“異世界“から生きる 【凍結】   作:アストラ9

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 どうも。作者です。

 最近パイル撃ち込んでないな〜、と思う今日この頃。……っく、いかん、こんな時にパイル禁断症状が!

 と言うわけで皆さんも是非ACVDを買ってパイル撃ち込みに来てください。楽しいですよ?

 ああ、それとお気に入りが19に増えていました。ありがとうございます。励みになります。

 では本編、どうぞ。



精霊という名の『悪魔』

 

「ヒーホー! オイラは妖精ジャックフロストだホー よろしくホー!」

 

 そいつは俺に片腕を挙げて声を投げかけた。

 俺の先程の召喚に応じた雪だるま、ソイツを値踏みするかのように見つめてみる。なるほど、見事な雪だるまだ。

 

「な、なんだホー?」

 

「……いや、別になんでも。それよりも、来ているぞ?」

 

「ホ?」

 

 呆けているジャックフロストと俺に向かって頭上から砂の拳が振り下ろされる。

 俺はそれを後方へのジャンプで軽く躱すが、ジャックフロストの方は未だに上を見上げて立ち止まっていた。さて、どう対処するつもりだ?

 ジャックフロストの目が鋭くなり、その小さな左手を頭上へ上げる。

 

「ヒーホー! 返討ちだホー!」

 

 そして、彼の左手から大きな氷塊が射出された。その氷塊は冷気を放っており、凍り付くほどの低温だという事は見て取れた。

 

 

 ——パキィィィン!!

 

 

 その氷塊は振り下ろされた砂の拳に直撃した。普通ならば大きさや重力の関係が相まって氷塊が粉々になるはずだった。だがこの氷塊はすぐに粉々になるどころかその巨大な砂の拳を飲み込み、腕から胴に、胴から脚・頭に、凍ったとこらから細部に向かってその氷の波が押し寄せ、最終的には砂の巨人を孕んだ氷のオブジェと化したのだ。

 

 棒立ちしているジャックフロストはその氷のオブジェを見て一言。

 

「やったホー! 氷漬けだホー!」

 

 自分が創り出したオブジェを見て大層喜んでいた。そしてジャックフロストはくるりと一回転し右腕を天に向けてパチンと一回指を鳴らす。

 

 

 ——バキ…バキバキ……

 

 

 その指鳴らしに鼓動するかのようにオブジェにヒビが入る。俺は嫌な予感を感じつつ後ろに何歩から下がって安全圏へと避難する。ジャックフロストは移動など一切せずにそのオブジェを見てニヤニヤとしている。

 

 そして……崩れた。

 

 ——俺はレベルが1上がった。

 

 氷のオブジェは各部に開いたヒビから徐々に開いていき、最終的に細かい氷粒へと変貌、重力に従ってその氷粒はジャックフロストへと降り注がれた。重力の力によって多大なエネルギーを得た氷粒は自然界の殺意を纏ってジャックフロストへ向かっていったが……

 

「ヒーホー! ご馳走だホー!」

 

 その氷粒を大きく口を開けて迎い入れた。到底人間に理解出来る行動ではない。

 そして氷粒の一部を食した後、苦い顔をして何かを吐き出した。彼曰く、マズイ、との事だった。

 

「パサパサしてるホ。やっぱり純度100%が最高だホ」

 

 意味不明な事を言い出したジャックフロスト。そんな独り言が少し気になるものの、俺は彼に声をかける。

 

「ヒホ? どうしたんだホ?」

 

「いや、お前の力を讃えようと……冗談だ、あまりはしゃがないでくれ」

 

 褒めるといったら目に見えてはしゃぎ始めるジャックフロスト。その呟きの中の「魔貨5000枚」とか「ソーマ」とか聞こえたが、なんだろうか。

 

「まあいいや。それにしてもお前強いな。精霊ってのはみんなそうなのか?」

 

 正直、魔術師より強いのではないだろうか。砂との相性もあるだろうが、武器なしでのレベル1ファイアではワンパンは出来ない。それなりの力は所持していると見ていい。

 

「ヒホ? オイラってそんなに凄いホー?」

 

「ああ、最低限の力は所持していると見ている。一応確認しておくが、さっきのは軽い準備運動なんだよな?」

 

 軽く挑発してみる。もしこれでこれ以上の力を所持しているならば、或いは……いや、そんな事はないか。

 

「勿論だホ! オイラの力はこんなもんじゃないホ!」

 

 そう言って胸をポンと叩いて腰に手をやる。胸を張っているようだが、その姿は精々子供が威張っているようにしか見えない。

 

「まあお前が凄いというのは分かった。……ジャックフロスト、幾つか聞きたい事がある」

 

「ホー?」

 

 その後、俺は彼から『精霊使い』に関しての情報を聞き出した。彼でも知っているという事はこれは一般常識みたいなもんらしい。

 

 まず呼び出せる精霊はジャックフロストのみなのか、という質問に対しては……NOだった。どうやら彼以外も召喚出来るらしい。まあ上位存在を召喚するには魂が必要らしいが。全く、大した執着心だ。こんな時も()か。

 

 次、同時召喚に関して。こちらの答えはYES、つまりは可能だと言った。同族同時でも異種族同時でも可能ではあるという。ただし此方も上位存在召喚時と同様多すぎると魂の消費があるので注意が必要となる、との事。

 

 次。このブフという魔法について。ジャックフロストを召喚した際に使えるようになったこのブフという魔法、彼によるとこれは『悪魔』の魔法で、三段階のレベルの内最下位ではあるが、それなりの力があるという。先程彼が放ったのもこれだそう。

 

 ジャックフロストは自分もブフを覚えているから、もしかしたら召喚した精霊の力を使えるのかもしれなホー、と言っていた。つまり種類の異なる精霊を10体を召喚すればかなりの数が魔法が使用可能に……。攻撃の幅広すぎないか?

 

「それじゃあ最後。お前はいつまで現界出来る?」

 

「ヒホー。オイラはいつまでもいれるホー」

 

「いつまでも?」

 

「そうだホー。オイラ達『悪魔』は世界にたくさんあるマグネタイトとか、それの代わりを使って現界しているんだホー」

 

 ふむ、マグネタイトとやらは分からないが、要はエネルギー源の事らしい。世界に多く溢れているのだろう。

 それらのエネルギーをコストにしているらしい。つまりは無限に現界出来ると。

 

「……まあいい。それじゃあジャックフロスト、次行くぞ」

 

「了解だホー」

 

 俺たちはザジ荒野を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 場所は変わってここは【ドゥマホの森】。『スパイダー』や『ランチュラ』などの蜘蛛系のモンスターが多い森林地帯だ。動くキノコなんてのもいる。

 

 この山の頂上には一本角の馬『ユニコーン』が陣取っている。キノコを氷漬けにする事もいいが、今ならユニコーンの撃破も出来るだろう。ここではあくまでボスだけを撃破する事にする、雑魚は無視だ。

 

 その後歩く事十数時間、もはや慣れた足取りで山頂への道を進んでいきついにユニコーンが待つ所まで来た。俺と共に歩いて来たジャックフロストは少々疲れ気味だ。おいおい、こんなもんでお疲れか? そんなんじゃこの先辛いとおもうが。

 

「おい、大丈夫か? ジャックフロスト」

 

「ちょ、ちょっと疲れたホー……」

 

「なら現界切っておくか?」

 

「そ、そうさせて貰うホー」

 

 そしてジャックフロストの現界を解いた。するとジャックフロストの身体が粒子状に分解されていき、徐々に消えていく。ふむ、現界解くとこうなるのか。

 消えてゆくジャックフロストを観察していると突如彼は振り向いて、

 

「あ、そうだホ。オイラがいない間は違う『悪魔』を呼ぶといいホ。助けになってくれるはずだホー」

 

「違う悪魔か、了解。助言ありがとな」

 

「いいんだホー。オイラは主公の『仲魔』だから、このくらいは当たり前なんだホー」

 

 それだけを言い残してジャックフロストは空虚に消えてしまった。

 さて、この後はどうしたものか。ジャックフロストの力を測る目的でここには来たのだがな……。当の本人がいなければどうにもならない。うむむ……。

 

「……ああ、そう言えば他の奴が呼べるんだったな」

 

 今さっき言われたばかりの言葉をようやく思い出す。そう言えば他の『悪魔』も呼び出す事が可能だったんだな。

 

 俺は視界左端を見てみる。そこには、

 

『 一般妖精: 召還可 魂コスト0

  上級妖精: 召還不可 魂コスト0

  火粉妖精: 召還可 魂コスト0

  霊炎妖精: 召還可 魂コスト0

  粉雪妖精: 召還可 魂コスト0

  小鬼妖精: 召還可 魂コスト0

  樹木妖精: 召還不可 魂コスト1

  水辺妖精: 召還不可 魂コスト1

  水馬妖精: 召還不可 魂コスト1

  長寿妖精: 召還不可 魂コスト2

  小鬼隊長: 召還不可 魂コスト1

  ーーーーーーLOOKEDーーーーー』

 

 という表示があった。いや、文字として出ている訳ではなく、左端を見ると情報が頭の中にズラリと並んでくるような……なんとも形容しがたいが、そんな感じなんだ。

 

 それで、これを元に考えると今召還できる種類は5種。召還不可となっているのは恐らく……レベルだろう。レベルが恐らく足りないのだ。まあ戦闘したのがハゲタカと砂の巨人の2体のみだからそうと言えばそうなんだが。

 

「さて、ユニコーンの直前の場所まで来た事だし、早速召還していくか」

 

 ジャックフロストと思われる粉雪妖精を除いた4種の悪魔の召喚呪文を唱えていく。

 

「我が僕となるものたちよ、我は求む、貴官らの力を……召喚に応じよ!」

  

 ——ピクシー!!

 

 ——カハク!!

 

 ——ジャックランタン!!

 

 ——ゴブリン!!

 

 

 そして辺り一面に落雷が降り注いだ。……木の焦げたような匂いがほのかに香る。火事にならない事を祈っておこう。

 

 そして閃光が晴れて来た時、そいつらはいた。彼らは片手を此方に上げて叫ぶ。

 

「「はぁい。妖精ピクシー(地霊カハク)よ。コンゴトモヨロシクぅ!」」

 

「ヒホホ〜! ジャックランタンだホ〜! ヨロシクだホ〜!」

 

「俺は妖精ゴブリン! コンゴトモヨロシク頼むぜ、兄弟!」

 

 召還に応じたのは羽根の生えた手のひらサイズの小人が2人と浮遊するランタン持ちのカボチャ、赤い体色の小人だった。

 各員がそれぞれ挨拶を交わし、手を振っている。

 それにしても……随分と個性的な奴らだ。『悪魔』ってのはこんなにもフレンドリーなものなのか? まあ挨拶ぐらいは返さねばならないだろう。

 

「ああ、よろしく頼む。それで突然で悪いんだが、今からボス戦だ。準備は出来てるか?」

 

「「「「勿論よ(ホー)(だぜ)」」」」

 

 どうやら悪魔はフレンドリーでかつ、いつでも戦闘の準備が整っているらしい。悪魔ってのは変人ってのが売りなのか?

 

「……まあいいか。それじゃお前ら、行くぞ!」

 

「「「「おおぉー!!」」」」

 

 さて、彼らはどれくらいの活躍をしてくれるのかな?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あんたって意外に凄いのね、感動しちゃったわ。ご褒美にコレ上げる」

 

 ——(マッカ)100を手に入れた。

 

「主公頼りになるホー。これからもよろしくホー!」

 

 ——魔石を手に入れた。

 

「まあ、私の主公なんだからコレくらい出来なきゃね。当然よ。……はいこれ」

 

  ——サンストーンを手に入れた。

 

「やるな兄弟! コレは俺からの感謝の印だ!」

 

 ——魔石を手に入れた。

 

「……」

 

 俺は今、召還した悪魔たちから多大なる感謝を受けている。理由は不明だが。

 彼らは俺のお陰で強くなれたと言っていた……がそれは間違いだ。と言うのも活躍したのは俺よりも彼らの方だ。あのユニコーン戦ではその数の差も相まって圧倒的な勝利を飾る事が出来た。俺は何もせずに終わっている。

 

 次の『セイレーン戦』でも道中の雑魚含めて彼らが掃討してくれている。正直言って過剰戦力だ。俺いらないんじゃないかと言うほどの活躍だった。

 

 まあ今さっき撃破したばかりの『山賊王の亡霊』では俺も戦闘に多少は参戦したものの、基本的には彼らがやってくれた。本来ならば俺が彼らに感謝するべきなのだ。

 

 それなのに何故彼らは俺に対して感謝などする? 俺にはそこが理解出来ない。彼らによると俺の内なる力を引き出して〜、とか言っていたが俺にはさっぱりだ。

 

「…まあ、いい。レベルも12まで上がった事だし、そろそろ『ユグドラシル』で20までレベリング、その後は『オーディン聖堂』で40あたりまでレベリングだ。いけるな、お前達」

 

 そして、俺の周りの悪魔達は快声をあげた。準備は万端のようだな。

 

「それじゃあ、いくぞ」

 

 ——俺たちはその場を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 ◆

 

 

 

 

 

 

 

 菜月(ナツキ)(スバル)。彼は今、焦っている。

 彼はこの場所、『ロズワール邸』からほど近く、屋敷の全体像が見える断崖にて屋敷の監視を行っていた。理由はごく単純、自分らに敵対する襲撃者を特定する為である。

 

 菜月昴という男は実はこの屋敷で2度死んでいる。そしてその際の殺害方法、襲撃者の素性など彼は一切知り得なかった。襲撃者の動機も含めて。

 

 事の発端から始めよう。彼はこの世界に日本という国から『転移』してきた。勿論、普通の人間である彼にそんな事をするような力はなく、かと言ってこんな事が出来る知り合いなどいるはずは無かった。

 

 そしてこの世界で彼は3人のチンピラに絡まれる事となった。彼は啖呵切って男達にかかって行ったが最終的に降参、呆気もなくフルボッコにされてしまった。

 

 本来ならばここで彼らにヤられて死んでいた事だろう。だがここで彼は運命的な出会いをする事となる。即ち、自分の想い他人となるハーフエルフ、『エミリア』との出会いの事である。まあ、この時は『サテラ』と名乗ったのだが。

 

 サテラと名乗った彼女によって命を救われた昴は彼女の『探し物』に付き合う事になる。いや、付き合いに行ったという方が正しいな。何せ彼が自ら手伝いたいと申しで、彼女の迂遠の断りなんて目にも留めずに強引に付き合いに行ったのだから。

 

 そして彼らは『フェルト』という少女が『探し物』を奪い、売買すると言う事を知った。そして彼女の居場所も。彼らは即座に行動し、彼女がいると言う『盗品蔵』に向かった。コレで多少なりとも恩を返せれば……、そう彼は思っていた。

 

 ——が、恩など返せなかった。

 

 彼は盗品蔵に着くと異変に気づいた。人の気配がしないのだ。売買すると言っていたのに、物音がしないとは一体どう言う事だろうか。そう思い内部に調査に向かった。

 

 暫く進んで行くと、床に何かベタつくものが溢れているのに気がついた。靴の裏についたそれを確認するとそれは……紅かった。絵の具のような『赤』ではなく、濃い赤ワインの『紅』。そう、それはまるで——血のようだった。

 

 そして血の流れてくる方向を逆に進めて、その手に持つランプの様なものである一点を照らした。そこにいるのは赤ワインを呑んだくれている人などではなく……首や右腕からダラダラと血を流す、大柄の老人の死体があった。

 

 彼は叫ぶ、とてつもない恐怖心に駆られて叫んだ。そして幸か不幸か、彼は人を呼ぶ事に成功した。あくまで呼ぶ事のみ、だが。

 

 そして彼は死んだ。その悲鳴を聞いて寄ってきた者に切り裂かれて、死んだ。その時に聞こえた声は、女の声だったのを昴は覚えていた。そして、その後にサテラが近づいてきてしまった事も。

 

 こうして彼は死んでしまった。死ぬ間際にサテラがどうなったのか彼が知る故はないが、彼は想像出来てしまった。自分を殺した人物が彼女を見つけたら、どうなるかなんて。その多大なる後悔の念に呑まれながら、彼は誓った。

 

 ——俺が、絶対にお前を助けてみせる。

 

 

 

 

 

 

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