とある科学のレベル4.5   作:島根

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お待たせしました。12話投稿します。


計画失敗

特殊な細工により能力の使用ができない部屋に連れ込まれた御坂達。逃げようにも空からはヘリコプター、外からは銃を持った武装集団が国会議事堂の建物の周りを包囲しつつあった。御坂がまだレベル5であったならば、銃火器を電磁バリアーで防ぎながら食峰の能力で彼らと対等に戦闘を繰り広げることができたのだが、御坂は何度も言うがレベル0の無能力者。食峰一人が奮戦しても時間稼ぎが手一杯なところであろう。おまけに自分達がここに誘い込まれた以上、自分達の能力に関する情報は相手側に筒抜けになっていることが予想され、たとえ御坂が現時点で高位能力者であったとしても、相当の苦戦が予想された。

 

「ここは、おとなしくひとまずは降参でもしておこうかしら」

 

状況は一転。御坂達のペースで話し合いが進むかに思えたが、この部屋の主である、いまだ正体不明の老人が優位に話を進め始めた。

 

「それで、アンタは私達にどうしてほしいわけ? そもそもアンタは一体何者なのよ?」

 

そういえば、この年老いた謎の男の素性をまだ聞き出していなかった。3人にとって一番の引っかかりであった問題を御坂は突いた。

 

「君達がここに何をしにやって来たのかは、アレイスターから聞いているよ。だから無駄な説明は省かせてもらうよ」

 

「私はアレイスターと日本の閣僚との間で取り決めが結ばれた際に、その会談に立ち会った唯一の生存者だよ」

 

「唯一の生存者?」

 

唯一の生存者。その言葉に即座に反応する3人。他の関係者達は、まさか口封じとして学園都市の暗部組織にでも暗殺されたのであろうか? そんなことを考えていると…

 

「まあ唯一の生存者といっても、他の方々は皆年老いて死んでいっただけなのだがね」

 

老人があらぬ誤解を自ら解いてくれた。

 

「私はその会合の議事録を記録に残す書記官としてその現場にいたんだ。あれはもう、50年か60年ぐらい前のことだっただろうか」

 

そんな昔から学園都市と日本国家との間で取り決めがなされていたのか。その事実に若干の動揺を見せる3人。5,60年前なら自分達の親もまだ生まれているかいないかの時代である。

 

「それで… そこで行われた出来事を私達に少し教えてくれないかしら?」

 

「別に教えるだけなら構わないが… それを君達が知って、一体何になるというのだね? 今さら歴史を変えていくことは無理な話だよ。もう私とアレイスターをおいて、その取り決めに関わった者は全て亡くなっているからね」

 

全くもってその通りである。既に学園都市と日本国との間で結ばれた取り決めを行った関係者は、この目の前にいる老人とアレイスターをおいて他にはいない。今さら取り決めの内容を聞き出してもそれはただの歴史の把握に過ぎず、関係者に直接会って話をすることすらできない。

 

「それに、例え私達日本政府が学園都市における治外法権撤廃に賛成したとしても、学園都市側の同意が得られなければ、その書面は効力を持たない。まあそれも最初の取り決めで決められたのだがね」

 

「… そんなこと言われたって、あたしたちは納得しないわ。何の為にわざわざ学園都市を抜け出してまでここに来たと思ってんのよ!」

 

御坂達は一歩も引けない状況にあった。学園都市を無断で退出すること自体が学園都市内においては御法度とされている現状で、目の前にいる男との話合いを優位に進めなければ、無罪放免ということで統括理事会に見逃される可能性はなくなる。しかしこの状況で一体どうやって話を進めていけばいい? そもそも最初からこの男に自分達の動向を知られていた時点で、既に決着はついていたのかもしれない。そんなことを悟りながら、ふと視線を老人から逸らすと、机の上に一つのハサミがあった。何を思ったのか、御坂はそのハサミを利き手で掴むと…

 

「うわー!」

 

突然老人に襲いかかった。しかし老人は年不相応な身のこなしで、御坂の動きをかわすと、

 

「やれやれ。結局最後は暴力によって解決しようとしたか。そういうことだ。さあ、中に入ってきたまえ。この子達を学園都市に連れ戻してあげなさい」

 

その言葉を合図に、周辺を包囲していた武装集団が一斉に部屋の中へと入ってきた。失意にくれる3人は一切彼らに抵抗するそぶりを見せずに、ただ目の前の現実に絶望していた。

 

「嘘よ。そんなバカな話あたしは信じないわよ」

 

「そもそも何でアンタはアレイスターの味方をするのよ! あんな人殺しの味方をするなんて… この鬼、悪魔!」

 

「…」

 

「つべこべ言うな! 両手を頭の後ろに組んで床に跪け。抵抗でもしてみろ、即刻射殺だからな」

 

御坂達3人はそうして周辺を包囲していた日本の特殊部隊によって、学園都市へと連行されていった。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

「はあ、御坂さんったら、本当毎回毎回喧嘩っ早いわねえ」

 

「仕方ないでしょ! あの状況だったら誰でもああするしかないわよ」

 

「それはどうだかな。おかげで上条さんも明日から犯罪者ですのことよ」

 

3人で永田町に入ってきたはいいものの、何ともあっけない幕切れであった。そもそも日本の特殊部隊が出動しているということから、アレイスターは先程まで自分達と話していた老人だけでなく、日本国家全体をも味方につけているということが分かった。これはただごとではない。

 

「何で日本政府はアレイスターの味方をするのかしら」

 

学園都市へと連行される途中、御坂はふと思ったことをなにげなくつぶやいた。

 

「さあねえ? そもそもそこから探っていかないと、この問題を解決できそうにはないわねえ」

 

「まあ、解決するっていっても、俺達は明日から収容所暮らしだけどな(笑)」

 

「アンタ、何笑ってんのよ!」

 

「この状況、笑ってないとやっていけるかよ。ああ、俺の輝かしい青春はー。檻の中ー♪」

 

「うるさいぞ、静かにしろ!」

 

御坂達は不法退去罪並びに、国会議事堂における不法侵入および恫喝の罪で収容所に送られることとなった。さらに上条はさておき御坂と食峰は高位能力者であり、であったことから、警備がより厳重な、学園都市でも最高クラスの収容所に送られることとなった。この事件は学園都市でも大きな話題を生む かに思われたが、統括理事会にとって不都合な事実であったから、情報統制がなされ、学園都市の住人に御坂達が収容所送りになったことが知られることはなかった。

しかし、その一連の事件のことを知っていて、なおかつ御坂にとって一番近しい存在である一人の少女がいた。

 

「おねえさま…」

 




次回の投稿も2週間後を予定しております。よろしくお願いします。
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