学戦都市アスタリスク ~六花の星野七瀬~   作:ムッティ

130 / 149
溶ける~溶ける~、俺~た~ち♪

流れ~る汗がハンパ~な~い♪

いつも~こんな~、暑~け~りゃ♪

やがて~干からびてゆく~だ~ろ~♪



・・・暑いんだよバカ野郎おおおおおっ!


バケモノ

 「綾斗、綺凛、大丈夫か?」

 

 「うん、何とかね・・・」

 

 「スミマセン、力及ばず・・・」

 

 側へと歩み寄ると、二人ともかなり疲れ切っている様子だった。どうやら、ダメージの蓄積が大きいようだ。

 

 「いや、よくやってくれた」

 

 続いてやってきたユリスが、二人を労う。

 

 「お前達が《覇軍星君》を抑えてくれていたおかげで、他のメンバーを片付けることが出来たからな」

 

 「ユリスの言う通り。二人とも頑張った」

 

 「六対一になったのは、相当大きいですよ」

 

 紗夜とクローディアも頷いている。一方の暁彗は、一定の距離を保ったまま動いていなかった。

 

 時間をくれるとは、ずいぶん余裕だな・・・

 

 「綾斗と綺凛は、少し下がって休んでてくれ。暁彗の相手は俺達がする」

 

 「いや、全員でかかった方が良いんじゃ・・・」

 

 綾斗がそう言うが、今のままでは綾斗も綺凛もまともに動けないだろう。

 

 ここで無理をして、リタイアになってしまったら元も子もないからな。

 

 「万が一試合が長引いた場合、二人にも動いてもらわないといけない。そうなった場合に備えて、少し身体を休めてくれ。クローディア、お前もな」

 

 「えっ・・・いえ、私は・・・」

 

 「・・・身体、ホントは結構しんどいんだろ?」

 

 「っ・・・」

 

 息を呑むクローディア。

 

 試合の序盤、クローディアは黎兄妹に自由行動を許してしまっている。恐らく身体が万全ではなく、黎兄妹を止められなかったんだろう。

 

 しかも体力をごっそり消耗した黎兄妹を倒すのに、少し時間がかかっていた。いつものクローディアなら、瞬殺できていたはずだ。

 

 「まぁ無理も無い。昨日あれだけ体力を消耗して、至るところに怪我を負い・・・満身創痍の状態でこの試合に臨んでるわけだしな」

 

 「ですが、それは七瀬達も同じで・・・」

 

 「クローディア」

 

 クローディアのセリフを遮る俺。

 

 「お前がリタイアした瞬間、俺達の敗北が決まるんだ。分かってくれ」

 

 「七瀬・・・」

 

 俯くクローディア。俺はクローディアの頭を撫でた。

 

 「万が一の時は、お前に動いてもらうことになる。だからちょっと休んでろ」

 

 「・・・分かりました」

 

 悔しそうに頷くクローディア。

 

 「リーダーとして、本当に申し訳ありませんが・・・頼みます」

 

 「おう」

 

 俺は頷くと、ユリスと紗夜へと視線を向けた。

 

 「俺が前衛でユリスが遊撃、紗夜が後衛でいく。サポートは任せたぞ」

 

 「あぁ、任された」

 

 「バッチコイ」

 

 二人が力強く頷いてくれる。俺は暁彗へと身体を向けた。

 

 「・・・話し合いは終わったか?」

 

 「おかげさまでな。時間をくれるなんて、余裕の表れか?」

 

 「真正面からお前達を打ち負かす・・・それだけだ」

 

 「人の能力を封じておいてよく言うぜ」

 

 「アレは八重が考えた策でな。師父は八重に作戦を一任していた故、俺も口を挟んだりしなかっただけだ」

 

 「・・・八重のヤツ、ずいぶん星露から信頼されたな」

 

 まぁ八重は頭も切れるし、そういうの向いてるかもしれないけど。

 

 「さて・・・始めようか」

 

 棍を構える暁彗。

 

 「能力無しで何処までやれるか・・・俺が見極めてやる」

 

 「ハッ、そりゃ有り難いな」

 

 拳を構える俺。そして・・・

 

 「「はぁっ!」」

 

 同時に地面を蹴る俺と暁彗なのだった。

 

 

 

 

 

 *****

 

 

 

 

 

 「らぁっ!」

 

 暁彗へ向けて拳を放つ。しかし暁彗は、いとも簡単に棍で弾いてみせた。

 

 「なっ!?」

 

 「はぁっ!」

 

 暁彗が掌打を繰り出そうとした瞬間・・・

 

 「咲き誇れ!呑竜の咬焔花!」

 

 ユリスの能力によって生み出された焔の竜が、暁彗に襲いかかる。咄嗟に避ける暁彗だったが、そこへ紗夜が銃口を向けた。

 

 「どどーん」

 

 アークヴァンデルス改が火を噴く。暁彗が棍で銃撃を受け止めた瞬間、凄まじい爆発が巻き起こった。

 

 「七瀬、大丈夫?」

 

 「あぁ、何とかな」

 

 紗夜の問いに頷く俺。

 

 「紗夜もユリスもありがとな。助かったよ」

 

 「気にするな。しかし、あの棍は何だ?純星煌式武装である《神の拳》を弾くなど、同格の純星煌式武装にしか出来ないはずでは・・・」

 

 「・・・恐らく呪符だ。相当な枚数が貼られてるんじゃないか?」

 

 「いかにも」

 

 煙が晴れた先では、暁彗が無傷で立っていた。棍の表面で呪符が燃え尽き、灰となって地面に落ちていく。

 

 「この呪符を潰さないかぎり、《神の拳》でもこの棍は破壊できない」

 

 「・・・だから綾斗とやりあえたのか」

 

 恐らく《黒炉の魔剣》も、呪符に邪魔されて斬れなかったんだろう。

 

 ただの棍を厄介な武器にしやがって・・・

 

 「本気でこい、七瀬。俺も全力でいく」

 

 「言われなくてもそうするさ!」

 

 全力で地面を蹴り、暁彗との距離を詰める。

 

 「はぁっ!」

 

 連続で拳、そして蹴りを繰り出す。しかし暁彗は、それを最小限の動きで避ける。

 

 「・・・あれからまた強くなったようだな」

 

 感心したように呟く暁彗。

 

 「お前の体術は、既に虎峰を超えている。だが・・・」

 

 暁彗は俺の拳を避けると、俺の腹に掌打を打ちこんだ。

 

 「がはっ・・・!?」

 

 「・・・まだ俺には及ばない」

 

 吹き飛ぶ俺。追撃しようとしてくる暁彗に、紗夜が銃口を向ける。

 

 だが・・・

 

 「ふんっ!」

 

 暁彗の投げた棍が、アークヴァンデルス改の銃口に突き刺さった。銃が暴発し、銃口が爆発する。

 

 「なっ!?」

 

 驚愕している紗夜に、凄まじいスピードで接近する暁彗。そうはさせじと、ユリスが攻撃を仕掛けた。

 

 「咲き誇れ!隆炎の結界華!」

 

 炎の柱が、地面のあちこちから噴き出す。紗夜と暁彗の間にも噴き出すが、暁彗は動じずに拳を構えた。

 

 そして・・・

 

 「はぁっ!」

 

 暁彗の拳による衝撃波が炎の柱に穴を空け、その先にいた紗夜に直撃した。

 

 「かはっ・・・!?」

 

 もろにくらって宙へ浮いた紗夜に、暁彗の掌打が突き刺さる。紗夜の目から光が消えた。

 

 

 

 『沙々宮紗夜、意識消失!』

 

 

 

 「紗夜ッ!」

 

 叫ぶユリス。今度はユリスを狙い、暁彗が拳を繰り出すが・・・

 

 「させるかっ!」

 

 体勢を立て直し、暁彗の拳を蹴りで跳ね上げる俺。がら空きになった腹部に、渾身の右ストレートを叩き込む。

 

 「ぐぅっ・・・!」

 

 呻き声を上げる暁彗だったが、吹き飛ぶことなくその場に留まった。そのまま放たれた膝蹴りが、俺の脇腹へと突き刺さる。

 

 「がっ・・・!?」

 

 「はっ!」

 

 その隙をついて校章に掌打を放ってくるも、身体を捻って何とか校章を守る。しかし掌打はもろにくらってしまい、再び吹き飛ばされた。

 

 「このっ・・・咲き誇れ!赤円の灼斬花!」

 

 炎の戦輪が一斉に襲いかかるも、軽い身のこなしでユリスとの距離を詰める暁彗。

 

 そして・・・

 

 「はぁっ!」

 

 暁彗の蹴りがユリスの腹部にめり込んだ。

 

 「がはっ・・・!?」

 

 呻き声を上げたユリスの校章に、暁彗の掌打が放たれる。

 

 

 

 『ユリス=アレクシア・フォン・リースフェルト、校章破壊!』

 

 

 

 「ユリスッ!」

 

 くそっ、コイツやっぱりバケモノだ・・・!

 

 「次はお前だ、七瀬」

 

 地面を蹴り、俺との距離を詰めてくる暁彗。

 

 だが・・・

 

 「はぁっ!」

 

 「やぁっ!」

 

 綾斗と綺凛が間に入り、暁彗を牽制してくれる。暁彗は後方へ跳んで距離をとるが、二人はすかさず間合いを詰めて攻撃を仕掛ける。

 

 「七瀬ッ!」

 

 クローディアが駆け寄ってくる。

 

 「・・・悪い。倒せないどころか、お前達が休む時間さえ稼げなかった」

 

 「大丈夫ですよ。さっきより身体も動くようになりましたから」

 

 そう言ってくれるクローディアだが、表情には疲労の色が濃く見えた。

 

 これ以上の長期戦はこちらが不利か・・・

 

 「・・・七海」

 

 【何でしょう?】

 

 「かなりリスキーだが・・・沈雲と沈華に施された封印を解く。力を貸してくれ」

 

 【仰せのままに】

 

 同意してくれる七海なのだった。




どうも~、ムッティです。

シャノン「アニキ・・・強すぎじゃない?」

だってアニキだもの。

そりゃ紗夜もユリスも敵わないわ。

シャノン「私もこんな風に強くなりたいなぁ・・・」

え、筋肉ムキムキになりたいの?

シャノン「言ってないよ!?」

じゃあライザ●プ行ってきなよ。

シャノン「何でライ●ップ!?痩せたいわけじゃないんだけど!?」

それではまた次回!以上、ムッティでした!

シャノンはラ●ザップに行く為、しばらくお休みします。

シャノン「そんなわけあるかあああああっ!」

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。