赤いのか黒いのかも分からない、熱いなんて言葉が生温く感じる程の熱の地獄、マグマ層。
まともな生物では生存どころか浸入すら出来ないマグマの中を、俺は目当ての物を探して、只管に泳ぎ続ける。
『キョウジと別れたのは正解だったな……。生身の人間じゃ絶対に持たない、全身DG細胞に侵されたゾンビ兵でギリギリだ』
生体ユニットをゾンビ兵に交換したせいでDG細胞の力が低下しているものの、生体ユニットの安全を考慮しなくてよくなったからこそ出来る事もある。気密性の高いデビルガンダムのコックピットとほぼDG細胞に侵されてるせいで生半可な事では死なないゾンビ兵。
この組み合わせならマグマ層へ突入しても問題はない、そう思っていたのだが……
『うわぁ……コックピット内の温度がすごい事になってる。メカザウルス取り込んでなかったら俺でもやばかったな……』
マグマの中でも活動出来るメカザウルス、それを変異させて造った恐竜型デスアーミー。マグマ層に飛び込む前に取り込んでおいて本当に良かった。取り込んでなかったら間違いなく熱で爆散してる所だ。或いは圧力で潰れるか。
まあどうにかなったのでどっちでもいいか。
熱に適応出来たのか、自己再生に回っていたエネルギーに余力が出てきたのでデスアーミーの増産を開始する。同時に、触手を突き刺してデスネービーに変化させる。
今回、俺がマグマ層などという危険地帯にやってきた目的。
それは帝王ゴールがマグマ層に残していったハ虫人類、恐竜帝国の非戦闘員を抑える事である。もっとも、別に人質にしようとか考えてる訳ではない。寧ろ皆殺す。全員ゾンビ兵にする。制圧して支配するとかノウハウないし、DG細胞で洗脳するくらいならゾンビ兵にする方が楽だし。
生み出したデスネービーを周囲に放ち、ハ虫人類の移動基地であるマシーンランドの探索に向かわせる。
まあ、広大なマグマの海で手がかりもなしに連中の移動拠点を探すのだ。人海戦術で見つけるまでどれだけの時間がかかるかは分からないが、気長に待つとしよう。
………などと思ったのが数分前のこと。
今俺が漂っているすぐ近く。
見た感じコロニー位の大きさのでっかい岩の塊が浮いている。
はい、どう見てもマシーンランドです。こんなにあっさり見つかるとか。俺の運がいいのか、それともデスネービーが優秀なのか、どっちなのか分からなくなってくる。
まあ、確かに探す手間が省けたといえばその通りなんだが、その結果として、向こうの警戒網に引っ掛かってしまったらしく、1分も経過しない内に、無数のメカザウルスに取り囲まれていた。
無論、速攻で爆散させたが。数で俺を止めようとは笑止千万。俺を止めたければエース級で部隊組んで来い。
続けて迎撃に出てきたメカザウルスも返り討ちにしながらマシーンランドに接近。ゲッター線照射して外壁をぶち破って突き進み、道中目についたハ虫人類をサブの生体ユニットとして取り込みながら中枢まで突っ込みパイルダーオン(物理)。
中枢と融合しながら触手を伸ばしに伸ばし、マシーンランド全域の浸食を開始する。
流石に異常に気付いたのか、メカザウルスに乗って逃亡しようとする者もいるが、むざむざ逃すほど俺は甘くない。そういう元気な輩にはDG細胞の代わりにゲッター線をくれてやった。よかったな名も知らないハ虫人類よ。お前らの怨敵のゲッター線だぞ、喜べよ。
余裕綽々。そんな調子で中枢を完全に抑えた俺は、外部に待機させておいたデスネービーを外壁に融合・同化させてマシーンランドの掌握をある程度完了させる。
その後、中枢と外壁までの掌握を完了した俺は、伸ばした触手を使ってDG細胞を全区域に一斉に散布した。
DG細胞の霧で満たされたマシーンランドの住人は、瞬く間に感染し、ゾンビ兵に変容していく。DG細胞によって俺の支配化に置かれたゾンビ兵は俺の意志に従い、中枢部からの干渉を受けないあらゆる箇所を目指し制圧していく。
最終的に、マシーンランドは完全に俺の支配下となった。
全長5kmに及ぶ巨大な移動基地。そこ存在していた千を超える住民を生体ユニット、或いはゾンビ兵に変える事によって現存するハ虫人類は地上で殴り合ってる帝王ゴール率いる軍団だけとなったが……まあ、俺が気にする事でもないだろう。恐竜帝国も一時期メカザウルス送り込んできてたし、つまり俺は反撃しただけだ。故に問題ない、ないったらない。
まあそんなわけで、今回のマグマ層侵略の最終的な収支報告である。
・ゾンビ兵×たくさん
・生体ユニット×たくさん
・マシーンランド×1
客観的に見ても中々の数字である。生体ユニットやゾンビ兵を大量に手に入れられたのもそうだが、最大の収益はマシーンランドである。放浪中、ずっと欲しかった安定したエネルギー供給を受けれる拠点。しかもマグマ層と海中を移動する事が出来るという優れものだ。
メカザウルス生産プラントを利用してのデスアーミーの生産にコンピュータを使ったデスアーミーの改良。他にも探せば色々と使い道はあるだろう。
だが、一番扱いに困るのもマシーンランドである。
ぶっちゃけでかすぎて目立つ。しかも元が恐竜帝国の拠点だ。迂闊に浮上させればゲッターロボが飛んでくる。下手すりゃWマジンガーやライディーンも付いて来る。日本のスーパーロボットに袋叩きにされるなんて御免被る。
まあ、陸地や海上に浮上させなければ問題はないんだけどさ。
生体ユニットに移動拠点、デスアーミーの強化に必要なゾンビ兵。欲しかった物は殆ど手に入った。さて、他に何か必要なものはあっただろうか?
正直な話、ただ生き延びる事に終始するだけならば、このままマグマ層で漂っていれば済む話である。
過酷通り越して文字通りの灼熱地獄ではあるが、マシーンランドを取り込んだ今となっては特に問題にもならない。問題を上げるとすれば娯楽も無ければ話し相手も皆無という事くらいか?
『……ゾンビ兵はうめき声しか上げないし、生体ユニットにしたハ虫人類は脳みそ弄ったせいで置物状態だし……はぁ。キョウジの高笑いが懐かしいなぁ……』
再びの溜息。
ああ、そういえばキョウジについてだが。
デビルガンダムから送られてくる情報によると、俺がマグマの海を泳いでる間に東方不敗と接触。その後、概ね俺が知っている通りになったらしい。今は東方不敗の誘導に従い、南アメリカを目指して元気に遠泳中とのこと。
『南アメリカねぇ……? 確かジャブローがあったっけ……あぁ、そういえばギアナ高地もあそこにあったな』
東方不敗とデビルガンダムが南アメリカ、恐らくはギアナ高地に向かっている。
Gガンでギアナ高地と言ったらアレしかない。明鏡止水の境地の習得とゴッドガンダムの乗り換えだ。
『確かゴッドに乗り換えた後はシャイニングは野晒しになってた筈……うし、行くか』
シャイニングに遺されたドモンの動作ログ、機体に搭載されてる
何とか回収できないだろうか、回収して俺やデスアーミーに組み込む事が出来ればどれほどの強化となるのだろうか。
『手に入ったらまずはデスアミーに組み込んでテストだ。上手くいったら俺にも……あ、その前に新しい下半身造って……あれ? マスターガンダムの腕も刺さってなかったっけ? だったら――』
自身の強化プランを頭に思い描き、地上に残したデスアーミー達から届いた情報に目を通しつつ、俺はマシーンランドの浮上を急がせるのだった。
恐竜帝国?この宇宙では完全に根絶やしになったよ。