お気に入りに入れていただいた方も増え、感想まで来て、さらにやる気はヒートアップ!!!
だが、鈍足運行だ!
さて、今回は前回の終わりから……ではなく、1,2分ほど時間経過しております。
拓海は一仕事終えた顔をして、並べさせた五人の艦娘から離れる。
「……提督」
「摩耶、どうした?」
「
「言っただろう? 罰だ」
摩耶を含め、直立している五人は顔を紅潮させつつ黙った。
そこへ一人の艦娘が走ってくる。腰まで伸びた黒髪、頭のパーツからは角のようなアンテナが出ている。白と黒を基調としたヘソ出しルックス、女性の中ではやや筋肉質な体格。
拓海は「世界にその名を轟かせたビッグセブンの一角、長門だったはずだ」と、資料を思い出しながら、彼女が近づくのを待った。
「貴官が今日からの新任提督か?」
「ああ。はじめまして、星野だ」
「戦艦長門だ。早速だが、この度の件の責はこの私が受ける。彼女達に手は出さないでもらいたい」
長門はそう言いながら、拓海と五人の間に割って入る。
「悪いが、もう手を出した」
「何っ!?」
彼の発言に驚いた長門は五人の方を振り返る。
「ぶふぉっ!?」
そして、盛大に吹き出しそうになるのを咄嗟に手で抑える。
五人の顔は更に赤くなり、涙目になり堪える者、肩を振るわせうつむく者、怒りたいような
両の頬には全員渦巻きが、額には各人別々の文字が黒いマジックで書かれていた。赤城は羊、摩耶は馬、天龍は犬、龍田は猫、時雨は鼠。
「……くっ…ていと……っ…貴…様……ぐっ……ふざ…け……ぶふっ…!」
長門は怒っているが、いかんせん笑いをこらえながらなので全く迫力はない。
「こん……ぷっ…下ら…ない…くっ……事で……っ…!」
「他人事じゃないぞ。今から君にも書いてやる」
「ぶっ!?」
「さあ、大人しくしろ」
「や、止めろぉっ!」
彼女は必死に抵抗するが、艤装制御装置によって
「で、ここからが罰の本題! 今現在……この腕時計もダメになっているな」
彼はそう言って外した銀の腕時計をスーツケースにしまい、代わりに黒い年季の入った腕時計を付ける。
「現在、マルハチヨンナナ! ヒトマルマルマルまでに鎮守府の食堂に当鎮守府職員を集める事! 勿論、落書きそのままだ! わかれ!」
解散を促した六人とも動く様子が無い。それだけではなく、全員の表情は先ほどから一変し、困惑や恐怖、猜疑といった成分を浮かべる。
「ああ、ヒトマルマルマルまでに落書き消したり、皆の集まりが悪かったら、罰のレベル上げるから」
「!!!?」
彼が追い討ちのように言うと、六人は若干慌てて鎮守府の隊舎に向かった。
六人を見送った後、彼は一人呟きながら歩き出した。
「……さて。鎮守府の地理は大体覚えているが、食堂に着けるかな?」
食堂へ向かう道中で2つの人影を見掛けたが、拓海の姿を見ると怖れるように隠れる。時折、物陰から敵意や殺意の籠った視線が突き刺さる。彼の動きを予測して、
直接面と向かってではない、間接的な排除の姿勢に、拓海も「これは根が深いな」と頭痛がするのだった。
移動してから10分後、ほとんど迷うことなく食堂周辺に到着していた。
しかしそこで、拓海は自分の格好を改めて見る。軍服はボロボロになるだけではなく、あちこちに汚れが付着している。
「まず着替えるべきだったな。いや、そうすると寝室の場所が分からないから、時間ギリギリになるかもな。彼女達の一人に案内を頼むべきだった」
等と一人で後悔したが、気を取り直して汚れを叩き落とした。持ってきたスーツケースの土に対しては、中から出した雑巾を使う。
そうして、まあ問題無いだろうといった状態にした。
食堂の扉の前には二人の人物が、まるで見張りでもするかのように立っている。
「やあ、はじめまして」
拓海は二人に近づきながら、薄い笑みを浮かべて先に挨拶をする。しかし、二人は怪しむように彼を見るだけで、返事を返してくれそうもなかった。
一人は摩耶と似た格好に眼鏡を掛け、髪は摩耶より長く肩にかかっている。
もう一人は紺色の作業着を着ており、ショートカットの黒髪につり目、ややスリムな女性。
「俺は今日から新しくここの提督になった星野少佐だ」
「あら、少佐で提督になられるとは、
艦娘の方がメガネを右の人差し指で上げながら、冷めた口調で言う。
「俺の場合は世渡りより運の問題だろうな。それはそうと君達の事は資料で確認してるよ、艦娘の鳥海に技術部武装班の
技術部。それは深海棲艦と戦う艦娘達のバックアップ組織であり、艦娘がいるところに必ず複数人は配備される。更に技術部の中でも、傷ついた艦娘の治療をする入渠班、顕現させた艤装の整備や改修を行う武装班、鎮守府設備の点検深海棲艦を調べる調査班、の三つに別れるのである。
この鎮守府では入渠班に三人、武装班に二人、調査班に二人が残り、他の者達は憲兵隊の連行の折りに連れていかれたのだった。
名前を呼ばれた楓は眉根を寄せて睨み、鳥海を庇うように一歩進み出てると、腰に手を当て身を若干前に出し、頭1つ分ほど身長が上の彼を睨む。
「はじめまして。お新しい提督様が私達みたいな泥臭い人間の
明らかな挑発行為をする彼女に、拓海は関心したような顔をした。が、直ぐに無表情にして用件を述べる。
「ヒトマルマルマルまでに鎮守府職員を食堂に集めてくるよう、長門達六人の艦娘に指示したからな。事前に見ておきたいのは当たり前だろう?」
「そうでしたか。てっきり食堂で御食事をお取りになる後所存かと思いました。まあ、そんな分はありませんが」
「ふーん。食事しにきた訳じゃないが、艦娘の予備分くらいはあると思ったけど」
その発言に、してやったりといった顔をする楓と後ろの鳥海。
「でしたら、こちらになります」
鳥海が出したトレーの上にあるのは、人間の食事とは思えないモノだった。
小指サイズの弾丸5,6個。
燃料と書かれた350ml缶1本。
大きめの賽子ほどの鉄1個。
「私達は通常の食事以外にも、これらを摂取してエネルギーに変えることが出来ます。普通ならご存知ですが、お忘れにでもなられましたか?」
「つまり、艦娘の予備分ってのは通常の人じゃ摂取できないんだよ! 分かったら引き返しな、本部から来たお坊ちゃん!」
拓海は二人からの挑戦的な発言や視線を受けるも、何処吹く風といった様子で弾丸を1つ、ひょいと手に取る。
それを見下したような笑みを浮かべている二人の前で自らの口に入れた。
二人は一瞬、彼が何をしたのか理解出来なかった。拓海が2つ目の弾丸を摘まんで口に入れると、二人の顔には驚愕の色が浮かぶ。
「お、おい! 何やってるんだ!?」
「そうです! 気でも触れられましたか!?」
慌て始めた二人を余所に、彼は缶の蓋を開けてゴクゴクと飲む。彼女達の心境は驚愕を通り越し、未知のモノに相対したような感覚に変わった。
最後に鉄を口に入れると、二人に対して言った。
「いただかせてもらったよ。ありがとな」
あまりの事に茫然とした二人の横を通り、彼は食堂の中へと足を進めた。
開始早々にシリアスブレイクしちゃいました☆
だが、反省はしていない!
というか、リアルにやったらつまらんし、ブラックさの再来だからなあ。
星野は手品でもなんでもなく、ホントに資材を食べました。
色々と予想されてる方は多いと思いますが、しばらくは『謎』で引っ張っていく予定です。
次回は食堂からの話です。