プロローグ
「なんなのこれ?まだ一つも片づいてないじゃないの?」
部屋の中が散らかっていることに怒るのび太の母、のび玉子。
「わあああああ!!!」
「もう!何やってるの!?」
ダンボールを大急ぎで運んでいたドラえもんはオモチャにつまずき、中のオモチャをばらまく。
「いつも言ってるでしょ!何でもかんでも押入れに放り込んじゃいけないって。良いわね!?夕方までにはキチンと整理しなさい!いらないものは捨ててキチンと片づけるのよ!」
そう言うと玉子は怒りながら階段を降りて行った。ダンボールの中を整理していたのび太は入っていたあるものに目を止めた。するとのび太の頭の中で、ある言葉が蘇る。
プレゼント、明日渡すね。約束。
「は〜あ、早いとこ片づけちゃわないと、ますますママのご機嫌が悪くなっちゃうぞ!」
大急ぎで片づけをするドラえもん。
「・・・・・・・・・・・・・。」
「なにやってるんだ!僕にばっかり働かせて!」
「・・・・・・・・・・・・・・。」
「ん?ポカンとなに見てんだ?」
ドラえもんはのび太が眺めている物に目を向ける。それは小さい編みかけの手袋であった。
「なんだ、汚い手袋。」
「なんだとはなんだ!」
「落ち着け、落ち着けよ!」
鬼神のごとく怒るのび太をドラえもんがなだめる。
「この手袋にはねえ・・・・・・思い出があるんだ・・・。今思い出しても心が痛むような・・・・。」
「一体誰の手袋なの?」
「パパの仕事の都合で一時期北海道に住んでたことがあったんだ、その時に仲良くしていた同級生の女の子に貰ったものなんだ。」
「あ!僕がこっちに来る前の話だね。」
「そう!君が来る数ヶ月前の話さ。僕たちはいつも一緒に遊んでたんだ。だけどある日突然、何も言わず、引っ越しちゃったんだ。それからしばらくして、その子宛てからこの手袋が送られてきたんだ・・・・・。今思えば、なぜ何も言わず、引っ越しちゃったんだろう。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
夕方、夕食を食べていたのび太に新聞を読んでいた父、のび助が口を開いた。
「のび太・・・・・・。」
「???」
「覚えてるか?」
「何を?」
「三年前北海道に住んでた時、近所で起きた事件・・・。記憶薄いだろう。パパたちは必死だったのさ。お前たちから事件の記憶を少しでも取り除こうとしたんだ。お前、あぶないところだったんだぞ。」
「ちょっとパパ、その話は!!」
「あっ!そうか・・・・・ゴメン、何でもないんだ。忘れてくれ。」
苦笑いする父にのび太とドラえもんは顔を見合わせる。
(三年前の・・・・・・・誘拐事件・・・?)