1か月後
御坂は完全復活を果たした。アンチスキルが駆け付けるまでスキルアウトに集団で暴行され、一時は精神を完全に病んでしまい、能力値をレベル1にまで落としてしまったが、さすがは歴戦の兵とでも言おうか。暴行を受けた1週間後には暴行を行ったスキルアウト集団をかんぷなきまでに叩きのめし、それまで加害者の顔を思い浮かべては眠れない日々を過ごしていたが、実際にその加害者であるスキルアウト達に勝利することによってトラウマを完全に克服した。(もちろん殺してはいない)
そうして1か月後には、能力値を完全に元の数値までに戻し、彼女の精神面での強さを周りに見せつけた。しかし…
初春「白井さーん 大丈夫ですか? さっきから全然仕事が進んでいませんよ」
白井「ああ、初春。大丈夫ですの。少し考え事をしておりましたの」
黒子はあの事件以来、自分の行った行為に対して罪の意識に苛まれ続けた。御坂同様元々正義感が人一倍強いだけに今回のことは黒子をさらに苦しめた。そしてとうとう…
某日208号室の浴槽で白井が脳に鉄矢が突き刺さった状態で死んでいるのが発見された。その傍らには遺書のようなものが残されていた…
「お姉様を一人にしてしまった自分が許せませんの。お姉様を見捨ててしまったことが許せませんの。そしてお姉様と袂を分かつことになった、この忌まわしき能力が憎いですの。レベル5になどなっていなければいつまでもお姉様の傍にお仕えすることができましたのに… この能力のせいで私達は不幸になってしまいましたの。そのお詫びとして私のこの能力で自分の命を捧げますの。お姉様、大好きでしたわ」
葬儀には多くの者が参列した、もちろん佐天や初春もいた。しかしそこに御坂の姿はなかった。御坂は黒子の死にきちんと向き合うことができなかった。
御坂にとって黒子はレベル5になってから初めてできた親友といっても過言ではない。レベル5になる以前には自分にも対等に話せる多くの友人がいたが、学園都市に7人しかいないレベル5になったことによって、周囲は自分を対等の存在としては見てくれなくなった。しかしそんな中でも黒子は、自分の能力ではなく人柄を第一に見てくれた存在で、御坂も黒子を次第に親友として愛するようになっていた。しかし、御坂の愛した白井黒子はもうこの世にはいない。
そして…
「能力が弱まってきてる?」
精神的支柱であった黒子を失ったことによって、御坂はその能力値を再び急落させていった。そしてとうとう、
「嘘、嘘だよね? っく! ふざけるな! 私がこの能力を発現させて、そしてレベル5になるためにどれほど努力したのか… 何で、何でよ?」
「何で能力が使えないのよ」
御坂は完全に無能力者になってしまった。無能力者とは文字通り能力値レベル0の能力を持たない人達のことを指す。無能力者のその多くははじめから能力が発現してこなかった人達ばかりで、レベルアッパーによるものを除いて、一度能力を行使することができた人が能力を使えなくなってしまうことは通常では起こりえなかった。仮にあったとしてもレベル1,2の人達が過度のストレスにさらされ続けることによって、能力値を0にする事例はこれまで何件も報告されているが、レベル4以上の高位能力者で能力を0にした例はこれまで聞いたためしがなかった。ましてや御坂は元レベル5の学園都市最高位能力者の一人。最初から能力を使えない人達よりも当然能力が使えないことに対するショックはあまりにも大きい。
「あたしがこの能力を得る為に、与えられた試練や壁乗り越えてレベル5になるまで、どれだけ苦労したと思ってんのよ。来る日も来る日も毎日何時間も能力演習の毎日だったわ。本当は他の同年代の子達のようにみんなで遊びたかったし、友達も作りたかった。でも私は友達よりも自分の能力向上の道を選んだ。 それなのに… どうしてこうなっちゃうのよ! これも全部黒子が悪いのよ。 黒子のバカ…」
能力値を失ったという情報は瞬く間に、今度は常盤台内だけでなく学園都市中にも広まった。そしてその情報を聞きつけたマスコミが、連日常盤台中や御坂のいる寮へと押し寄せてきた。
「御坂さん、今回元レベル5であったあなたが能力値を0にしたのはやはり白井黒子さんの死が原因しているのですか?」
「御坂さん、今回無能力者になったことによって、今後どのように暮らしていくのでしょうか?」
御坂「…(うるさいわね、もうこれ以上あたしに構わないでよ! もう、学園都市なんて嫌いだわ。こんな所二度と来てやるか!)」
御坂は能力値を完全に0とし能力の回復の見込みもないと常盤台理事会に判断され、学校を退学させられてしまった。学園都市に無能力者の居場所はないということはないが、それまでレベル5であった御坂は例外だ。元々高い能力値を有するおかげでその名は知られていたし、今回の一連の出来事で不本意にもその知名度をさらに広めることとなってしまった。
街中にて
「ねえ知ってる?あの子今までレベル5の超電磁砲って呼ばれてた子だけど、今はどこにでもいるただの無能力者になったみたいね」
「知ってるわ。何でも友人が自殺したみたいでそれが余程精神的に応えたんだろうね」
「まあでも、私も無能力者だったから今まで正直あの子のこと好きじゃなかったのよね。正直あの子も自分の能力の高さをいいことに偉そうな顔してきた節もあるじゃん。こういうのは少し不謹慎かもしれないけど、そのバチが今になって当たったんじゃないの?」
「っし、声が大きいわよ! 本人に聞かれるわよ」
「もう、ここに私の居場所はないわね」
そう悟った御坂は学園都市を去る決意をし、両親が住んでいる学園都市外の実家にへと忽然と姿を消した。
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統括理事会ビル
食峰「 これで、本当に良かったの?」
アレイスタ―「ああ、多少誤差はあったが計画としては大成功だ」
御坂のいない学園都市統括理事会ビルで何やら怪しい会話がなされていた…