ドラえもん のび太の僕たちだけがいない街    作:雛月 加代

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第四章:ただの悪あがきなんだよ

「このままじゃ、のび太がどんどん悪者にされていく。」

 

「は〜あ、ドラえもんがいればなぁ・・・・。」

 

気まずい空気が再び流れる。

 

「しっかりしなよ、二人共。クヨクヨしたってドラえもんが帰ってくるわけじゃぁあるまいし。ドラえもんがいなくても、僕はちゃんとやってみせるぞ。」

 

「のび太・・・・・。」

 

「・・・・・・・・。」

 

「よく言った、お前にそんな勇気があるなんて思わなかった、俺。」

 

「・・・・・・・・・・・・。」

 

のび太の言葉を聞いて加代も笑みを浮かべる。

 

「俺も力を貸すぜ!」

 

「私も。」

 

「ジャイアン、加代ちゃん。ありがとう。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なに、これ!?」

 

加代は燃え盛る野比家を見て呆然とする。

 

「さっきのび太君が中に入るのを見たのよ!」

 

「まだ中にいるんじゃない?」

 

野次馬の声を聞き、加代は大急ぎで燃え盛る炎の中に飛び込んでいった。

 

「のび太!のび太、聞こえる!?」

 

家中を駆け巡り、必死にのび太を探す加代。そして二階の階段を上がると、のび太が包みを大事そうに持ちながらうつぶせになって倒れていた。

 

「のび太!しっかりして。」

 

のび太を負ぶろうとする加代。だが女一人の力ではどうにもならない。

 

「無理だ、私の力じゃ。」

 

すると加代の頭の中で、数々の記憶が蘇る

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一番いけないのは、自分なんかだめだと思い込むことだよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・・・。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一人じゃ何もできないくせに

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

違う、何もできないのは・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

のび太のピンチに何もできない自分に腹を立てていると、突然声がした。

 

「加代ちゃん!のび太!」

 

「武・・・。」

 

ジャイアンはのび太を背負うと、

 

「大丈夫?重くない?」

 

「ああ・・・・あんまり大丈夫じゃないけど、ほったらかしにはできないだろう。」

 

「・・・・・・・・・。」

 

「一気に降りるぞ、踏ん張れ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何だ、これ?ああ、走馬灯ってやっだ。」

 

意識を失ったのび太は夢の中で数々の記憶が走馬灯のように蘇りました。

 

ドラえもんと一緒にした冒険の数々。タイムマシーンで見て来た静香ちゃんと結婚した未来。そして悟たちと一緒に加代を救ったこと。ドラえもんと涙をのんで別れたこと。

 

「まぁ、いいか・・・・。この世から僕がいなくなったところで・・・・・・。」

 

すると突然身に覚えのない記憶が浮かび上がる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

悟、今日さ、学校で修学旅行の積み立ての話が出たよ。行き先は函館だって。悟、前にいってたべさ。写真で見ただけだけど、夜景がすごいって・・・・本物を見に行こう・・・・一緒に・・・・だから・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あれ?これは、記憶?一体誰の?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

わかってる!!わかってるよ!!・・・・あたしの事考えてくれたんだって事くらい・・・・・・・・・・・・あのお母さんらしいべさ・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

目が開いた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「???」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

のび太が目覚めるとそこは病室でした。

 

 

「おはよう、のび太。」

 

 

目に飛び込んできたのは涙を流す加代の姿だった。窓からの日差しが瞳を焼いた。加代によるとのび太は二日間も眠り続けていたそうだ。それからすぐに医者が呼ばれた。のび太は何度も奇跡だと繰り返す医者の問診を受けた。

 

「何があったのか、覚えているかい?」

 

「がっ・・・・あぁ!(頭が、痛い。あれはなんの・・・記憶だ?)」

 

「大丈夫かい? 焦らなくてもいい。 ゆっくり、ゆっくり思い出すんだ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「加代ちゃん。」

 

「何?」

 

「やっぱり加代ちゃんは僕たちの救い主だ。」

 

二度も助けらたことに心の底から礼を言うのび太だが、

 

「・・・・・・違う、私は救い主なんかじゃない。」

 

「えっ?」

 

「あの時の私はニセモノだから。」

 

「・・・・・・・ニセモノ?」

 

「私は親から酷い虐待を受けていて、正直いつ死んでもおかしくない状態だった。それを悟が連れだして、助けてくれた。」

 

「・・・・・・・・。」

 

「悟はあたしのヒーローだよ。勿論のび太も。」

 

「・・・・・・・・・・・。」

 

「私もそんな風になりたい。本気でそう思ってた。」

 

「・・・・・・・・・・。」

 

「悟が事故にあったとき、お医者さんも皆もさじを投げたけど、私は信じた。悟がいつか目を覚ましてくれることを。あの時、のび太たちが投げ出さずにお母さんを助けてくれたように。」

 

 「・・・・・・・・・。」

 

「でもそんなある日、私、夢を見たの。私が自分の子供を連れて悟の病室を訪れている夢。辛そうにリハビリをしている悟の前に幸せの絶頂に立っている自分がいた。」

 

「・・・・・・・・・・・・・・。」

 

「その時わかったの・・・私はヒーローにはなれない。私は自分のヒーローをおいて、自分だけ幸せになろうとする酷い人間だって。」

 

 

「・・・・・・・・・。」

 

「今のあたしは演じているだけ。こうありたいと言う理想の自分を・・・・・ただの悪あがきなんだよ。」

 

 

 

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