白井「お姉さま。能力測定結果の方はいかがでございましたの?」
御坂「…」
回想 ―――――――――――――――――――
教師「今年度から能力測定基準が変わった。それまではレベル0~5までの6段階であったが新たにレベル4を二つに分けて測定することになった。つまりレベル4.0、レベル4.5といった具合だ。レベル4.0はそれまでのレベル4と至って変わりはないが、問題はレベル4.5の方だ。例えばレベル1はレベル1~1.99までをレベル1としていたのだがレベル4、レベル5はこれとは違ってレベル4はレベル4~4.49。レベル5は4.5以上ということになっていた。
しかし今回からはレベル5もレベル5.00より上の値をレベル5とすることになった。つまり今まで今回でいうレベル4.5でレベル5になっていたような場合では今回からレベル4.5とされ、レベル4クラスに格下げられてしまうのだ。我が校にはレベル5クラスが2人いる。この事を肝に命じて能力測定に臨んでくれ」
「何よ、統括理事会もややこしいことしてくれるわね。まあ私には関係ないけど」
「まあまあお姉さま。あまり油断なされていると本当にレベル4に格下げられてしまいますわよ。」
「うるさいわねもう。私に限ってそんなことある訳ないでしょ。レベル5になったのも昨日の今日の話じゃないんだから。」
「それはそうかもしれませんが…」 回想終わり
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「… ㇷㇷㇷ。もうやんなっちゃうわ。レベル4.5よ。
「!!」
「私の何がいけなかったのかしらね。レベル5になっても努力を怠らず今日までやってきたのに。」
「お姉さま…」
「まあでも今回こういう結果になってちょうど良かったかもしれないわね。レベル5の地位もいい加減飽き飽きしていたし。何たって周りからの羨望の眼差しが正直うざかったのよね。そもそも、私みたいなアイツにいつでも電撃をぶちまける暴力女なんか、レベル5にいる資格なんてなかったのよ。」
「おやめ下さいませ。」
「お姉さまは他のレベル5とは違う、レベル1から努力で登り詰められたお方。私はレベル5という肩書があったからお姉様をお慕いしている訳ではありません。それほどのことを成し遂げた努力家、加えて人一倍強い思いやりと正義感。そこに憧れて今までお慕いしてきましたの。今回のことでお姉さまがショックを受けたことは分かります。しかしだからといってご自身の今までの過去を全否定するような物言いはおやめ下さいませ。」
「グス。うええーん。黒子悔しいよー。」
「よしよし」頭を撫でる。
「しばらく黒子の腕の中でお休み下さいませ」
「… うん」
10分後
「だいぶ落ち着かれましたか?」
「うん、ありがとう。しかし情けないわね。後輩の前で大泣きするなんて…」
「お気になさらず。おかげでお姉様の泣き顔写真頂きましたの。この写真黒子のお姉様秘蔵コレクションに入れさせて頂きますの。グフフ ヒヒヒヒ」
「このド変態が!」電撃
「ああ!」
「それで、黒子の方は測定結果どうだったのよ」
「はあ…お姉様の後で大変申し上げにくいのですが私レベル5になっておりましたの」
「すごいじゃない、おめでとう。それで順位の方は何位になったの」
「お姉様のいた第3位になりましたの」
「そっか… 正直第3位の座を私じゃない他の誰かに明け渡すなんて、正直めちゃくちゃ悔しいけど、黒子に明け渡すのなら私も少しは嬉しいかな。何たってあんたは、私を対等に見てくれた数少ない友人の一人だからね」
「お姉様… とうとう黒子の愛を受け止めて下さいますの。この黒子この日をどれだけ待ち詫びたことか。お姉さまー」抱きつこうとする
「だから違うってーの」電撃
「ああ!」
「じゃあ今まではあたしが常盤台の看板背負ってきたけど、今からは黒子が常盤台の看板ってわけね。常盤台の空間移動(テレポーター)。いいじゃない。」
「おやめ下さいませ。わたくしにとって常盤台のエースはお姉さまただ1人ですの」
「ありがとう。お世辞でもそう言ってくれると嬉しいわ」
「いえ、お世辞ではございm」
食峰「みさかさーん」
「げっ!」
「あらあら。人の顔見てげって何よ。失礼だわね」
「何よ。また悪いこと考えてるんじゃないでしょうね」睨む
「あらやだー。御坂さんこわーい。まあ今日はあなたじゃなくてお隣の白井さんに用があるのよ」
「?」
「白井さーん。この度はレベル5第3位おめでとう。それでこれは私たっての願いなんだけど私の派閥にあなたも是非入って頂きたいんだけどー。どうかな?」
「せっかくですがお断りいたしますの。私もお姉様同様派閥など興味ございませんので」
「そっか。今日のところはこわーい御坂さんもいることだし一旦帰るとするけど私はいつまでも諦めないわよー」
「…」
「全く。私に派閥の誘いをしたかと思えば今度は黒子にまで。全くあきれるわ」
「全くですの。ところでお姉様?」
「何?」
「わたくしレベル5になりましても今まで通りお姉様一筋で参りますわ。派閥などの誘いがあってもすべて断りますのでご安心を」
「そう…ならよかったわ。あんたが派閥に入ったらますますこの学校がおかしなものになってしまうからね。ただでさえ今でも厄介だというのに」
しかしその後事態は急変。能力測定の結果、御坂がレベル4クラスに格下げされたという話は、瞬く間に常盤台生徒全員に知れ渡ることになり、御坂を見る周囲の目は明らかに変わった。数字というものは本当に恐ろしい。例えば、打率がちょうど4割の打者と打率3.99割(3割9分9厘)の打者がいたとしよう。両者の打率はわずか1000分の1である1厘の差しか空いていないが、それぞれを打率4割台の打者、打率3割台の打者という言い方をすると全くその人物を見る目は変わってくる。この言い方だと打率4割ちょうどの打者は何の問題もないが、打率3割9分9厘の打者は、打率3割ちょうどの打者とも同じ扱いになり大きく損をしてしまう。御坂にもこれと同様のことが起きた。御坂は本来であるならばレベル4.0より1段階上のレベル4.5であったが、噂が噂を重ねる内にいつしか御坂は、レベル4.5としてではなくレベル4クラスとしてレベル4.0の生徒と一緒の目で見られるようになってしまった。レベル4クラスに転落したことによって、それまで御坂様御坂様と崇めていた後輩達、また年上であるにも関わらず御坂に対して敬語を使っていた先輩の態度があからさまに変わった。
教室
「知ってる? 御坂様、あ、いや今はもう御坂って呼んでいいか(笑) がレベル4に転落したんだってね」
「知ってるも何も学校内ではその話でもちっきりよ」
「私これまで御坂様って呼んでたけどこれからはもうおい 御坂でいいわね」
「ちょっと! 当の本人が近くにいるのにそんなことあまり大きな声で言わない方がいいわよ」
「あはは、それもそうね!」
御坂「… (人って本当に怖いわね。それにしても常盤台の生徒ってこんなに性格の悪い子達ばかりだったかしら)」
しかしこれぐらいはまだ可愛い方であった。その後食峰派閥主導によって、御坂へのあからさまな嫌がらせが始まった。最初は下駄箱の上履き隠しから、机への落書きぐらいの軽いものであったが、次第にクラスメイト全員からの無視や、御坂の教科書や鞄を切り裂く、さらにはトイレでの集団暴行など、日を追うごとに嫌がらせはエスカレートしていった。御坂もいくらレベル4クラスに転落したとはいえ、まだまだ常盤台の中でもその戦闘力の高さには定評があった。しかし相手が何十人、しかも相手はこれまで自分の中では仲良く接してきたつもりの同級生。よって彼女達に能力を使う気は全く起きなかった。白井も最初は愛するお姉様の為に御坂に嫌がらせをする者達にたびたび抵抗してきた。しかしあまりにも敵が多すぎたと同時に相手が悪かった。しまいには白井への嫌がらせの広がりを恐れた御坂が、みずから白井に向けて守らなくてもいいということを告げた。それからというもの白井は御坂の様子を遠くから見る他なかった…
白井「いい加減お姉様への嫌がらせはおやめ下さいませ」
食峰「あらあ、人聞きが悪いわねえ。私達は御坂さんと毎日仲良く遊んでいるつもりなんだけどおー」
「あれのどこが遊んでいるんですの。あなた方の目的は一体何なんですの?」
「それは、あなたが一番良く分かってるんじゃないー?」
白井は薄々とは気付いていた。彼女らの目的は御坂をエサにして白井を派閥に招き入れることであると。しかし自分にもゆずれない信念やジャッジメントとしての誇りやプライドがある。それらの考えは食峰らの居場所である派閥という場所にはどうもそぐわなかった。
「(一体私はどうすればよろしいのでしょうか… 派閥に入ればお姉様への嫌がらせはおそらくなくなる。しかし、それは私のこれまで目指してきた生き方とは相反する生き方を強いられることになりますわ。かといって私がこのまま派閥入りを断り続ければ、お姉様はずっと嫌がらせに苦しむことになる)」
「決めましたわ、わたくしの行動指針はこの学校に入学してからというもの常にお姉様中心でしたわ。わたくし、あなたの派閥に入らせて頂きますわ。その変わり、今後一切お姉様への嫌がらせはおやめ下さいませ」
「やったあ。ようやく白井さんが重い腰を上げてくれて、私嬉しいわあ。了解なんだぞ☆ 御坂さんへの嫌がらせは今日限りをもってやめにするわねえ」
白井の食峰派閥への加入が決定した瞬間であった…