捻くれた少年と強がりな少女   作:ローリング・ビートル

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HOWEVER

 

「はい、お兄ちゃん!これ!」

 朝食中、小町が何かを差し出してくる。我が妹からもらうにしては、やけに丁寧にラッピングされた可愛らしい箱だ。

「……何だ、これ?」

 小町の性格からして、何か面倒な頼みがあるのかと、つい身構える。

 すると、小町はニッコリと無邪気な笑顔を見せた。

「バレンタインだよ!普段もらえないからって忘れちゃダメだよ。今年は彼女からもらえるんだから」

 その彼女とは、間違いなく絵里の事だろう。

 昨日、電話で楽しみにしていてと言われたので、かなり想像が膨らんでいるのだが。いや、やらしい事じゃないよ?ハチマン、ウソ、ツカナイ。

「ほら、朝からニヤニヤしないで!」

 小町が俺の手にチョコレートの入った箱を置く。

「ありがとな……何だ、これ?」

 箱に何やら紙がくっついている。

 広げてみると、こんな事が書かれていた。

『小町へのホワイトデープレゼントリスト』

 ……中身を見るのは後にしておこう。

 

「ヒッキー、これ!」

「同じ部活のよしみだものね。はい」

「……ありがとう」

 さらに二つの義理チョコを獲得。去り際に『ホワイトデー楽しみにしてる』との事だそうです。……その頃には春休みだったっけ?いや、この二人から逃げるのは難しそうだ。いや、お返しぐらいするんだけどね。

 

「はい!お義兄ちゃん!」

「エリチがお世話になっとるからね~」

「はい、私からも上げるわよ!」

「あ、ありがとうございます」

 千葉駅付近の喫茶店にて、亜里沙と東條さんと矢澤さんからチョコレートを渡される。

「学校は……ってお二人はもう自由登校でしたね」

「あとは来週のラブライブ全国大会だけやね」

「ま、このにこに~がいるから……ちょっと聞いてんの?」

 そういやこの三人は卒業するのか。

 同じ学校ではないし、亜里沙はまだ中学生だが、妙に感慨深いというか、何故か寂しい気持ちになった。

 それにしても、今年は思ったより沢山の戦利品が……来月は小遣いを前借りする必要がありそうだ。

「私は学校があったけど、今日はいつもより早かったから、こうしてお義兄ちゃんに会いに来たの!」

「そっか……ありがとう」

 やはりまだ『お義兄ちゃん』の威力は絶大である。

 いや、それよりも……

「あの……絵里は?」

 この3人がいるのに、何故この場にいないのだろうか。何か急用でもできたのだろうか。

「あぁ、エリチは準備に時間がかかるから、後から行くって……」

「多分、直接お義兄ちゃんの家に行くんじゃないかなあ」

「そ、そうか……」

 準備……これまでの事を考えると、嫌な予感しかしない。

 

 

 





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