遊戯王-旋風の疾走決闘者-:Re   作:ケケマロ

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地縛開闢

遊悟「行け!クリアウィング!「ヘルブレス・バースト」!!」

 

クリアウィングの放つ旋風は2人の疾走決闘者(ライディング・デュエリスト)を撃ち抜く。

 

「「うわあぁあ」」

 

遊悟はD・ホイールを停め、ふぅと息をついた。

負けた2人のD・ホイーラーから2枚のカードを受け取る。

 

遊悟「2と3…全然足りないな…」

 

「ちぃっ!てめえなんかが決勝に行けるかよっ!」

「せいぜい無駄な努力をしてるこったな!」

 

2人のD・ホイーラーは遊悟を置いて走り去った。

 

遊悟「あと6…か…」

 

先程の疾走決闘(ライディング・デュエル)に大分時間を取られてしまった。

この遅れを取り返さなければ、あの決勝の舞台に立つことはできなくなってしまう。

ひいては鬼瓦煉へのリベンジは叶わなくなってしまうだろう。

 

『コイツが欲しいか?』

 

その声はすぐ後ろから耳に入り込んできた。

D・ホイールの走る音など聞こえはしなかった筈であった。

 

遊悟は仰け反りつつも後ろへ振り返った。

 

遊悟「誰だ!?」

 

そこには仮面を付けた2(メートル)はあろうかという巨漢の姿があった。

 

『コレだよコレ。これが欲しいんだろう?』

 

ピラリとカードを見せつけてくる。

それは星が6個、遊悟がこのステージを勝ち抜くために必要なカードであった。

 

決闘(デュエル)疾走決闘(ライディング・デュエル)を始めよう』

 

遊悟「…へっ!やってやるぜ!」

 

彼は虚勢を張っていることに少し気が付いていた。

目の前の巨漢が放つ異様な雰囲気を感じ取っていた。

ピリピリと肌が強張るこの感覚は、強者との対峙で味わえる感覚ではない。

小さな頃に嫌というほど味わった、死の淵に立たされる感覚。冷や汗が頬を伝うのが分かる。

 

態勢を整え、ピシャリと頬を張る。

深呼吸の後、ビッとハイウェイのカーブを指差した。

 

遊悟「あのコーナーを先に通ったヤツが先行…それでいいか?」

 

『ああ…それで構わんぞ』

 

巨漢は遊悟の隣に着いた。

それと共に一層鳥肌の立つ気配が強くなる。

 

この気配…そうか…!これは鬼瓦煉と同じ闇の瘴気…!

コイツが俺に「調律の魔術師」を仕掛けた野郎か!

ということはこの疾走決闘(ライディング・デュエル)も罠である可能性が極めて高い…

だが…引くわけには行かねえ…!

疾走決闘(ライディング・デュエル)から俺は逃げない!

疾走決闘(ライディング・デュエル)は俺にとって「誇り」であり「生きる術」…!

たとえこの野郎が俺を殺しに掛かって来ても…俺は戦う!

 

同時にエンジンを吹かす。

そして同時に発進した。

 

既に遊悟のマッハ・ウィング号は130km/hを出していた。

しかしこの男のD・ホイールはその速度に付いてきていた。

後ろならば激流疾走(ライディング・ストリーム)もあるが、男は真横に付いている。

 

『その程度か…?興ざめだ…』

 

遊悟「嘗めるな!」

 

挑発にまんまと乗せられ、さらに速度を加速させていく。

コーナー手前の時点では2人の位置は変わらず拮抗した距離であった。

 

コーナーに入ったところで、巨漢が仕掛けた。

カーブの内側に入った遊悟をその巨大なD・ホイールで押し潰しに掛かった。

巨体で壁に追い詰め、削り、潰し切る。

 

潰れてしまえ…!

 

遊悟はそれを察知してか、あるいは本能なのか。

遊悟は少々の減速、そして地面すれすれまで姿勢を低くし、巨漢の攻撃を躱した。

 

遊悟「俺の前を…そう簡単に走れると思うなぁ!!」

 

決闘(デュエル)の開始地点、コーナーを先取したのは遊悟であった。

 

  『デュエル!!』

 

遊悟「俺のターン!俺はSR(スピードロイド)バンブー・ホースを召喚!さらにコイツの効果で、

手札からSR(スピードロイド)電々大公を特殊召喚する!」

 

『合計レベルは7…来るか…』

 

  レベル4のバンブー・ホースにレベル3の電々大公をチューニング!

      その澄明なる翼翻し、寄せ来る闇を打ち砕け!

   シンクロ召喚!出でよ、クリアウィング・シンクロ・ドラゴン!

 

澄明の翼を持つ白い竜が遊悟の下に現れた。

 

闇を打ち砕く…お前にそれができるかね…

 

遊悟「カードを2枚伏せターンエンド!お前のターンだ!」

 

『ああ。私のターン、ドロー。私はモンスターをセット、カードを3枚伏せてターンエンド』

 

不気味な出だし…だが怯むな…!逃げるな…!戦うんだ!

 

遊悟「俺のターン!俺はSR(スピードロイド)ダブルヨーヨーを召喚!

墓地のレベル3以下の「SR(スピードロイド)」電々大公を特殊召喚!もう1体のエースを見せてやる!」

 

  レベル4のダブルヨーヨーにレベル3の電々大公をチューニング!

       その鋭く輝く鋼の逆鱗震わせ、闇を討ち払え!

      シンクロ召喚!出でよ、パワー・ツール・ドラゴン!

 

機械の体を持つ竜がクリアウィングと共に遊悟の場を飛ぶ。

 

『2体目の上級シンクロ…噂と違い、廃墟都市(サテライト)のクズにしてはやるじゃあないか』

 

廃墟都市(サテライト)のクズという言葉に苛立ちを覚える。

 

遊悟「パワーツールの効果!「イクイップ・サーチ」!」

 

パワー・ツールが遊悟のデッキを照らす。そして1枚のカードが光輝き、遊悟の手元へ飛んできた。

 

遊悟「デッキからランダムに1枚、装備魔法を手札に加える!

そしてこのカードをパワー・ツールに対して発動!「ブレイク・ドロー」!

バトルだ!パワー・ツールで守備モンスターを攻撃!「フルメタル・ブレイク」!」

 

パワー・ツールの鋭い刃でセットされていたモンスターは貫かれた。

 

遊悟「(トラップ)発動!「メテオ・レイン」!守備貫通ダメージを与える!」

 

 エドマンド LP4000→3000

 

『破壊されたのは「ダーク・リペアラー」。

このカードが墓地へ送られた時、デッキからカードを1枚ドローする』

 

遊悟「俺も「ブレイク・ドロー」の効果適用!カードを1枚ドローする!

てめえの場はがら空き!クリアウィングで直接攻撃(ダイレクトアタック)!」

 

クリアウィングが巨漢に旋風を打ち放つ。

 

『掛かったな…!』

 

第一の罠に!

 

(トラップ)発動!「地縛開闢」!俺のライフが3000以下で直接攻撃を受ける時発動可能!

そのダメージを半分にし、デッキからフィールド魔法を発動させる!』

 

 エドマンド LP3000→1750

 

『ぐぅ…ふっふふ…!発動せよ!「地縛牢」!!』

 

クリアウィングの攻撃は巨漢の掌の上であった。

地縛牢の効力はクリアウィングとパワー・ツールを縛る。

 

『地縛牢は場のモンスターの「攻撃力を変化させる効果」を無効にする!』

 

遊悟「なに!?」

 

クリアウィングの効果…そして装備魔法の大半を使えなくなった…!

たった1枚から、俺の戦略を潰してきやがった!

 

『さらに「ダメージ・ゲート」を発動。戦闘ダメージ以下の攻撃力を持ったモンスター、

ダーク・リペアラーを蘇生させる』

 

遊悟「ちぃっ!カードを2枚伏せてターンエンド!」

 

『俺のターン、ドロー!「強欲な壺」を発動!2枚ドローする!

準備は整った…さぁ…儀式の始まりだ…!』

 

遊悟「儀式…?」

 

『俺の場にフィールド魔法が存在する時、「地縛囚人ライン・ウォーカー」を特殊召喚!』

 

  レベル5のライン・ウォーカーにレベル3のダーク・リペアラーをチューニング!

             地上を焼き払う業火、ここに具象せよ!

        シンクロ召喚!焼き払え、レッド・デーモンズ・ドラゴン!

 

遊悟「レッド・デーモンズ…!?」

 

世間知らずな遊悟でも知っていた。

かつてこの街を、国を脅かした殺人鬼のことを。

彼の使ったカードはかつてこの街の頂点に立った男、絶対王者(キング)の力の一片、

レッド・デーモンのレプリカカードを使用していたことを。

 

遊悟「お前は…!エドマンド・バンディ!生きていたのか!?」

 

連続殺人鬼エドマンド・バンディは死刑になったはずであった。

 

『表向きだけだがなぁ…!くっくく!』

 

エドマンドのニュースを聞いた頃、その頃の遊悟には恐怖であった。

孤児院に来られてはまだ幼かった遊悟では抵抗できなかったからだ。

その恐怖の存在が目の前にいる。恐ろしくないはずがないのだ。

 

『ダーク・リペアラーの効果で1枚ドロー!

俺は「クリムゾン・ヘル・セキュア」を発動!相手の表側の魔法(マジック)(トラップ)を破壊する!』

 

悪魔竜から放たれる黒い炎が遊悟のカードを破壊する。

 

遊悟「くぅ!」

 

パワー・ツールの耐性を剥がされた!

 

『俺は魔法(マジック)カード「地縛救魂」発動!フィールド魔法がある時発動できる!

墓地の「地縛」モンスターと魔法(マジック)カード1枚を手札に加える!』

 

エドマンドに再びクリムゾン・ヘル・セキュアが戻る。

 

『もう一度ライン・ウォーカーを特殊召喚、そして「ストーン・スィーパー」を通常召喚!』

 

遊悟「シンクロ召喚か…!」

 

『ただのシンクロではない!コイツで俺の決闘(デュエル)は加速する!

俺は魔法(マジック)カード「異界融合-シンクロ・フュージョン」を発動!』

 

  レベル5のライン・ウォーカーにレベル3のストーン・スィーパーをチューニング!

         闇の眷属よ、地の底から飛び立ち戒め放つ翼となれ!

         シンクロ召喚!出でよ、地縛戒隷ジオグリフォン!

 

『さらに同じ素材で融合召喚を行う!』

 

  地に縛られし闇の隸属よ、今交わりて戒め込める叫びとなれ!

     融合召喚!出でよ、地縛戒隸ジオクラーケン!

 

デュエル・レーンの外、地上から翼持つ獣と巨大な海獣が遊悟を睨む。

 

遊悟「2体の上級モンスターを一気に召喚だと!?」

 

『バトルだ!ジオグリフォンでパワー・ツールを、

ジオクラーケンでクリアウィングを攻撃!喰らえ、「闇のフィール」を!』

 

 遊悟 LP4000→3200

 

遊悟「ぐあっ…!」

 

遊悟は黒い霧に飲まれた。

黒い霧は遊悟に、幼かった頃の恐怖を蘇らせる。

 

遊悟「くあぁ…ああぁ…!!」

 

頭の中を恐怖が蝕んで行く。

 

遊悟「うあぁあ!!(トラップ)発動!「スクランブル・エッグ」!」

 

罠の発動により、ロードランナーが呼び出された。

 

ロードランナーは遊悟が小さい頃から使われてきたカードであった。

彼の恐怖する心がこの小さな鳥を呼び出したのだろうか。

 

『猪口才な!レッド・デーモンズ!「獄炎のクリムゾン・ヘル・フレイム」!』

 

ロードランナーは劫火の前には無力であった。

 

遊悟「やめろ…やめろおぉ!!」

 

ロードランナーは劫火に飲まれる前に遊悟へと近付き、コツンとつついた。

 

遊悟「あぁ…?」

 

ヘルメットに響いた音は妙に心地よく、遊悟の心に沁み込んだ。

 

リアル・ソリッド・ビジョンにより、人とデュエルモンスターは触れ合うことができた。

小さい頃の遊び相手として、ロードランナーはよく遊悟と遊んでいた。

 

誰かに言えば笑われるかもしれない。だけど俺は…

俺はデュエルモンスターにも心があるのかもしれないと思っていた。

だから今、ロードランナーからこう言われた気がした。

『頑張れ、負けるな、遊悟』と…

 

遊悟は業炎の中、ガツンと自分を殴る。

 

気をしっかり持て!今の俺は…今の俺は戦えるじゃないか!

 

『俺は「破壊神の系譜」を発動!レッド・デーモンズ!追加攻撃!』

 

今は野郎が前を走っている…!やるしかない!

 

遊悟は激流疾走(ライディング・ストリーム)に乗り、D・ホイールを加速させる。

それにより立体触感(フィール)を高める。

加速した疾風を遊悟は体に纏わせ、バリアのように身を固める。

 

 遊悟 LP3200→200

 

遊悟「ぐぅ!」

 

『フィールで身を守ったか…』

 

遊悟「俺は(トラップ)カード、「墓荒らし」を発動!お前の墓地のカードを発動させる!

俺が使うのは…「ダメージ・ゲート」!蘇らせるのは…」

 

ダメージは3000…どれも蘇生させるのは可能…野郎を倒すのに必要なのは…!

 

遊悟「パワー・ツール!」

 

『ふっ、何を蘇生しても結果は変わらん!俺は「セベクの祝福」を発動!』

 

 エドマンド LP1750→4750

 

『俺とお前のライフの差は4000以上開いた…諦めるなら今の内だぞ?』

 

遊悟「諦めるかよ…!ライフがある限り俺は諦めねえ!」

 

『ならばその僅かなライフを消してやろう!俺はジオクラーケンの効果を発動!』

 

ジオクラーケンに邪悪な力が満ちていく。

 

『このターンに特殊召喚された相手モンスターを全て破壊し、

モンスター1体につき800のダメージを与える!』

 

ジオクラーケンは青い炎をパワー・ツールに吐き掛けた。

 

遊悟「俺は「亜空間物質転送装置」をパワー・ツールを対象に発動!

ターン終了時までパワー・ツールをゲームから除外する!」

 

青い炎を機械竜は回避する。

 

『カードを1枚伏せてターンエンド』

 

パワー・ツールが遊悟の場に帰還する。

 

遊悟「俺のターン…」

 

頼む…俺のデッキ…!

今回だけは…

 

遊悟「ドロー!!」

 

負けられないんだ!!

 

遊悟「…!俺は「運命の宝札」を発動!

ダイスを一度振り、その目の数だけデッキの上からカードを取り除き、カードをドローする!」

 

手札増強カード…!悪運が強いヤツだ…!

 

遊悟「ダイスロール!!」

 

立体幻影(ソリッドビジョン)のダイスが天空を舞う。

2人の間にダイスは落ち、遊悟の運命を決める。

 

遊悟「ダイスの目は4!よってデッキから4枚カードを取り除き、4枚ドローする!」

 

ここで決闘(デュエル)の流れを俺の方に引き込む!

 

引いたカードを見て遊悟はニタリと笑う。

 

…?何を引いた…?

 

遊悟「俺はパワー・ツールの効果を発動!デッキから装備魔法を手札に加える!」

 

…ヤツの手札は4枚…ここでヤツの手札をさらに増やしていいモノだろうか…?

ヤツは廃墟都市(サテライト)のクズだ…

それゆえに予想だにしないカードを使うことがある…!

ここで装備カードをヤツに与えるのは危険だ…!

 

『「デモンズ・チェーン」発動!パワー・ツールの効果は無効だ!』

 

再びニヤリと不敵に笑う。

 

遊悟「へっ!ブラフだぜ!俺は「SR(スピードロイド)赤目のダイス」を召喚!」

 

『ブラフだと…!クズ風情が俺を嵌めただと…!』

 

  レベル7のパワー・ツールにレベル1の赤目のダイスをチューニング!

       生命の神秘の螺旋!光渦巻きて新たなる光となれ!

      シンクロ召喚!出でよ、ライフ・ストリーム・ドラゴン!

 

機械竜の外殻が剥がれ落ち、生命竜へと進化する。

 

遊悟「ライフ・ストリームの効果!ライフが2000未満のプレイヤーのライフを2000にする!」

 

生命竜の神秘の光が遊悟に降り注ぐ。

 

 遊悟 LP2000

 

『このクズがぁ…!まだ抵抗するか…!!』

 

遊悟「ライフ・ストリームでジオクラーケンを攻撃!「ライフ・アセンション・バースト」!」

 

生命竜の息吹がジオクラーケンを包み込んだ。

 

 エドマンド LP4750→4650

 

『ぐぅ…!ジオグリフォンの効果!「地縛」モンスターが破壊された時、

相手の場のカードを1枚破壊する!消えろ!ライフ・ストリーム!』

 

ジオグリフォンは生命竜に襲い掛かり、その強靭な鉤爪で握り潰した。

 

遊悟「くぅっ!メイン2に手札から「救急救命」を発動!

このターン破壊されたモンスターを特殊召喚する!蘇れライフ・ストリーム!

カードを1枚伏せてターンエンド!」

 

本当にパワー・ツールの効果がブラフだったとは…

俺をコケにしやがったとは…!

 

『おのれぇ…!』

 

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  ねぇ   聞こえるかい

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誰だ?

いや…俺はこの声を知っている…

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  エドマンド   君に使命を授けよう

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この声…我が神…!

分かりました…応えて見せましょう…!

 

 

 

『ユーリ』様…!!

 

 

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『く…くふふふ…』

 

遊悟「…?なんだ…?」

 

『俺のターン…「天使の施し」を発動…3枚デッキからドローして、

クリムゾン・ヘル・セキュアと「グランド・キーパー」を墓地へ送る…

俺は「死者蘇生」を発動…蘇らせるのは…クリアウィング・シンクロ・ドラゴン…!』

 

クリアウィングがエドマンドの場に呼び出される。

 

『貴様にトドメを刺すのは…!貴様自身のカードだ…!』

 

遊悟「…お前がクリアウィングを蘇生させるのは読めなかったが…

お前のその性格の悪さが決闘(デュエル)の流れを俺の方へ導いた!

(トラップ)発動!「ハーモニック・ジオグリフ」!」

 

生命竜が閃光を放ち、エドマンドの場のモンスターを照らす。

 

遊悟「俺の場のチューナーと相手の場と墓地のレベル6以上のシンクロモンスターを、

レベル2として扱いシンクロ召喚を行う!」

 

  豪毅な光を放つ勇者の剣!閃光と共に覚醒せよ!

   シンクロ召喚!出でよ、覚醒の魔導剣士(エンライトメント・パラディン)

 

魔導剣士のシンクロ召喚を成功させた…!

お前は罠に掛かった!俺の第二の罠になぁ…!

 

『…モンスターを伏せカードを2枚セット、ターンエンドだ』

 

エドマンドから闇の瘴気が消え去る。

 

ここが叩きどころか…!

 

遊悟「俺のターン!行け、覚醒の魔導剣士(エンライトメント・パラディン)!「トゥルース・オーム」!」

 

覚醒の魔導剣士は裏モンスターを切り刻んだ。

 

遊悟「覚醒の魔導剣士はモンスターを戦闘破壊した時、その攻撃力分のダメージを与える!」

 

 エドマンド LP4650→4150

 

遊悟の疾風の衝撃(フィール)にエドマンドは始めてぐらついた。

 

『ぐぅっくうぅ…ふっふふふ!』

 

遊悟「何がおかしい?」

 

『貴様が俺の罠に次々と掛かってくれることさぁ!

覚醒の魔導剣士(エンライトメント・パラディン)の攻撃宣言時、コレを発動していたのさ!』

 

エドマンドの場に罠が発動されていた。

 

あれは…!「完全破壊-ジェノサイド・ウィルス-」!?

 

『俺の場の攻撃力500以下のモンスターが戦闘破壊された時、

相手のデッキを10枚墓地へ送る!』

 

遊悟のデッキから自動的に10枚のカードが捨てられた。

 

『さらに「闇・道化師のペーテン」の効果!

こいつはデッキから新たなペーテンを特殊召喚できる!』

 

エドマンドの場には依然変わらず3枚のカード。

そして遊悟の残りのデッキ枚数は11枚となった。

 

遊悟「ここに来て…!「デッキ破壊」…だとぉ…!」

 

完全に想定外であった。

 

『デッキが無くなれば敗北となる…!』

 

遊悟「俺はカードを1枚伏せてターン終了だ…!」

 

エドマンドは遊悟の真後ろに憑り付かれる。

 

『俺のターン!「終わりの始まり」を発動!俺の墓地の闇属性モンスターを5体除外、

そしてカードを3枚ドロー!さらに「早すぎた埋葬」を発動!

ライフを800支払い、墓地のレッド・デーモンズを復活させる!』

 

 エドマンド LP4150→3350

 

けたたましい雄叫びを上げ、悪魔竜が復活する。

 

『ふははははぁ!!ライフも!デッキも!モンスターも!削りとってやる!!』

 

エドマンドに闇の瘴気が再び湧き上がってゆく。

 

『バトル!ぺーテンで攻撃!!』

 

俺のデッキは残り11枚…攻撃を受けても1枚残る…

 

遊悟「迎え討て!覚醒の魔導剣士(エンライトメント・パラディン)!」

 

ペーテンのエネルギー波を弾き飛ばし、覚醒の魔導剣士(エンライトメント・パラディン)はペーテンを切り裂いた。

 

 エドマンド LP3350→850

 

その後、遊悟のデッキが再び天を舞う。デッキに残ったのは1枚のみ。

 

『最後のペーテンを特殊召喚!ペーテンで攻撃だ!』

 

この戦闘が成立すれば野郎のライフは0…

しかしいくらヤツの頭に血が上っていようと、そんな馬鹿なことをするか…?

ヤツは決闘警察隊(デュエル・チェイサー)から長い間逃走してきた決闘者(デュエリスト)だぞ…!

逆に俺のデッキを削り切るのが狙いだとすれば…!

 

ジェノサイド・ウィルスで俺の負け…!

このバトル、通すわけには行かねえ!!

 

遊悟「墓地の「三つ目のダイス」の効果!このバトルを無効にする!」

 

『俺の伏せカードは…「レインボー・ライフ」!

手札の「ダーク・スプロケッター」を捨てて発動できる!

このターンのダメージを無効にし、その分のダメージを回復する!』

 

 エドマンド LP850→5850

 

遊悟とエドマンドのライフ差がさらに拡がった。

 

『防御札を失ったか…ひっひひ!ならばレッド・デーモンズの劫火に焼かれるがいい!!』

 

悪魔竜から劫火が放たれる。

先程は耐えられた業炎だが、今回はそうはいかない。

激流疾走(ライディング・ストリーム)は前を走る疾走決闘者(ライディング・デュエリスト)がいるからこそ成せる技。

自身の後ろに相手がいる今、疾風の翼は封じられていたのだ。

 

遊悟「くっ…!…受けて立つ!もう俺は逃げない!!

もう俺は…お前を恐れない!!」

 

遊悟はその背に黒い炎を受け止めた。

焼かれ、絞め付けられ、気を抜けば意識を持って行かれるような黒い炎の衝動(フィール)

その全てを一身に引き受ける。

 

遊悟「があっ…っはぁ…!!」

 

これが…人を殺してきた奴の…エドマンドの(フィール)…!

 

遊悟「これが…!こんなモノが…!」

 

『ふははぁ!!燃え尽きろ!!クズがぁ!!!』

 

わなわなと震えが湧き上がる。

 

この震えは…野郎への恐怖ではない…この震えは…

 

遊悟「エド…マンド…!」

 

『あぁ?』

 

「貴様は…疾走決闘者(ライディング・デュエリスト)の風上にも置けねえ!!」

 

遊悟は叫ぶ。

 

この震えは怒り…!

相手に痛みしか感じさせない…闇のフィールとやらの力だけに頼った…

想いを乗せていないただの暴力…!

同じ瘴気を抱えた鬼瓦煉ですら、見下しや侮蔑の念が篭っていた…!

コイツは…ただの殺人者…!決して許してはならない!!

 

決意を抱いた遊悟にもう炎は効かなかった。

 

『馬鹿な…!』

 

闇のフィールは相手の心の恐怖、憎悪、悲哀の情を増幅させ、精神の死へ誘う業…

効かない人間などいるはずがない…!

痛みを与える俺への恐怖…憎悪…

そして死にゆく自身への悲哀…

コイツは何一つ感じていないというのか…!?

 

遊悟「俺は「ミラージュ・ルーラー」を発動!俺の場とライフを戦闘前に戻し、

俺のライフを半分払う!」

 

 遊悟 LP2000→1000

 

遊悟は覚醒の魔導剣士(エンライトメント・パラディン)を呼び戻した。

 

『ぐぅ…!カードを1枚伏せターンエンドだ…!』

 

遊悟「俺の…ターン!…お前を倒す道筋はもう見えている!

(トラップ)カード、「シンクロ・ソニック」!地縛牢を破壊する!」

 

地縛牢を破壊した遊悟に縛られた者たちの怨念が襲い掛かる。

 

 遊悟 LP1000→500

 

しかし、遊悟にはその魂でさえもう恐怖を感じることはなかった。

 

遊悟「魔法(マジック)カード「ギャップ・パワー」!俺とお前のライフの差、

5350が覚醒の魔導剣士(エンライトメント・パラディン)の攻撃力に加えられる!」

 

『なんだとぉ!?』

 

覚醒の魔導剣士(エンライトメント・パラディン)の攻撃力は7850となった。

 

遊悟「ライフのアドバンテージは覆る!バトルだ!」

 

魔導剣士が悪魔竜に立ち向かう。

勇気を以て、強大な竜を討つ勇者の如く。

 

遊悟は疾走る、疾風を纏って。

姿勢を低く保ち、限界までスピードを上げていく。

 

俺は…誰よりも強くなると決めて、ここまで来ているんだ…

だから…俺は一人で強くならなくちゃあいけない…!!

 

そのスピードはやがて巨大な疾風となり、遊悟の、D・ホイールの翼となる。

 

 エドマンド LP5850→500

 

『があぁ!!』

 

遊悟の強い想い(フィール)にエドマンドの巨大なD・ホイールは弾かれる。

 

遊悟「トドメだ!レッド・デーモンズの攻撃力、3000のダメージを与える!」

 

魔導剣士は斬撃を飛ばし、エドマンドを切り裂いた。

 

『俺が…!この俺があぁぁ!!』

 

遊悟の疾風の翼はエドマンドへとぶつけられた。

 

 エドマンド LP500→

 

 

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 エドマンド LP100

 

遊悟「な…!なにぃ!?」

 

濛々と舞う煙から低い唸り声のように、地響きのように鳴り始めた。

 

『この俺を…本当に殺れたと思ったのか…?

廃墟都市(サテライト)のクズがぁ…思い上がるな…!!』

 

刹那、停止していた遊悟の横をエドマンドが駆け抜ける。

遊悟は見逃さず、殺人鬼を追いかける。

 

『俺は「ディスペアー・ストラグル」を発動!俺のライフを100にして、

ダメージを0にする…そしてダメージ1000につき1枚ドローする…!』

 

エドマンドは3枚のカードを引いた。

強がりはしたものの、彼は既に満身創痍であった。

遊悟からのダメージは確実に受けていた。

 

『ぐへぁ…へっへへ…!おいクズ!お前にもうデッキのカードは無い!お前の負けだ!』

 

遊悟「…カードを1枚伏せてターンエンド…!」

 

アイツ…!まだ諦めねえのか…!

あの眼…!煉にそっくりだ…!信念を貫く…決意を抱いた眼…!

 

『貴様ぁ…!風薙ぃ…遊悟おぉ!!

その眼…!その眼が気に食わない!!殺す…殺してやる!!』

 

エドマンドがドローする。

遊悟はエドマンドにまだ戦う気力があるのを確認すると、彼の後ろを走った。

 

『装備魔法「リビング・フォッシル」!レッド・デーモンズを蘇生させる!

さらに、手札から「レッド・ノヴァ」と「赤蟻アスカトル」を呼び出す!!』

 

遊悟「チューナーを2体…まさか!?」

 

     レベル3の赤蟻アスカトルとレベル1のレッド・ノヴァに

   レベル8のレッド・デーモンズ・ドラゴンをダブルチューニング!

  王者と悪魔、今ここに一つとなる!世界を揺るがす絶対の力に震撼せよ!

   シンクロ召喚!全てを滅ぼせ!スカーレッド・ノヴァ・ドラゴン!

 

地縛の悪魔と紅蓮の竜が一つとなり、レッド・デーモンズは進化を遂げた。

 

遊悟「ダブルチューニング…!?シンクロのルールから外れた召喚法…!」

 

『ひはは…スカーレッド・ノヴァはカード効果では破壊されず、

その攻撃力は…俺の墓地のチューナーの数だけ上がる…!!』

 

遊悟「墓地のチューナーは5体…攻撃力は…6000!?」

 

『俺は「魔界の足枷」をお前のモンスターに装備させる…!

装備モンスターの攻撃力は100になり、攻撃できなくなる…

さらに俺のスタンバイ毎にお前(コントローラー)に500のダメージを与える…!』

 

魔導剣士に足枷が嵌められ、身動きを止めた。

 

『行け、スカーレッド・ノヴァ…!!「インフェルノ・エンド・ストーム」!』

 

逆巻く黒炎が遊悟目掛けて放たれた。

 

遊悟「…驚いたよ…!お前に…ここまでの力があることによ…!」

 

遊悟は黒炎に怯むことなく立ち向かっていく。

 

遊悟「だが!俺はもう決めたんだ…!絶対に逃げないってよ!!」

 

遊悟は疾風の翼を再び纏い、黒炎に立ち向かう。

疾風の翼は黒煙を貫き、炎を残らず消し去った。

 

遊悟「墓地の「タスケルトン」の効果!この戦闘ダメージを全て0にする!」

 

『何故だ…何故…倒せない…!

しかしお前にはもうデッキは無い!お前の負けに変わりは…』

 

遊悟「速攻魔法!「速攻魔力増幅器(クイック・ブースター)」!

俺の墓地の速攻魔法をデッキに戻す!俺が戻すのは…「旗鼓堂々」!」

 

デッキに1枚のカードが補充される。遊悟の運命はこのカードに託された。

 

『ターン…エンド…』

 

遊悟「俺のターン、ドロー!俺は墓地の電々大公の効果!墓地のチューナーを蘇生させる…」

 

これしかできることがないが…

俺のデッキにこれ以上高レベルのシンクロモンスターはいない…

墓地の最高攻撃力のモンスターはライフ・ストリームだが…

スカーレッド・ノヴァを倒すことはできない…

ここまで追い詰めて…俺が廃墟都市(サテライト)の…クズだからか…?

ちくしょう…くそぅ…!

 

1枚のカードが頭を過る。

 

「調律の魔術師」…?

 

可憐な魔術師が遊悟の目の前に現れた。

幻覚でも見ているのだろうか?

 

魔術師は遊悟の胸に手をかざすと、すぅっと溶け込んでいった。

 

胸の中に、大きく揺らぐ。

勇気なのか。魂なのか。命なのか。

一歩を踏み出せるような何か大きな力が胸に宿った。

 

遊悟『俺は「調律の魔術師」を特殊召喚する!』

 

今はこの…『何か』に頼るしかない…!

勝つんだ…!俺は!

 

ピンク色の髪をした魔術師が遊悟の場を降り立った。

 

遊悟『調律の魔術師の効果、召喚時に相手のライフを400回復させ、俺は400ダメージを受ける!』

 

 遊悟 LP500→100

 

 エドマンド LP100→500

 

『ライフを逆転させた…?』

 

遊悟『装備魔法「シンクロ・ヒーロー」を調律の魔術師に装備!

攻撃力が500上がり、レベルが1つ上がる!レベルが2になった!』

 

遊悟は胸の中で描かれた軌跡をなぞるように祈る。

 

  レベル8の覚醒の魔導剣士(エンライトメント・パラディン)にレベル2の調律の魔術師をチューニング!

   我が胸に宿る魂の奇跡!遍く世界に光を放ち、平穏の地平へ導け!

       シンクロ召喚!出でよ、涅槃の超魔導剣士(ニルヴァーナ・ハイ・パラディン)

 

『レベル10…!知らないぞ…あんなカードは…!』

 

遊悟『創り出したんだ…!俺がここで…!』

 

青い聖装に身を包んだ魔導剣士が大剣を携え遊悟に呼び覚まされた。

 

遊悟『俺は旗鼓堂々を発動!墓地の装備魔法…「巨大化」を装備!』

 

涅槃の超魔導剣士(ニルヴァーナ・ハイ・パラディン)の持つ剣が、

スカーレッド・ノヴァの全長を越える大きさまで巨大化した。

 

『こんなことが…!だがスカーレッド・ノヴァは…』

 

ここでエドマンドはハッとした。

 

________________________________________

 

君の悪魔竜と

 

                    アイツの魔導剣士を

 

 

       最高の力でぶつけ合うんだ

 

 

 

   そうすれば

                      僕と君は出会うことができるよ

________________________________________

 

 

 

そうだ…俺は…

あの方にお会いしたい!

 

遊悟『涅槃の超魔導剣士(ニルヴァーナ・ハイ・パラディン)の攻撃!「トゥルース・スカーヴァティ」!!』

 

巨大な剣がスカーレッド・ノヴァに振るわれた。

 

『迎え討てぇ…!スカーレッド・ノヴァ・ドラゴン!!』

 

紅蓮悪魔竜が全力でその拳を振るう。

 

悪魔竜の黒炎と、魔導剣士の閃光は、大きな火花を巻き起こす。

天空でのぶつかり合い。

 

遊悟『行けえぇぇ!!』

 

『うあぁぁ!!』

 

地上では遊悟とエドマンドが一撃疾走(ワンショット・ラン)を挑んでいた。

負けられない。負けたくない。

想い(フィール)の純粋なぶつけ合いである。

 

エドマンドの闇のフィールを遊悟の疾風のフィールが砕いた。

 

『がはっ』

 

天空でも涅槃の超魔導剣士(ニルヴァーナ・ハイ・パラディン)がスカーレッド・ノヴァが引き裂いた。

 

 エドマンド LP500→0

 

  Winner 風薙 遊悟

 

遊悟『ハァ…ハァ…』

 

エドマンドはD・ホイールから転げ落ちた。

その顔は満足げであった。

 

遊悟「…ハァ…勝った…勝ったぞ…!」

 

勝者はD・ホイールに俯せた。

それゆえに見ることができなかった。

 

 

 

  空間が裂け、この世界に絶望を運ぼうとしていることを




まだ火曜日だからセーフ。

反省点はエドマンドのドロソの多さですかね。
仕方ないことにしたいですが。

フラゲェ・・・フラゲェ・・・
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