捻くれた少年と強がりな少女   作:ローリング・ビートル

22 / 120
JUST FINE

 

 金曜日、夜。

 俺はまた絢瀬さんと電話越しに会話していた。

「え、八幡君も部活に入ったの?何部?」

「…………奉仕部です」

「へえ、ボランティアとかやるの?」

「まあ、似たようなもんですかね」

「似たような?」

「なんつーか、アレです。誰かの問題解決をするんじゃなくて問題解決の仕方を教える、みたいな活動ですよ」

「へえ、素敵な内容ね。ちなみに部員はどれくらいいるの?」

「俺を含めて二人ですね」

「ふ、二人?へえ、男の子二人っていうのも寂しいわね」

「いや、もう一人は女子でそいつが部長です」

「…………八幡君、それは本当なのかしら」

「はい」

「もう一度よく考えてみて、それは八幡君の妄想が生み出した、八幡君にしか見えないものかもしれないわよ」

「いや、ないですから。どんだけ欲求不満なんですか、俺は」

「ど、どど、どんな子?」

「…………クールで口が悪い、ですかね?」

「クールか……私と被るわね」

「…………」

「見た目はどんな感じかしら?」

「な、何故そんな事を……」

「ガールフレンド(仮)として念の為よ、念の為。言わないと月に代わってお仕置きするわよ」

「そっちの方が金髪で被ってるじゃないですか………顔は学校で一番美人って言われてますね」

「また被ってるじゃない!」

「……すげえな、この人」

「あとはそうね…………スタイルはどうかしら?」

「そこまでがっつり見てないんですけど、いいんじゃないですかね。スラリとしているって表現がしっくりくるタイプかと」

「……中々の伏兵ね」

「いや、伏せられてた訳じゃないと思いますが。それに興味とかないですよ」

「ならOK」

「切り替えはやっ!」

「八幡君、今月末にデートしましょう」

「いきなり話題も変えてきましたね」

「場所は……遊園地とかどうかしら?」

「えーと、じゃあその内……」

「わかったわ。当日は迎えに行くわね」

「聞いてねえ……」

「私、お弁当作っていくから!」

「……料理出来るんですか?」

「し、失礼ね!出来るわよ!」

「じゃあ……よろしくお願いします」

「既に色んなシチュエーションを考えてあるわ」

「そ、そういうのは口に出さない方がいいんじゃないですかね」

「あら、そうかしら。じゃあサプライズが沢山……むしろサプライズしかないぐらいだから、楽しみにしておくといいわ」

「言ったらサプライズじゃないですよ」

「…………」

「…………」

「エリチカもう寝る!」

 今夜もまた、いきなり電話が切れた。

 俺は溜息を吐き、ベッドに寝転がる。

 まだ出会ってそんなに経ってないはずなのに、自分にしては自然と会話が成り立っている気がする。たまに絢瀬さんは人の話を聞かないけど……勝手に予定を入れられたけど……。

 ただこの春の嵐にこれまでの日常を引っ掻き回されるのは、決して悪い気分ではない。それだけは断言できる。……さすがにプリキュアの恰好で会いに来るのはやめて欲しいけど。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。