流れ~る汗がハンパ~な~い♪
いつも~こんな~、暑~け~りゃ♪
やがて~干からびてゆく~だ~ろ~♪
・・・暑いんだよバカ野郎おおおおおっ!
「綾斗、綺凛、大丈夫か?」
「うん、何とかね・・・」
「スミマセン、力及ばず・・・」
側へと歩み寄ると、二人ともかなり疲れ切っている様子だった。どうやら、ダメージの蓄積が大きいようだ。
「いや、よくやってくれた」
続いてやってきたユリスが、二人を労う。
「お前達が《覇軍星君》を抑えてくれていたおかげで、他のメンバーを片付けることが出来たからな」
「ユリスの言う通り。二人とも頑張った」
「六対一になったのは、相当大きいですよ」
紗夜とクローディアも頷いている。一方の暁彗は、一定の距離を保ったまま動いていなかった。
時間をくれるとは、ずいぶん余裕だな・・・
「綾斗と綺凛は、少し下がって休んでてくれ。暁彗の相手は俺達がする」
「いや、全員でかかった方が良いんじゃ・・・」
綾斗がそう言うが、今のままでは綾斗も綺凛もまともに動けないだろう。
ここで無理をして、リタイアになってしまったら元も子もないからな。
「万が一試合が長引いた場合、二人にも動いてもらわないといけない。そうなった場合に備えて、少し身体を休めてくれ。クローディア、お前もな」
「えっ・・・いえ、私は・・・」
「・・・身体、ホントは結構しんどいんだろ?」
「っ・・・」
息を呑むクローディア。
試合の序盤、クローディアは黎兄妹に自由行動を許してしまっている。恐らく身体が万全ではなく、黎兄妹を止められなかったんだろう。
しかも体力をごっそり消耗した黎兄妹を倒すのに、少し時間がかかっていた。いつものクローディアなら、瞬殺できていたはずだ。
「まぁ無理も無い。昨日あれだけ体力を消耗して、至るところに怪我を負い・・・満身創痍の状態でこの試合に臨んでるわけだしな」
「ですが、それは七瀬達も同じで・・・」
「クローディア」
クローディアのセリフを遮る俺。
「お前がリタイアした瞬間、俺達の敗北が決まるんだ。分かってくれ」
「七瀬・・・」
俯くクローディア。俺はクローディアの頭を撫でた。
「万が一の時は、お前に動いてもらうことになる。だからちょっと休んでろ」
「・・・分かりました」
悔しそうに頷くクローディア。
「リーダーとして、本当に申し訳ありませんが・・・頼みます」
「おう」
俺は頷くと、ユリスと紗夜へと視線を向けた。
「俺が前衛でユリスが遊撃、紗夜が後衛でいく。サポートは任せたぞ」
「あぁ、任された」
「バッチコイ」
二人が力強く頷いてくれる。俺は暁彗へと身体を向けた。
「・・・話し合いは終わったか?」
「おかげさまでな。時間をくれるなんて、余裕の表れか?」
「真正面からお前達を打ち負かす・・・それだけだ」
「人の能力を封じておいてよく言うぜ」
「アレは八重が考えた策でな。師父は八重に作戦を一任していた故、俺も口を挟んだりしなかっただけだ」
「・・・八重のヤツ、ずいぶん星露から信頼されたな」
まぁ八重は頭も切れるし、そういうの向いてるかもしれないけど。
「さて・・・始めようか」
棍を構える暁彗。
「能力無しで何処までやれるか・・・俺が見極めてやる」
「ハッ、そりゃ有り難いな」
拳を構える俺。そして・・・
「「はぁっ!」」
同時に地面を蹴る俺と暁彗なのだった。
*****
「らぁっ!」
暁彗へ向けて拳を放つ。しかし暁彗は、いとも簡単に棍で弾いてみせた。
「なっ!?」
「はぁっ!」
暁彗が掌打を繰り出そうとした瞬間・・・
「咲き誇れ!呑竜の咬焔花!」
ユリスの能力によって生み出された焔の竜が、暁彗に襲いかかる。咄嗟に避ける暁彗だったが、そこへ紗夜が銃口を向けた。
「どどーん」
アークヴァンデルス改が火を噴く。暁彗が棍で銃撃を受け止めた瞬間、凄まじい爆発が巻き起こった。
「七瀬、大丈夫?」
「あぁ、何とかな」
紗夜の問いに頷く俺。
「紗夜もユリスもありがとな。助かったよ」
「気にするな。しかし、あの棍は何だ?純星煌式武装である《神の拳》を弾くなど、同格の純星煌式武装にしか出来ないはずでは・・・」
「・・・恐らく呪符だ。相当な枚数が貼られてるんじゃないか?」
「いかにも」
煙が晴れた先では、暁彗が無傷で立っていた。棍の表面で呪符が燃え尽き、灰となって地面に落ちていく。
「この呪符を潰さないかぎり、《神の拳》でもこの棍は破壊できない」
「・・・だから綾斗とやりあえたのか」
恐らく《黒炉の魔剣》も、呪符に邪魔されて斬れなかったんだろう。
ただの棍を厄介な武器にしやがって・・・
「本気でこい、七瀬。俺も全力でいく」
「言われなくてもそうするさ!」
全力で地面を蹴り、暁彗との距離を詰める。
「はぁっ!」
連続で拳、そして蹴りを繰り出す。しかし暁彗は、それを最小限の動きで避ける。
「・・・あれからまた強くなったようだな」
感心したように呟く暁彗。
「お前の体術は、既に虎峰を超えている。だが・・・」
暁彗は俺の拳を避けると、俺の腹に掌打を打ちこんだ。
「がはっ・・・!?」
「・・・まだ俺には及ばない」
吹き飛ぶ俺。追撃しようとしてくる暁彗に、紗夜が銃口を向ける。
だが・・・
「ふんっ!」
暁彗の投げた棍が、アークヴァンデルス改の銃口に突き刺さった。銃が暴発し、銃口が爆発する。
「なっ!?」
驚愕している紗夜に、凄まじいスピードで接近する暁彗。そうはさせじと、ユリスが攻撃を仕掛けた。
「咲き誇れ!隆炎の結界華!」
炎の柱が、地面のあちこちから噴き出す。紗夜と暁彗の間にも噴き出すが、暁彗は動じずに拳を構えた。
そして・・・
「はぁっ!」
暁彗の拳による衝撃波が炎の柱に穴を空け、その先にいた紗夜に直撃した。
「かはっ・・・!?」
もろにくらって宙へ浮いた紗夜に、暁彗の掌打が突き刺さる。紗夜の目から光が消えた。
『沙々宮紗夜、意識消失!』
「紗夜ッ!」
叫ぶユリス。今度はユリスを狙い、暁彗が拳を繰り出すが・・・
「させるかっ!」
体勢を立て直し、暁彗の拳を蹴りで跳ね上げる俺。がら空きになった腹部に、渾身の右ストレートを叩き込む。
「ぐぅっ・・・!」
呻き声を上げる暁彗だったが、吹き飛ぶことなくその場に留まった。そのまま放たれた膝蹴りが、俺の脇腹へと突き刺さる。
「がっ・・・!?」
「はっ!」
その隙をついて校章に掌打を放ってくるも、身体を捻って何とか校章を守る。しかし掌打はもろにくらってしまい、再び吹き飛ばされた。
「このっ・・・咲き誇れ!赤円の灼斬花!」
炎の戦輪が一斉に襲いかかるも、軽い身のこなしでユリスとの距離を詰める暁彗。
そして・・・
「はぁっ!」
暁彗の蹴りがユリスの腹部にめり込んだ。
「がはっ・・・!?」
呻き声を上げたユリスの校章に、暁彗の掌打が放たれる。
『ユリス=アレクシア・フォン・リースフェルト、校章破壊!』
「ユリスッ!」
くそっ、コイツやっぱりバケモノだ・・・!
「次はお前だ、七瀬」
地面を蹴り、俺との距離を詰めてくる暁彗。
だが・・・
「はぁっ!」
「やぁっ!」
綾斗と綺凛が間に入り、暁彗を牽制してくれる。暁彗は後方へ跳んで距離をとるが、二人はすかさず間合いを詰めて攻撃を仕掛ける。
「七瀬ッ!」
クローディアが駆け寄ってくる。
「・・・悪い。倒せないどころか、お前達が休む時間さえ稼げなかった」
「大丈夫ですよ。さっきより身体も動くようになりましたから」
そう言ってくれるクローディアだが、表情には疲労の色が濃く見えた。
これ以上の長期戦はこちらが不利か・・・
「・・・七海」
【何でしょう?】
「かなりリスキーだが・・・沈雲と沈華に施された封印を解く。力を貸してくれ」
【仰せのままに】
同意してくれる七海なのだった。
どうも~、ムッティです。
シャノン「アニキ・・・強すぎじゃない?」
だってアニキだもの。
そりゃ紗夜もユリスも敵わないわ。
シャノン「私もこんな風に強くなりたいなぁ・・・」
え、筋肉ムキムキになりたいの?
シャノン「言ってないよ!?」
じゃあライザ●プ行ってきなよ。
シャノン「何でライ●ップ!?痩せたいわけじゃないんだけど!?」
それではまた次回!以上、ムッティでした!
シャノンはラ●ザップに行く為、しばらくお休みします。
シャノン「そんなわけあるかあああああっ!」