しばらくして
御坂「あ、白井様」
白井「おやめ下さいなお姉様。今は派閥の者も周りにおりませんので前のように接して下さいな」
「それもそうね。いつもの癖が出てしまったわ。それにしてもありがとう黒子。お陰で学校に行くのも少しは苦痛ではなくなってきたかな」
「お姉様は何も悪くありませんの。お姉様がレベル5から4に変わったことで周囲が驚き戸惑うことは理解できます。しかしだからと言ってこれほどの仕打ちをするとはわたくし到底理解できませんの」
「黒子だけでもそう言ってくれて嬉しいわ。ほんと人って恐ろしいと今回のことでよく分かったわ」
「白井さまー」
「!!」
「いけませんわ。このようなレベル4の薄汚い電撃女と関わっていましては。常盤台の空間移動の名が泣きますよ」
「そうですわ、さあさあ行きましょうか」
「…ではお姉様失礼致しますの」
「…」
「くっ(いくら常盤台の空間移動と言われても所詮は食峰の言いなり、悔しいですの)」
「白井様、おかげんが優れないようですがいかがなさいましたか?」
「いえ、何でもありませんの」
空間移動能力者は戦闘に適した能力者とも言える。しかし、いくら1対1で食峰に勝てるからといって彼女の能力である精神操作能力は厄介だ。自分が彼女と戦う事で自分だけならともかく御坂、佐天、初春にまで危害が加わる恐れがあった。だから黒子は言いなりになるしかなかった。
黒子は派閥に入ってからも、今まで通り御坂と親交を深めていきたかったのだが、派閥の取り巻きの者がそれを許さなかった。またいくら黒子が御坂の事を対等に見ようとしても、見せかけの長とはいえ周りに派閥の者をまとわりつかせている黒子を見続けた御坂は、だんだん彼女に対して妬みに似た感情を覚えるようになった。そして次第に御坂と黒子の間には溝が生じ…
寮にて
「お姉様今日の学校はいかがでしたか?」
「うるさいわね。いいわよねアンタは、取り巻きの子達に囲まれていい思いして。一応食峰の次のナンバー2って扱いなんだろうから、取り巻きの子達に身の回りの世話とかもやらせてるんじゃないの?」
「…」
「いくらレベル5になったからって、食峰派閥の中心になって常盤台を力でねじ失せて、恐怖政治なんて行うんじゃないわよ」
「いい加減にして下さいませ」
「そもそも誰の為にわたくしが派閥になど入ったと思っておりますの?」
「! 誰があんたに派閥に入ってくれって頼んだのよ? それに嫌々入ったとかって言いながら、実際は何だかんだで派閥ライフを楽しんでるんじゃないの?」
「ひねくれた見方しかできない今のお姉様には何を言っても無駄なようですので、わたくし当分はお姉様と会話をするのは控えさせて頂きますわ」
「ふん! 好きにするといいわ」
寮の208号室内でも会話をすることはほとんどなくなっていった。そしてとうとう彼女達の関係を決定づけるような事件があった。
帰り道にて 路地裏
御坂「あそこで塊になっている集団は何なのかしら… あ!男の人が暴行されてる。ちょっとあんた達」
スキルアウト「ああ?」
「大勢で一人を暴行するって一体どんな根性してるのかしら?あたしがその腐った根性を叩き直してあげるわ」
スキルアウト「言うねー嬢ちゃん。俺たちに手ェ出したこと後悔することになるぜ」
「ふん!いくら私がレベル4になったからってあんたらに負けるはずn」
キーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン
「何よこれ、もしかしてキャパシティダウン?」
「よくご存知で」
「何であんたらがこんな高価なもの持ってんのよ。っく!体に力が入らない」
バタ
「さあてお嬢ちゃん。今からののしられた分きっちりお返しするよ。」
その時黒子は風紀委員の仕事で177支部にいて、偶然御坂がスキルアウトに取り囲まれ窮地に陥っている映像を監視カメラで確認した。
白井「なぜお姉様がこの様な状況に?仕方ありませんわ、今から黒子が助けに参りますの」
いくら最近全く会話をして関係が冷え込んでいるとはいえ、過去には毎日のようにお姉様とお姉様と言って慕った相手。黒子はとっさに御坂を助けに行こうとした。そういって177支部の出入り口の扉を開けて現場に向かおうとしたが…
食峰「あらあら白井さん、そんなこわーい顔してどこ行くのー?」
扉の前にいきなり食峰が現れた。
「そこをどいて下さいませ。わたくしは今からお姉様を助けに参りますの」
「そうねー、別に助けに行くのは構わないけど…その代わり私を倒してからにしてねー」
「本気でおっしゃってますの?どうしてあなたはそんなにお姉様のことをお嫌いになりますの?」
「そうねえ、じゃあ聞くけどあなたはどうしてそんなに御坂さんのことが好きなのー?」
「わたくしはお姉様の能力ではなくその人柄に惹かれましたの」
「そっかー。良かったわね。あ!さっきの質問に答えていなかったわね。そうねー… 私個人的には御坂さんのことあんまり嫌いではないんだぞ☆」
「では、なぜこれまでお姉様にこのような仕打ちをなさってきましたの?」
「教えて挙げてもいいんだけど、教えたところであなたには何もできないから教えなーい」
「っく! どこまでもふざけてますの。分かりましたわ、だったらあなたを倒すまで!」
「さあて、それがあなたにできるかなー?」
そういって食峰は自分のタッチパネルにとある倉庫の映像を流しそれを白井に見せた。
「これは? どうしてわたくしの両親が写っておりますの?」
そこには見慣れない倉庫内に両手を背中の後ろで縛られ口にはガムテープが張られている両親の姿があった。そしてその周りには暗くてよく見えないが複数の人の姿があった。
「ちょっと派閥メンバーを借り出してあなたのご両親の身柄を預からせて頂いたわ」
「どこまでも汚い真似を!」
「それで、どうするの?あなたは私と戦うのかしら」
黒子は迷った。自分を生み育ててくれた両親を助けるか、自分が生涯慕い続けていこうと誓った御坂を助けるか。彼女にとってどちらの存在も非常に大きなものでありとても優劣をつけることなどできなかった。しかし、(回想)
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御坂「あんたなんて、結局は食峰の腰巾着じゃない」
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白井「…」
「(お姉様は何度も絶望的な状況を乗り越えてこられたお方。学園都市の闇も知っておられる。暗部との戦いでは死の淵に立たされながらも、その強靭な精神力で数々の修羅場をくぐり抜けてこられた。お姉様がスキルアウトに暴行されて良いとはわたくし一つも思っておりません。場所が場所だけに、アンチスキルが駆け付くのにも時間がかかるでしょう。しかしあのお姉様が、一度暴行されただけで二度と立ち直れなくなるようには到底思えません。スキルアウトにも見た感じ殺意はあまり感じられないようですし…)」
普段の黒子からこのような考えに至ることは到底ありえなかった。ではなぜか?それは食峰の能力によって精神干渉されたのだ。御坂の電磁バリヤーのように黒子も対食峰対策としてテレポートを応用した方法で食峰の能力を無力化していた。それは肉眼では分からないコンマ数秒間隔でテレポートを行うことによって、空間にゆがみを生じさせ、その歪みによって食峰の能力が自身に及ぶことを防いでいた。しかしここで黒子の感情に御坂に対する負の感情が発生したことを食峰は見逃さなかった。食峰は即座に自身のリモコンに手を伸ばし、黒子は結局食峰の能力干渉を許してしまったのだ。黒子もすぐに食峰の能力に干渉されていることに気が付いた。しかし時既に遅く、頭では分かっていても体が言うことを利かなかった。そうして黒子は涙を流しながら
「分かりましたわ、あなたとは戦いませんの。ですから両親をこちらに返して下さいませ」
「了解なんだぞ☆ 物分かりがよくて助かったわ」
黒子は御坂の元へ助けに行くことを諦めた。これが後に大きな事件へとつながっていく…