御坂や白井不在の常盤台中学は今日も閑散としていた。常盤台の超電磁砲と空間移動を失った痛手は余りにも大きかった。また自分達がいくら食峰の能力下にあったとはいえ御坂や白井を苦しめたことも彼女らの学業不振に大きく関わっていた。御坂、白井不在の中行われた大覇星祭では学校創設史上最悪の7位に終わり入賞圏内からも外れた。転出者も相次ぎかつてのお嬢様学校としての華やかさはどこにもなかった。かろうじて婚后光子らの奮闘により何とか一部の大能力者をとどめられている程度だ。
『常盤台は終わった…』
常盤台生徒の誰もが口には出さずとも心の中では皆そう思っていた。常盤台にかつての栄光に輝いていた日々はかえってくるのであろうか?
場所は変わって…
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ゲコ太先生「全く… 君も無茶なことをしてくれたね」
冥土帰しが話しかけていた人物は、学園都市内では既にこの世にいない存在であると認識されているあの名門校常盤台の
白井「申し訳ありませんの。先生のご厚意には本当に感謝致しておりますわ」
白井黒子であった。
「それにしても、君がいきなり私の所に大慌てで来た時は一体何事かと思ったよ」
「… あの時は急を要しておりましたので」
「統括理事会の出方を探る為に、私に君のクローンを作らせそのクローンを使っての偽装自殺、 か…」
「新能力測定基準レベル4.5、お姉様のレベル4クラスへの転落、それに入れ替わる形でのわたくしのレベル5昇格。わたくしの周りにはこの一連の出来事に陰謀を感じる人はおそらく誰一人としていませんでした。しかしわたくしは学園都市の闇の部分に少しばかりは関わってまいりましたのでこの出来事に大きな違和感を覚えました。そもそもわたくしの能力がレベル5になったという事自体おかしな話でしたの。わたくし自分の能力には他の誰よりも知りつくしていると自負できますが、自分の能力が向上した感覚は何一つとしてありませんでした。それにわたくし能力測定の前日まで高熱を患っておりまして当日も万全の状態で能力測定に臨むことはできませんでしたの。それに」
「食峰君による精神干渉。まさか彼女が統括理事会の命令に従うとはね。脅されたのだろうか?」
「あの方は… あの方はいくら脅されていたとしても当分許すことはできませんの」
「あの子ならもうそれ相応の罰を受けてるよ。あの子は今でも当然君が死んだと思っているからね。あの後しばらくして精神疾患を患って学園学校を休んでいるそうだよ。その際『精神能力者でも精神を患うんだ』と一部の者に大いに笑われたそうだよ。まあ彼女ならおそらく自分の精神状態くらい自身の能力で簡単にマネジメントできるんだろうけど彼女はそれをしなかった。ということは彼女もそれなりに罪の意識に捕らわれていたのだろうね」
「そうでしたの… それは申し訳ないことをしてしまいましたの。事が解決すれば真っ先に頭を下げに参りますの」
「その方がいいね」
「それで、これまでの経緯をもう一度詳しく説明してくれないかね?」
「はい、最初はわたくしかお姉様どちらを標的にしていたかよく把握できておりませんでしたの。おそらく標的はお姉様だと思われましたが、お姉様に攻撃を加えてその様子をわたくしに見せつけることによってわたくしを精神的に追い詰めることも十分考えられましたの。あるいはお姉様に能力値へのコンプレックスを抱かせ、その思いをわたくしのレベル5昇格によってさらにより大きなものとし最終的には能力行使という形でわたくしにその思いをぶつけさせ同士討ちをさせることを狙っていたという風にも考えられました。しかしたとえわたくしが今回の相手が統括理事会だと分かったとしても、真向から戦うにしてもわたくし一人だけではとても戦力不足でしたの。そこで…」
「そこで私のところにクローン作成の依頼にやって来たということか」
「そうですの」
「しかし私の死亡(まあ実際にはその死体はわたくしのクローンなのですが) が公に公表されても統括理事会本部への人の出入りは全く減りませんでしたわ。変化があったのはお姉様が学園都市を去ってからでしたの」
「それにしても、ジャッジメントとして正義感に溢れた好人物であると評判だった君がまさかこんな汚れたことをするとはね… いやはや驚いたよ」
「それは… わたくし自身が言うのもなんですがわたくしも自分の変わりように驚いておりますの。わたくしお姉様にはずっと黙っておりましたがお姉様のクローンが存在することは知っておりました。ですので今回このような考えに及び実行に移したまでですの。正直な話わたくしは別に自分の命欲しさにクローンを身代わりにしたわけでありませんの。ただ私がいない世界ではたして一体誰がお姉様をお守りするのだと考えてみましたらとてつもない不安に襲われてしまう日々でした。よってクローンを身代わりにさせて頂きましたの」
「そのクローンも公には公表されていないが、統括理事会は即座に死体がクローンであることを断定したからね。そのお陰で今君はこうして私に匿われている。全く… 世話が焼けるね」
「本当に申し訳ありませんの。ほとぼりが冷めるまでしばらくここでタダ働きさせて頂きますの」
「そう言えば、君がいない間にたまたま御坂君が来てね、電極の方を作ってくれと言ってきたから作ってあげたよ」
「! それは、いつの話ですの?」
「ほんの昨日の話だよ」
「それで、お姉様はその電極を使って何をされるおつもりかお話ししておりましたの?」
「どうやらミサカネットワークの力を借りて能力を復活させ君の為に統括理事会に一矢報いると言っていたよ」
「! それはなりませんの。わたくしがお止めしなければ」
「そんな事を言っている場合なのかね? 先程も言ったが君は今統括理事会からクローン技術流出に関する重要参考人としてその身を追われているんだよ? 大体私が御坂妹の検死も担当していて統括理事会宛に御坂妹の生体に関する論文も提出したこともあるぐらいだから機材とDNAマップさえ揃えば私でもクローンを作れたわけだ。だが、それに必要な機材を集める為に少々非合法的な手段を取ったわけだよ。だから今の状況は非常にまずい状況なんだよ!私もこの件の関係者だが統括理事会にはいろいろと貸しがあるからまだいいものの、主犯である君は捕まったら極刑以外の道のりは残されていないよ?」
「…」
「それに御坂君を守るためとはいえクローンを使った結果今こうして御坂君に会いにいけるような状態ではないということも十分理解しているかい?君がやったことは目的はともかくとしてやったこと自体は統括理事会と何ら変わらないのだよ?」
「わたくし今更になって自分の行為を悔いておりますわ。人間生きている間、一度や二度『なんであの時あんなことをしてしまったんだろう?』と悩む時もありますが、今まさにわたくしはそのような時期におりますわ」
「君の場合は真相が明らかになれば学園都市中を巻き込むことになる大事件をやってしまったわけだけどね」
「… とにかく、わたくし何らかの形でこの一件の落とし前きちんと付けさせて頂くつもりですわ」
そう言うと白井は足早に部屋を出ていった。彼女の今後行く先に明るい未来はあるのだろうか…
ゲコ太先生のセリフは作者の原作知識の不足の為不自然になっていたかもしれません。
今回黒子が原作ではありえないような行動を取っていました。手を汚していない真っ白な黒子を好きな方は読み進める内に少々不快に思われたかもしれません。そのような方がいましたらここにお詫びします。しかし現実の世界でも愛する人の為に常人には考えれないようなことに手を染めてしまう人々もおられます。よって現実的な話このような行動を黒子が100%取らないということは言い切れないと作者は思います。今回の話はあくまで可能性の一つの話として軽い気持ちで読んで頂けると幸いです。