とある科学のレベル4.5   作:島根

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お待たせしました。約2週間ぶりに投稿させて頂きます。


学園都市と治外法権

 図書館を出た二人は別にどこに向かうというわけでもなく、ただ気の赴くままに学園都市の街を歩いていた。

 

 御坂「それで? アンタは一体どんな本を借りたのよ?」

 

 上条「ああ… 別に御坂からしてみたら大した本じゃないが」

 

 そう言って上条は先程図書館で借りた本を御坂に手渡した。

 

「どれどれ、ん? 学園都市と治外法権…」

 

 上条が借りた本の表紙には、そのタイトルとして学園都市と治外法権というものが書かれていた。そもそも治外法権とは、ある国においてその国に在留する外国人を自国の法律で裁けないことを指す。例えば日本では江戸時代末期において、アメリカやイギリスなどと一方的に不平等な条約を結ばされ、この治外法権が適用された。これによって日本国内でアメリカ人が罪を犯しても、日本の法律で裁くことができず、代わりにアメリカの法律によって裁かれ、その結果本来受けるべき刑罰よりも軽いものが科せられたり、最悪無罪になる場合も見られた。

 

「アンタが選ぶ本だから、どうせ大した本じゃないだろうって思ってたけど、案外まともな本も読むのね」

 

「ああ、俺の高校の公民では今まさに学園都市と治外法権についての授業を行っているんだ」

 

「へえ、あたしの学校ではまだそういったことは習っていけどね」

 

「知ってるとは思うが、俺たちの住む学園都市では日本の法律は適用されない」

 

「ええ、知ってるわ」

 

 学園都市ではその設立の際日本国家との間で結ばれた特別な取り決めにより、学園都市内で起きた全ての事件や事故は全て日本の法律ではなく、学園都市のアンチスキルやジャッジメント、最終的には統括理事会の判断によって裁かれることになっている。これは言うなれば、学園都市は日本国の領土内にありながら、日本の法律が適用されない一つの独立国家として認められているも同然である。

 

「学園都市に移り住む際に、私達学生は必ず誓約書にサインを求められるけど、その誓約書の注意事項が何百項目にも及んでるから、正直全部を読んで学園都市に移り住むことを決めている人は少ないわね。注意事項の最後の方に小さく、治外法権のことについての記載がされているのに…」

 

「ああ、そのせいで実際学園都市が治外法権地帯であることを知らずに移り住んでくる学生が大半を占めているわけだ。それに学園都市の情報は一切外部に口外してはならないから、誓約書以外の方法で学園都市で治外法権が行われているということを知るすべはない」

 

「だから安易な気持ちで学園都市にやって来たはいいものの、何か事件に巻き込まれてその時初めて学園都市で治外法権が認められていることを知る場合が多いのね」

 

「さらにこの学園都市にはそもそも学園都市外のように裁判所などといった司法施設が存在しない。よって、学生などが何かしらの事件に巻き込まれたしても、日本国内のように裁判を起こすことは事実上不可能であり、さらに事件の発覚によって学園都市の上層部の地位が危うくなるような場合であるならば、統括理事会の圧力などによってその事件そのものがなかったことになる場合もあるわけだ」

 

「この無法地帯とも言うべき状況の中でも、学園都市がその存立を維持できる所以は…」

 

「統括理事会の圧倒的戦力と財力によるものが大きいな」

 

「実際日本と学園都市との間で取り決めが行われる際に、日本の官僚たちは一体いくらのお金を積まれて懐柔されたのかしらね?」

 

「さあな、おそらく俺達が一生働いても稼ぐことのできない金額だろうよ」

 

「それで、結局アンタは何がしたいわけ?」

 

「その前に、久しぶりに学園都市に来たことなんだし、どこか見晴らしのよい所でも行ってみないか?」

 

 そう言うと上条は街の中心部には背を向けて、学園都市を見渡せるであろう高台に向けて勢いよく走り出した

 

「ちょっと、何勝手にはりきってんのよ! 待ちなさいよ」

 

 口調こそ怒り口調であるが、そう言っている御坂の顔にはまた少しだけ笑顔が見えた。

 

 高台にて

 

「ふうー、やっと着いた。案外登ってきたから少し肌寒いな」

 

「そうね。それにしても何であんたとこんな所にまで来なければいけなかったわけ?」

 

「はあ、悪かったな。こんなぱっとしないただの男で」

 

「別にそこまで言ってるわけじゃないでしょ!」

 

「(それにしても… 何なのかしらこの感覚は。ただ隣にコイツがいるだけなのに)」

 

 人は一人の存在によって足元をすくわれ、また一人の存在によって自分が生きていく希望を見いだせる。自分の行先は自分の意思によるものも大きいが、周りの一人の一人の存在によって左右されているといっても過言ではない。御坂にとって上条はまさに彼女の生きる希望そのものであり、彼女の今後の行先を握っている。そしてこの物語は今後上条の奮闘により大きく動いていくこととなる。

 

「見ろ、もうすぐ日没だ。それにしても今日の夕日はひときわきれいだな」

 

「そう? あたしにはいつもと同じ夕日に見えるけど?」

 

「やっぱり一人で見る夕日と二人で見る夕日は全然違うな!」

 

「⁉ そ、それはどういう意味よ!」

 

「? 特に深い意味合いはないが。それにしても御坂、何でお前顔が真っ赤になってるんだ?」

 

「! これは夕日のせいよ」

 

「そうか、それならいいんだが…」

 

「何よ、本当アンタといると調子が狂うわね」

 

「… それはどういう意味だ?」

 

「何でもないわ、気にしないで」

 

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「こちらポイントA、幻想殺し超電磁砲と接触の模様。特に目立った動きはなし」

 

 二人の様子を注意深く見る存在。統括理事会である。おそらく上層部の指示によって、統括理事会の下部組織の連中か誰かが駆り出され御坂と上条と動向をうかがっているようである。

 

「どうしますか?超電磁砲が再び学園都市に戻ってきましたが」

 

 アレイスタ―「なに、何も心配することはないだろう。彼女はいまやレベル0の無能力者。今更どう足掻いたって何も変えられることはできまい」

 

 その油断が命取りであるということを、アレイスタ―はまだ知らない。




次回の投稿も概ね2週間を目処に投稿させて頂きたいと思います。よろしくお願いします!
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