捻くれた少年と強がりな少女   作:ローリング・ビートル

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SOUL LOVE ♯4

 

 金曜日、夜。

 俺はまた絢瀬さんと電話越しに会話していた。

「え、八幡君も部活に入ったの?何部?」

「…………奉仕部です」

「へえ、ボランティアとかやるの?」

「まあ、似たようなもんですかね」

「似たような?」

「なんつーか、アレです。誰かの問題解決をするんじゃなくて問題解決の仕方を教える、みたいな活動ですよ」

「へえ、素敵な内容ね。ちなみに部員はどれくらいいるの?」

「俺を含めて二人ですね」

「ふ、二人?へえ、男の子二人っていうのも寂しいわね」

「いや、もう一人は女子でそいつが部長です」

「…………八幡君、それは本当なのかしら」

「はい」

「もう一度よく考えてみて、それは八幡君の妄想が生み出した、八幡君にしか見えないものかもしれないわよ」

「いや、ないですから。どんだけ欲求不満なんですか、俺は」

「ど、どど、どんな子?」

「…………クールで口が悪い、ですかね?」

「クールか……私と被るわね」

「…………」

「見た目はどんな感じかしら?」

「な、何故そんな事を……」

「ガールフレンド(仮)として念の為よ、念の為。言わないと月に代わってお仕置きするわよ」

「そっちの方が金髪で被ってるじゃないですか………顔は学校で一番美人って言われてますね」

「また被ってるじゃない!」

「……すげえな、この人」

「あとはそうね…………スタイルはどうかしら?」

「そこまでがっつり見てないんですけど、いいんじゃないですかね。スラリとしているって表現がしっくりくるタイプかと」

「……中々の伏兵ね」

「いや、伏せられてた訳じゃないと思いますが。それに興味とかないですよ」

「ならOK」

「切り替えはやっ!」

「八幡君、今月末にデートしましょう」

「いきなり話題も変えてきましたね」

「場所は……遊園地とかどうかしら?」

「えーと、じゃあその内……」

「わかったわ。当日は迎えに行くわね」

「聞いてねえ……」

「私、お弁当作っていくから!」

「……料理出来るんですか?」

「し、失礼ね!出来るわよ!」

「じゃあ……よろしくお願いします」

「既に色んなシチュエーションを考えてあるわ」

「そ、そういうのは口に出さない方がいいんじゃないですかね」

「あら、そうかしら。じゃあサプライズが沢山……むしろサプライズしかないぐらいだから、楽しみにしておくといいわ」

「言ったらサプライズじゃないですよ」

「…………」

「…………」

「エリチカもう寝る!」

 今夜もまた、いきなり電話が切れた。

 俺は溜息を吐き、ベッドに寝転がる。

 まだ出会ってそんなに経ってないはずなのに、自分にしては自然と会話が成り立っている気がする。たまに絢瀬さんは人の話を聞かないけど……勝手に予定を入れられたけど……。

 ただこの春の嵐にこれまでの日常を引っ掻き回されるのは、決して悪い気分ではない。それだけは断言できる。……さすがにプリキュアの恰好で会いに来るのはやめて欲しいけど。

 





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