Fate/XXI   作:荒風

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ACT6:馬鹿が『戦車』でやって来る

 

 征服王(せいふくおう)イスカンダル。

 アレキサンダー大王、アレクサンドロス3世といった名の方が、通りが良いか。

 マケドニア王フィリッポス2世を父とし、大学者アリストテレスの教えを受けて育ち、20歳にて王位を継いだかと思うと、瞬く間にギリシアを制圧、統一し、ペルシアへと侵攻する。エジプトから西インドまでの征服を、わずか10年足らずで成し遂げた男。

 そんな知識がウェイバーの脳裏を巡る。学校で歴史の授業を受けた者なら、必ず知っている大英雄だ。恐るべき実力者であることは間違いないが、今ウェイバーが気にしていることは、

 

「な、名乗った?」

 

 サーヴァント自ら、己の真名を明かしたことだった。

 聖杯戦争において、サーヴァントの名は極力隠すものだ。サーヴァントとして召喚されるものは誰しもが、名の知れ渡った英雄。名を明かせば、長所や短所、性格、弱点などが簡単にわかってしまう。恐怖とは謎あればこそ。正体が分かれば、脅威ではあっても恐怖ではない。どんなに強くても対策はたてられる。

 事前に、ランサーの正体がわかっていれば、セイバーも癒えぬ傷を負わぬように注意できただろう。いつどのような戦いであれ、情報は最大の武器となるのだ。

 

「な、にを考えている貴様ァ!!」

 

 唖然としているウェイバーだったが、それだけではすまないのは、ライダーの隣にいた男だった。怒声をあげるまで、ライダーのあまりの存在感にまぎれて、誰にも気付かれずに戦車の御者台にいたその男、ケイネス・エルメロイ・アーチボルトは、ライダーに掴みかかった。

 

「名をさらすとは一体どういう了見だッ!? いやそれ以前に勝手に乱入などとッ、正気か貴様は!?」

 

 今まで見たことが無い、動揺の極みに至ったケイネスを見て、ウェイバーの心に浮かんだのは、『ザマミロ&スカッとサワヤカ』といった快感や嘲りではなく、同情であった。なんだか今のケイネスは他人とは思えない。

 

(あーそうか、いつもの僕に似てるんだ)

 

 あの魔少年だの、あの漫画家だのに振り回されている自分に、悲しいほど似ている。とはいえ、敵は敵だ。そもそも絶対に鼻っ柱をへし折ってやると誓った相手だ。手心を加える気は無い。今得た情報を、役立てるために思考を巡らす。

 

(イスカンダルか………見たところ、ステータスはほとんどAクラスだな。僕が召喚したんじゃ、あそこまでのステータスにはならなかったろう。悔しいけど、さすがというところか。ランサーが勝っているのは敏捷性くらいか。宝具はあの戦車………名馬で有名なブケファラスじゃないのか? 戦車の逸話なんてあったっけ?)

 

 ライダーが乗っている戦車。それは、【神威の車輪(ゴルディアス・ホイール)】。ゴルディアス王がゼウス神に捧げた戦車である。戦車は柱に結び付けられ、その紐の結び目は複雑で、その結び目を解いたものがアジアの王となると予言されていた。イスカンダルは、これを剣によって断ち切るというやり方で、その問題を解決したのだ。

 牡牛に変身した姿が牡牛座ともなった、雷の神ゼウスに捧げられたものであるだけに、雷をまとう牡牛2頭に引かれる、強力な対軍宝具として顕現した。

 だが、『ゴルディアスの結び目』の逸話と、目の前の戦車はウェイバーの頭の中で結び付かなかったようだ。

 

「まあしばし黙っておれマスター」

 

 ライダーはその巨大な手のひらで、激高するケイネスの顔を掴み、その口を無理矢理に閉ざした。そして、

 

「うぬらとは聖杯を求めて相争う巡り合わせだが、矛を交える前にまず問うておくことがある」

 

 自信満々、威風堂々、言い放った。

 

「うぬら、一つ我が軍門に降り、聖杯を余に譲る気は無いか? さすれば余は貴様らを朋友として遇し、世界を征する快悦を共に分かち合う所存でおる!!」

 

 あまりと言えばあまりな提案に、全員がまたしても呆然とする。その呆然から覚めた後、まず口を開いたのはランサーであった。

 

「その提案は承服しかねる」

 

 その口元には笑みが、しかしその目には冷たい刃の輝きが含まれていた。

 

「俺が聖杯を捧げるのは、俺をこの世に召喚した新たな君主ただ一人だけ。断じて貴様では無いぞ。ライダー」

 

 ウェイバーに一瞬視線を流し、力強く断言する。その言葉に、ウェイバーは、これほどの戦士が自分に忠誠を誓ってくれていることに困惑しながらも、心を浮き立たせていた。

 次に返答したのはセイバーだった。

 

「そんな戯言を述べ立てるために、貴様は私たちの勝負を邪魔だてしたと言うのか? 騎士として許し難い侮辱だ!」

 

 ライダーとしては真剣そのものだったのかもしれないが、生真面目なセイバーにとって、彼の行動は不愉快そのものとしか映らなかった。切りつけるような敵意を迸らせる。

 

「むう………待遇は応相談だが?」

「「くどい!!」」

 

 なおも申し出るライダーに、セイバーとランサーは同時に斬って捨てる。

 

「重ねて言うなら、私もまた一人の王として、ブリテン国を預かる身だ。いかな大王といえども、臣下に下るわけにはいかぬ」

「ほう? ブリテンの王とな? こりゃ驚いた。名にしおう騎士王が、こんな小娘だったとは」

「………その小娘の一太刀を受けてみるか? 征服王」

 

 セイバーは闘気をゆらめかせ、剣を構える。彼らの会話を聞き、ウェイバーは彼女の正体にようやくたどり着いた。

 

 黄金の剣を持つ、ブリテンの騎士王。とあれば、彼女の正体はアーサー・ペンドラゴン以外に考えられぬ。

 岩に突き立った契約の剣を抜き、イングランドの正当な王として君臨した伝説の持ち主。英雄という英雄がそろった円卓の騎士を束ね、12の会戦に勝利し、ローマの侵略を退けた、まさに騎士の王。

 

「いやさすがに信じられないって」

 

 思わず声に出してしまうウェイバーだった。だがそれが普通の反応だろう。世界中に名を知られた英雄が、こんな小柄な女の子だなどと、誰があっさり納得できよう。ただ、今ここで普通なことなんてのは、ほとんどありはしないのだが。

 

「うーむ、ではそこのおぬしはどうだ?」

「………へ? 僕?」

 

 そこでライダーはいきなりウェイバーへと話を振った。

 

「ランサーのマスターよ。おぬしが我が軍門に降れば、自動的にランサーも我が軍門に降るということになるわけでな。どうだ? 共に世界へと羽ばたこうではないか。男ならば世界征服と聞くだけで、心熱くなるもんではないか?」

 

 噴き出るカリスマ、圧倒的威厳、今までに感じたことのないプレッシャーを、ウェイバーは味わっていた。下手すれば腰を抜かして失禁してしまうだろう。既に喉はカラカラだ。この常識外れの存在を前に、平然と踏みとどまれる勇気などウェイバーにはない。だが、

 

「じょ、冗談じゃない! ランサーのおまけでの勧誘なんかごめんだよ! ぼ、僕という魔術師を軽く見る奴になんか、仕える気は無いね!」

 

 意地だけは、自負心だけは、驕りと紙一重のプライドだけは、人一倍あるのがウェイバーだった。内心では錯乱に近い状態にありながら、とにかく意地だけは張りとおして見せる。

 

「む……確かに坊主の言うとおりだ。侮辱であったな。許せ。しかし、こりゃ~交渉決裂かぁ。勿体ないなぁ。残念だなぁ」

 

 深くため息をつき、ぼやくと同時に、ライダーはケイネスの顔から手を放す。露わになったケイネスの顔からは表情というものが消えており、能面のようだった。

 

「ライダー、貴様への罰は後だ。今は………」

 

 幽鬼を思わせる眼でウェイバーを見つめ、

 

「やあウェイバー・ベルベット君。こんなところで君と出会うとは思わなかったよ」

 

 酷く嗜虐的な笑みを浮かべ、獲物をなぶる猫のように言葉を紡ぐ。

 

「残念だ。実に残念だなぁ。まさか私が、君のあの愚にもつかない論文を否定したことが、君をこの戦いに参加させるまでに傷つけてしまっていたなんて。君のような凡才は、凡才なりに凡庸で平和な人生を手に入れられたはずだったのにねぇ」

 

 明確な殺意。臓腑を抉るような悪意。今までにもウェイバーはそういったものを浴びせられたことがあった。

 

 魔少年に引きずられ、アメリカのエリア51なるところに保管されている『頭のでかい銀色の小人』の標本を、盗む羽目になった時も。

 料理人のアマゾン山菜採集に付き合っていたら、神秘の薬草を守るという、森の怪人と追いかけっこすることになった時も。

 日本の漫画家の取材旅行に巻き込まれ、なぜかイギリス諜報機関と戦う事態に陥った時も。

 

 だが、そのほとんどは他人に巻き込まれたついでに向けられる敵意であり、ウェイバー自身に直接向けられたものではなかった。

 

「致し方ないなぁウェイバー君。君には私が特別に課外授業を受け持ってあげようではないか。以前にも教えた、持って生まれた血の重みを、歴史の浅い君には到底、覆しえぬ魔術の力の差と、魔術師同士の殺し合いが持つ恐怖と苦痛を、余すところなく教えてあげるよ。光栄に思いたまえ」

 

 そしてウェイバーは真の意味での殺意を、殺されるという恐怖を、思い知りながら、怯えきりながら、その身を震わせる。震えが胃にまで浸透し、吐きそうになるのを懸命にこらえる。汗が嫌になるくらいに流れ、息をすることさえ難しい。

 ウェイバーの知る『彼ら』は、幾度もこんなものを体験していたのかと、信じられない想いで理解する。

 だがそれでも、

 

「あれだけ慌てておいて、今更かっこつけても遅いんだよ! その言葉そっくり返すぞケイネス!」

 

 かつての師の名を呼び捨てにし、ただ意地のみを胸に抱いて叫ぶウェイバーに、ランサーは笑みを浮かべる。

 

「その意気です、我が主よ。しかしご安心ください。このランサーの槍にかけて、俺が御身を守り抜いて見せましょう」

 

 そんな主従を前に、ケイネスは表情を引きつらせた。今まで恥をかいたことがほとんどないケイネスにとって、さきほどの醜態は相当な屈辱だったのだろう。だが、ライダーはむしろウェイバーを気に入ったようだった。

 

「は、はははははは!! 中々覇気があるではないか坊主! うちのマスターにも見習わせたいわ! こうして余が連れてこなきゃ、ずっと隠れて覗き見しとるつもりだったんだからのぉ!!」

「な! ライダー!」

 

 笑うライダーに対し、再び声を荒げるケイネスだったが、ライダーはそれを無視して語り出す。

 

「おいこら! 他にもおるだろうが。闇にまぎれて覗き見しておる連中は! 聖杯に招かれし英霊は、今! ここに集うがいい。なおも顔見せを怖じるような臆病者は、征服王イスカンダルの侮蔑を免れぬものと知れ!」

 

 轟き渡る宣言に、誰もがまたしても呆れる中、ただ呆れるだけではすまない者たちもいた。

 

「――これはまずい」

「まずいですね」

 

 アサシンの聴覚と同調し、ライダーの言葉を聞いていた遠坂時臣と言峰綺礼は、共に顔をしかめた。ライダーの下らない挑発に乗ってやるような英霊に、十二分に心当たりがあったためだ。

 予想通り、戦場に黄金の輝きが閃いた。

 

 地上10メートル余りの高さのある街灯のポールの上に現れた、黄金の甲冑をまとう、金髪赤眼のサーヴァントは、冷酷な眼差しを周囲に向けた。

 

「我を差し置いて“王”を僭称する不埒者が一夜のうちに二匹も湧くとはな」

 

 その姿は、昨夜アサシンとやりあい、アサシンを葬ったサーヴァントに違いない。

 セイバー、ランサー、ライダー、アサシンと揃っている以上、残っているサーヴァントは3体。鎧姿はキャスターには見えず、喋る理性があるならばバーサーカーとは思えない。消去法で、この者はアーチャーであろうと、その場にいる者たちはあたりをつける。

 

「真の王たる英雄は、天上天下に我ただ独り。あとは有象無象の雑種に過ぎん」

「そこまで言うんなら、まずは名乗りを上げたらどうだ? 貴様も王たる者ならば、まさかおのれの威名を憚りはすまい?」

 

 いきなりの凄まじい侮蔑を受け流し、ライダーは混ぜ返す。しかしアーチャーは更なる怒りに燃え上がる。

 

「問いを投げるか? 雑種風情が、王たるこの我に向けて? 我が拝謁の栄に浴してなお、この面貌を見知らぬと申すなら、そんな蒙昧は生かしておく価値すらない!」

 

 怒声と共に、アーチャーは周囲の空間に武器を顕わした。その数は、昨夜アサシンに撃ち放った数より更に多い。昨夜の戦いで、即座に討ちとれなかったことを苦々しく思っているのかもしれない。

 

「刑を執行する!!」

 

 そして、全部で50を上回る宝具が放たれた。すべてが英霊相手でも必殺の威力を誇る攻撃だ。

 それぞれのサーヴァントが、すぐさまその攻撃に対応した。

 

「くっ! 御無礼を、マスター!」

 

 ランサーは持ち前の速度を生かし、瞬時にウェイバーを抱えあげると、ひたすらに宝具による絨毯爆撃を回避した。それなりの距離があったために、どうにか成功する。

 

「うーむ、やはり一個一個が別種の宝具としか思えんなぁ。一体どうなっとるのかのぉ」

 

 ライダーはそんな呑気な調子で、避けることもなく、ただ立っているだけだった。にも関わらず、アーチャーの攻撃は一つたりとも、彼に当たることはなく、周囲を通過していくだけだった。

 

「これしきの、ことでぇ!!」

 

 この攻撃に一番苦労したのはセイバーだった。片手に傷を受けた状態でありながらも、その達人の技量を持って、武器の雨を撃ち落としていく。何としても、背後にいるアイリスフィールだけは守りとおす構えだった。

 だが、ついに一発、撃ち落としきれぬ武器が出てしまった。一本の槍が、もはや回避も迎撃も間に合わない距離まで、迫っている。

 

(これはもう、せめて霊核は傷つけぬようにする以外ない!)

 

 消滅だけは何とか防ぐとして、どこかを貫かれることだけは覚悟したセイバーだったが、それは杞憂に終わった。

 

「【極悪中隊(バッド・カンパニー)】!!」

 

 その槍は細かい弾丸を集中的に受け、その衝撃によって軌道を変えて、セイバーを貫くことなく飛んでいった。

 それをなしたのは、

 

「形兆! 億泰!」

 

 バイクに乗って駆けつけた、二人のスタンド使いだった。セイバーの眼には形兆の周囲に、無数の小人が、小さなライフルを向けているのが見えた。

 

(切嗣は、ぼんやりとしか見えないと言っていたが、私にはっきりと見える。普通の人間と、サーヴァントの差だろうか………いや、そんなことは考えなくてもいい。高速の槍に命中させた、今の精密射撃を見るに、中々心強い味方だ)

 

 セイバーは増援を喜びながら、再び力強く前を見据えた。

 

 それぞれの行動を見ながら、アーチャーはつまらなそうに鼻を鳴らした。

 

「フン、まったくこれだから雑種は、この我の刑より逃げようとは。無礼者どもめが。しかし、貴様、一歩として動かんとは、腰でも抜かしたか?」

 

 3体のサーヴァントのうち、1体だけ、まったく動かずにいながら、それでも無傷だったライダーに、アーチャーは言葉を投げかける。

 

「ハッ、あのようなろくに狙いもつけん攻撃が、かつて飛び来る矢の雨の中を、一発も掠らずに歩いたこの征服王に当たるものかよ。このわしを撃つというのなら、しっかり殺意を込め、必中を狙ってこんかい!」

 

 ライダーの頭上で、ガラスが割れて破片が降り注ごうと、一欠片たりとも破片が彼に当たることはないだろう。凄まじい精神力の強さによって呼び込まれる強運は、今や一つの独立したスキルとなっている。

 ケイネスほど優れた魔術師をマスターにしなければ、持つことができなかっただろう強力なスキル、【矢避けの強運】。

 その幸運は、偶然によってライダーを倒すことを許可しない。

 

「なるほど、自らを王と勘違いする程度の天運は持っているらしいな。よかろう。この我じきじきに介錯してやる。この刃、歓喜の涙を流して、受け取るがいい」

 

 アーチャーは虚空から、刃のついた円輪を取り出した。中国の(けん)という武器で、握りの部分を握って格闘戦をしたり、敵に投げつけたりする。しかしこれはただの圏ではない。『西遊記』や『封神演義』に登場する英雄、哪吒(なたく)が使ったという宝貝(パオペイ)、【乾坤圏(けんこんけん)】であろう。

 それはつむじ風のように音を立てて回転し、ライダー目がけて発射された。紛れもない殺意の込められた一撃。流石にこれはかわすしかないと思われたが、ライダーはやはり一歩も動かなかった。

 ただ冷静に、牡牛よりも雄々しい2本の角が生えた兜を取り出し、被る。そして力ある言葉を口にした。

 

「【底知れぬ有角王(ズルカルナイン)】」

 

 兜の角が輝くと同時に、ライダーを囲む、透明な樽状の結界が張られた。【乾坤圏(けんこんけん)】は結界にぶつかると跳ね返り、傷一つつけることはなかった。

 

「先よりはマシだが、まだ甘いのぉ。もちっとシャキッとした一撃でなけりゃあ、こいつは砕けんぞ。かつてこいつの中に入って、海の底深くまで潜っても、ビクともしなかった自慢の一品ゆえな」

 

 ライダーは胸を張って自慢する。それは、かつてイスカンダルが、ガラスの樽に入り、海中を探検したというオリエントの伝説。

 コーランにも記載された、イスカンダルには角が生えていたという伝説。

 この二つの伝説に由来する宝具。

 

 強力な結界宝具、【底知れぬ有角王(ズルカルナイン)】。

 

 これもまた、ケイネスほどの一流魔術師をマスターにしたからこそ、使える宝具であろう。

 次々と明らかになるライダーの力に、周囲は戦慄する。あれだけの力があれば、確かに真名を明かしても余裕でいられるだろう。ただ一人、そんな畏怖と無縁な英雄王は、更に虚空から宝具を取り出す。おそらく、より一層強力な宝具なのだろう。

 

「くだらん。そんな薄壁一枚が自慢か。ならばそいつを棺桶にして、眠るがいい」

 

 しかし、その宝具16丁が発射される前に、事態は変化した。

 

「――――――――!!」

 

 戦場の中心から海側へ、2ブロックも離れた場所に突如、『人型をした影の塊』が出現した。

 姿は西洋風の、闇のように黒い甲冑に全身を覆い、生身の部位を欠片も見せていない。その上、滲み出るような影に包まれ、その輪郭は曖昧で、ぼやけて見えた。

 ウェイバーは、いまだランサーに抱きかかえられた体勢のまま、そのサーヴァントを見つめた。そしてその結果を口にする。

 

「ランサー、あいつ………ステータスが読めない」

「む………どうやら、奴自身に自分の素性を幻惑させるような特殊能力なり、呪いなりを帯びているのでしょう。しかしあの殺気、あの荒々しさ、あれのクラスは明白です」

 

 この状況でただ一つ間違いないこと。それは、サーヴァント・バーサーカーの登場であるということだ。

 

 

 

 

 ……To Be Continued

 

 




 ジョジョでは『ジャンケン小僧』の話で、強運を持つ者の例として語られたり、SBRでジャイロに、『アレキサンダー大王でさえ、(あぶみ)は使っていなかった』と言われたり、意外と文中に使われているライダーです。
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