東方物理録   作:熱海 麗

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今回はぐろ注意です


第12話 レイと永琳と慶

二人は南地区の外壁近くのワープ装置にたどり着いた

 

「ここが南地区か、西地区とは空気が違う気がするなあ」

「ここらは乾燥しているのよね、だから目的の花が育つ訳だけど」

「へー、都市が広いからいろんな所にいろんな気候があったりするのか?」

「ええ、北地区は外の地区よりも寒かったり東地区は少し湿気てたりね」

 

レイと永琳はここの隊長である黒波隊長を捜すために都市の外壁の横を歩いていく

 

いきなりズドンと大きな音と共に辺り一帯が眩しく輝く

 

「あ、いたいた」

「え?あ、アイツか」

 

永琳が指を指す先には外壁の上にまたがり、狙撃銃を外の草原地帯に向け、外を見渡しているの人影が見えた

 

「当ったりぃ♪」

 

 

見た目は赤みを帯びた白い髪をしていて黒いメガネを掛けている

学校の制服の様な服装をしており、レイはこの服装に前世の記憶で見覚えがあった

(あ、月の兎達の…)

持っていた狙撃銃をくるくると回し、ご機嫌な様子だ

 

「あんたが南地区隊長の黒波か?」

「うん、そうだけど…あ、あのときの死人君!」

「し、死人君って…初対面の相手に…あ!あのときのメガネ野郎!」

 

その言葉を聞き、少し驚いた顔をしてからクスリと微笑み

 

「覚えててくれたんだ♪…でも、僕は野郎じゃなくて女の子なんだよ♪」

「うぇ!?男かとばかり…すまないな」

「いいのいいの、気にしないで♪よくある事だから「コホン」おろ?」

 

永琳のわざとらしい咳払いでレイは目的を思い出す

 

「あ、そうだった「都市の外に行きたいんでしょ♪永琳博士を連れている時点で分かるよ」…せーかい」

「と言うことで私とレイが外で薬草を集めている間、間違えて撃たないでね」

「はーい、じゃごゆっくりい♪」

 

えらく軽い挨拶を交わし、レイと永琳は都市の外に出る

 

「あなた慶と知り合いだったの?」

「いやあ、少し前に会った事が…」

 

一ヶ月程前にレイが転送装置で分裂した時に転送装置の目の前でぶっ倒れてたレイの脱け殻の方を

道端まで運んで眺めてたのが慶だったりする

あのときは慶が白衣を着てたためレイが素で男かと思っていたのだ

 

「…まあ、あの子白衣着てる時は男にしか見えないからねえ」

 

と、永琳が言う

あの服はあまりにも男に間違えられる慶が自作した物だそう

 

「男に間違えられるってなかなか珍しい人だな」

「そうね、ほら慶隊長の許可が済んだなら早く探しにいくわよ」

「はーい」

 

 

 

 

小一時間歩き続けると一面真っ赤の花畑が見えてきた

 

「これはこれは、なかなかの絶景だこと」

「そんな事は良いからそっからそこまでの花を摘んできて」

「はー…毒草はどう見分けんの?」

「毒草も使うの、早く行ってきて」

「はーい…」(何で永琳着いてきたのさ…)

レイを観察するためです

 

 

約三十後

 

「永琳ー終わったぜぇ」

「お疲れ様、じゃあ戻るわよ」

 

と永琳が言った直後である

 

ピ、ピ、ピピピピピピピピピピピピピピピピピ……

 

「なんだ?」

「どうやら面白いイベントが観れそうね」

 

永琳は白衣のポケットからピンクのスマホの様な物を取り出した

その機械は一分程なり続け、何も無かったかの様に静まり返った。

永琳いわく今の音は半径五百メートル内に妖怪が近づいてきた時になるらしい、ちかくの穢れを探知するそう

そして、ピ、の数だけ妖怪が居るらしくて

 

「団体様ってことか」

「でも、ここは慶隊長の管轄、貴方もあの子の実力を見たいんじゃないの?」

 

永琳がそう言った直後、二人の上を何かが飛んでいく、レイの動体視力で解ったがどうやら弾丸のようだ

やがて飛んでいく弾丸の間隔が短くなり、雨の様な勢いでレイ達のいる花畑の先へ銃弾の雨は飛んでいく

 

「あれはね、私が作った慶専用連射型狙撃銃でね」

「待て待て、こっから慶のいた外壁まで五キロはあるぞ、その距離を連射じゃ…」

「何言ってるのかしら?私の作った武器よ、十キロ先まで弾の勢いが失われないわ」

 

無茶苦茶だ そう思った時、あの人のセリフが降りてきた

 

「…この時代でも常識は通じないんですね」

「ふふ、私にとっては常識よ、ほら敵の数がどんどん減ってく」

 

永琳の持っている装置には画面が付いており画面の中には数百はあるオレンジの点が

かなりの勢いで消えていく。これが妖怪なんだそう

 

「ほー、強いなあ…四、五発で一匹って所か」

「ほら、どんどん減ってく。もう百匹位しか残ってない」

 

永琳の言う通りオレンジの点はどんどん減っていき、最後の一つになった

…そう、『最後の一つになったまま、減らない』のだ

 

「あら、かなりの強者が居たようね」

「あらら、そりゃ大変だ」

 

などと事態を軽く見ていた永琳だが、流石に一分も攻撃が続いても消えない妖怪の反応には

様子を変える

そして、銃撃が一旦止み、永琳の足元に攻撃が行く

 

「あぶね!」

「きゃあ!…ありがと」

 

いち早く攻撃に気付いたレイが永琳を持ち上げ、永琳に怪我は無いのだが銃撃は二人の目の前の地面に続いている

やがて、銃撃が止む頃には地面に銃跡で

『“オサ”ガイル。キケンダ、イマスグニゲロ』

と書いており、それを見た永琳は表情を一変させる

 

「嘘、長クラスが何で都市の近くまで…レイ!今すぐここを離れるのよ!長なんか貴方も殺される!」

「長、偉そうな名前してんな」

「良いから!早く逃げるの!一旦都市まで戻って緑狼をよぶのよ!…最悪ツクヨミ様にも助けを呼ばなくては」

「まあ、手遅れみたいだけどね」

「え、あ、嘘!?嫌、死にたくない!!!」

 

その直後、レイ達の上を何かが掠めていった。慶の攻撃ではない、そもそも向きが違う

その攻撃は『都市の方角』へ飛んでいったそれは、レイの記憶にもあった

都市に初めて来たとき、ツクヨミの霊力弾をくらい、半身が消し飛んだ。それと同じ雰囲気がした

 

「え?あっちには都市が…嘘!?」

 

ズシン…

そんなに音がした。都市に攻撃届いたのかは分からない

ただ慶からの狙撃は一切来なくなった

 

レイと永琳の前には…猫がいた

猫だけならまだ可愛いのだが見た目と大きさが問題だった

トラックと同じ位であろうその体には体毛は一切生えておらず、慶の攻撃のせいか体のあちこちから血が滲んでいる

…そう『滲んでいるだけ』である。そのうえ背中からは十本程の触手が蠢いており、そのうち数本の触手の先には

他の猫の妖怪の死体が突き刺さっている

 

「あ、ああ、嫌、いやあああぁぁああぁぁっっっっ!!!!!!」

 

永琳は絶叫した

思い出したのだ、まだ自分が幼いが故にまだ兵器が揃っておらず

緑狼の戦闘だけで人間達が生きていられた頃、こいつと全く同じ奴に出会ったことを

まだろくに発展しておらず、ビルではなく一軒家が今より小さい都市に敷き詰められていた頃

 

『妖怪の都市の一斉襲撃』

 

緑狼一人では抑えきれず都市に、いやあの頃は街とでも言うべきか…街に妖怪が流れ込み

どんどん殺されていく人間たち、喜びの表情で人間を狩っていく妖怪達、自分を地下深くのシェルター行きのカプセルに押し込む両親、笑顔で泣きながら妖怪に掴み上げられる母親、頭を食いちぎられ動かなくなった父親

 

「あなただけは生きて、永琳…」

 

「いやあああぁぁああぁぁっっっっ、おかーさんっっっっ!行かないで!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うわ、気持ちわるう………でも、女の子泣かせるとは許せないねえ、猫さんやあ」

 

レイは妖怪に向かって歩いていく

 

「やめて!!アイツには勝てない!おねがいっ逃げて!!」

 

レイは小石を拾い上げ、猫に向ける

 

「早く逃げて!!ソイツは緑狼でも撤退させるのが手一杯だったの!」

 

レイは小石を持った手を振りかぶる

 

「女の子泣かせたらどうなるか…」

 

石はレイの手を離れ、音を置き去りにしながら飛んでいく

 

「その身をもって知りやがれえ!」

 

 

その小石は猫の左目を弾け飛ばし、頭を貫通して、後ろの木に大穴を開けた

 




すみません、まさかインフルエンザにかかるとは思いませんでした
この土日でこの一週間の分と14話を投稿します

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