先程取り込んだ男の技能や情報を吟味する。

 

「どうです? 何か有用なものはありますか?」

「うーん、目ぼしい情報は無し、技能は……お、こいつB級ジャンパーだわ」

「ほう? 他に何かありませんか? 木連式抜刀術とか柔術とか」

「ちょっと待ってくれ、あー……こいつジャンパーだけど下っ端の下っ端だわ。しかも木連人なのにナナコさん馬鹿にしたせいで扱いも悪かったみたい」

 

 軽く記憶を覗いて見れば出るわ出るわ、苛められ過ぎて真っ黒になってる辛い青春が。

 村八分とまではいかなくともそれに近い幼少期、国の為に日陰で工作員頑張ってたのにに熱血クーデターの巻き添えで居場所を失い、草壁一派に拾われて月に潜伏してアレコレ頑張って……苦労してんなぁコイツ。クリムゾングループの支社に出入してるのをナビ子ちゃんに見つかったのが運の尽きだった訳だが。

 

 

「ナナコ? ゲキ・ガンガーのヒロインでしたか? まぁ、どうでもいいですけど。しかし、これで非常時の脱出手段が確保出来ましたね」

「A級ジャンパーと違って色々と不便だけどね……まあ、今はディストーションフィールドもCCもないから跳べないけどね」

 

 まあ、ネルガルかクリムゾンの施設に行けばどっちもあるだろう。無いなら無いで構わない、その時は火星に行くなりジャンク屋巡りでもしながらのんびり探せばいいのだから。

 

「それで、次は何所に向かいますか? ネルガルかクリムゾンの施設ですか? それともアナハイムのMS工場? あ、ギガノス帝国も有りと言えば有りですね」

「うーん、どれも良さそうだけど暫くはのんびりしようか。口直しに甘い物でも食べたいし」

 

 ポケットから取り出したガイドブックを広げつつ、俺はナビ子ちゃんを伴って道を歩く。

 そういえば、ここ最近はお菓子ばかり食べている気がする。ここは一つ定食でも頼むのも有りだろうか。

 

 

 

 




ベガ大王「お前降格な」
バレンドス「(´・ω・`)」



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