「ただいま~」
「二人共、アイス買ってきたよ~……どしたの?」
シスターズが揃って怪訝そうな目を向けてくる。
「いや……何でも……」
「そ、そうよ……何でも、ないわ……」
あの後、20回もツイスターゲームをしたので、体力が残っていない。普段使わない筋肉を使ったせいか、疲労感が半端じゃない。体の柔らかい絢瀬さんでも割としんどかったようだ。…………何より絢瀬さんがタンクトップに短パンだから、色々と目の毒だし、結構体が触れ合って心臓に悪い。やはりそう簡単に慣れるものではない。リトさんを見てみろよ。
「もしかして絵里さんに変な事してたの?」
「し、してねーし」
むしろされてる側のような気がする。
「ごめんなさい、八幡さん。ウチのお姉ちゃんが……」
「亜里沙、待ちなさい。何故真っ先に私を疑うの?」
あぁ、体痛い。
*******
「そういえばお姉ちゃん。そろそろ帰らなきゃね」
「「え?」」
アイスを食べ終えた亜里沙が言うと、二人が驚いた反応を見せた。ちなみに二人とは言うまでもなく、アイスを美味しそうに頬張る絢瀬さんと小町である。
「もう少しいてもいいんじゃない?」
「そ、そうよ!まだやりたい事が……」
「お姉ちゃん、明日から朝練があるんでしょ?」
「はい……」
「それに、あんまり恥ずかしい姿見せてたら、タイトルが『捻くれた少年とポンコツ可愛い少女』になっちゃうよ?」
それはもう手遅れな気がする。
「亜里沙がポンコツって言った……はあ、このままカマクラちゃんとこの家で養われていようかしら」
絢瀬さんは比企谷家のペットな彼女になろうとしていたが、そうはいかない。
「残念ながら、それは俺のポジションです」
安々とこのポジションを譲るわけにはいかない。
「そんな事堂々と宣言しないでよ、ゴミぃちゃん」
「あはは……」
シスターズは割とガチでドン引きしていた。
しかし絢瀬さんは俯いて、何やらブツブツ呟いている。
「なるほど……なら将来はなるべくお給料の高い仕事について……」
……聞かなかった事にしておこう。
美人で俺を養ってくれるとか、このままじゃ本気で惚れてしまいそうだ。気を確かに、八幡!
「あの……」
亜里沙がおずおずと手を上げる。
「どした?」
「実は来月、私の誕生日なんです」
「え、そうなの!?」
「なので、良かったら、今度は二人が泊まりに来ませんか?」
「わあ、行きたい行きたい!いいよね、お兄ちゃん!?」
「……まあ、その時にならんとわからんが、祝うぐらいはしたいな……」
あまりいい予感はしないが、こうして小町も仲良くしてもらっているし、祝いたい気持ちはある。
「ほら、お姉ちゃんも!」
「え~っと、就職先は千葉がいいかしら?いや、都心でもここから通えるかしら?」
「「「…………」」」
駄目だこの人……はやく何とかしないと……。