遊悟は会場へとたどり着くと係員と思われる少年に案内された。
少年は孤児院にいた子供と同じくらいだろうか、小さい少年であった。
少年「よくぞいらっしゃいました。風薙遊悟様。ご案内いたします」
遊悟「敬語なんざ必要ねえよ。遊悟でいいさ」
少年「いえ、決まりなので…僕はケン。気軽にお呼びください」
控え室となる施設は広く、およそ遊悟のいた孤児院ほどの大きさがあった。
ケンに付いていくと一室に着く。
ケン「では私は扉の前に待機しておりますので御用があればお呼びください」
WRDC開幕までの間、食事と昼寝をして遊悟は時間を潰していた。
しばらくするとノックの音が部屋に響いた。
ケン「遊悟さん?よろしいですか?」
入っていいぞと声をかけた。
ガチャリとドアを開け、少年が入って来た。
ケン「遊悟さん、話があるんです」
遊悟「おう、どうした?何でも言ってくれよ」
ドンと胸を叩く。
ケン「これを…これを貴方に…」
ケンは遊悟に3枚のカードを手渡す。
遊悟「なんだ、こりゃあ…?「調律の魔術師」に…シンクロモンスター…
こっちのカードはレベルしかない?エラーカードなのか?」
星が一つしか書いていない白いカードに首を傾げる。
ケン「えぇっと…その白いカードは大会に必要なモノで…
僕の話はその「調律の魔術師」のことなんです」
遊悟「ふぅん?なんてことない弱っちなカードだけどなぁ…」
ケンはグッとこぶしを握る。
ケン「そのカード…そのカードを使ってもらえますか?」
遊悟「なんか訳ありっぽいな…俺でよければ話を聞くぜ」
遊悟が話を促すと少年は涙ながらに語った。
ケン「そのカードを使うようにと…
そのカードを遊悟さんのデッキに入れられれば…
僕を解放すると…家族のところに帰してくれると言われて…」
遊悟「家族のところに…」
遊悟は血の繋がった家族はいない。
しかし血よりも固い絆がある養母と子供たち、そして幼馴染がいる。
みんなが家族であり、遊悟の何よりも大切にしているモノだ。
彼は家族や絆といった言葉に弱く、ソレが絡んだ頼みは断れないのだ。
ケン「騙せるはずも無いし…でも…」
遊悟「これをデッキに入れればいいんだな?」
ケン「入れてくれるんですか!?」
遊悟「あぁ。今から入れてやる」
そういうとデッキに入れ、ケースに仕舞った。
遊悟「確かに入れたぜ。ケン、だったか?
これで家族のところに帰れるんだな?」
ケン「…はい」
遊悟は彼の目を見ると小さく頷いた。
遊悟「そうか…それなら忠告しておくぜ」
ケン「はい?」
遊悟「俺は…家族のために戦おうとするお前は疑わねえ。
本当に家族のところに帰りたいんだろうからな…」
遊悟はまだ幼い少年の頭を撫でた。
遊悟「俺は戦うぜ!力が無くても…遠く離れていても…
俺は戦わなくちゃあ帰る場所なんてないんだからよ…」
一度闇の瘴気に触れた彼には見えていた。
2枚の魔術師に「煉」と似た瘴気を纏っているのを。
ケン「遊悟さん…!やっぱり返してください!それは…」
遊悟「いいや、返さないね!お前には別の用事があるだろうが!」
撫でていた手に力を入れ少年の顔をこちら側に向ける。
遊悟「ケン!お前は今からでも
ここから出ていくやつを止めるのなんてこっち側にはいないさ」
ケンは遊悟の手をぎゅっと握った。
その手は震えていたがやがてそれは収まった。
ケン「遊悟さん…応援してます…負けないでください!」
そう叫ぶと部屋から飛び出して行った。
遊悟が見送ろうとドアを開けるとその姿はもう見えなかった。
遊悟「おい!!」
遊悟は誰かに叫ぶ。姿が無くともそこにいるような誰かに。
遊悟「俺は逃げも隠れもしねえ!!これが罠だとしても俺は受けて立つぜ!!」
彼の叫びは廊下に虚しく響き渡った。
それからしばらくの後、新しい案内役が現れ選手たちを招集した。
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『レディースエーンジェントルメーン!!』
司会の一声に会場はワッと沸いた。
『ただ今よりWorld RidingDuel Championshipを開催致しまーす!!』
遊悟「くうぅ~。ワクワクしてきたぜ!」
歓声の中に罵倒が混じっている。
が、今の遊悟には多少のブーイングは聞こえなかった。
『第一ラウンドはバトルロイヤル!生き残った者が勝者だ!!』
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バトルロイヤル・ルール
①:LP4000 デュエル毎にLPはリセットされる。
②:モンスターのフィールによる攻撃は有効。
フィールを防いだ時点で両名のデュエルが成立、フィールドはリセットされる。
③:デュエルの乱入時、ペナルティとして乱入したプレイヤーのLPは半分となる。
④:1vs多人数でデュエルを行う場合
1人のプレイヤーのLPは相手プレイヤーの人数×4000となる
先行プレイヤーA→後攻プレイヤーB→C→…→A 後攻プレイヤーから攻撃が可能
それぞれのフィールドのカードは共有しない。
特殊勝利が成立した場合、対戦相手プレイヤーは敗北処理を行う。
敗北したプレイヤー、走行不可となったプレイヤーにはターンは回って来ず、
そのプレイヤーのカードは全てゲームから取り除かれる。
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『そして出場者にはレベルのみ書かれたカードが配られている!
レベルの合計を12にできた者が最終ラウンド、
この会場へと戻って来ることができる!!』
煉「ふん、上の奴らの考えそうなことだ」
俺に配られたカードの星の数は8…
どうしても上へと来いということか。
遊悟「なるほどね…この星にそういう意味があるわけね…」
渡されたカードのレベルは1。
最低レベル…
『さぁルールの確認は大丈夫か!?
最終ラウンドへの出場権を獲るのは誰だー!?』
会場の入場口が開かれ、ハイウェイへの道が開かれた。
『決闘の舞台はこの街の全てのハイウェイ!!
縦横無尽に走り生き残れ!!
遊悟は前方、スタートラインに立った因縁の男「煉」を見つけ出した。
『スリー!!』
見つけたぜ…鬼瓦煉…!今すぐ挑んでやりたい気分だが…
『ツー!!』
こんなモニター越しでしか確認できないようなステージで戦うのはもったいない…
『ワン!!』
最終ラウンド…そこが俺とお前の戦う舞台となる!覚悟しておきな!!
『GO!!』
総勢30名余りのD・ホイーラーが一斉にスタートした。
煉が正面のコースへ向かうのを確認すると、
遊悟は右方向へのコースへと向かった。
同じコースを走って喧嘩を吹っ掛けられるとマズい…
買わないわけにもいかないからな…
だから俺はこっちを進むぜ!せいぜい負けて終わらないことだな!
2人のD・ホイーラーが遊悟に向かって来た。
「よお!クズが堂々と大会に出てくるとはなぁ!」
遊悟「この大会に
字も読めないお前の目はビー玉かなにかなのかぁ?」
「ケッ!ゴミが粋がりやがって!ハイウェイから突き落としてやる!」
『デュエルだ!』
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一方で遊悟に勝負を挑もうとした一人の男がいたが、
彼はもう一人のターゲットに勝負を仕掛けていた。
竜造寺「へっへ、アイツへのリベンジの前に…
最優先で戦うべき相手を見つけちまったなぁ…!」
竜造寺はドラゴンを呼び出し、ターゲットに攻撃を始めた。
ターゲットとなった白いD・ホイーラーはそれを悠々と躱す。
「随分な挨拶だな」
竜造寺「俺が目指すのはプロの世界…そこに辿り着く近道はよ…
プロを倒すことにあるんじゃあねえか?プロデュエリスト様よぉ!」
白いD・ホイーラーの名は「
この街でトップレベルのプロデュエリストである。
彩斗「イキが良いのがいるようだ…いいだろう、相手をしてやる」
竜造寺「フン!上から目線もこの
『ライディング・デュエル・アクセラレーション!!』
竜造寺「俺のターンから始めさせてもらうぜ!
俺は「未来融合-フューチャー・フュージョン」を発動!
デッキから5体のドラゴンを墓地へ送る!そして「
彩斗「ファイブ・ゴッド…か…」
竜造寺「出でよ!
彼の切り札、五つ首の龍が降臨する。
竜造寺「まだだぜ!速攻魔法発動!「時の飛躍-ターン・ジャンプ」!
3ターン後のバトルフェイズにスキップさせる!」
彩斗「さらにターン・ジャンプ…未来融合の条件が整うわけだ」
竜造寺「その通り!流石はプロだねぇ…よく知ってやがる…
3ターンの時を経たことで、2体目の
なんと竜造寺のフィールドに2体の超大型モンスターが現れた。
竜造寺「1ターンキルが成立した!喰らえ!攻撃力5000のダイレクトアタックを!」
合計10の龍の首から高エネルギーのブレスが放たれる。
彩斗「見飽きた光景…廃れたコンボだ…」
白いD・ホイーラーは炎に飲まれた。
竜造寺「ふっふふ…やった…!」
「貴様はこんなくだらない
怒号と共に眩い閃光が炎を引き裂いた。
彩斗「貴様の炎の
手札の「速攻のかかし」を捨て、このターンのバトルを強制終了させる!」
竜造寺「ちぃ…姑息なぁ!カードを2枚伏せターンエンド!」
彩斗「攻撃力5000…それはデュエルモンスターの中では最高の攻撃力…」
閃光を放つD・ホイーラーは目を伏せ、デッキの声に集中した。
彩斗「しかしそれはあくまでも数値の話!我がサイバー流の前では塵に等しいわ!!
俺のターン…ドロー!俺は速攻魔法「魔法移し」を発動する!
お前の未来融合のコントロールを得て、俺のカードとして再発動させる!」
竜造寺「俺の未来融合を利用しやがるだと!?」
彩斗「俺が融合するのは「サイバー・ドラゴン」と14体の機械族を墓地へ送る。
そして「オーバーロード・フュージョン」発動!
墓地の15体のサイバー・ドラゴンを含む機械族を素材として、
闇属性・機械族のモンスターを融合召喚する!」
我が魂の慟哭を響かせよ!キメラテック・オーバー・ドラゴン!
天頂から巨大な機械の中心核が舞い降りる。
中心核から機械龍の首が飛び出し、1本の尻尾を見せる。
竜造寺「このモンスターは…?今までの村雲彩斗の公認戦で見たことも無いぞ…!」
彩斗「コイツはとっておきだ…表立ってコイツを召喚させたのはお前が初めてだ!
キメラテック・オーバーは融合素材となったモンスターの数によってその攻撃力が決定する!」
中心核から次々と首が飛び出してきた。
その数はファイブ・ゴッドを越えた15本。
竜造寺「ば…馬鹿な!?攻撃力12000だとぉ!?」
彩斗「キメラテック・オーバーはその首の数だけ攻撃が可能!
消し去れ!「エヴォリューション・レザルト・バースト」!!」
竜造寺「ぐぅぅ!俺は
多首の機械龍の攻撃を女性使者たちが止める。
彩斗「和睦…どうやら防御も考えている…そこらの阿呆とは違うようだな…
リバースカードを2枚伏せてターンエンドだ」
竜造寺「攻撃力12000…モンスターで越えられねえが…」
アレを引ければ…まだ勝ち目はある!勝機を捨てるな!頑張れ俺!
竜造寺「ドロー!…よし!喰らえデカブツ!「破壊輪」だ!!」
爆弾の付いたリングが機械龍を捕らえる。
1番大きな首に取り付くと一段と大きな爆発を起こし、巨大な機械龍を沈めた。
竜造寺「速攻魔法「防御輪」!罠によるダメージを0にする!」
竜造寺は爆風から防御輪により展開されたシールドにより、自身へのダメージを逃れた。
竜造寺「へっ!どんなもんよ!プロを倒してやったぜ!」
爆風に飲まれた後方のD・ホイーラーを一瞥する。
彼は目撃した。
爆風の中で鋭く輝く、一筋の閃光を。
「見事だ。当然このモンスターを破壊したのもお前が初めてだ」
閃光は徐々に大きくなり、竜造寺の頬を掠め、爆風をかき消した。
彩斗「俺も防御輪を発動させた!これにより、俺のダメージも0となった!」
竜造寺「だったら
彩斗「「速攻召喚」発動!手札のモンスターを通常召喚する!来い、「サイバー・ヴァリー」!」
五つ首の龍の一撃を再び止めた。
彩斗「サイバー・ヴァリーを除外することでカードを1枚引き、バトルを終了させる!」
竜造寺「くっ!俺に手札は無い…ターンエンド!」
閃光を放つD・ホイーラーは加速していった。
竜造寺は100km/hオーバーのスピードに喰い付いた。
竜造寺「なんて速さ…!ちくしょう!逃がすかよ…!」
彩斗「ふふふっ…!昂って来たぞ…!俺のターン!」
カードを手札に加え、ヴァリーによって加えたカードを発動させる。
彩斗 LP4000→2000
彩斗「俺はライフを2000払い
サイバー・ドラゴン3体と「サイバー・フェニックス」、サイバー・ヴァリーを召喚!」
竜造寺「俺は3体のヘルカイザー・ドラゴンを出す…!」
彩斗「サイバー・ヴァリーの効果、カード1枚と共に除外する。」
サイバー・フェニックスとサイバー・ヴァリーは再び姿を消した。
引き当てた2枚のカードを見てニヤリと笑う。
3体のサイバー・ドラゴン…そしてあのカードの意味する物は…
俺の圧倒的な敗北…!
彩斗「これがサイバー流の奥義!発動せよ!「パワー・ボンド」!!」
我が流派至高にして頂点!その身に焼き付けるがいい!
出でよ!サイバー・エンド・ドラゴン!
竜造寺「サイバー・エンド…何度も…何度もこの眼に見てきたぜ…!
村雲彩斗の…サイバー流最強モンスター!」
彩斗「パワー・ボンドにより召喚したサイバー・エンドは攻撃力が2倍になる!
さらに「リミッター解除」!攻撃力はさらに2倍の16000だ!」
閃光は竜造寺の前で翻り、竜造寺に一直線に向かって来た。
彩斗「我が光のフィール、「
竜造寺「くぅ!逃げねえ…!全て受け切ってやらあ!!」
膨大なエネルギーを帯びた閃光の
竜造寺 LP4000→0
やがて光は納まり、閃光の中が見えるようになった。
ハイウェイはズタズタになり、竜造寺のD・ホイールは再起不能となった。
竜造寺「ぐぅっ!がはぁっ…!」
彩斗「耐えきったか…俺のフィールを受け切ったか…」
自身の懐に手を入れ、1枚のカードを倒れた竜造寺の胸の上に置いた。
彩斗「見込みは有り、そこでお前を待っていてやろう。
言っておくが、うちは厳しいぞ」
竜造寺「へへっ…よろしく…お願い…しま…」
礼を言うと竜造寺は気絶してしまった。
憧れていたプロの世界に一歩近づけたのだ。負けて悔しさは無い。
一つ後悔があるとすれば、あの
遊悟…てめえは俺の事覚えているだろうなぁ…?
自分から啖呵切っておきながらダセえよな…
遊悟…負けるんじゃあねえぜ…
てめえが優勝してくれれば俺の評価も上がるんだからよ…
おっさん救済のお話。
リフトのおかげで141入れる理由ができました。
ベイゴマ無しでクリスタルいけるようになったのは大きい。
ベイゴマ制限でも問題無いからもう逝っていいぞ。
禁止はやめてくれ。