捻くれた少年と強がりな少女   作:ローリング・ビートル

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 最終回が少しずつ見えてきました。

 それでは今回もよろしくお願いします。


SPECIAL THANKS ♯4

「…………」

「…………」

 絵里さんの方をチラ見する。

 すると、こちらを見ていたらしい絵里さんは…べっと小さく舌を出し、そっぽを向いた。かと思えば、チラチラと横目でこちらを窺ってくる。頬はほんのりと紅いままだ。

「ねえ、あの2人どうしたの?」

「見てるこっちが恥ずかしいにゃ~」

「ふふっ。まあ、仲良さそうやからいいんよ。そっとしておこう?」

「あはは……ですよね」

「むぅ~、もう付き合っちゃえばいいのに」

「ほ、穂乃果!いきなり何を言い出すのですか!」

「はあ……あとちょっとだと思うんだけどなあ」

 色々と言われているが、あまり気にしないでおこう。それよか今は絵里さんだ。

 別に険悪な空気はない。

 ただ、お互い気恥ずかしいのだ。

 今までの関係性が変わろうとしているその事実に、今さらながら戸惑ってしまっている二人がそこにいた。

「絵里さん」

 彼女だけにしか聞こえないように小さく呼びかける。あまり引き延ばしたら、言葉がどこかに逃げてしまいそうな気がした。

「な、何?」

「その……俺、今度修学旅行で京都に行くんですよ」

「うん……」

「帰ったら……お土産渡しに行きます」

「……楽しみにしてるわね」

「その……それと……言いたい事があります」

「……ついでなの?」

 不満そうに頬を膨らます。

「いや、そういう訳じゃなくて!」

「ふふっ、冗談よ。ちゃんと聞かせてね。……あなたの本当の気持ち」

 どこか満足そうに微笑んだ絵里さんはほんの一瞬だけ、手をきゅっと握り、メンバーの輪の中へと戻った。

 握られた手には、微かな温もりとひんやりした感触の二つが、何の矛盾もなく残っていて、心を何度も揺さぶっていた。もう一度、その手に触れたい衝動に駆られながら、ポケットに手を突っ込み、その気持ちを宥めた。

「…………」

「!」

 そんな俺の様子を絵里さんがこっそり見ている事に気づき、つい焦って、あらぬ方向を向き、平静を装う。

 や、やべえ。今さらになって、絵里さんを意識しすぎている。つーか、さっきまでの俺はどこへ行った?

「うんうん。青春やね、少年」

 いつの間にか近くにいた東條さんがうんうんと頷いていた。

「うおっ、びっくりしたぁ……い、いきなり何ですか?」

「いや、比企谷君がエリチみたいな顔しとったから、ついからかいたくなっただけやよ」

「全然似てないっすけどね」

「似とるよ。もう、お互いにメロメロやね」

「メロメロって……」

 東條さんはそっと俺の腕をとる。豊満すぎる胸が押しつけられ、体がびくっと反応した。な、何だよ、この感触……。

 東條さんは悪戯っぽい笑みで絵里さんの方を指差す。

「それにほら、あんないい顔しとるやろ?」

「え?」

 絵里さんはこちらを涙目で睨みつけていた。

「ふんっ!」

 また絵里さんの怒りを買ってしまったようだ……東條希~~~~~!!!

 





 読んでくれた方々、ありがとうございます!

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