スーパーロボット大戦G   作:7誌

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主人公、必死に走る


03

 さて、唐突だが俺の事を少しばかり語ろうと思う。

 何時だったか俺は原作ではだのゲームだったら等と口にしたが、実はそれほど詳しくなかったりする。

 この身体になる前、真っ当に人間だった頃はゲームや漫画は人並みに嗜む程度、ニ〇ニ〇動画はプレミアムで利用する程度でマニアやオタク等と呼ばれるその道のプロと話をすれば「……ああ、にわかか」と鼻で笑われる程度の知識しかなかったりする。スパロボはαからWまでやったけどな!

 

 DG細胞を統括する素晴らしく優秀なコンピュータを脳みそ代わりに使ってるお蔭で、過去の記憶や取り込んだ死体と機体から抽出したデータを自由に閲覧出来るようになった現在でもそれは変わらない。

 

「うはははははは! 逃さぬぞぉ! クーロンフィンガー!!」

 

 さて、そんな自他共に認める半端な知識しか持ってない俺だが、絶対に間違える事のない相手も世界には存在したりする。

 

 ガンダムで有名な『アムロ・レイ』や『シャア・アズナブル』、元祖スーパーロボット乗りの『兜甲児』にゲッター線に愛され過ぎてる『流竜馬』、拗らせた親父に振り回され続けてるせいで強く印象に残ってしまった『碇シンジ』等等と、俗に言う主人公やそのライバルと言った人物たちがそれに当たったりするのだが……中には例外も存在する。

 

『逝け! あの化け物を仕留めろ!!』

「貴様ら如きが儂の相手をするなど片腹痛いわっ! 酔舞・再現江湖デッドリーウェイブぅぅうう!!!」

 

 そう、例えば機動兵器が跋扈する世界観の中で”生身”でMSを倒したり、布で銃弾やビームを弾いたり、弟子と一緒になってビル持ち上げたり、理不尽の代名詞である謎エネルギーに詫び入れさせて復活したり、不死身のラスボスの半身を生身でぶっ飛ばしたりと、他にも色々と理不尽な事を軽々と行う登場する作品を間違えたような御仁がそうだったりする。

 

「ふんっ! まぁだ居るのかぁ……ならば! 流派東方不敗!! 石破! 天驚けぇぇぇぇぇぇん!!」

 

 まぁなんだ……その…あれだ。その例外がすぐ近くに居る。

 久しぶりに陽の光でも浴びようと思って顔出したら襲撃された。そんで追われてる。凄い勢いでデスアーミー駆逐しながら追ってきてる。つか今のかめはめ波的なアレで三割は消し飛んだ。誰か助けろ。助けて今すぐに。

 

『何故だ!? どうしてこうなった!!』

「ふはははは! くははははは!!」

『煩いよお前!? 笑う位しか出来ないんだから黙ってろよ!?』

 

 久しぶりの高笑いをBGMにしつつ、どうしてこうなったのかと叫びたい衝動を押し殺し、背後から迫る理不尽の権化『東方不敗マスター・アジア』が操るクーロンガンダムから距離を取るべく必死になって走る。

 さっきからデスアーミーが潰されまくってるが、今の俺には気にする暇はない。

 

『くらいやがれ!!』

「ぬるいわぁッ!」

『うそぉッ!?』

 

 牽制代わりに放ったバルカンと両肩の拡散粒子弾を、あろう事かビーム状にした布(・・・・・・・・)で逸らし或いは叩き落すという、常識を殴殺したような事をやらかす東方不敗に対し本気で意識を失いそうになった俺を誰が攻められようか。

 思わず現実逃避を図りそうになる自身をどうにかこうにか正気に戻しつつ、背後より迫る理不尽から逃れるべく脚を動かしデスアーミー達を嗾ける。

 

「待てぃ! 逃さぬぞぉ! その力を儂に見せてみよぉぉ!!」

 

 待てと呼ぶ声が背中から聞こえるが、その声にはデスバーディ達の一斉砲火を以て返答する。

 

「逃さんと言って、ぬあぁぁぁ!!」

 

 頭上からクーロンガンダムへ向けて幾条もの光線と飛行ユニットを排除したデスバーディ達の自爆攻撃が降り注ぐ。ギリギリのところで避けようとしたようだが流石に範囲が広すぎたのか回避しきれていない。片腕は潰され、背部のブースターは破損、脚部も片足が捥げている。立ち上がろうとしてはいるがあの状態では流石に歩けまい。

 

『あんのキ●ガイ爺!! 次に会ったらDG細胞一気飲みさせてゾンビ兵にしてやる!!』

「くははははは!! あははははは!!」」

 

 クーロンガンダムのコックピットから這い出た東方不敗が何か言ってる気がするが、足は止めないし振り返らない。

 絶対に振り返らない。振り返ってはならない。

 強い精神力を持った者にコントロールされるDG細胞の特性上、捕まったら俺の意思がどうなるか分かったものではない。

 

 東方不敗マスター・アジア。ガンダム・スパロボ問わずに理不尽な強さを持った化け物に狙われたとあっては、安心して寝ることも出来やしない。ひとまずここを離れてまた地中に潜ろう。いくらなんでも地中までは追ってこられない筈。

 地中に潜ったら何か手を考えよう。最悪生体ユニットの交換も視野に入れる。

 

 ……しかし、どっからあの親父に情報漏れたんだろう?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『困りますねぇ、東方先生。あまり言いたくはないのですが、怠慢なのではありませんか?』

「言い訳はせん。手を抜いたつもりは無かったのだが……クーロンガンダムを大破させられるとは思わなんだ。はっはっはっはっは!」

『笑い事ではありません! 全く、デビルガンダムの確保はこちらとしても急務なのですよ? 極東のいざこざが終わる前にアレを確保しなければならないというのに……』

「分かっておる! 次は逃しはせん……しかし戦ってみて思ったのだが……貴様が言うほどの力がアレにあるのか?」

『……それは戦った貴方が一番知っているのではないのですか? 兎も角、そちらにツテを通じてスタッフを送りますので、修理と補給が終わり次第追跡を続行してください』

「戦火の消えぬこの地に配下を送るか。……ふん、顔が広いことだな、ウォン」

『……これでも首相をまかされている身でしてね。デビルガンダムの追跡と捕獲、今度こそよろしくお頼みしますぞ』

「分かっておる。吉報を待っておれ」

 

 通信機の電源を切り、東方不敗は地平線の彼方へと消えた悪魔の名を冠する機体を思い出す。

 通常のMFとは違う、生物を思わせる様な姿とその身から生まれた軍勢を率いる力。

 それは最強を自負する己を退ける程度の力ではある。しかし……

 

「…確かに脅威ではある。だがあの程度ではな……」

 

 己が愛弟子の家族が作り出した機体。

 その身に宿した「自己進化」「自己再生」「自己増殖」の力を持って、荒れ果てたこの地球の環境を癒す為に造られた筈だった機体の力を戦いに用いてあの程度?

 

「……まあよい。次に出会った時に見極めればよいだけの事」

 

 己が秘めた大望を成就させる力が有れば良し。その力が無い所か悪戯に戦火を広める程度の力しかないならその時は……

 

 

 

 

 

「我が弟子ドモンに代わって、この儂自ら引導を渡してくれるわ…!」

 

 

 




夜中にこそっと投稿。
エサをくれると嬉しかったりします。
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