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それでは今回もよろしくお願いします。
「お義兄ちゃん。お姉ちゃんの巫女姿楽しみでしょ?」
「……あ、ああ。まあな」
やはりまだ『お義兄ちゃん』の威力は絶大のようだ。胸がきゅんと「チカ」いや、しっかりしろ俺。
小町の受験勉強のこともあり、年末年始は家で過ごそうと思っていたのだが、当の小町から絵里さんの巫女姿を拝んでこいと言われてしまった。
絵里さんは大晦日限定で東條さんのバイト先の神社を手伝っているらしい。まあ、小町の頼みだし……仕方ねーな。脳内に焼き付けるとしよう。
「そういや、亜里沙の友達は?」
「そろそろ待ち合わせ場所ですよ。あ、いた!」
亜里沙の声に気づいたその友達はこっちに駆け寄ってきた。
「亜里沙!あ、絵里先輩の彼氏の比企谷八幡さんですよね?私、亜里沙の友達の高坂雪穂といいます」
「あ、ああ……どうも」
「お義兄ちゃん、同級生と声が似てるからって慌てないで」
「…………」
「あ、そういえば、私も生徒会の人と声が似てるんですよね……せんぱ~い」
「よし、それまでだ。亜里沙」
変な所がポンコツな姉に似てきたようだ。
亜里沙にはこのまま真っ直ぐ育ってほしい。
神田明神は想像以上に混んでいて、危うく回れ右をして帰りそうになった。こんなに大量に人がいるのに、この中から俺みたいな謙虚な人間が新年の幸運を掠め取る事など不可能だ。いや、俺みたいに普段から端っこで生きてる謙虚な人間だからこそ……だめだ。今年は……
『八幡♪』
……これまでの人生で一番良いことがありすぎた。
「お姉ちゃん!」
「…………!」
仕事中の絵里さんを見つけた亜里沙は、子犬のように駆け寄り、思いきり抱きつく。その光景は、とても微笑ましいもので、このまま写真撮影してコンクールに出せば、
俺は言葉を失っていた。
「亜里沙。ふふっ、来てくれたのね」
「絵里先輩、こんばんは!」
「こんばんは、雪穂さん」
「…………」
「八幡?」
「…………」
「は、八幡、どうしたの?」
「え?あ、いや……」
やばい。
「顔、赤いわよ?風邪?」
似合いすぎている。
金髪と巫女服の組み合わせなのに、イロモノ感がなく、清楚な佇まいを保っていた。しかし、そのスタイルの良さから、やはりどこか扇情的で、目を逸らす事ができない。
絵里さんは不安そうな顔で、俺の額に手を置き、自分の額との温度を比べる。その手の冷たさが、冬なのにやけに気持ち良かった。
「熱は……ないわね」
「……大丈夫ですよ。それより……」
「?」
「すごく……似合ってると思う」
絵里さんは俺の言葉に、ポカンとした表情になった。
しかし、数秒後……
「~~~~!」
顔を一瞬で真っ赤にして、あたふたし始めた。
「も、もう!亜里沙や雪穂さんもいるのに!いきなり何言い出すのよ!」
「いや、絵里さんには言われたくないんですが……」
人前でプリキュアの恰好してキスしてくる人が今さら……
「むう……確かに」
「ねえ」
「どうしたの?」
亜里沙がスマートフォンの画面を見せてくる。
「二人共、もう新年迎えたよ」
「「あ」」
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