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それでは今回もよろしくお願いします。
「あー、なるほど。それで本番で実力が発揮できなかったと」
「うん……」
絵里が恥ずかしそうに俯く。
どうやらこのポンコツ残念な彼女は、受験日を間違えていたらしい。前日を二日前と勘違いしていたとか。二日前に完徹で勉強して、前日はアニメを見てゆっくりするつもりだったらしいが、一日ずれて、完徹でそろそろ寝ようとしていた時に、亜里沙に叩き起こされ試験会場へ。受験中は眠さとアニメの事で頭が一杯で、その出来は散々だったようだ。
「電話出なかったのは何でですか?」
「……ショックだったから。ちなみに亜里沙は雪穂さんの家に電話を置き忘れていたらしいわ」
「……じゃ、じゃあ、チケットとパンフレットは?」
「受験に失敗した事を両親に報告したら、一年は許すけど、次失敗したら、こっちの学校に入学しろって……それとお祖母さまが会いたがってるから帰ってこいって」
「…………」
東條さん……騙しやがったな。
いや、写真送ってきただけだが、これは紛らわしすぎる。狙ってただろ、絶対に。
「あはは……心配させてごめんね」
「まったくだ」
絵里の頭をがしがしと撫で、金色の髪をわしゃわしゃ混ぜっかえす。
「こ、こらぁ。やめなさい!」
「すんません。もう少しだけ」
「もう……しょうがないんだから」
頬を赤らめる絵里の表情に、ついついいつまでもこうしていたくなる。
「ねえ、八幡」
「はい」
「わ、私って……もう、比企谷絵里なのかしら?」
「……あ、ああ」
「今……躊躇わなかった?」
「いえそんなことはありませんとも」
結局、ただの浪人生活スタートだったわけだし。
つーか、さりげなく立場が入れ替わっている。
「あ~!『結局ただの浪人生活スタートだったわけだし。』とか考えたぁ!ひどい!」
いきなり俺を近くの部屋に押し込み、さらに押し倒して馬乗りになった。
「っ!ちょ、ちょっと、おい、絵里?」
「観念するチカ。このまま最後までいくチカ」
や、やばい。この人、目がいってる。
「あの~、新婚さん?そろそろええかな?」
「「!?」」
そこにはμ'sのメンバーが集結していた。
「まったく……せっかく許してもらったんだから、いきなり問題起こすんじゃないわよ」
「はい……」
「そういえば絵里ちゃん、浪人するんだよね。じゃあ、大学で私達と同級生に」
「やめてやめてやめて~!」
絵里は両耳を押さえ、ポニーテールを暴れさせる。何かこう……不憫だ。かしこいエリーチカは当分の間、使われはしないだろう。
「絵里……い、一緒に頑張りましょう」
「大体、欲張りすぎなんよエリチは。一人で色んな属性つけて」
「な、何の事?」
「ポンコツ」「残念」「人妻」「浪人生」
「……か、かしこい、可愛いは?」
全員がサッと目を逸らした。てか自分で言いやがったよ、この人。
「チカ~~~~~!!!!!」
ポンコツで残念な人妻浪人生(クォーター)の絶叫が音乃木坂学園の校舎内に響き渡った。
「あの……皆、そろそろいいかしら」
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