セイレン……今日子可愛いですね!
それでは今回もよろしくお願いします。
「さあ、マスター!」
「え?……あ、ちょっ……!」
セイバー……ではなく、絵里さんは俺の手を引き、思いきり駆けだした。てか、力強ぇ!足速ぇ!こちらはついていくのでやっとだ。正直照れくさい。
「セ・イ・バー!セ・イ・バー!」
応援席も謎の美少女騎士の登場に盛り上がっている。いや、俺への応援はなしかよ。別にいいんだけどさ。
そのままぶっちぎりの1位でゴールテープを切り、絵里さんは満面に笑みを浮かべた。
「ハラショー♪」
「……ハラショー」
どちらからともなく拳を突き合わせる。
「いつからいたんですか?」
「もちろん朝からよ!」
「その恰好は?」
「……な、何かに使えるかな~って思ったのよ!」
「その……助かりました」
「たまたまよ。希が八幡君のカードに細工をしている男子を見つけたの」
「東條さんもいるんですか?」
「ほら、あそこ……」
絢瀬さんが指差した方向に目を向ける。
「ほら、あんま無理したらあかんよ?」
「ひゃ、ひゃい!」
「ふふっ。頑張り屋さんなんだから」
「は、はい!あざっす!」
救護班にそれは見事なエロドクターがいた。つーか、誰かツッコめよ。
東條さんがミニスカートから伸びた脚をすらりと組み替え、大きく伸びをして胸を強調すると、男子達は途端に中腰になる。何ともわかりやすいごまかし方だ。
さらに向こうでは、ヘッドスライディングをして、わざと擦り傷を作ろうとしている輩がいる。おい、体育教師。混じってんじゃねえよ。……教頭もいるだと?校長も羨ましそうに見てんなよ。
女子達はそちらにゴミを見るような目を向けていた。葉山も苦笑いで、中腰の大和とヘッドスライディングをしている大岡を見ている。ちっ!葉山が中腰になるか、スライディングでもやって擦り傷作ろうとしていれば、笑えたのに。赤組の奴が多いから笑うに笑えない。
「さあ、それではセイバーさんのステージですっ!どうぞ!」
「は?」
「え?」
放送席を見ると、城廻先輩がグッと親指を立てている。……あれか。絵里さんの登場を俺が考えたサプライズとか思っちゃってんのか。俺にとってもかなりのサプライズなんだが。
「絵里さん。城廻先輩には俺から言っときますんで……って、あれ?」
絵里さんはいつの間にかお立ち台の上に立っていた。
「皆ー!楽しんでるー!?」
『イエーイ!!!!』
何故かノリノリの絵里さんは、無駄に上手く、無駄に似たような声で、『only my railgun』を歌いきり、その場を去って行った。
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