灯火 1   作:二号機

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初めての投稿になります。駄文ですが読んでいただけると嬉しいです。こちらの都合で定期的な投稿は難しいのですが、ちまちまと合間を見つけて執筆していくのでよろしくお願いします。


オレンジの百合

PPPPPPP...

7:00を知らせるアラーム音が聞こえ少しずつ意識が覚醒していく。まるで重力が倍になったのかと思うような体の気だるさを感じながらもその体を動かし、携帯のアラームを解除する。

「起きたくねーな、、、」

本音が口から溢れるも習慣とは怖いもので体はいつも通り動き20分程で着替えや支度が終わる。

玄関を開くと春にしてはムッとするような熱気に当てられ春の終わりを感じさせる。

玄関を開けた途端襲われた帰宅願望を押し殺しながらいつもの道を徒歩で進んでいく。一歩踏み出すたびに額から汗がポタポタと落ちる。それなのに運動部はこの暑さの中でも大声を張り上げてグランドや体育館を走り回っている。ご苦労な事だ。

教室に入るともう結構な人数が集まって騒がしく会話が繰り広げられている。

座席に鞄を置いたところで始業のチャイムがなり、担任である数学の倉田が入ってくると同時にさっきまでの騒がしい空気は一転ホームルームの落ち着きを取り戻していた。

そしていつもの冷めたような口調で、

「今日は転校生が来てるから連絡は後な入れ」

教室の扉が開かれ入って来たのは1人の女子、短く、色素の薄いブロンドといった感じの髪が特徴的でクラスでは

「ハーフかな?」

なんて声もあがっている。手足も細く儚げな印象を漂わせる彼女は入ってくるなりホワイトボードに備え付けの黒マーカーを手に取り丸文字で『橙野友梨』と書くとこちらに向き直りお決まりの言葉を口にする。

「橙野友梨(とうのゆり)です仲良くしてください」

 

ホームルームが終わると彼女の周りはお約束のごとく人だかりができている。男女問わず囲まれて

「どこからきたの?」

「ハーフ?」

「スリーサイ、、、ぐふっ!?」

と質問ぜめで大忙しだ。なんか1人セクハラ発言もいた気がするが、、、まぁいいだろう。別に俺にはさほど興味はないのだが、それが隣の席ともなれば関係ないとも言えず、居心地の悪さから俺は日直の仕事でもするかと席を立ちホワイトボードに書かれた連絡事項と自己紹介で書かれた『橙野友梨』という文字を消す。

「ねぇねぇ」

「ん?」

ホワイトボードの文字を消しているとさっきまで人だかりの中心人物だった橙野が俺の背後から声をかけてきていた。交友関係の少ない俺としては話しかけられたことに少し驚き、ぶっきらぼうな返しになってしまう。しかし橙野は気にした様子もなくさっきまでと変わらぬ笑顔で続ける。

「倉田先生から初日だから今日の日直さんと一緒に日直をして教えてもらいなさいって言われたんだ何かすることある?」

「ん、とりあえず授業の後の黒板消しと帰るまでに日誌の提出とあと燃えるゴミは各クラス放課後に焼却炉で燃やさないといけないくらいで今は特に無い」

「そっかぁじゃぁ放課後の焼却炉ついていってもいい?」

「、、、別に」

こうして会話するたびに思うんだが、、、俺、まじでコミュ障だな、、、。

だがそんなことは気にせず橙野はその後も話し続け、俺はただただどうしてよいのかもわからず黙って聞き続けた。

 

「よいしょっと」

「大丈夫か?」

「平気」

放課後の校舎をゴミを持って2人で歩く。最初俺が持っていたのだが、ライターをとりに職員室に行ったところ職員室のごみまで任されてしまいかなりの量になっている。

「くそ、何が2人だから余裕だろ?だよ、面倒ごと押し付けやがって」

「まぁまぁそんなに重いわけでもないし、楽しいから平気だよ」

「ゴミ捨てが楽しいとか正気か?」

「だってこれ自分たちで燃やすんでしょ?珍しいよね、キャンプみたい」

確かにそう言われれば珍しいかもしれない、今時焼却炉が活用されている高校なんで全国で、さらにはそれが生徒により活用されているとなれはうちくらいのものではないだろうか。

「あ!あった!」

焼却炉が見えると橙野は走りだし、まじまじと見つめている。

「そんなに珍しいか?、見ても楽しいものではないと思うが」

「うん、でも今から使うと思うと楽しみ、ここから入れるの?」

「おう」

錆びた鉄の扉を両手で開き、中にゴミを投入していく。すでに何クラスか使ったのか少し中は暖かく、扉を開くと灰がブワッと舞い上がった。鉄の扉を閉めて今度は下の小さな小窓のような扉を開く。

「ここから火をつけるの?」

「おう」

「やらせて」

「ん、、、」

ライターを橙野に渡し様子を見ている。その手つきはライターを使うのには慣れていない様子でおそるおそるといった雰囲気がある。

「あれ?付かないよ」

「もっと思い切りやってみ」

「えい!えい!付かないよぉ」

「貸してみ」

涙目になりながらライターと格闘する橙野からライターを奪い取りカチカチとプリントホイールを勢いよく回してみるが火花が出るだけで火が付く様子はない。、、、しゃぁない。

「壊れてるのかな?先生に新しいのもらって来るね」

「大丈夫」

橙野の申し出を制止し、焼却炉の煙突からあがる煙を指差す。

「あれ?つけれたんだ」

小窓から見える炎を興味深そうに眺めながら話しかけて来る。

俺は黙って立ち上がろうとするもその足取りに少しふらついてしまう。

「あれ?顔色悪くない?」

橙野はそう言って心配そうに俺の額に手を伸ばし、触れた瞬間、、、

「っ!?」

反射的に引っ込めてしまう。

まずい、ばれた、、、

俺がどうしようか思考を巡らせていると橙野は側にあった防火用バケツを手に取り、

「え?」

俺に勢いよくぶっかけた。

「大丈夫!?すごい熱だよ!手がアチッてなったよ!?」

成る程、熱があったから水をかけて冷まそうとしたわけか、熱中症の対処療法としても使われる理にかなった方法ではある。だがしかし、、、

「病人にいきなりバケツで水かけるか!?」

理にはかなっているが常識の範疇をはるかに超えている。

 

「ごめんね、水かけちゃって、制服とかべちゃべちゃにしちゃった」

苦笑を浮かべながら隣を歩く橙野、たまたまジャージの替えを置いてあったからそれに着替えて今は下校のため校内を並んで歩いている。

「ま、まぁ替えもあったし、、、もういい」

彼女が反省しているのは分かっているし怒ってもいないが、慣れない女子との2人きりということもあって会話がどうしてもぶっきらぼうになってしまう。それでも気まずくならないのは彼女の人当たりの良さのなせる技だろう。

「そういえば熱は大丈夫?さっき本当に熱かったよ?」

「ん、まぁよくあるし気にしないでいいそんなことよりお前家どこなの?」

あまり触れられたくない話題につい話題をそらしてしまう。しかし彼女は流されるそぶりもなく、

「そんなことじゃないよぉ〜顔とか今も真っ赤だよ」

「本当によくあるから気にしないで放っておけば治るから」

「ダメだよ風邪は甘くみると大変なんだよ、おでこ見せて」

そう言って手を伸ばしたところで俺はは我慢の限界をむかえた。

「大丈夫っつってんだろ!!わざと触れられたくなくて避けてんだから察しろよ!!」

ただ心配してくれただけの橙野に対し俺は気がつくと怒鳴っていた。そしてこの時もっとまずい事態が発生してしまう。

「え?火?」

俺の体から、いや、着用しているジャージから突然小さな爆発音のようなものがしたと同時にメラメラと赤い炎が立ち上がっていた。

 

パイロキネシス、物体を触れることなく燃焼させるいわゆる超能力の一種である。その出現は子供に見られることが多く事例としては年はかない少女の家から謎の出火があり、全焼したとの報告もある。原因はまだはっきりとはしていないものの能力者からは異常な周波数の脳波や静電気が観測されていることがあるとのことである。

つまり、、、

「俺はそのパイロキネシスだ」

「電子レンジみたい」

「俺の話ちゃんときいてましたかね!?」

予想とは斜め上どころか別次元の反応に思わずツッコミを入れてしまう。何故今の話で家電が出て来るのか、、、

「だって電気と脳波?で熱くして火を出すんでしょ?電子レンジみたいだよ、、、今度からレンちゃんと呼ぼう」

あ、分かった、、、こいつかなりの馬鹿だ。

「まぁとりあえずこの熱は能力を使った時の後遺症みたいなものでほっといたら治るものなの、それにあんまり人に見せるものでもないから触れて欲しくなかったから、、、イライラして怖がらせてごめん」

俺は橙野への詳しい説明やさらなるツッコミは時間の無駄と判断し、話を進めることにした。

正直なところ今回のことは八つ当たりだ。もしこれが今回は俺のジャージだったから良かったが、これがもし燃えていたのが彼女だったら、、、

罪悪感でつい空気が重くなってしまう。彼女もおそらくはこの力を目にして恐怖を感じただろう。だが、、、

「ん?何で謝るの?」

そんな彼女から出た言葉は意外なもので、俺はまた唖然とさせられる。

「だって心配してくれたのにいきなり怒鳴ったと思ったら燃え始めたんだぞ?理不尽だし、怖いだろ?」

「別に?それに嫌がるのにしつこく聞いたの私だし、私も悪いでしょ?それに、、、」

そう言うと彼女は一歩俺の側に歩み寄る。俺との距離は手を伸ばせば抱き寄せれそうな距離で、彼女からは甘い果実のようないい匂いを感じる距離で、俺を包み込むように優しく微笑んで、、、

「凄くかっこいい、アニメに出てくるヒーローみたい」

凄く暑い、体全体が燃えているように暑いのに彼女の髪をなびかせるように風が吹くと、頰に一筋、冷んやりと冷たい感触が走ったのを俺は感じていた。

 

「おはようレンちゃん」

翌日、昨日と何も変わらない様子で昨日決められた呼び名を使いながら挨拶をしてくる橙野、呼び名をはぶけば昨日のことは夢だったのかと思うほどに昨日と変わらぬ態度でせっしてくる。

「だからレンちゃんはやめろ」

「えーいいじゃん可愛いんだしさぁ」

とまぁ特に意味もない会話が淡々と繰り替えされている。

「へー珍しいな、お前が女子と話しするとか」

突如後方から声をかけられそちらに向き直る。

「うるせーよてか珍しいな朝練は?」

「今日朝から職員会議で休み」

「ふーん、ちなみに今日は何通きたんだ?」

「やめろよ恥ずかしいんだからよ、今日は1通だよ」

そこに立っていたのはバレー部のエースで勉強もできる。そして女子にとことんモテると俺に無いものを一通り持っている。

「レンちゃんその人は?」

「ん?橙野は初めてか?こいつは小湊 菜々(おみな なな)俺の幼馴染だよ」

 

 




最後まで読んで頂きありがとうございます。
本当はもっとラフな感じに書きたかったのですが、なんか暗い感じになっちゃいました。
登場人物の名前に違和感がある方も見えると思うのでお話しすると、彼女たちのイメージと花言葉から名前を付けています。興味ある方はまと調べて見てください。
今後も連載はしていく予定ですがお付き合いいただけると幸いです。
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