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それでは今回もよろしくお願いします。
金曜日、夜。
俺はまた絢瀬さんと電話越しに会話していた。
「え、八幡君も部活に入ったの?何部?」
「…………奉仕部です」
「へえ、ボランティアとかやるの?」
「まあ、似たようなもんですかね」
「似たような?」
「なんつーか、アレです。誰かの問題解決をするんじゃなくて問題解決の仕方を教える、みたいな活動ですよ」
「へえ、素敵な内容ね。ちなみに部員はどれくらいいるの?」
「俺を含めて二人ですね」
「ふ、二人?へえ、男の子二人っていうのも寂しいわね」
「いや、もう一人は女子でそいつが部長です」
「…………八幡君、それは本当なのかしら」
「はい」
「もう一度よく考えてみて、それは八幡君の妄想が生み出した、八幡君にしか見えないものかもしれないわよ」
「いや、ないですから。どんだけ欲求不満なんですか、俺は」
「ど、どど、どんな子?」
「…………クールで口が悪い、ですかね?」
「クールか……私と被るわね」
「…………」
「見た目はどんな感じかしら?」
「な、何故そんな事を……」
「ガールフレンド(仮)として念の為よ、念の為。言わないと月に代わってお仕置きするわよ」
「そっちの方が金髪で被ってるじゃないですか………顔は学校で一番美人って言われてますね」
「また被ってるじゃない!」
「……すげえな、この人」
「あとはそうね…………スタイルはどうかしら?」
「そこまでがっつり見てないんですけど、いいんじゃないですかね。スラリとしているって表現がしっくりくるタイプかと」
「……中々の伏兵ね」
「いや、伏せられてた訳じゃないと思いますが。それに興味とかないですよ」
「ならOK」
「切り替えはやっ!」
「八幡君、今月末にデートしましょう」
「いきなり話題も変えてきましたね」
「場所は……遊園地とかどうかしら?」
「えーと、じゃあその内……」
「わかったわ。当日は迎えに行くわね」
「聞いてねえ……」
「私、お弁当作っていくから!」
「……料理出来るんですか?」
「し、失礼ね!出来るわよ!」
「じゃあ……よろしくお願いします」
「既に色んなシチュエーションを考えてあるわ」
「そ、そういうのは口に出さない方がいいんじゃないですかね」
「あら、そうかしら。じゃあサプライズが沢山……むしろサプライズしかないぐらいだから、楽しみにしておくといいわ」
「言ったらサプライズじゃないですよ」
「…………」
「…………」
「エリチカもう寝る!」
今夜もまた、いきなり電話が切れた。
俺は溜息を吐き、ベッドに寝転がる。
まだ出会ってそんなに経ってないはずなのに、自分にしては自然と会話が成り立っている気がする。たまに絢瀬さんは人の話を聞かないけど……勝手に予定を入れられたけど……。
ただこの春の嵐にこれまでの日常を引っ掻き回されるのは、決して悪い気分ではない。それだけは断言できる。……さすがにプリキュアの恰好で会いに来るのはやめて欲しいけど。
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