ひさしぶりに投稿させて頂きます。
御坂「ちょっと! あんたいきなり何してんのよ」
突然の行動にさすがの御坂も慌てふためく。
上条の腹部からは血が地面に向けて滴り落ちている。上条も一応は演出なのでナイフを深くは刺していないように思えたが…
上条「お前がやろうとしていることは、今まさに俺がやっていることと同じようなもんなんだよ。お前が死んだって誰も救われないし何の解決にもならない。むしろ統括理事会の思うツボなんじゃねえのかよ? 他にも道は残されているはずだ! 当分の間付き合ってやるから死ぬことだけはやめてくれ、 な?」
「虫のいい話ね… そんなんで私の心がなびくと思っていると思ったr」
バタ
「ちょっと、アンタ一体どうしたっていうのよ? まさか死んじゃったわけ? ねえ、何とか返事しなさいよ!」
そこには地面に倒れ伏したままピクリとも動かない上条の姿があった。全くもって上条の誤算であった。御坂を救いたいという思いの一心でこういった行動に移ったわけであるが、その思いのあまり自分の体の状況を全くもって考えていなかった。上条がナイフで刺した場所は運悪く過去に魔術師などとの戦闘によって負った古傷がある場所であった。その傷がまだ治らぬ内にナイフで刺したことにより、本人が考えていた以上の出血が発生。結果今こうして意識を失ってしまっている。
「誰か、誰か手の空いている方はおられませんか? ここに出血多量で倒れている人がいるんです。誰か!助けて下さい お願いです 助けて下さい …」
その後
先生「全く、君は一体何回この病院に入院する気かね? ここまでくると、うちのナース目当てに来ているようにしか思えないようになってくるのだが…
「はあ… いや好きで入院しているわけじゃあありませんよ! その何と言いますか、これには深い事情が…」
「まあなぜこういったケガを負ってきたのかは今回もあまり詮索はしないけど、君の体はもうボロボロだよ。そのことだけは言っておくからね」
「はあ…」
ガラ
「どう調子は? その、何というか… 悪かったわね 私の為にこんな目に遭わせてしまって」
「いいんだよ、お前が正気を戻してくれさえすれば俺はそれで満足だ」
今回の一件によって御坂は完全に正気を取り戻した。上条が生死の淵をさまよっていた時には、黒子のことが再び頭の中に強く思い出されてきて、それはとても辛い時間であった。これ以上親しい人を失いたくない、そして自分の味わったような悲しみを誰にもあわせたくない。そう思えるようになることができた御坂は、死ぬことを一旦頭の中から取り除いた。
「それで、これからのことなんだけど、あんた他にもまだ道は残されいるとか何とかって言ってたけど、具体的な案とかあるわけ?」
「その事なんだが、とりあえず俺が退院するまで一旦待ってくれないか?」
「そうね、ケガ人に今すぐどうこうしろって言うほどあたしも冷たくはないから…」
2週間後
上条当麻は驚異的な回復力で無事退院することができた。そして…
「とりあえず、ここでゆっくりしよう。俺からの話はそれからだ。」
二人が今いる場所は学園都市内にある図書館だ。なぜ二人が図書館にいるのかというと、上条の提案に御坂が半ば強引に付き合わされる形というものだった。そもそも今も昔も勉強熱心である御坂にとって、図書館という場所は身近な存在であり嫌いな場所ではなかった。しかし彼女の思いとしては、今さらそんな所に行って何を話すのだろうという思いが強かった。しかし上条がどうしても図書館に行きたいと言い張り、また御坂自身もコイツと図書館デートも悪くないなと思ったことにより、しぶしぶ図書館に行くことになった。
「(図書館自体に行くことは今までに何度もあったけど、この図書館に入るのはこれが初めてだわ)」
そんなことを考えながら、彼女は図書館内を無意識に歩き回った。一通り歩き回って少し疲れたのか、彼女は窓際の席に腰かけた。学園都市には少々不釣り合いな木製の机に顔を伏すと、今まであった辛いことや悲しいことが思い起こされてきた。いじめられたこと、能力を失ったこと、そして… 黒子のこと。思い出したくなくても思い出してしまう記憶に彼女は戸惑い苦しむ。『自分はなぜ今こうして生きているのか?』 『学園都市にさえ行かなければ…』 『こんなに辛くなるのならいっそのこと黒子に会わなければよかった』
彼女の脳裏に浮かぶのは大方このようなことだった。そうこうしている内に、外ではいつの間にか雨が降っていた。顔を机に伏す状態で眠ることが苦痛になったのか、御坂は窓際の席に座ったということもあって、窓の手前にある棚のようなわずかなスペースに、椅子に座ったまま首を傾け預ける状態で眠ろうと試みた。
「(やっぱりこの態勢は寝づらいわ)」
そう思って首を上げようとしたが、ふとどこからか水の流れる音が聞こえてくる。
「(どこから聞こえてくるのかしら? もしかしてこの窓棚から聞こえてるの?)」
そう思って窓棚に耳を近付けてみると、案の定そこから水の音が聞こえてくる。
「(水が流れる音だわ。そういえばさっきから雨が降ってるわね。建物の中にでも雨水が流れてるのかしら? …意外な発見だったわね。まあ大したことではないんだけど)」
そう思う彼女であったが、しかし彼女はその窓棚から自分の耳を離そうとはしなかった。その音はとても心地良くそして彼女にとって束の間の安らぎを与えてくれたからだ。
「(何なのかしら、この感覚。こんなに心が落ち着いた日はひさしぶりだわ。ずっとこうしていたいわ…)」
よっぽど水の流れる音が気に入ったのか彼女はそのまま眠り始めた。
「おい、御坂」
「… ん?」
「何だ、こんなとこにいたのか? 探したぞ。」
「ああごめん、アンタと二人で来たことすっかり忘れてたわ」
「全く… あれ? 御坂お前さっきより何だか元気そうじゃないか。何かいいことでもあったのか」
「… アンタの気のせいでしょ。それにしてもあたしったら結構長い間眠ってたのね」
「とりあえず、一旦ここを出よう。俺も借りたかった本借り終えててきたことだし」
「そうね、行きますか」
そう言った御坂の表情は、雲間から見えてきた夏の日差しとともに、少しだけ明るくなっている気がした…
次回の投稿は概ね2週間後を予定しております。よろしくお願いします。