捻くれた少年と強がりな少女   作:ローリング・ビートル

41 / 120
 感想・評価・お気に入り登録・誤字脱字報告ありがとうございます!

 それでは今回もよろしくお願いします!


サバイバル ♯3

「なあ……」

「「何?」」

 二人して返事した後に睨み合う。あれ、何だろう?火花が飛び散っているんだけど、錯覚かしら。

「そろそろ自分で歩きたいんだけど……」

「「嫌……なの?」」

「実は二人共、仲いいんですよね?そうなんですよね?」

 左右からそんな切なそうな声をかけられては、あまり強く出れない。というわけで胸が当たってるのも仕方ないよね!いや、それより……

「今から何をするんでしょうか……」

 どちらに聞くでもなく疑問を口にする。すると、二人はピタリと足を止めた。

「「…………」」

 どちらも考えていないようだ。この二人、裏で繋がってたりしないよね?

「見~つけたっ♪」

 明るい関西弁と共に、背後から柔らかな衝撃がくる。

「だ、誰ですか?」

「の、希!?」

 絢瀬さんのを表情が驚愕に染まる。どうやら一緒に来たわけではないらしい。

 しかし……そうか、この背中の凄まじい柔らかさは……。

「ど~んっ♪」

 背後に気を取られていると、正面から小柄な女の子が抱きついてくる。この色素の薄い金髪は……

「……亜里沙か」

「えへへ~」

 亜里沙は俺にしがみついたまま、にっこりと笑顔を見せてくる。……発展途上だな。今後に期待といったところか。も、もちろん身長の話だよ?

「八幡君、モテモテやなぁ~♪」

「どういう事なの?八幡さん♪」

 言い方のニュアンスからして、この状況を楽しんでいる気がするが、それはさておき……動けない。

 自分がモテ期に突入したんじゃないかと、勘違いしてしまいそうなこの感触。混ざり合った甘い香りで、頭の中がクラクラしてくる。これを読者に詳しくお伝えできないのが残念なくらいだ(棒読み)。

 これは幸福なのかもしれないが、たまに通り過ぎる人の冷たい視線にそろそろ耐えきれそうにない。既に明日の登校が不安で仕方ない。

「あの……そろそろ……」

「ふふっ♪」

「は~い」

 東條さんと亜里沙がぱっと離れ、数秒経ってから、渋々といった表情で絢瀬さんと由比ヶ浜が離れる。

 ようやく体が自由になった事に安堵し、腕を軽く回してストレッチをする。べ、別に名残惜しいとか思ってねーし!

 体に残る柔らかさに静かな別れを告げながら、ひとまず現状を理解する事にした。

「えっと……二人は何でここに?」

「エリチが練習終わったら途端に全速力でいなくなったから、何かしでかすと思ってついてきたんよ」

「私も……お姉ちゃんが帰ってくるなり、ものすごい速さでシャワー浴びて、勝負服着て出かけるから……」

「え?私、そんなに速かったかしら?い、いつも通りよ!」

 部活動やってから来たのか。どんだけ速いんだよ。

「ヒ、ヒッキー……その人達は……」

 そういえばまだ絢瀬さんと由比ヶ浜ですら自己紹介していない。

 俺は溜息をつき、紹介を済ませる事にした。




 今日の夜にまた更新します!

 読んでくれた方々、ありがとうございます!

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。