御坂「黒子は死んだ… か」
御坂は失意の中にいた。ひさしぶりに学園都市に帰ってきてみれば思い出すのは黒子との思い出ばかり。どうして彼女が死ななくてはならなかったのか?その問いに御坂自身も薄々とは気付いていた。統括理事会による工作であると。そもそもレベル4.5など自分達レベル5からして見れば悪意に満ちた基準以外何者でもなかった。それに常盤台中での出来事も腑に落ちなかった。いくら自分がレベル4クラスに落ちたとしても周囲の明らかな変化に彼女自身も毎日が疑問の日々であった。おそらくは食峰の能力により常盤台生徒は操作されてしまったのだろう。しかし問題はそこではない。食峰の性格がいくら少々曲がっていたとしても、何の理由もなくこれほどのことをするとは到底考えられなかった。そこで彼女が出した結論としては、
「統括理事会による超電磁砲の抹消計画」
彼女の出した答えは見事的を射ていた。しかしその事実が分かったからといって、彼女の能力は黒子の死亡による精神的ショックにより脳が委縮し二度と発現することができなくなってしまった。よって彼女にできることは何もない、かのように思われた。しかし彼女には最終兵器と呼べる存在があった。
“ミサカネットワーク’’
ミサカネットワークとは一方通行のレベル6シフト計画の際に作られた御坂美琴のクローン2万体による情報ネットワークである。このネットワークを介して御坂クローンは実験によって死んだ個体からでも生前の記憶を読み取ることができ、その記憶を何百、何千体にも渡って引き継いでいくことにより戦闘能力を向上させ一方通行を僅かながらも苦しめた。また一方通行によるラストオーダー救出後彼が脳に大ダメージを受け瀕死の状態になった時には一方通行の言語、運動機能なども含めた演算補助装置を担った。彼女はそこに目を付けた。そうして彼女は一方通行の元へと向かった。
一方通行「何だァ? オリジナルじゃねえかァ。もう学園都市から出て行ったんじゃなかったのか」
「うるさいわね。少し用事があって来ただけよ。それにしても久しぶりだわね。あの時以来かしら?」
「あァ… 操車場で戦って以来だなァ。あの時はお前危うく死にかけたけどなァ」
「何よ。そんなに私のことが嫌いなわけ?なら今からその時つかなかった勝負の決着ここでつけても構わないんだけど?」
「やめとけェ。お前が能力を失ったってことは知ってんだよ。まあ、能力があったところで俺様には勝てねェけどな。」
「そうね、そうかもしれないわね。実は今日はそのことであなたの所を訪ねたの」
「あァ?」
「あなたが打ち止めのことを救ってくれたことには感謝しているわ。まだ妹達のこともあるから全然許してはいないんだけどね。そしてあなたが今ミサカネットワークを介して生活を送っていているっていうのも知ってる。そこでなんだけど、あたしにそのミサカネットワークを貸して頂けないかしら?」
「はあァ? ミサカネットワークを貸してくれだァ? お前まさか戦争でもおっぱじめる気かよ。」
「ええ… そうよ。黒子の敵討ちよ」
「ああ、あのツインテかァー。ずっと前にラストオーダーと街歩いてたらいきなり絡んできてはた迷惑な奴だったことだけは覚えてるわァー。しっかし俺から見てもありゃァ気の毒だったな。何たってお前のことを想って命を絶ったんだろ?」
「そうよ… 私能力測定の時以降あの子の為に何もして挙げられなかったわ」
「それはお気の毒なことでェー」
「それで? 結局ネットワークの方は貸してくれないの?」
「あれがねェといくら学園都市第一様でも困るんだよなァー」
「… 分かったわ。他をあたるわ。忙しい中時間を取ってくれてありがとう」
そう言って御坂は帰ろうとしたが
「待ちやがれェ。気が変わった、そうだな一日だけなら貸してやってもいいぜェ。」
「? どういう風の吹き回しよ。私からあんたにくれてやる物なんてないんだからね!」
「ッチ。うるせェなァ。さっきからラストオーダーの視線が痛いんだよ。」
そう言われて御坂は周りを見渡してみるとそこには確かに涙目になって一方通行の方を見つめる打ち止めの姿があった。
打ち止め「お願いなんだよ。お姉様の願いを叶えて挙げて欲しいんだよってミサカはミサカは今はもういない黒子お姉ちゃんのことを想い浮かべながらあなたに頼んでみたり。本当はお姉様に無茶なんかしてもらいたくないけど、黒子お姉ちゃんの無念さを考えたら致し方ないんだよってミサカはミサカは涙を流しながら訴えてみたり」
「分ァたよ。クソ、これだからガキの面倒は見てられねェんだよォ」
「ありがとうっ!てミサカはミサカはあなたのやさしさに感謝してみたりー」
「っツてもよォ。お前電極がねェとネットワークなんざこれっぽちも役に立たねェぜ」
「そこはご心配なく。あなたがこの依頼を断るとは思っていなかったからあらかじめ先生に頼んで作ってもらっていたからちゃんと手元にあるわよ。」
「… 何だか調子狂うわァ。」
「じゃあ明日の朝から晩までネットワークの方借りるわね」
「でも能力使えないと反射が使えないからいざ襲われた時どうしようってミサカはミサカは今更になってあなたのことを心配してみたり」
「そうだなァ… オイ、ガキィ。明日は黄泉川ん家でェ二人して留守番だァー」
「わーいってミサカはミサカはあなたとの屋内デートに期待に胸を膨らませてみたりー」
「…」
「じゃあ明日の朝から晩まで悪いけど借りさせてもらうわね。その前にちゃんと能力が使えるか確かめておきたいから今からネットワークの方貸してもっらってもいいかしら?」
「ッチ。いいぜェ。その代わりさっさと終わらせろよォ」
そう言うと御坂は首に付けたネットワークの電源を付けミサカネットワークにログインした。
----------------------------------------------------------------------------------------------------------misaka10032「おひさしぶりです。お姉様。レベル6シフト計画の時には私の命を救って頂き本当にありがとうございましたと御坂はおねえs」
misaka18765「常盤台の超電磁砲来たーwwwと御坂はあまりのことに興奮を隠しきれません」
misaka16654「だいぶはしゃぎすぎでは?と御坂は礼儀のなっていない妹に愕然とします」
御坂「(相変わらずにぎやかだねー)」
「ところでお姉様は、どうしてミサカネットワークにアクセスしたのですか?と御坂はお姉様に疑問を投げかけます」
「知ってると思うけど、いろいろあってあたし自力ではもう能力を発現させることができなくなっちゃったのよね… そこで能力をもう一度使うためにあなた達の力を借りるって訳」
「そうですか… それで一体何のために能力を行使なされるのですか?」
「そうね、簡単に言えば統括理事会に一矢報いるってところかしら」
「それでしたらまた話は変わってきます。結論からしてネットワークをお貸しすることはできません」
「! 何でよ… あなた達私がどれだけあなた達のために尽くしたか分かってんの? もう私に恩返ししたいという気持ちはないわけ?」
「… あの時は本当にお世話になりました。しかし、ミサカ達に命の大切さを教えてくれたのはお姉様だったではありませんか!」
「それは…」
「返す言葉もないようですね。当たり前です。お姉様が今からなされようとしていることはまさに私達ミサカが実験で何の躊躇もなく一方通行の為に命を散らしていこうとしていたことと何ら変わりないではありませんか」
「そんなこと… そんなことアンタ達に言われなくったって分かってるわよ!でも私にとって黒子のいない世界なんて死後の世界みたいなものなのよ。いくら学園都市を出たからって私が黒子のことを忘れたことなんて一日たりともなかったわ。周りには気丈に振る舞って心配かけさせなかったけど、毎日死にたくて死にたくてしょうがなかったわ。ならいっそ黒子の為に統括理事会に一矢報いて華々しく命を散らせてやりたいと思ってるのよ。あなた達の言ってることはよく分かるわ。だけどこれ以上私を止めないで」
「話になりませんね。とミサカはお姉様の御高説を冷たくあしらいます」
「そう… なら仕方ないわね」
そう言うやいなや御坂は足早に一方通行と妹達の元を後にした。何も言わずただじっと見つめる御坂妹達。御坂美琴の瞳には心なしか少しだけ雫が浮かんでいた。