それでは今回もよろしくお願いします!
「なあ……」
「「何?」」
二人して返事した後に睨み合う。あれ、何だろう?火花が飛び散っているんだけど、錯覚かしら。
「そろそろ自分で歩きたいんだけど……」
「「嫌……なの?」」
「実は二人共、仲いいんですよね?そうなんですよね?」
左右からそんな切なそうな声をかけられては、あまり強く出れない。というわけで胸が当たってるのも仕方ないよね!いや、それより……
「今から何をするんでしょうか……」
どちらに聞くでもなく疑問を口にする。すると、二人はピタリと足を止めた。
「「…………」」
どちらも考えていないようだ。この二人、裏で繋がってたりしないよね?
「見~つけたっ♪」
明るい関西弁と共に、背後から柔らかな衝撃がくる。
「だ、誰ですか?」
「の、希!?」
絢瀬さんのを表情が驚愕に染まる。どうやら一緒に来たわけではないらしい。
しかし……そうか、この背中の凄まじい柔らかさは……。
「ど~んっ♪」
背後に気を取られていると、正面から小柄な女の子が抱きついてくる。この色素の薄い金髪は……
「……亜里沙か」
「えへへ~」
亜里沙は俺にしがみついたまま、にっこりと笑顔を見せてくる。……発展途上だな。今後に期待といったところか。も、もちろん身長の話だよ?
「八幡君、モテモテやなぁ~♪」
「どういう事なの?八幡さん♪」
言い方のニュアンスからして、この状況を楽しんでいる気がするが、それはさておき……動けない。
自分がモテ期に突入したんじゃないかと、勘違いしてしまいそうなこの感触。混ざり合った甘い香りで、頭の中がクラクラしてくる。これを読者に詳しくお伝えできないのが残念なくらいだ(棒読み)。
これは幸福なのかもしれないが、たまに通り過ぎる人の冷たい視線にそろそろ耐えきれそうにない。既に明日の登校が不安で仕方ない。
「あの……そろそろ……」
「ふふっ♪」
「は~い」
東條さんと亜里沙がぱっと離れ、数秒経ってから、渋々といった表情で絢瀬さんと由比ヶ浜が離れる。
ようやく体が自由になった事に安堵し、腕を軽く回してストレッチをする。べ、別に名残惜しいとか思ってねーし!
体に残る柔らかさに静かな別れを告げながら、ひとまず現状を理解する事にした。
「えっと……二人は何でここに?」
「エリチが練習終わったら途端に全速力でいなくなったから、何かしでかすと思ってついてきたんよ」
「私も……お姉ちゃんが帰ってくるなり、ものすごい速さでシャワー浴びて、勝負服着て出かけるから……」
「え?私、そんなに速かったかしら?い、いつも通りよ!」
部活動やってから来たのか。どんだけ速いんだよ。
「ヒ、ヒッキー……その人達は……」
そういえばまだ絢瀬さんと由比ヶ浜ですら自己紹介していない。
俺は溜息をつき、紹介を済ませる事にした。
今日の夜にまた更新します!
読んでくれた方々、ありがとうございます!