捻くれた少年と強がりな少女   作:ローリング・ビートル

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 最終章突入しました!

 それでは今回もよろしくお願いします。


I'm in love ♯3

 

『ニューヨーク!?』

 理事長の言葉に、μ'sメンバーが皆一様に驚きを口にする。μ'sに直接の関係がない俺も、内心驚いていた。

 まず舞い込んできたニュースはラブライブの東京ドーム開催。

 こちらは、前回優勝のA-RISEと今大会優勝のμ'sの活躍によるものが大きいらしい……優木あんじゅさんは元気だろうか『チカ』いや、何でもないです、はい。

 次に、東京ドーム開催をより盛り上げる為に、さらなる知名度アップを狙っての海外ライブ。

 これを世界中に配信して、スクールアイドルをさらに多くの人々に認知してもらうという狙いがあるようだ。

 理事長の方へ、メンバーが身を乗り出す。

「ほ、本当にタダで行けるんですか!?」

「ええ、そうよ」

「ライブをする場所は私達で決めていいんですか!?」

「ええ、そうよ」

「ひ、人妻浪人生も参加していいんですか?」

「エリチ」

「アンタ……」

 止めて!もう残念感のある発言はしないで!本当にポンコツだと思われちゃうから!

「だ、大丈夫じゃないかしら?」

 理事長さんの目がこちらに向く。何故かμ'sのメンバーの目もこっちを向いた。おい、やめろ。こっちに振るな。いや、人妻とか言い出したのは俺の責任だけど。

 どうやら、まだまだ騒がしい日々が続きそうだ。

 

 とりあえず、絵里の家へ向かう事にした。

「ロシア行きはどうするんですか?」

「ラブライブ関連の事が終わってからにするわ。さすがに私一人だけ何もしないとか……寂しいじゃない」

「…………」

 正直に言ったな……。

「八幡。新婚旅行はまだ先になりそうね」

「そ、そうですね……」

 いきなりの話題変更に戸惑いながら、少し先の未来へ思いを馳せる。行き先はロシアになるのだろうか。まあ、それも悪くない。一人なら絶対に行かないだろうから。寒そうだし。MAXコーヒーないし。

 結婚に関する話で、ある事を思い出した。

「そういや……」

「何?」

「悪い……指輪、まだ買えそうもない」

 プロポーズした割に、指輪の事を考えていなかった。しかし、思い出したからといって、すぐに買えるものでもないのだが。高校生の小遣い程度では、本当の安物しか買えない。

「ふふっ。別にいいわよ。その代わり……」

 絵里は俺の左腕にしがみつき、耳元に唇を寄せた。

「今日は……ずっと傍にいてね?」

 体だけではなく、心をくすぐるような甘い囁きに、鼓動が跳ね上がり、外だという事を忘れて、抱きしめたくなる。

「……あんまりそういう事言われると、抑えきれなくなるからな」

「い、いいわよ?どんと来なさい!」

「お、おう……」

 俺が言うのもなんだが、もっとムードのある言葉は選べないのだろうか。前振りまではよかったのに……。

「どうしたの?ニヤニヤして」

「いや、何でもない」

 まあ、こっちの方が俺達らしいのかもしれない。

 

 

 





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