学戦都市アスタリスク ~六花の星野七瀬~   作:ムッティ

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もうすぐ9月も終わりかぁ・・・

年末まであっという間なんだろうなぁ・・・


乾杯

 翌日。

 

 「七瀬えええええっ!」

 

 「七瀬さあああああんっ!」

 

 「グッジョブ!」

 

 「うおっ!?」

 

 ユリス・綺凛・紗夜が病室になだれ込んできて、ベッドに座っていた俺に思いっきり抱きついてきた。

 

 お、重い・・・

 

 「優勝だぞ優勝!私達が《獅鷲星武祭》を制したんだ!」

 

 「七瀬さんのおかげです!何とお礼を言ったら良いか!」

 

 「流石は七瀬、頼りになる!」

 

 興奮状態のユリスと綺凛。紗夜もいつになくテンションが上がっていた。

 

 「皆、とりあえず落ち着こうよ」

 

 「そうですよ。七瀬は病み上がりなんですから」

 

 綾斗とクローディアが苦笑しながらやってくる。

 

 「七瀬、身体の調子はどう?」

 

 「もう大丈夫だよ。午後には退院して良いってさ」

 

 「本当ですか?それは良かったです」

 

 そんなやり取りをしていると、病室のドアがノックされた。

 

 「どうぞ~」

 

 返事をすると、静かにドアが開かれた。

 

 現れたのは・・・

 

 「やぁ七瀬、失礼するよ」

 

 「お、アーネスト」

 

 穏やかな笑みを浮かべ、アーネストが入ってくる。その後ろから、ランスロットの面々も入ってきた。

 

 「大勢でお邪魔してすまないね。三咲が七瀬のお見舞いに行くというから、少し挨拶しようと思って」

 

 「全然構わないよ。わざわざありがとな」

 

 感謝の言葉を口にすると、レティシアが前に進み出てきた。

 

 「七瀬・・・今回は私の完敗ですわ」

 

 悔しそうな表情のレティシア。

 

 「開始早々に瞬殺されるなんて・・・私もまだまだ未熟ですわね」

 

 「それを言ったら俺もだぜ、レティ」

 

 ケヴィンさんが苦笑している。

 

 「まさか一撃で倒されるとはな・・・《黒盾》の名が泣くぜ」

 

 「俺が二人を倒せたのは、あくまでも意表を突けたからだよ」

 

 首を横に振る俺。

 

 「真正面から対峙したら苦戦すると思ったから、ああいう戦法で攻めただけ・・・二人が未熟だったとか、そういう話じゃないさ」

 

 「七瀬・・・」

 

 「レティシアやケヴィンさんと戦えて良かったよ。ありがとう」

 

 その言葉に、二人が揃って顔を見合わせる。そして・・・

 

 「フフッ、七瀬は本当に変わってますわね」

 

 「全くだ。三咲が溺愛するのも分かる気がするな」

 

 笑い出す二人。どうやら少しは気が晴れたようだ。

 

 「《疾風刃雷》」

 

 ライオネルさんが、綺凛に手を差し出す。

 

 「見事な覚悟だった。感服したよ」

 

 「こちらこそ。お見事でした」

 

 笑顔で握手に応じる綺凛。

 

 自らを犠牲にしてまで、チームを守ろうとする心・・・そういった芯の強さで言うと、この二人は似てるかもな。

 

 「沙々宮さん、素晴らしい射撃でした。私の腕では及びませんでしたね」

 

 「いや、お前の腕前も凄かった。敵ながら感心してしまったほど」

 

 お互いを称え合うパーシヴァルと紗夜。二人とも無表情ではあるが、相手の腕前を尊敬していることが窺える。

 

 「《千見の盟主》も、最後の攻撃はお見事でした」

 

 「フフッ、紗夜のおかげですよ」

 

 「クローディア、重い・・・」

 

 パーシヴァルに褒められ、笑顔で紗夜に抱きつくクローディア。

 

 紗夜も口では文句を言うものの、表情は満更でもなさそうだった。

 

 「天霧くん」

 

 アーネストが綾斗へ笑みを向ける。

 

 「君と戦えて良かった。本当に楽しかったよ」

 

 「こちらこそ」

 

 握手を交わす二人。

 

 「自らを解放して戦えたおかげで、だいぶスッキリしたよ。これでまた十年くらいは我慢出来るんじゃないかな」

 

 「ガラードワースにいる間くらい、我慢しなくて良いんじゃないか?もう《白濾の魔剣》に縛られることもないんだし」

 

 俺の言葉に、アーネストが驚きの表情を浮かべる。

 

 「七瀬、どうしてそれを・・・?」

 

 「あれだけ好き勝手に暴れたら、《白濾の魔剣》に見限られるに決まってるだろ。現にお前は今、《白濾の魔剣》を帯剣してないしな」

 

 「・・・気付いてたか」

 

 苦笑するアーネスト。

 

 「《白濾の魔剣》は、エリオットに譲ろうと思ってる。生徒会長の椅子と共にね」

 

 「エリオかぁ・・・」

 

 確かに相応しいとは思うけど、アイツ真面目だからなぁ・・・

 

 プレッシャーに押し潰されないと良いんだけど・・・

 

 「エリオを生徒会長にするなら、ノエルを生徒会に入れるべきだと思うな。ノエルならエリオを支えられるだろうし、エリオもノエルが側にいた方が心強いだろ」

 

 「僕もそう思うよ。近々エリオットやノエルと話をする予定だ」

 

 「そっか、それなら大丈夫そうだな」

 

 そんなやり取りをしていると・・・

 

 「・・・七瀬」

 

 三咲姉が前に進み出てきた。

 

 「・・・優勝、おめでとうございます」

 

 「・・・ありがとう、三咲姉」

 

 短い言葉のやり取り。そして・・・

 

 「ッ!」

 

 俺の胸に飛び込んでくる三咲姉。俺は三咲姉を受け止め、そっと抱き締めた。

 

 「私は・・・私はっ・・・!」

 

 「大丈夫。言わなくても分かってる」

 

 三咲姉の背中を優しく叩く。

 

 弟が優勝したことを祝福してあげたい・・・でも負けたことが悔しくて、心の底から祝福できない・・・そんな自分に嫌気が差す・・・

 

 三咲姉の性格をよく知っている分、考えていることが手に取るように分かる。

 

 「お疲れ様、三咲姉・・・最後に三咲姉と戦えて、俺は幸せだったよ」

 

 「っ・・・」

 

 涙を流す三咲姉。

 

 「今はゆっくり休みなよ。ずっと突っ走ってきたんだから、少しくらい立ち止まったって良いだろ」

 

 「・・・フフッ、そうかもしれませんね」

 

 涙を拭い、俺から離れる三咲姉。

 

 「ありがとうございます、七瀬・・・お邪魔しました」

 

 三咲姉はクローディア達に一礼すると、そのまま病室を出て行った。

 

 「・・・レティシア、三咲姉を頼んで良いか?側にいてやってほしいんだ」

 

 「了解ですわ。任せて下さいまし」

 

 

 レティシアはそう言って微笑むと、三咲姉の後を追っていった。

 

 「・・・本当に君達の絆は素晴らしいね」

 

 微笑むアーネスト。

 

 「七瀬と三咲を見習って、僕もソフィアと腹を割って話さないとね」

 

 「なら、早くソフィアの所に行ってこいよ。せっかく治療院に来てるんだから」

 

 「・・・それもそうだね。少し顔を出してくるよ」

 

 「それなら、俺達は仕事を進めておくか」

 

 「だな。アーニーもレティも三咲もいないんじゃ、俺達がやるしかないっしょ」

 

 「そうですね。頑張りましょうか」

 

 「・・・ありがとう、皆」

 

 アーネストは笑みを浮かべると、こちらへと視線を向けた。

 

 「では七瀬、また会おう」

 

 「お邪魔しました、七瀬」

 

 「しっかり身体を休めろよ」

 

 「じゃあな」

 

 「またなアーネスト、パーシヴァル。ケヴィンさんとライオネルさんも、お見舞いありがとうございました」

 

 四人が病室を出て行く。

 

 と、クローディアが持っていた紙袋をテーブルの上に置いた。

 

 「さて、我々だけになったところで・・・やりますか」

 

 「何を?」

 

 首を傾げる俺。クローディアは笑みを浮かべ、紙袋の中からシャンパンを取り出した。

 

 「勝利の乾杯です。昨日は七瀬がいなかったので、今日やろうという話になりまして」

 

 「え、昨日やらなかったのか?」

 

 「当然でしょう。全員揃わないと意味無いですから」

 

 テーブルの上にグラスを並べる綺凛。

 

 並べられた六つのグラスに、クローディアがシャンパンを注いでいく。

 

 「これで良し・・・では七瀬、乾杯の音頭をお願いします」

 

 「いや、それはリーダーがやるべきなんじゃ・・・」

 

 「ほら七瀬、早く早く」

 

 紗夜が催促してくる。他の皆も、じーっと俺の方を見ていた。

 

 「・・・分かったよ」

 

 苦笑しつつ、グラスを手に取る。他の皆も、同じように手に取った。

 

 「えー、じゃあ手短に・・・ありがとな、皆」

 

 俺は感謝の言葉を述べた。

 

 「優勝できたこともそうだけど・・・このメンバーで《獅鷲星武祭》を戦えたことを、心から誇らしく思う。本当に最高のチームだった」

 

 綾斗、綺凛、紗夜、ユリス、クローディア・・・五人のかけがえのない仲間に出会えたことを、本当に幸せに思う。

 

 「これからもよろしくな」

 

 俺は笑みを浮かべると、グラスを高く掲げた。

 

 「それじゃあ、チーム・エンフィールドの《獅鷲星武祭》優勝を祝して!乾杯!」

 

 「「「「「乾杯!」」」」」

 

 六つのグラスのぶつかる音が響き渡るのだった。




どうも~、ムッティです。

シャノン「もう《龍激聖覇》編も終わる感じかな?」

多分あと2、3話くらいで終わるんじゃないかな?

そしたらオリキャラ紹介をやろうかなと思ってます。

シャノン「話の続きは考えてあるの?」

色々悩みながら考えてるよ。

とりあえず、頑張って書いていきたいと思います。

それではまた次回!以上、ムッティでした!

シャノン「またね~!」

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