遊戯王-旋風の疾走決闘者-:Re   作:ケケマロ

10 / 12
因子の衝突

少年は疾走り続けた。

家族の為に。

 

決闘者(デュエリスト)は疾走り続けた。

あの紫竜を討ち取る為に。

 

遊悟は疾走り続けた。

運命に導かれるように。

 

走り慣れた瓦礫の道を疾走り、遊悟は家路を急ぐ。

廃ビルを躱すうちに紫竜を見失ってしまった。

元々裏道が多い廃墟都市(サテライト)でもメインの道はあったが、

そこは混乱した人々が溢れていて通ることができず、

真っ直ぐに紫竜の後を追いかけられなかったのは手痛い誤算であった。

 

遊悟「頼む…!頼む…!」

 

神頼みではない。何かに縋ってみたいのだ。

家族の無事を祈り続けた。

 

 

 

やがて遊悟は孤児院に辿り着いた。

そこは荒れ果て、かつての姿は無くなっていた。

 

呆然としていると孤児院の中から一人の少年が姿を現した。

 

ユーリ『やぁ、遅かったじゃないか』

 

遊悟「みんなは…?」

 

ユーリ『これだよ』

 

ユーリは胸元からカードを1枚、遊悟に見せつけた。

そこには遊悟の養母の姿があった。

 

遊悟「…なっ!」

 

ユーリ『君が遅かったから…みぃんなこうなっちゃったよ!』

 

そのカードを天へと投げる。

カードは飛竜に咥えられ、そのまま空の裂け目へと運ばれようとしていた。

 

遊悟「待ちやがれ!!クリアウィング!!」

 

クリアウィングは養母を咥えた飛竜を追う。

しかしその行く手を紫竜が遮った。

 

ユーリ『君の相手はアレじゃあない…この僕だということを忘れるなよ?』

 

遊悟「てめえ…!…いいぜ!メッタメタにぶちのめしてやる!!」

 

遊悟は決闘盤(デュエル・ディスク)をD・ホイールから外し、ユーリと向き合って構えた。

 

その時、空の次元の裂け目に2つの光が輝いた。

1つは紫。紫水晶(アメジスト)の輝き。

もう1つは緑。碧玉(エメラルド)の輝き。

 

光を放つ空に気が付き、遊悟は空を仰ぐ。

 

遊悟「何だ…ありゃあ…?」

 

ユーリ『アレは僕達の持つ『因子』の姿…今からアレを賭けて決闘(デュエル)を行うんだ』

 

遊悟「何を賭けたっていいさ…!さっさと始めようぜ!」

 

  『デュエル!!』

 

ユーリ『僕から行くよ。

僕は手札から「捕食植物(プレデター・プランツ)スキッド・ドロセーラ」を召喚。これで僕はターンエンド』

 

攻撃力たったの800のモンスターを攻撃表示…

しかも伏せカードも無し…

 

遊悟「…馬鹿にしてるのか…?」

 

ユーリ『さぁ?伏せられるカードが無いだけかもしれないでしょ?』

 

遊悟「…ちぃ!俺のターン、ドロー!

俺は「SR(スピードロイド)三つ目のダイス」をコストに「SR(スピードロイド)スクラッチ」を発動!

デッキから「SR(スピードロイド)」モンスター、「ダブルヨーヨー」を手札に加える!

そして「SR(スピードロイド)ダブルヨーヨー」を通常召喚!

「ダブルヨーヨー」の召喚成功時、墓地のレベル3以下の「SR(スピードロイド)」を特殊召喚する!

蘇れ!「三つ目のダイス」!」

 

ユーリ『レベル7…来る…』

 

  レベル4のダブルヨーヨーにレベル3の三つ目のダイスをチューニング!

        その澄明の翼翻し、寄せ来る闇を討ち倒せ!

    シンクロ召喚!出でよ、クリアウィング・シンクロ・ドラゴン!

 

澄明の翼の白竜、遊悟の切り札が呼び出される。

 

遊悟「バトル!スキッド・ドロセーラを攻撃!「ヘルブレス・バースト」!」

 

クリアウィングの閃光のブレスが不気味な花を飲み込んだ。

 

 ユーリ LP4000→2300

 

ユーリ『僕は「スキッド・ドロセーラ」の効果を発動。

表側表示のこのカードが場を離れた時、全てのモンスターに「捕食カウンター」を乗せる』

 

遊悟「俺はカードを3枚伏せてターンエンド!」

 

捕食カウンターを乗せる為だけに召喚するならば守備表示で出せばよかったハズ…

ヤツの狙いは何だ…?

 

ユーリ『僕のターン、ドロー。僕が何故スキッド・ドロセーラを守備で出さなかったのか…

その答えは直に分かるよ…僕は永続魔法「生還の宝札」を発動。

そして「プレデター・プランター」を発動。

このカードは1ターンに1度、墓地の「捕食植物(プレデター・プランツ)」を蘇生する』

 

場の植物の芽が自我を持つ魔物となった。

 

ユーリ『僕は「生還の宝札」の効果を発動。

墓地からの特殊召喚に成功した時、デッキからカードを3枚ドローする』

 

遊悟「俺は永続(トラップ)「便乗」を発動!

相手がデッキからカードをドローした時、俺は2枚ドローする!」

 

ユーリ『ふっふふ…アドバンテージに差を開かせないつもりか…

僕は「捕食植物(プレデター・プランツ)テッポウ・リザード」を通常召喚。

そして僕は魔法(マジック)カード「融合」を発動。僕の『因子』の竜を見せてあげよう!』

 

  魅惑の香り持つ二輪の美しき花よ!今一つとなり、その花弁の奥から地獄を生み出せ!

     融合召喚!出でよ、スターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン!

 

ユーリの因子の紫毒竜がヌルリとその身を這わせ現れた。

 

遊悟「スターヴ・ヴェノム…!」

 

ユーリ『僕は「スターヴ・ヴェノム」の効果を発動。

場のモンスターのみで融合召喚に成功した時、相手のモンスター1体の攻撃力を吸収する』

 

紫毒竜は触手を伸ばし、白竜を捕らえた。

 

遊悟「俺は「クリアウィング」の効果を発動!

レベル5以上のモンスターの効果を無効にし破壊する!「ダイクロイック・ミラー」!!」

 

白竜の聖なる輝きが紫毒竜を消し飛ばした。

しかし、

 

ユーリ『「スターヴ・ヴェノム」の効果!

このカードが破壊され墓地に送られた場合、相手の場のモンスターを全て破壊して、

その攻撃力の合計分のダメージを与える!「ヴェノミー・スワンプ」!』

 

紫毒竜の遺した毒の塊が白竜を襲った。

 

ユーリ『今のクリアウィングの攻撃力は5300…ワンターンキルだよ』

 

遊悟「させるかよ!「ハネワタ」を捨てて効果を発動!そのダメージを0にする!」

 

ユーリ『だけど…君のクリアウィングは破壊された…

僕の真の狙いは…クリアウィングだ!僕は「死者蘇生」を発動する!』

 

ユーリは遊悟の因子の竜を操り蘇らせた。

 

遊悟「攻撃表示で出したのは…クリアウィングを誘うため…!」

 

ユーリ『その通り…そして、因子の竜を操るというのがどういうことか…!』

 

空に輝く2つの結晶が交わり始めた。

それと同時に遊悟に悪寒が奔る。

何かを奪われたような、まるで自身が自身でなくなったかのような感覚に陥る。

 

遊悟「何を…した…!」

 

ユーリ『君から『因子』の力を奪った。もう君には…『運命の因子』の加護は無くなった…

そう!僕に『覇王の因子』と『運命の因子』…2つの力が備わったのさ!』

 

遊悟「それがどうした…!決闘(デュエル)にはなんの影響も無い!再開しろ!」

 

ユーリ『「生還の宝札」で3枚ドローする!君も2枚引くがいいさ!

そしてバトルフェイズ!クリアウィングで直接攻撃(ダイレクトアタック)!』

 

遊悟を守ってきた白き竜はその主に牙を剥いた。

 

遊悟「俺は永続(トラップ)「ダイレクト・ボーダー」を発動!

このカードがある限り、攻撃力1000以上のモンスターの直接攻撃を無効にする!」

 

ユーリ『厄介なカードを…僕はカードを3枚伏せターン終了!

かかって来るがいいさ!「ただの人」になった君の力を見せてみなよ!』

 

遊悟「俺のターン!…!」

 

「便乗」の効果で3枚引いた…だが…

 

引いたカードの中にモンスターはおらず、守備モンスターを出すことができなかった。

 

ユーリ『カードの引きが悪いようだねぇ』

 

遊悟「…ハッ!どうかな!俺はカードを1枚伏せてターンエンドだ!」

 

ユーリ『君の持っていた『運命の因子』…君のドローの強さの秘訣…

それがなくなったからこそ、君はただの…いや違うね』

 

遊悟の未来を衝き示すように中指を地面に指した。

 

ユーリ『君はもう戦う術を失ったのさ!決闘者(デュエリスト)失格だねぇ!』

 

謎の説得力を秘めた言霊に遊悟は怯んだ。

 

だが俺の場には「ダイレクト・ボーダー」がある…

コイツでしばらく凌ぐしか…!

 

ユーリ『なら僕がその希望を打ち砕いてあげるよ!

リバースカード「シンクロ・ソニック」!』

 

「シンクロ・ソニック」だと!

 

遊悟「お前のデッキは融合デッキじゃあなかったのか!?」

 

ユーリ『なら教えてあげるよ!君の『運命の因子』の力…

それはドローする運命(カード)を変え、最適な未来を導く力!

『運命の因子』の力とは、ドローカードを創り出す力だ!』

 

遊悟「ドローカードを…創るだと…!?」

 

なーんて…最初から入れていたのを「生還の宝札」で引きやすくしただけだけど…

コイツを揺さぶるのには十分な精神攻撃だ…!

 

ユーリの思惑通り、遊悟は動揺した。

自身は意識していなかっただけで、『因子』の力を使ってしまっていたのかもしれないと。

そしてソレは今、目の前の少年に宿り自身を苦しめている事実が在る。

 

ユーリ『さぁ、僕のターンだ!ドロー!維持コスト800を払う!』

 

ユーリ LP2300→1500

 

ユーリ『僕は「プレデター・プランター」の効果でスキッド・ドロセーラを蘇生!

カードを3枚ドローする!』

 

遊悟「「便乗」の効果で俺もカードを2枚ドロー!」

 

まだだ、「メンコート」を引ければ防御できる…

 

引いたカードは…「調律の魔術師」と「スピードリフト」。

思わず顔を歪めてしまう。

 

そんな様子を見てニヤリと笑みを零す。

しかも片方はユーリが仕掛けたカードであることも分かった。

 

ユーリ『「調律の魔術師」…ソイツは僕の罠さ。

残念だったねぇ…!「運命」に…君は見放されたのさ!

捕食植物(プレデター・プランツ)スタぺリア・ワーム」を召喚!そして「融合」を発動!』

 

  融合召喚!出でよ、2体目のスターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン!

 

遊悟「2体目だと…!」

 

ユーリ『そう。2体の攻撃で君の負け…終わりだよ!』

 

ユーリの狙いは遊悟を消滅。

そして『運命の因子』の略奪。

その為に闇のゲームにより遊悟の精神的動揺を誘い、確実な勝利を得る。

 

ユーリ『2体の竜のダイレクトアタック!』

 

遊悟「終わり…?俺は…運命に見放された…?」

 

遊悟 LP4000→0

 

遊悟は衝撃に耐えきれず吹き飛ばされ、地面に崩れ落ちた。

2体の竜を従え、遊悟を平伏させる。

完全な勝利。

予定通り運命の因子はユーリのモノとなったのだ。

 

 

 

ここまではユーリの計画通りに事は進んでいた。

しかし、彼は1つだけミスをしていた。

 

 

 

静けさに包まれた一帯に笑い声が響き渡る。

 

ユーリ『何が…?』

 

俯せていた決闘者(デュエリスト)に再び闘志が宿る。

 

遊悟「お前は…運命なんて見えていない…!」

 

ユーリ『ライフは0…何故まだ立ち上がれる…!』

 

伏せていたリバースカードを指差し、グッと脚を踏ん張る。

 

遊悟「リバース(トラップ)、「魂のリレー」!」

 

遊悟の手元からピンクの髪の少女が姿を現す。

 

ユーリ『「魂のリレー」…!僕の勝利条件を変える(トラップ)カード!』

 

遊悟「その通り!コイツがいる限り、俺はライフが0でも敗北しない!」

 

ユーリ『だがその魔術師を破壊すれば僕の勝ちだ!カードを1枚伏せてターン終了!』

 

遊悟「俺のターン…ドロー!俺は「弱者の贈り物」を発動!

今引いたロードランナーを除外して2枚ドローする!」

 

遊悟は自身の運命(ドロー)に未来を託す。

 

遊悟「…!これは…!?」

 

ドローしたのは見たことのないカードだった。

 

遊悟「今はこのカードを信じる!俺は速攻魔法「スピードリフト」を発動!

俺の場のモンスターがチューナーのみの場合、デッキから「SR(スピードロイド)」を特殊召喚する!

俺が選ぶのはチューナーモンスター、「SR(スピードロイド)ドミノバタフライ」だ!」

 

賽の目の翼を持つ蝶が羽ばたく。

 

ユーリ『チューナーがいるのに新たに呼ぶのがチューナー?何を企んでいる!』

 

遊悟「そしてコイツだ!俺は魔法(マジック)カード「マジカル・ペンデュラム・ボックス」を発動!」

 

ユーリ『「ペンデュラム」…!?』

 

遊悟「カードを2枚引く!それが「ペンデュラムモンスター」の場合手札に加える!」

 

あり得ない…!

因子の…振り子の真の力をあんなヤツが…!!

 

遊悟「見せてやる…!俺の運命…俺の…」

 

遊悟の右手に碧の輝きが宿る。

 

遊悟『未来を!ドロー!!』

 

引いたのは2色の、異才を放つカードであった。

 

遊悟『俺は今引いた「白翼の魔術師」を召喚!そして「ペンデュラム・シフト」を発動!』

 

天空の光が2人の魔術師の真の姿を見せる。

 

遊悟『俺の場の2体のペンデュラムモンスターをPS(ペンデュラムスケール)にセッティング!

これで俺はレベル2から7までのモンスターを同時に召喚可能になった!』

 

ユーリ『ペンデュラム…!ヤツにそんなことが…!』

 

遊悟『ペンデュラム召喚!出でよレベル5「SR(スピードロイド)パッシングライダー」!』

 

青い飛行艇が遊悟の手札から飛び出した。

 

ユーリ『場のレベルの合計は7…!まさか!?』

 

遊悟『俺はレベル5のパッシングライダーにレベル2のドミノバタフライをチューニング!』

 

       澄明の翼、神速を得て過去と未来を貫け!

  シンクロ召喚!レベル7、クリアウィング・ファスト・ドラゴン!

 

碧玉の輝きを放つ白き竜が姿を現した。

 

遊悟『()()会ったな…クリアウィング…ファスト・ドラゴン!』

 

まただと…!

 

ユーリ『どういう意味だ…?…!そうか!あの男か…!』

 

ユーリにはもう一人、ペンデュラムを使う者を知っていた。

その男の名は、

 

ユーリ『まだ僕たちの…あの方の邪魔をするために立ちはだかるか…!「ユーノ」ぉ!!』

 

遊悟『バトル!ファスト・ドラゴンでクリアウィング・シンクロ・ドラゴンを攻撃!』

 

白き竜が激しく激突する。

 

ユーリ『クソッ!因子の竜が!』

 

遊悟『1枚伏せ(リバース)カードを出し、ターンエンドだ』

 

遊悟の場にモンスターはいない。

しかし、倒すべきモンスターはPS(ペンデュラムスケール)に存在している。

 

ユーリ『僕が引くべきは…魔法除去カード…!僕のターン!ドロー!…!?』

 

引くことができなかった。

 

ユーリ『運命の因子が…機能していないのか…!?

いや…それともまさか…運命がヤツに味方しているとでもいうのか…?』

 

遊悟『どうした!お前のターンだぜ!』

 

ユーリ『まだだ!僕は「プレデター・プランター」の維持コストを払う!』

 

ユーリ LP1500→700

 

ユーリ『「プレデター・プランター」の効果を発動!

墓地の「捕食植物(プレデター・プランツ)」を…!』

 

遊悟『(トラップ)発動!「マジック・ディフレクター」!

このターン、全ての魔法の効果を無効にする!』

 

展開された防壁が「プレデター・プランター」と「生還の宝札」を無力化する。

 

ユーリ『くそ!チクショウ!!もう勝利は…目の前にあるというのに…!

だが遊悟!君にモンスターはいない!あとは僕が魔術師を破壊するカードさえ引けば…!」

 

遊悟『いや…このターンで終わりだ!俺のターン!』

 

  運命の振り子よ!過去と未来を大きく揺るがせ!

   ペンデュラム召喚!今一度蘇れ!澄明の翼!

   クリアウィング・ファスト・ドラゴン!

 

天空に浮かぶ振り子の奇跡(アーク)から白き竜が再び現れた。

 

ユーリ「ペンデュラム…!?シンクロ・ペンデュラムモンスターだと!?」

 

遊悟『バトル!クリアウィング・ファスト・ドラゴンで攻撃!』

 

ユーリ「やらせない!「嘲りの世界(リディキュル・ワールド)」発動!」

 

辺りが暗くなり、嘲笑う声が響き渡る。

 

ユーリ「場のモンスターの攻撃力は全て100アップする!

そして元々の攻撃力より高い攻撃力のモンスターは攻撃できない!」

 

遊悟『強化を嘲笑う、まさに馬鹿にしたような世界…ってことか…

だが読めていた!手札の「急降下ボム」の効果を発動!』

 

爆弾を抱える黒いモンスターが場に弾頭を落とした。

 

遊悟『ターン終了時まで場のモンスターの攻撃力と守備力を入れ替える!』

 

ユーリ「スターヴ・ヴェノムの守備力は2000…

相打ちにして次のターンペンデュラムで復活させるつもりか!」

 

遊悟『言ったはずだ!このターンで終わりだと!

ファスト・ドラゴンの効果!相手モンスターの効果を無効にし、攻撃力を0にする!』

 

白竜が放つ音波が紫竜の動きを止めた。

 

ユーリ「そんな…僕が負ける…?」

 

遊悟『貫け!「神速のマッハ・スラッシャー」!』

 

白竜の一閃が紫竜を、紫水晶を砕いた。

 

  ユーリ LP700→0

 

ユーリ「ぐあぁ…!僕が負けるなんて…!」

 

遊悟『俺の勝ちだ!母さんを…みんなを返せ!ユーリ!!」

 

這いつくばる少年はグイと立ち上がると遊悟を見つめた。

そして擦れた声で言った。

 

ユーリ「遊悟…悪いけど最初から連れ去った人間を戻す計画なんてないんだ…」

 

遊悟「なんだと…!このヤロー!」

 

溜まっていた怒りをユーリに叩きつける。

決闘を終えてからユーリは憑き物が落ちたように、人が変わったように覇気が無かった。

 

ユーリ「殴りたければいくらでも殴ればいい…!それでも君の家族は帰っては来ない…!」

 

遊悟「コイツ…!」

 

『そこまでにしておけ』

 

二人の前に現れたのは黒いローブを羽織った少年だった。

 

ユーリ「お前は…「ユーノ」…」

 

ユーノ『久しぶりだな…「ダリオ」…相方は元気か…?』

 

ダリオ…?

 

遊悟「おい…ユーノ!ダリオってコイツのことか!?ユーリじゃあないのか!?」

 

ユーノ『見分け方は簡単…両目が赤いコイツが「ダリオ・シュメルツ」。

双子の弟「ユーリ・シュメルツ」が『渾融の因子』…紫水晶の持ち主の筈だが…』

 

遊悟「双子…?どういう意味だ…?」

 

ユーノ『どういうことか…直接聞いてみるか…!』

 

ローブの中から鋭いナイフが空に投げられる。

ナイフは落ちることなく、空中にとどまった。

 

ダリオ「…やっぱり信頼は無かったみたいだね…ユーリ…」

 

『実際失敗してるんだからその言い草はないと思うね』

 

そこにすぅと人が姿を現した。

 

遊悟「お前が…!ユーリなのか…!」

 

『そう、正真正銘、僕がユーリ…ユーリ・シュメルツだ』

 

本当のユーリと名乗る少年は宙に浮かび、三人を見下した。

 

ダリオ「ユーリ…すまない…負けてしまった…

君から譲り受けた『渾融の因子』を使いこなすことはできなかった…!」

 

ユーノ『譲る…?因子を明け渡しただと?』

 

遊悟「くそっ!話に付いて行けねえ!訳が分からねえよ!」

 

ユーリ『ダリオ…君はよくやってくれたよ。

この次元の生命エネルギーは既に半数を切った。

崩落し消え去るのももう時間の問題だ…

だからダリオ…君はこの次元でゆっくり消えて行ってくれ…』

 

ダリオ「ユーリ…!…すまない…」

 

遊悟「ふざけんな!この世界が消えるだと!馬鹿なことを言うんじゃあねえ!」

 

ユーノ『残念だが事実だ』

 

激昂する遊悟をユーノが制止する。

その様子を見てユーリはにやにやと嗤うばかりだった。

 

ユーノ『このままではこの次元は破滅に向かうだけだ…俺のいる次元と同じようにな…』

 

遊悟「ならどうすりゃあいいんだ!?」

 

ユーリ『さぁ?僕を倒してみるとかかな?やれればだけどさ』

 

ユーノ『だが破滅までの時間を稼ぐ手段はある!』

 

ダリオ「…!」

 

遊悟「時間を稼ぐ…?今すぐ消えるわけじゃないのか!?」

 

ダリオはその方法を知っていた。

しかし、それを遊悟にできるのだとすれば…

 

ユーノ『ああ、これから破滅の時間が始まる…

しかし、『因子』を持つお前がこの「次元」から認められる存在になれれば…

この「次元」は「存在意義」を持ち、破滅から遠ざけることができる!』

 

遊悟「「存在意義」…?」

 

ユーノ『そう、存在意義とは…』

 

ダリオ「…『覇王』の封印…または…消去できる存在がその次元にいるということ…!」

 

ぐっと立ち上がるダリオを三人が見つめた。

 

ダリオ「遊悟…君にできるかい…?この次元に認められることが…

『覇王』を…ユーリを止めることができるのかい…?」

 

その問いかけに頭をひねり、腕を組んで数秒考える。

 

遊悟「さぁ…?どうすれば「次元」なんて訳が分からないモノに認められるかも、

『覇王』なんてよく分からないモノを止めなきゃならないのかも分からねえよ」

 

そして腕組みをやめ、空を指差す。

 

遊悟「だけどな!俺は家族を…仲間を助けたい!

そして…帰る場所を無くしたら家で飯を食うことも!

D・ホイールをいじることも…デュエル・チャンピオンになることもできねえ!

あいつとの約束も果たせずに、このまま消えることなんてできないさ!」

 

その言葉に二人は笑い、一人は面白くなさそうな顔をした。

その時、ユーノの体がすぅと足元から消えて行った。

 

ユーノ『…どうやらここにいるのも限界のようだ…その意気でやってやれ…遊悟!

僕は…『エクシーズ次元』で待っているぞ…!』

 

そう言い残し、ユーノは消えてしまった。

 

ユーリ『まぁ…どうなるかは僕自身分からないしね…

とりあえず僕もさよならしよう。じゃあねダリオ…もう会わないことを願うよ』

 

そして本物のユーリも白昼夢のように消えた。

 

遊悟「まずは…どうしたらいいんだ…?」

 

ダリオ「…WRDCで優勝するんだ…」

 

覇気の無くなった少年に目を向けた。

 

ダリオ「正直…もうユーリを止める手段が無いと思い込んでいた…」

 

…ユーリに見捨てられた僕にもまだ希望はあった…!

 

ダリオ「連れ去った人間を戻す計画はないが…戻す方法はいくつかある…!」

 

遊悟「…それは嘘じゃあないのか…?」

 

ダリオ「この襲撃は人間を立体幻影(ソリッド・ビジョン)の粒子に変え…

生体エネルギーを収集するために行ったこと…

生体エネルギーには人が「魂」と呼ぶデータも入っている…

逆に「魂」を立体幻影(ソリッド・ビジョン)の肉体に定着させれば…

人を元に戻すことができるはずだ…」

 

遊悟「難しい話は分からねえができないことじゃねえんだな…!

けどそもそもなんのためにみんなを襲ったんだ?」

 

ダリオ「生体エネルギーを変換し…こことは別の『次元』で生まれ変わらせる…

G(グラフト)O(オブ)D(ディメンション)計画』…

「次元」を「接ぎ合わせ」、『新たな世界』を創り出す…

ユーリが神になるために建てた計画だ…」




お久しぶりです。
マスタールール4は良いルールですが、
リンク使わないと創作デュエル的には派手さが足りなくなるんですよね。
なので今後もマスタールール3でやろうと思いますが、
別にマスタールール4否定派というわけではありません。
ただ「覇王」使いたいだけなんです。

それから話の都合上とモチベーション維持、
デュエルのカードの少なさなどで完全オリカを出そうと思います。
メインであるSR(スピードロイド)の少なさ、
なによりも幻影騎士団(ファントム・ナイツ)の少なさが、
デュエル展開のできなさを加速させていてマンネリ化していました。

これから先Arc-Vのカードはあまり出ないだろうしいいかな。
原作越えのぶっ壊れは出さないつもりなのでご容赦ください。

ユーノの一人称を修正
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。