ファンタシースターポータブル オリジナルストーリーズ 作:きりの
―――それは、遥か遠いところのお話し―――
母なる太陽と三つの惑星を持つ、グラール太陽系。
そこに住むヒューマンと、彼らから生まれた「
しかし四つの種族は心を一つにして戦い、激しい攻防の末、これを封印した。
それから三年――――――――
グラールには、SEEDとの攻防の
外宇宙への移動を可能にする亜空間航行理論が提唱され、再興の道を大宇宙への大規模な移民計画に求めた。
政府、軍、3惑星中の企業は結束し、亜空間航行の実現化に向けて動き出していた。
グラールの新しい未来を願って――――――
惑星モトゥブ。砂漠や荒野はもちろん、未開の地も多く、三つの惑星の中でも特に環境が厳しい星だ。そのとある地方。
辺り一面砂漠のこの地に今、二人のヒューマンの少年がいる。
一方は死にかけ倒れ伏している。左右で色の違う目が特徴的な若く、背の高い男だ。髪の色や服装から黒のイメージが強いが、あちこち血の赤に染まっていて、そのイメージも薄まっている。意識は既にほぼ無く、まさに死の一歩手前といったところだ。無理もない。元々満身創痍だった少年は、不幸にも、たった今殺されようとしていたのである。
もう一方は勝ち誇り、高笑いを上げている。年齢や背格好は同じくらいだろう。後ろで結ばれた銀の長髪に赤く鋭い両目。黒のコートを裸の上半身に直接羽織っているのが特徴的だが、これは彼の拘りだ。彼こそたった今殺人を犯そうとしていた張本人である。その右手に握る血のように赤い剣が、妖しく光を放っている。
「フン、どうやら命拾いをしたようだな…」
彼にはその少年を殺す理由があった。憎く、腹立だしく、忌々しい。それを差し引いても、自らの計画の障害となる可能性のある少年なのだった。
どういうわけか既に疲弊し、手負いだった彼を追い詰めることは容易く、引導を渡す一歩手前。
しかし、状況は一変。一般人に目撃を許してしまった。遠くから手を振り聞こえてくるその声が、その少年の救世主となったのだ。この砂漠のど真ん中で、何故?とも思ったが、それどころではないし、ともすれば殺す訳にもいかない。今目立ってはならないのだから。
「…が。問題は無い。手ならある。」
そう。状況は予想に反してこちらにとって好都合だった。嬉しい誤算は、もう一つあったのだ。
彼はにやりと笑みを浮かべると、倒れる少年の耳元に寄り、
「今回は見逃してやろう。だが次に会うことがあれば今度こそ貴様には死んでもらう。覚えておくがいい。私の名は――――――――」
風に砂がよく巻き上げられる夜のことだった。