さて、前回の作戦は目的を果たしたのだから上々だろう。試しにゲッタービームを撃ったら身体が溶けるとは思わなかったが、まあ、よく分からんものを使ってるのだからこの際我慢しよう。
まあ、それはそれとして。思わぬトラブルもあったが、必要だったゲッター炉心も手に入ったのし当初のもくろみ通り「自身のコピーの作成」が出来るか早速試してみたのだが……何というか、思ってた以上に上手くいった。寧ろ上手く行き過ぎた。
『よう俺』
『おう俺。ここまで上手くいくと、全てが胡散臭くなってくるな』
『まーな。でも上手くいった以上、全てが誰かの掌の上だったとしてもやり切るしかないだろ?』
『そりゃそうだ。で、キョウジはこっちが預かればいいのか?』
『そっちに預けるっていうか……この後に造る”俺じゃない俺”に押し付ける予定。……つか、聞かなくても分かるだろ?』
『そりゃそうだけどさ……久しぶりの会話なんだから楽しもうって思わない?』
『さっきからこっちの隙を伺ってなきゃ素直に楽しめるんだけどねー……生体ユニットの無い、碌に動けもしない状態で勝てると思ってんの?』
『あー、はいはい。降参降参。”俺”を殺すんだから精々長生きしろよー』
『死ぬまでは生きるつもりだから安心しろや。……最後にアレやんない?』
『お約束だしなー。ミスるなよー?』
それを最後のやり取りとして、互いに無言で見つめあう。
同じ顔で同じ声で同じ異形で。恐らく今考えていることも同じ。ならば可能な筈だ。
『――』
見つめあう。見つめあう。見つめあう。
気づけば目の前の”俺”の右手にはデスアーミー、”俺”の左手にもデスアーミー。鷲掴みにされてもがくデスアーミーとデスアーミーを合わせ、左右に動かしながら、全く同じ動作でデスアーミーを投げ合い、互いのデスアーミーが空中で衝突して爆発するのを見届けて一言。
『『なんだ鏡か』』
お約束のネタをやり終え、”俺”と”俺”は互いに力強く頷きがっしりと握手。吸収・同化して一つに戻りながら、”俺”のコピーは緊急時以外はやらないと、深く深く誓うのであった。
◇
日本、旧東京。かつては日本有数の都市であった場所は、様々な事象が重なった結果、再建される事もなく放棄され今に至る。
『こういうのを何て言うんだっけ? ”兵どもが夢の跡”だったかな?』
あ、これ俳句だった。しかも意味が違う気がする。
しかし、日本政府も大変だよなー。
国内にムーリアンがTOKYO JUPITER造るわセカンドインパクトのせいで経済に大ダメージ受けるわで国力下がるし。漸く回復してきたと思ったら1年戦争と蜥蜴戦争起きるわDr.ヘルが世界征服に乗り出すわでまたダメージ受けて。漸く落ち着いてきたと思ったら何の因果か古代文明が同時に三つも目覚めた上に集中して侵略してくんだもん。戦争続きで再建出来ない都市も出て来るのは当然だよな……。
『しかも金食い虫の真っ黒組織が二つも国内に居んだもん。餓死者出さずに国を維持してるだけ立派なもんだよなー。キョウジもそう思わない?』
「…………」
『おーい、これが最後なんだし会話しようぜ……まあ、いいけどさ』
無反応を貫くキョウジを触手でビンタしつつ、デスバーディを始めとしたデスアーミー達を騒動員して、更にはガンダムシュピーゲルのデータを組み込んで造ったデスシュピーゲルまで配置し、一部に穴を掘らせつつ周囲に東方不敗やシュバルツが居ないかを探査してみたが、それらしい存在は今の所いないようだ。
ちなみに、俺は件の二人に関しては人間扱いする気は全く無い。人間の域を超えてるようなGガンのパイロット。MF無しでも相応に戦える格闘家の中でも最強格の二人だ。下手に見つかって邪魔されたら厄介どころの話ではない。
旧東京周辺に誰も居ない事を確信し、デスアーミーの一体を触手で突き刺し、軽く念を送ってみる。
串刺しにされて機能を停止していたデスアーミーは、いつもの様に震え始め、やがてその原型を留めながら変化を始める。
『■■■■■■』
ここまでは見慣れた光景だが、ここでもう一つ手を加える。と言っても、先日ゲッターQごと取り込んだゲッター炉心と繋げて進化を促すだけだが。
そして出来あがる、巨大な鋏と節足動物を思わせる下半身とシャイニングガンダムに酷似した上半身を併せ持った異形のMF。”俺”という異物の入っていない、本当の意味でのデビルガンダムの完成である。
『あばよキョウジ。一応保険は入れといたけど、あんま期待はすんなよ』
「…………」
そしてコックピットを開き、生体ユニットをキョウジからゾンビ兵に交換した俺は、作り出したデビルガンダムのコックピットにキョウジを放り込んだ。
これで東方不敗の目を誤魔化せるかは分からないが、少なくともキョウジと繋がっている節のあるシュバルツの方は誤魔化せるはず。
これからキョウジがどうなるかは分からない。
一応、このデビルガンダムには「原作通りに動け」「有用な情報はこっちに送れ」「キョウジを死なせるな」の命令を刻み込んだが、進化と暴走がお約束のデビルガンダムに何処まで通じるか。
『……まあ、知った事じゃないか』
原作や幾多のスパロボでのお馴染みとなった結末を辿るならそれまで。運が無かったと諦めてもらうしかない。
でも、もしも生き残ることが出来たなら、その時は祝福しよう。ガンダムでは悲劇がお約束だがここはスパロボ時空だ。生存フラグの一つくらいあっても罰は当たるまい。
ちなみに、キョウジの為に保険を組み込んではいるが、特に意味があってやってる訳ではない。
ただ、IMPACTでは主力で使いまくってただけだ。別にキョウジやシュバルツのファンだからではない。ないったらない。
これで、原作通り? にドモンと遭遇する筈。しなくても東方不敗の目を誤魔化してくれれば十分だ。故に、次にする事は一つ。恐竜帝国の完全制圧。すなわち、マグマ層への侵略の開始だ。
さて、面倒事も終わったし、地底探索に赴くとしますかね。
さらばキョウジ。