あと予定より文字数が多くなってしまったので前後編に分けました。後編はなるべく早く上げます。
でわでわ
スフィア・ボムの効果により吹き飛ばされる夏目。
その夏目を心配そうに見つめる出雲。
「(大丈夫かな夏目さん。)」
数十秒の付き合いだったが、それでも見ず知らずの自分を心配し声を掛けてくれた人なので、やはり不安になる。
「(確かデュエルで負けたら覚悟するような事をされちゃうんだよな……。
まあデュエルの結果はともかく自分達を守ってくれた人なんだから周りの奴等がカバーするだろ。
さすがにそこまで残酷な奴等でも無いだろうし。)」
が、人間というものは出雲の思っている以上に残酷な生物だったらしい。
「何だよあいつ、ふざけるなよ!」
「そうだよ。何がセキュリティだ、負けてんじゃねえか!」
「ハァ、これでもう助けは来ないのか。」
「チッ、期待はずれだったぜ。」
それらの声が次々と夏目に浴びせかかる。
夏目の目に涙が貯まっていく。
「涙を流したからって許されると思ってんのか!」
「そうだそうだ、悲劇のヒロイン気取りかぁ!」
と、また心無い言葉を浴びせるやからが。
「(こいつら……まじて俺と同じ人間か?)」
出雲は思わずそんな事を思った。
「(まっ、今の俺には強盗団を迎え撃つ事なんて出来っこないし、助けを待ってるか。)」
出雲はそう心の中で思うと、目の前の現実から目を背けた。当然だ。今の出雲はただの非力な子供なのだから。
「(また人助けして死ぬなんてもうごめんだからな。悪く思わないで下さいよ。)」
出雲は若干の罪悪感を覚えつつも、夏目の事を見捨てようとする。
が、出雲は一瞬見えた夏目の目を見て、驚く。
「(あの顔、まだ諦めてない?)」
そう、夏目の顔はまだ闘争心に燃えていた。どんな罵声を浴びせられながらも、その人達を助けるという信念が、その顔に宿っていた。思えば先ほど流していた涙もあの人達を守れなかったから流していたのかもしれない。
自分なら絶対に折れてしまうであろう状況で、しかしその人は自分の意思を貫いていた。
「(ハァ、そんな顔してたら自分が恥ずかしくなってきちまった。)」
そんな事を思った出雲は、頭を一旦冷静にする。
「(よし落ち着け出雲。まず状況の整理だ。目の前には強盗が5人。今俺が持ってるのはカードの入ったバックとDパットみたいな物体とポケットに財布。そしてデッキが3つ。
…この世界は恐らくアニメの遊戯王の中の世界かそれに類似する世界か。アニメ準拠ならどんな事でもデュエルで解決出来る筈。そうだよ、デュエルなら何度もやってきたじゃないか!俺の得意分野だ!)」
その頃、目の前では立野が、夏目を人質にしようとしていた。
「(やべっ!どうしよう。……ん?ポケットにカードが……逆転の女神?これでいいや!)」
出雲は見よう見まねでカードを立野の進行方向の柱に投げつける。
ヒュッ と、空を切る音がし、なんとそのカードが柱に突き刺さったではないか。
「(……ここ絶対遊戯王の世界だ。)」
出雲はそう確信したという。
「……カード?一体誰だ。こんなもんを投げたのは。」
「(レアカードに傷が付いたわ!……じゃなくて!)」
「………僕だ!」
この場にいる全員が出雲の方を向く。
「(は、恥ずかしい!)」
「何のマネだ糞ガキ。」
と、立野がイラついた声と鋭い目付きで出雲に問う。
「糞ガキじゃない、出雲だ。そしてお前、今から俺とデュエルしろよ。」
この言葉を発した瞬間、店内がシーンっと静かになった。そして、次の瞬間
「「「「「はっはははははは!」」」」」
と、強盗団の奴等は笑い
「何だよあいつ、英雄気取りかよ。」
「はぁ、また期待するだけ無駄無駄。」
「早くこの茶番終わらせろよぉ。」
と、ネガティブな声が聞こえる。
「そ、そんな……」
唯一、夏目だけが本気で出雲を心配していた。
「お前、俺とデュエルする気か?悪い事は言わねえ。さっさと黙って座れ。そうすりゃ今の事は無かった事に…」
「あっれ?もしかして俺とデュエルするの怖い系かな?こんな子供に負けちゃったら威厳台無しだもんねぇ。まっ、しょうがないかな。」
出雲は強盗団4人を指差して
「こいつら位だったら余裕で負かせるし。」
と、言った。
「てめぇ!ガキだと思って調子にのりやがって!」
「ぶっ殺してやる!」
「どうやらお仕置きが必要みたいだな!」
「俺のデッキでなぶってやらぁ!」
と、まんまと挑発に乗る強盗団達。が、
「お前らぁ!頭冷やせぇ!」
思わずビクッとなってしまうようなバカデカい声を、強盗団のボスの立野は発した。
「(こいつは多分強盗団の中でも別格だな。挑発にも乗らなかったし。)」
思わず冷や汗が垂れてきた出雲。
「おい、お前いい加減しろよ。そんなデュエルをこっちが引き受けるメリットがねぇだろ。たとえガキ相手に逃げたと笑われても無駄な事はしない主義なんでね。」
「メリットならありますよ。」
「…なに。」
出雲はこの世界で絶対必須のアイテムを見せる。
「あんたかあんたの仲間が勝ったら俺の3つあるデッキ全部やるよ。」
そう言い、自分の持ってたベルトに付いてた3つのデッキを見せる。
「そ、そんな!自らの魂とも言えるデッキを賭けに出すなんて!そんな事しちゃ駄目だよ!」
と、夏目が止めに入ろうとするが、出雲はそれを手で制した。
「心配しないで下さい。こんな奴等には負けませんから。」
と言い、立野の反応を待つ。
「……全部使えないカードじゃねぇだろうなぁ?」
と聞いてきたので、
「あぁ、俺が丹精込めて作ったデッキだ。」
と、出雲は答えた。立野は数秒考え
「良いだろう。おい、一郎、お前が相手してやれ。」
「(よし!そうと決まれば…)」
「分かりました。おい、さっさと構えろ!」
「おいおい、お前一人だけか?」
出雲はなるたけうざく聞こえるように言う。
「あぁ?どういう意味だ。」
「四人同時に相手してやるって意味だよ。」
今度こそ強盗団四人の堪忍袋の尾が切れた。
「ならお望み通り四人で相手で相手してやるよ!四郎、三郎、二郎、、やるぞ!」
「「「おう!」」」
四人が一斉にディスクを構える。
それに合わせて出雲もディスクを……
「(あれ?どうやってこのパッドをデュエルモードにするんだ?)」
思わぬ伏兵が居た。
出雲は電源を頑張って入れようとアチコチを触るが、
「(だ、駄目だ。ウンともスンとも言わねえ。)」
デュエルする前から大ピンチである。
「おいどうしたぁ!さっさとディスクを構えろ!」
「お、おう。ちょっと待っとけ。」
出雲は、このまま引き下がるか!と、アッチコチを弄ってみる。
「くそ、どうやったら……」
すると、
「音声入力をするんだ。」
と、夏目が助け船を出した。
「(お、音声入力?)」
出雲は一か八か賭けに出ることにした。
「デュエルモード 起動!」
すると、
ok デュエル モード スタンバーイ
という電子音と共に、手にあったパッドが変形する。
収納されていた部分が飛び出し、半透明のプレートを形成していく。
「おぉ!」
軽い感動を覚えながらも、出雲はデッキを1つ取りだしセットする。そのデッキは出雲が前世で一番よく使っていたデッキだ。
「夏目さん、ありがとうございます!」
「いや、良いんだよ。それよりも」
夏目は出雲に近付き、
「済まない、私が不甲斐ないばかりに。」
と、頭を下げられる。
「いえいえいえ、別にこれは俺がやりたいから吹っ掛けただけの勝負ですから!気にしないで下さい。」
「だ、だか…」
「だからそんなに心配しないで下さいって。あんな奴等には負けはしませんから。」
「……分かった。そういえば自己紹介がまだだったね。
私は夏目 汐里だ。君は?」
「はい、出雲 光遊です。」
「じゃあ出雲君。頑張ってくれ。」
「はい!頑張ります。」
出雲はそう答えた後、強盗団四人に向き合う。
「待たせたな。それじゃぁ始めようぜ!」
「ルールはどうする。」
「る、ルール?じゃあバトルロイヤルで先行は全員攻撃出来ないで。」
「マスターズルールは。」
「えっと…2で。」
「おう。じゃあ入力しろ。」
「にゅ、入力?」
画面を見てみるとM2、M3というタッチパネルとBRというタッチパネルがあった。他にもSWやAF等というパネルもあったが、今は関係無いので、M2とBRをタッチする。
マスターズ ルール 2&バトルロイヤルモードスタンバーイ
画面が切り替わり、自分のライフとフィールドが表示される。
「よし、先行はくれてやる。」
「ありがとさん。じゃあ」
「「「「「デュエル!」」」」」
出雲 光遊
LP4000
手札5枚
中川 四郎
LP4000
手札5枚
中川 三郎
LP4000
手札5枚
中川二郎
LP4000
手札5枚
中川一郎
LP4000
手札5枚
「俺のターン、ドロー!」
出雲
LP4000
手札6枚
出雲はドローしたカードを含めて手札を見る。
「よし、俺は手札から武神―ヤマトを召喚!」
出雲はそう言い、カードをプレートの上に置く。
すると、ファミレスの床がひび割れ、石像が浮かんできた。
その石像は、先程のカードにイラストとして描かれた武神―ヤマトの姿をしていた。
段々と石像にヒビが入り、中からオレンジ色の光が漏れてきた。
そして出てきたモンスターは、オレンジ色に光る体に
昔風の鎧を被った人形のモンスターだった。
何処と無く神々しいオーラを放っているそのモンスターは、地上に降りるとファイティングポーズをとった。
武神―ヤマト
ATK/1800 DEF/200
「武神―ヤマト?聞いたことのないモンスターだな。」
「大丈夫っすよ。多分弱すぎて知らないだけっすよ。」
「そ、そうだよな。」
そう言い、心を落ち着かせるしたっぱ達。
「さらに俺はカードを2枚伏せる。そしてエンドフェイズ時、俺は武神―ヤマトの効果を発動!」
効果の発動を宣言した瞬間、ヤマトが床に手を翳す。
すると、鳥形のモンスターが勢いよく床から突き抜けてきた!
そして、そのモンスターはカードとなり、出雲の手札に収まった。
「1ターンに1度、自分のエンドフェイズ時、デッキから武神と名のついたモンスター1体を手札に加える事が出来る。」
その説明を受けた瞬間、周りがどよめきだす。
「つ、強すぎるだろ……。」
「おい、あのモンスターお前知ってるか?」
「い、いや知らねぇ。」
「きっとプロの人達がよくやってるみたいにカードを創造したのよ!」
「「「「「「な、成る程!!!!!」」」」」」
………聞き捨てならないような声が聞こえたような気がするが、無視する出雲。
「が、その後手札を1枚捨てなければならない。俺は
武神器―ヘツカを墓地へ。」
「な、なんだ。」
「結局手札の枚数は変わらないのか。」
「思ったより弱いんだな。」
と、捕まっている人達の声が聞こえる。
そして一郎達も
「な、なんだよ。拍子抜けしたぜ。」
「そのくらいなら瞬殺だな。」
「まったく、脅かしやがって。」
「さっさとぶっ潰してやる!」
と、息巻いていた。が、立野だけは、このカードに得体の知れない何かがあると感じた。
「(この感じ……何かあるな。)」
武神―ヤマト
効果モンスター
星4/光属性/獣戦士族/攻1800/守 200
1ターンに1度、自分のエンドフェイズ時に発動できる。
デッキから「武神」と名のついたモンスター1体を手札に加える。
その後、手札を1枚墓地へ送る。
「武神-ヤマト」は自分フィールド上に1体しか表側表示で存在できない。
出雲
LP4000
手札…2枚
フィールド……武神―ヤマト ATK/1800 DEF/200
セットカード2枚
「俺のターン、ドロー!」
四郎
LP4000
手札…6枚
「俺は手札から魔法カード、リロードを発動!このカードは手札を全てデッキに戻し、シャッフルする。
その後、デッキから今戻したカードの数と同じ数、カードをドローする。」
四郎は手札を5枚デッキに戻した後、カードを5枚ドローした。
「へっ、いくぜ!俺は手札から切り込み隊長を召喚!」
四郎の場に二刀の剣を持った、歴戦の戦士が現れる。
切り込み隊長 ATK/ 1200 DEF /400
「さらに、切り込み隊長の効果を発動!このカードが召喚に成功した時、手札からレベル4以下のモンスターを1体特殊召喚できる。俺はその効果により、チューン・ウォーリアーを特殊召喚!」
今度は色んな所にメーターの付いている赤色の戦士が現れる。
チューン・ウォーリアー ATK /1600 DEF/ 200
「へっへぇ、このカードはただのモンスターじゃねぇんだぜ?このカードは「チューナーなんでしょ。そんくらい分かってるよ。」こんの餓鬼!俺はレベル3の切り込み隊長に、レベル3のチューン・ウォーリアーをチューニング!」
チューン・ウォーリアーが3つの光の輪となり、切り込み隊長がその3つの輪の中に入る。
切り込み隊長の体が半透明となり、その後、切り込み隊長のレベルと同じ数の3つの玉となり、そこから光が溢れだした。
「荒ぶる獣の牙もて捕獲せよ!シンクロ召喚!レベル6!《ゴヨウ・プレデター》!」。
四郎のフィールドに十手を持った凶暴なモンスターが現れた。
ゴヨウ・プレデター
シンクロ・効果モンスター
星6/地属性/戦士族/攻2400/守1200
チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上
「ゴヨウ・プレデター」の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):このカードが戦闘で相手モンスターを破壊し墓地へ送った時に発動できる。
そのモンスターを自分フィールドに特殊召喚する。
この効果で特殊召喚したモンスターがプレイヤーに与える戦闘ダメージは半分になる。
「ハッハッハァ!どうだ!これがシンクロ召喚だ!」
「(どうだと言われてもなぁ…… )」
正直シンクロ召喚の演出には興奮したが、出てきたモンスターはあの赤い権力の殆ど下位互換のようなモンスターだし…と、非常に複雑な心境である。
「(まっ、取りあえず)」
「トラップカード発動!
「は、針虫の巣窟?」
針虫の巣窟
通常罠
(1):自分のデッキの上からカードを5枚墓地へ送る。
この場にいる全員が静まりかえる
「(…あ、あれ?何でみんな固まってんの?)」
すると
「「「「「ワハハハハハハww」」」」」
と、デュエル中の強盗全員が笑う。
「な、何が可笑しいんだよ。」
まさか、何か知らない内にやらかしたか?と出雲は焦る。
「な、何でってww」
「そんなメリットの無いカードw」
「使ってる奴がいるなんてw」
「知らなかったぜw」
「あー腹痛いww」
「………ハッ?」
「(こいつらは何を言っているんだ?確かに普通のバニラのデッキとか墓地利用しないデッキならやる意味は精々デッキ圧縮位だろう。だけど墓地利用をバンバンするデッキにとっちゃメリットの塊みたいなカードだぞ。……まあ採用率は低いけど。)」
そんな事を思いながら、出雲はデッキから5枚墓地に送る。
墓地に送られたカード
・
・
・
武神器―ハチ
武神器―オキツ
武神器―サグサ
「(お、良い感じに落ちたな。)」
出雲は落ちたカードを見てそう思った。
「へっ、俺は手札から永続魔法、連合軍を発動!」
連合軍
永続魔法
自分フィールド上の戦士族モンスターの攻撃力は、
自分フィールド上の戦士族・魔法使い族モンスターの数×200ポイントアップする。
「このカードの効果により、俺の場のゴヨウ・プレデターの攻撃力が200ポイントアップする!」
ゴヨウ・プレデター ATK/2400➡2600
「俺はカードを2枚伏せてターンエンド。」
四郎
LP4000
手札…無し
フィールド……ゴヨウ・プレデターATK/2600 DEF/1200
永続魔法…連合軍
セットカード……2枚
「俺のターンドロー!」
恐らく三郎と思われる人物がカードを引く。
三郎
LP4000
手札…6枚
「俺はリロードを発動!」
先程の四郎と同じ様に5枚のカードを戻した後、同じ枚数ドローする。
「俺は手札から切り込み隊長を召喚!その効果によりチューン・ウォーリアーを特殊召喚!2体でチューニング!
こい、ゴヨウ・プレデター!」
ゴヨウ・プレデター ATK /2400 DEF /1200
「ちっ、またか。」
「(だがどれだけ並んでも攻撃力は2000台。警戒するまでもない。)」
そんな出雲の心の声に反応するかのように三郎はニィと笑う。
ゴヨウ・プレデター ATK/2400➡2800
ゴヨウ・プレデター ATK/2600➡2800
「なっ!」
あり得ない……と、口にする前に出雲は思考する。
「(この状況であり得る可能性は何だ?考えろ!)」
目の前にある全ての不可能を除去し、残った只1つの真実は、例えどんなに奇妙な物だったとしても真実である。……A君が前に言っていた言葉だ。そして出雲はある1つの仮説を建てる。
「お前ら……まさか!」
「ほおぅ……気づくのが早いな。そうだ、俺等のデュエルディスクは少々壊れていてな。」
「例えバトルロワイアルだったとしても、」
「同じ波長を出しているディスクが近くにあれば」
「ある一定のカード効果をそいつのフィールドに及ぼす事が出来るんだよ。」
「ちっ、何が壊れているだ!んなもんイカサマじゃねぇか!」
「おぉっと、お前が4人一辺にデュエルするなんて言わなきゃこんな事にはならなかったんだぜ?」
「くっ、」
「(まさかこんな手があったとは。)」
「出雲君……」
「あいつら、またあんな手を………」
「さぁ、まだまだいくぜ餓鬼!俺も手札から連合軍を発動!」
ゴヨウ・プレデター ATK/2800➡3200
ゴヨウ・プレデター ATK/2800➡3200
「もう3000越えか。」
依然として強盗団達はニヤニヤしている。
「さぁ、次は俺のターンだ!」
ミスや批評等あれば感想下さい。