スタートを出遅れた選手がいた。
それは「花吹雪」と呼ばれる「
吾郎「いやぁ、若者は活きってやがるぜ。出遅れたぜぃ」
吾郎は最後尾からのスタートではあったが、
吾郎『さぁどけどけえい!!吾郎様のお通りでい!!』
雄叫びと共にD・ホイーラーの森を掻き分けて突き進んで行く。
その走りは老いを感じさせない。
低い前傾姿勢に巧みな加速。
そして何より、闘志の溢れる気迫が有無を言わせず道筋を創り出す。
吾郎「ケッ、威勢が良いだけかよ!」
「ねぇねぇ」
無線通信が繋がった。
吾郎「お?誰だいあんた?」
「僕とデュエルしてよ」
吾郎はちらりと後ろを見た。
白と緑、少々古びているが整備の行き届いた小奇麗なD・ホイールが追いかけて来る。
吾郎「ほう…骨のある嬢ちゃんもいたモンだね…
いいだろう挑戦者!その決闘、受けて立つ!」
「嬢ちゃんじゃあないよ!僕は「凛」!
凛…?聞いた名だが…?
吾郎「凛ね…準備はいいか凛!」
凛「もちろん!始めようよ!」
『ライディング・デュエル・アクセラレーション!!』
吾郎は
吾郎「最初のターンは
凛「なら遠慮なく…僕のターンから!僕は「
凛「カードを2枚伏せてターン終了!」
吾郎「くくっ、長生きするもんだな…俺のターン、ドロー!
「種子弾丸」発動!俺の場に植物モンスターが召喚される度に最大5個までカウンターを乗せる!
俺は場に2枚伏せ、「ローズ・ウィッチ」を召喚!ターンエンドだ!」
ローズ・ウィッチの召喚に反応に合わせて種子弾丸にカウンターが乗せられる。
凛「僕のターン!僕は「銀盾のミストラル」を召喚!さあ行くよ!」
レベル4の精鋭のゼピュロスにレベル2の銀盾のミストラルをチューニング!
不撓不屈の精神を宿し天空を駆ける翼となれ!
シンクロ召喚!舞い上がれ、
凛「行け、ノートゥング!ローズ・ウィッチを攻撃!「ブラック・ガスト」!」
吾郎「悪いが通らないぜ!「フローラル・シールド」発動!」
発動させた
彼の使用するカードは花の嵐を巻き起こす。それが「花吹雪」の所以でもある。
吾郎「攻撃を無効にしカードを1枚引く!」
凛「読んでたよ!リバース
攻撃が無効になった時、その戦闘を行うはずだったモンスターの攻撃力の差、
800のダメージを相手に与える!」
吾郎「速攻魔法「速攻召喚」!手札からモンスターを通常召喚する!
場のローズ・ウィッチを生け贄に現れよ「凛天使クイーン・オブ・ローズ」!」
相手ターンで呼び出されたのは花吹雪の切り札。
彼が若い時から使い続けられている赤い薔薇。
凛「流石ぁ…カードを1枚伏せてターン終了!」
吾郎「俺のターン!このスタンバイフェイズ!クイーン・オブ・ローズの効果!
攻撃力の1番低いモンスターを破壊する!「赤薔薇の葬送」!」
場のモンスター2体の攻撃力は同じ2400。
ノートゥングは赤い薔薇吹雪に飲まれて消え去った。
凛「くぅっ!やっぱり強い…!」
吾郎「俺の場のクイーン・オブ・ローズを手札に戻し、
手札の2体目の天使、「魔天使ローズ・ソーサラー」を召喚する!」
クイーン・オブ・ローズが吾郎の手元へと戻り黒い薔薇天使が天頂から舞い降りた。
種子弾丸に3つ目のカウンターが乗った。
吾郎「さらに「
凛「そっちからか…」
吾郎「読んでいるさ…凛…お前達に
だが手加減などしない…こいつ
聖騎士の槍を凛の頬を掠める。
凛 LP4000→2200
この一撃には
しかし強い
吾郎「続いてローズ・ソーサラーで直接攻撃!「黒薔薇の棘鉄閃」!」
凛「僕は手札の「
ダイレクトアタック時に手札から特殊召喚できる!さぁ来い!」
黒羽の小鳥が羽ばたく。
吾郎「ならばローズ・ソーサラーでギブリを攻撃!」
棘の鞭が小鳥を縛り、絞め殺した。
吾郎は手札のギブリを読んでいた。
最大ダメージを出すための戦術を繰り出したのだ。
そして伏せカードも分かっていた。だからこそ
凛「
「
吾郎「ふっふ…やはりブラックリベンジ…」
凛も遊悟も追い詰められた時、ギブリやクリボーなど手札からの防御札を持っている。
そしてそこからの逆転能力が高い。
俺はこいつらの逆転劇を見るのが好きだった。
凛「まだだ!「ブラック・ブースト」!
吾郎「カードを1枚伏せてターン終了!胸を貸そう!かかって来い!」
凛「僕のターン!ブラック・クレスト・トークン1体をリリース!
「
レベル1のブラック・クレスト・トークンにレベル6の流離いのコガラシをチューニング!
猛き冠を翳しその烈爪で万物を引き裂け!
シンクロ召喚!舞い上がれ、
吾郎「ホーク・ジョー…お前達はどこからそんなカードを拾って来るのやら…」
凛「ホーク・ジョーの効果!墓地からレベル5以上の「
ホーク・ジョーの呼び声に、前ターンに花吹雪に飲まれたノートゥングが天空へと舞い戻った。
凛「ノートゥングが復活した時、相手プレイヤーとモンスターに800のダメージを与える!」
ノートゥングは手持ちの黒い剣を放り投げると、ローズ・ソーサラーと吾郎を切り裂く。
黒い剣はノートゥングの手元へとブーメランのように帰って来た。
吾郎 LP4000→3200
吾郎「むぅ!」
少女のフィールに吾郎はよろけてしまう。
凛「バトル!ノートゥングで
吾郎「リバースカードオープン!「
墓地のローズ・ウィッチを除外し、相手モンスターを全て破壊する!」
再び吾郎の場から花吹雪が舞おうとしていた。
凛「ここだ!僕は
「
発動された
花吹雪は黒い旋風によってかき消された。
吾郎「くぅっ!やるようになったな!」
黒い剣が聖騎士へと届いた。
吾郎 LP3200→2600
凛「まだだ!ホーク・ジョーでローズ・ソーサラーを攻撃!「アサルト・ピリオド」!」
ホーク・ジョーの右腕の鉤爪が魔天使を捉えた。
吾郎 LP2600→1600
吾郎「ぐぉぉぉ」
凛「僕は…僕達はあの時とは違う!本気で来てよ!吾郎じいちゃん!」
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吾郎は元
彼は子供にデュエルモンスターズを伝えた。
子供たちに強く、逞しく生き抜いてもらうために。
彼は遊悟と凛のいる孤児院を訪ねたことがあった。彼は遊悟と凛の師なのである。
そして
凛は追いかけたのだ。遊悟には何も話さずに。
________________________________________
凛「カードを1枚伏せてターンエンド!」
吾郎「ふふっ…強くなったな凛…ならば本気で行かなけりゃあ…
「花吹雪」の名が廃るってモンだぜ…!俺のターン、ドロー!」
…ここでコイツを引くとは…俺のデッキも本気でぶつかれと言ってやがらぁ!!
吾郎「俺は魔法カード「天魔合掌」を発動!!」
手を合わせ、祈るように自身の切り札を呼び出した。
墓地のローズ・ソーサラーと手札のクイーン・オブ・ローズを融合!!
天界に芽吹きし大輪の花よ!我が道を飾れ!花吹雪と共に!
融合召喚!狂い咲け!大凛魔天使ローザリアン!
その輝きは師であった時には見せることは無かった、まさしく本気の光であった。
凛「凄い…これが吾郎じいちゃんの本当の切り札…!」
吾郎「忘れちゃいるまい?コイツは植物族…種子弾丸に4つ目のカウンターが乗った!
このカードを墓地へ送り、カウンターの数掛ける500…2000のダメージを与える!」
吾郎は我武者羅に速度を上げる。
吾郎は凛を追い越して先へと進む。
凛 LP2200→200
凛「ぐあぁ」
粗削りではあるが、衝撃に力が増してきた。
でも吾郎じいちゃんが僕に本気を見せようとしている…
だったらこっちもその想いに…フィールに応えなければ…!
凛は吾郎を追った。
かつての師の背中を追うのは師を頼りたいからではない。
師を越えたいから、師に自身の成長を見せたいから行くのだ。
吾郎「ローザリアンの効果!場のこのカード以外の効果を全て無効にする!
「滅殺の黒薔薇吹雪」!」
ローザリアンの右腕から黒薔薇の花吹雪が巻き起こる。
吾郎「喰らえ!ホーク・ジョーを攻撃!「抹殺の赤薔薇吹雪」!!」
左腕から放たれた赤薔薇の花吹雪がホーク・ジョーを飲み込む。
赤い渦の中に老いた勝負師の魂を少女は感じた。
凛「
凛 LP200→100
吾郎「躱したか…それでこそ決闘者…デュエリストよ!!」
凛「僕のターン…ドロー!…!まだ終わってないよ…!
僕は「モンスター回収」発動!手札と場のカードを全てデッキに戻し、5枚ドロー!」
吾郎「この土壇場で手札増強カードを引き当てるか…!」
ノートゥングが
凛「…よし!僕は「
さらに僕の場に「
ハルマッタンの効果、ブリーズのレベル3を自身のレベルに加える!」
吾郎「レベル5と3…あの時にはいなかったレベル8…新たなシンクロモンスターか!」
レベル5になった砂塵のハルマッタンにレベル3の上弦のピナーカをチューニング!
漆黒の翼翻し、秘めたる想いを現出せよ!
シンクロ召喚!舞い上がれ、ブラックフェザー・ドラゴン!
凛の真のエース、ブラックフェザー・ドラゴンが天上から飛来する。
吾郎「ほほぉう…これが…」
凛「僕の切り札…ブラックフェザー・ドラゴン!」
吾郎「だがしかし!攻撃力は2800!わずかにローザリアンの攻撃力に届いていない!」
凛「そこはこの子の能力と、この手札で解決できる!僕は「アゲインスト・ウィング」を発動!
墓地の「
吾郎「ここまできて自爆…?いや…何かある…!」
凛「その通り!」
ブラックフェザー・ドラゴンは発生したダメージを吸収した。
そしてその黒羽はさらに黒く、しかし美しく赤黒く輝き始める。
凛「僕へのダメージが発生した時、このモンスターに黒羽カウンターを乗せる!
このカードの攻撃力は黒羽カウンター1つにつき700ずつ下がっていく!」
吾郎「攻撃力を下げるためにわざわざあんな戦法は取るまい…」
凛「さらに「連続魔法」!「アゲインスト・ウィング」の効果をもう一度発動する!」
追加されたダメージを更に吸収する。
その翼はさらに輝きを増していく。
金の嘴、紅を混じえた漆黒の翼。その姿はまさしく黒翼の竜。
凛「ブラックフェザーの効果!黒羽カウンターを全て取り除きカウンター一つにつき700、
相手プレイヤーとモンスターにダメージを与える!「ブラック・バースト」!」
吾郎 LP1600→200
吾郎「ふっふ…完敗…だな…」
凛「行け!ブラックフェザー!「漆黒のオーブ・バースト」!」
黒い閃光がローザリアンと吾郎を飲み込んだ。
吾郎 LP200→0
Winner 凛
凛「いやったー!!」
吾郎「強くなったな…凛…遊悟は元気か?」
少女はヘルメットを外し、へへっと笑った。
凛「元気みたいだよ。僕には気づいてないみたいだけど…
でも孤児院飛び出した時よりも強くなってるみたい!」
吾郎「そうか…お前達は面白い子供だったからよく覚えていたよ…」
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遊悟「なぁなぁじいちゃん!デュエリストって強いのか!?」
吾郎「あぁ、強いやつはうんと強いさ」
老人は懐いてくる子供に相槌を打ちながら微笑む。
まるで仲の良い祖父と孫のようだった。
遊悟「だったら俺!強いデュエリストになる!!
強いデュエリストになって凛や母さんを守るんだ!」
吾郎「そうか…そうか…強くなるんだぞ…」
はしゃぐ少年の頭をガサツにわしゃわしゃと撫でた。
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吾郎「俺ぁ、お前達のような子供に顔向けできるようにプロデュエリストになったが…
結果は未だに出せないままだ…情けねえ…格好悪いなぁ…」
凛「そんなことないよ!じいちゃんは…遊悟にとってもヒーローなんだよ…
まぁ…遊悟がじいちゃんのプロ入りのことは知らないみたいだけどね…
あいつ世間知らずだからさ」
吾郎は高笑いする。
激戦を切り抜けた
ただの祖父とその孫の姿がそこにはあった。
吾郎には実の息子、そして孫がいた。
しかしその息子夫婦と孫は大量殺人鬼によって殺されてしまい、
彼が
彼が愛孫の面影を追っているから…
という小話を捻じ込もうと思ったけどどこにも入れられなかったです。
来週辺り新しいレギュレーション判明しますかね…
グッバイベイゴマ!フォーエバーベイゴマ!
そして十二獣環境はいつまで続くのやら。
アレとズァークのどっちが強いのか見物ですねぇ。
次回は休日返上で執筆するのでいつも通り火曜日に投稿します。