プロローグ
(――――ん? ここは……)
気が付くと視界には黒しかなかった。いや、一か所だけ黒以外の場所があった。
(あれは……人? )
人らしき姿があったが、遠くにいるためどんな人なのかは判断できなかった。ただ分かるのはその人は何かと話しているということだけである。
(何と話しているんだろう? )
そんなことを考えながらその人のことじっと見ていると奇妙な感じが私の中に生まれた。
(これは……なつかしい? あの人はいったい? )
その人の姿をはっきりと確認しようとした瞬間、世界が揺れ、私の意識は薄れて消えていった。
■◆■◆■
「――ん? ふぅぁあ~~」
心地よく揺れる電車の中で私は目を覚ました。どうやら私は居眠りをしてしまったよう……!
「いけない! 寝過ごしたかも! 今はどこらへん!? 」
思わず立ち上がったが、ちょうどそのとき、今どこにいるのか私の疑問に答えるかのごとく、タイミングよく電車のアナウンスが聞こえてくる。
『次は○○~、○○で~、ございま~す。お降りの際はお忘れ物のないようにお願いします。』
○○と言えば、私が降りる駅のひとつ前だったはず。
寝過ごしてないことがわかると、少し落ち着いた……と同時に、私の周りにいた人達が驚いてこちらを見ていることに気が付き、顔を赤くしながらすみませんと謝って改めて座席に座った。
(あーーー、恥ずかしー!)
あまりの恥ずかしさに、私はしばらく顔を上げられなかった。
■◆■◆■
しばらくして、恥ずかしさも無くなり私は少し落ち着いた。
(居眠りしちゃうなんてねぇ、やっぱり疲れてるのかなぁ。それより、なんだか懐かしい夢を見ていた気がするんだけど、どんな夢を見ていたっけなぁ? )
私が見ていた夢について思い出そうとしていたが、結局思い出せず、しこりを残しながらも、夢とはそういうものだと割り切ることにした。
(しっかし、父の都合で転校なんて、本当にあるもんなのね)
私の父は、探検家だ。
若いころは世界を股にかけ、様々な世界的発見をしてきた自慢の父である。
ただ、ここ最近は私を育てるのに仕事をお休みしていたらしいが、どうしても行かないといけない場所がわかったらしく,父はその場所を調査しに行くために私は一の知人の家に預けられることとなった。
どうして、知人の家に預けられるかというと母は生まれつき体が弱く私を生んだ時に死んでしまったらしい。
そして両親は二人とも天涯孤独で、親戚はいない。ゆえに、私は父の知人の家に預けられることとなった、が、まあ、知人と言ってもたまに家に来て面識もあるからそれほど不安はない。それに父が探検に行くことに反対する気もない。
私は父の探検談が好きだし、探検する姿が好きだ。だから私は転校する事を受け入れたのだ。
(けど、やっぱり寂しいな)
やはり強がっても、唯一の肉親である父がいないとなると寂しさが心の奥に残って拭えない。
そんなことを思っていると、目的地である場所のアナウンスが流れる。
『次は麻帆良~、麻帆良でございま~す。お忘れ物の無いようにお願いします』
さて、それじゃ、行きますか。
「いざ!麻帆良へ!」
主人公の名前が出せなかった……。