絵里編、劇場版の所までやります!
誤解があったようで、申し訳ないです。
それでは今回もよろしくお願いします!
「まったく、八幡はいやらしいんだから……」
「いえ、これは下心などではなくてですね、純粋に可愛い生き物を愛でるといいますか……」
そう。これはまさに不可抗力。亜里沙から『お兄ちゃん』と呼ばれて、心が震えない男などいるだろうか。いや、いないはずだ。そして、俺は合法的にその権利を手にしただけであって、そこに疚しい事など何一つない。
「頭の中で言い訳をこねくり回しているようね。ふぅ~ん」
キューティーパンサー絵里さんのジト目に体が震える。あれ?この前の甘い空気はどこへ行ったの?いや、俺が悪いんだけと……。いや、ここは心の平静を保つ為に、幸せな事を……
『お義兄ちゃん』
「あ、今いやらしい事考えた」
「そ、そんな事は……」
「観念するチカ」
「す、少しだけ……」
「チカ~!!」
「すいません!」
ひたすら謝る俺に、絵里さんは腕を組み、溜息を吐いた。
「……しょうがないわね。私が言ってあげる」
「は?」
今、聞き捨てならない事を言ったような……
「……お義兄ちゃんっ!」
「え~と、これがお土産なんですけど……」
「何かしら、その反応は?」
「……ふっ」
「な、何よ!私頑張ったのに!」
あ、危ねえ。何とか誤魔化せた。
やはり絵里さんが妹ぶるのはまちがっている。
その後は、しばらくお互いのお土産交換と、旅先での出来事を語り合った。まだ午前中という事もあり、時間を気にする必要もなかった。
そんな中、突然絵里さんが言いにくそうに、もじもじしている。
「ねえ、八幡」
「?」
「私達……こ、恋人になったのよね」
「……はい、なりましたね」
俺の返事を聞くや否や、絵里さんが唇を押しつけてくる。
「…………っ」
「…………んん」
息が止まるくらい甘く、気持ちが通じ合うくらいに深い時間に埋もれ、絵里さんを抱きしめる。
「こ、こんな風に何度もキスできるのよね!?制限なんてないのよね!?」
「……はい」
当たり前の事にしっかり頷くと、再びキスを交わし、お互いに抱きしめ、ベッドに転がる。その柔らかな笑顔を見ていると、自然とこちらも笑みが溢れた。
窓から射し込む朝の光に照らされた青い瞳が静かに揺れ、長い睫毛は少しだけ濡れている。
そして、胸の豊かな膨らみが、呼吸に合わせ、浅く上下して、こちらの欲求を掻き立てる。
「ふふっ。朝から何をやってるのかしらね。私達は」
「ま、まあ、誰も見ていないわけですし……」
もう一度キスをしようとすると……
「お姉ちゃん、そろそろいい?」
「「…………」」
「あの……ドア、開けっ放しだよ」
次の瞬間、絵里さんの『チカァ~!』という叫び声が、家中に響き渡った。
読んでくれた方々、ありがとうございます!