捻くれた少年と強がりな少女   作:ローリング・ビートル

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GLOBAL COMMUNICATION ♯3

 何事もなく……はないが、ゴールデンウィークを終え、再び学校生活が始まる一昨日から昨日までが騒がしかったせいか、やけに穏やかに晴れた朝だ。周りの生徒達がゴールデンウィークに起こった出来事などを話し合ったりして賑やかだが、それすらも小鳥の囀りみたいに聞こえる。周りに誰もいなければ、両腕を広げて深呼吸をしたい気分だ。

 来月…………か。

 絢瀬姉妹からお泊まりの誘いを受けたが、どうしたものか。いや、行くしかないだろう。どうせ絢瀬さんの事だから、行かないなんて言ったら、またこっちに泊まりにくるだけだろうし。

 

「ヒッキー、おはよう!」

 

 またツイスターゲームをやるのだろうか。あれ、結構しんどいんだけど。まだ体が痛いし。

 

「ねえ、ヒッキー!」

 

 また……キス……するのだろうか。

 

「ヒッキーってば!」

 

 いきなり背中をバシッと叩かれる。衝撃で前につんのめりそうになった。

 

「……てて。はあ?」

「無視しないでよ!朝の挨拶は大事だよ!」

 

 そう言ってぷんすか怒る女子は腰に手を当て、こちらを軽く睨んでいる。…………誰だっけ?

 茶髪、お団子……胸……やっぱり見覚えはない。胸を見る限り、絢瀬さんの変装とかではないようだ。こんな心配しなきゃいけなくなるとか、あの人どんだけなんだよ……。

 

「ジ、ジロジロ見るなし!この変態!」

「うるせえよ、このビッチ」

「な…………ビッチじゃないし!マジありえない!」

 

 由比ヶ浜の声が割と大きいせいか、周りの視線がこちらに集中する。ヒソヒソと話す声も聞こえてきた。

 

「また、あいつかよ……」

「本当に巨乳好きね……乳谷君と呼んで上げようかしら」

「ちくしょう……ぼっちの癖に」

「まただわ!また修羅場よ!」

 

 俺は人の視線に晒される事については耐性が少しはあるが、由比ヶ浜はそうでもないらしく、頬を赤く染める。

 

「と、とりあえず来て!」

 

 いきなり手を掴まれ、すたこらさっさとその場を後にした。

 

 *******

 

「むむっ!」

 

 今、ポニーテールが反応したわ。

 まあ、それは冗談として……

 今、彼の方から良からぬ気配がしたわ……。

 それも中々の戦力ね。

 

「どうしたんですか?絵里」

「いえ、胸なら私の方が大きいわ」

「何の話ですか!?」

「絵里ちゃん、ダメだよ!海未ちゃん、気にしてるんだから」

「ほ、穂乃果まで……あなただって大して変わらないでしょう!?」

「あんた達、まだまだ子供ねえ。女の魅力はそこだけじゃないのよ」

「「ほっ……」」

「なぁによ!!そのリアクション」

「ねえ、私達本当に大丈夫なの?」

「絵里ちゃん……あんなキャラなんだ……」

「第一印象と違いすぎるにゃ~」

「ふふふ……次はどんなサプライズをしかけようかしら」

「エリチ、はよせんと遅刻するよ」

「はい」 


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