Fate/stray nightmare 作:トーマス・マトン
ーーーー諸君は、聖杯という
一般的な魔術師からすると、手にしたものの願いを叶える“魔法”。
しかし、あるものにとっては“生存の為の足がかり”。
また、ある者にとっては“自らの一族の悲願”。
或いは、多種多様なものを映し出す“鏡”。
マキリ、アインツベルン、遠坂の御三家の全力を持って作られた魔術の極致。
そのもはや“芸術”と言って問題ない域の魔法を起こす為の触媒ーーーー特定の人物にはこちらの方が重要かもしれないーーーー7柱の“
世の魔術師は、
“聖杯戦争”と呼ぶ。
さて、ここから見るのは少しズレた位相の第4次聖杯戦争。
ほんの少しの綻び…そう、僅かな綻びからほんの少し、されど決定的に変わってしまった聖杯戦争をお見せしよう。
始まりは…今では時計塔のロードとまで呼ばれるようになった彼から始めよう。
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ロンドン 時計塔
彼は怒り狂っていた。
それこそ、
しかし、彼ーーーウェイバー・ベルベットーーーは、時計塔に学びに来てから今の今まで書いていたレポートのネタ帳を時計塔の講師であるケイネスによってバラバラに裂かれ、その上燃やされてまでされたのだ。そりゃあ怒らない奴がどうかしている。
中途半端にプライドがある為殴りかかるわけにも泣くわけにも行かない彼は泣く泣く悔しさを我慢し、それで一件落着となる、筈だった。
不幸なことに、否、当時の彼にとっては“幸運”なことに、そこで彼が持っていたそれこそ“家宝”と言えるような触媒、令呪と言った条件が揃うまでは------------------
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冬木市 とある老夫婦の家
こっそりと噂になっている聖杯戦争に参加する為、ロンドンから高飛びし、冬木でただひたすら時を待っているウェイバー。
自らの手に浮かんだ令呪を、初めてもらったラブレターのせいでニヤケが止まらないと言った風にニヤニヤしながら気持ち悪い顔を浮かべるウェイバー。
聖杯に認められた嬉しさと、師であるケイネスに対する優越感。
どこかの金ピカの言葉を借りるのであれば、愉悦といったところだ。
「これが…令呪」
サーヴァントに対して絶対的な命令を3つまで叩きつけられる鬼札。
そういった側面が強調されるものではあるが、元々は安全装置として組み込まれた、いわばブレーキのようなものであることを知っているのは、今ではアハト翁とキエフの蟲使いの末裔くらいだろう。
が、しかし、ニヤニヤしながら眺めているウェイバーには関係のないことだろう。
「これさえあれば…僕の願いは…‼︎」
だが、彼は知らない。
今の聖杯が“
彼が呼び出した英霊が令呪といったちっぽけなものでは統制できない真性の“バケモノ”であったことを。
…やがて、数時間後。
息子のいない見知らぬ老夫婦に暗示をかけ、衣住食を手に入れた彼は、触媒とともに始めて来る山で儀式を始める。
『素に銀と鉄。礎に石と契約の大公。祖には我が大師シュバインオーグ。降り立つ風には壁を。四方の門は閉じ、王冠より出で、王国に至る三叉路は循環せよ』
辺りに魔力の光が満ち始める。
『
もはや暴力的な突風が吹き荒ぶ。
『汝三大の言霊を纏う七天ッ‼︎』
『抑止の輪より来たれッ‼︎』
『天秤の守り手よッ‼︎』
如何なる暗視スコープを用いても見えないであろう極光が去った後には、凄まじい威圧感を吐き出し続ける
『ーーーーーークラスキャスター、サーヴァント×××××御前に』
もとい、中年のおっさんがいた。
『誰だお前‼︎⁉︎』